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小説掲載プログ
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発作と変態とパンツを繋いだ服

「京楽、好きだ」

「僕も好きだよ、浮竹」

「我慢できない、愛してくれ」

「僕の胸に飛び込んでおいで!」

朝起きると、一人二役をしている京楽がいた。

それだけならいうほど変態ではなかったが、頭に浮竹のパンツをかぶり、浮竹のぱんつをつなげて作った服を着ていた。

完全な変態だった。

「破道の七十三、双連蒼火墜」

京楽は、真っ黒焦げになった。

「効いた・・・・・ガクリ」

「ふう。朝から変態を退治する清々しい朝だ」

そう言って、ベランダの窓を開け放つ。

冬なので寒いが、新鮮な空気が入ってきて気持ちよかった。

「ん・・・・・ごほっごほっ」

急に冷たい空気を肺に取り入れたのがまずかったのか、肺がずきんと痛んだ。

「ごほっ・・・・・」

ボタボタボタ。

吐血をしてしまい、しまったと思った。最近発作がなかったので、安堵しきっていた。

「薬を・・・・・」

よろめきながら、携帯している箱の中から薬をだして、かみ砕く。

「ごほっ」

ぼとぼとぼと。

「きょうら・・・・・」

親友に助けを求めるが、あいにくと鬼道で伸びていた。

ああ、これは自業自得というやつか。

浮竹の意識は、闇に落ちていった。


次に気づくと、自分の寮の部屋の自分のベッドで寝かされていた。

「次にすぐ発作が起こったら、入院ですよ。今回は発見が少し遅れて危ないところでした。ちゃんと様子を見て、薬を毎日欠かさず飲ませるようにしてください」

「ん・・・・」

「あ、気が付いたかい?」

変態の恰好はどこへ行ったか、普通の院生の服を着ていた。

「俺は・・・・?」

「びっくりしたよ。君の鬼道から復活してみれば、その本人が血を吐いて倒れてたんだもの。変態な恰好をしているのも忘れて、そのまま医務室の先生を呼んだ」

「そうか・・・迷惑をかけたな。って、あのパンツを繋ぎ合わせた服で外に出たのか!」

「そうだよ」

「だめだ・・・・・変態菌が脳に回っているのか・・・・」

「着替える時間も惜しかったから。みんな変な目で見てきたけど、僕は元から変なので気にしない」

変態だという、変態には変態なりのプライドがあるのだろう。

「これ、新しい肺の薬。飲める?」

「ああ」:

コップに水をいれて、もってきてくれた。

錠剤タイプの薬を飲んで、コップの水を飲み干した。

「ん・・・・なんだ、妙に肺がすっきりする」

「新薬なんだって。発作の時には効かないけど、平常時の肺の痛みをすごく和らげてくれる薬だって。いつもの肺の薬も、忘れずに飲んでね」

粉状の薬を飲んで、ざらざらと錠剤タイプの薬を飲む。

院生になって、京楽が薬の面で金を出してくれるようになったおかげで、昔に比べると発作の回数も減ったし、肺の痛みも随分ましになった。

「すまない・・・・・お前に甘えてばかりで」

「いいんだよ・・・・・むちゅーーー」

タコのように唇をつきだしてくる京楽を避けて、浮竹はベッドに横になった。

「死神になったら、きっと今までかかった金額は返す」

それは、はっきり言って無理な話だと分かってはいたが、できれば返したかった。

「いいんだよ。それより約束して?僕の傍にいてくれるって。卒業して死神になって・・・・そうだね、お互い隊長まで登りつめても、一緒にいよう」

「俺は、自分は隊長になれるかどうかわからない。こんな病を抱えた隊長・・・でも、隊長になってお前の傍にいることを誓おう」

その誓いが、数十年後に果たされることになるとは、今は知らない。

「むちゅー」

「そのむちゅーっていうのやめたら、キスしてもいいぞ」

「え、ほんとに!?」

「今日、迷惑をかけた礼だ」

京楽が、そっと寝ている浮竹にキスをする。

「んっ・・・・・」

深く口づけられた。

「あ・・・・」

舌を入れられて、咥内を蹂躙される。

「んうっ」

その浮竹の様子に、京楽は前かがみになった。

「ちょっと、お風呂場で抜いてくる」

「勝手にしろ」

浮竹は、溜息をつく。

変態ではあるが、紳士でもある。約束した以上の・・・キスやハグをこえた先をしてこない。

ぼんやりと浮かぶ、京楽の笑顔。

その京楽の屈託のない笑い顔を思い出すだけで、胸がツキンと痛んだ。

「変態でなければな・・・・・・」

数百年という時を経ても、共に在ることになろうとは、今は知る由もなかった。





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