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祓い屋京浮シリーズ27

「これが・・・呪われた面の、片割れです。もう一方の面は般若の面で、被った妻が暴れて生気を吸われて、発狂して今、家のベッドで拘束して寝かしてあります」

古い資産家の男性は、そう言って呪わているというお面をテーブルの上に置いた。

「面霊気(めんれいき)だね。付喪神の一種だよ。こっちの面には少しだけその名残がある。般若の面のほうが、面霊気の本体だね」

「なぁ、面を乱雑に扱わなかったか。面霊気は、大切にされると何もおこさないはずだ」

「はい。古いし気味が悪いので処分しようとしたら、般若の面が妻の顔にとりついて離れなくなり、妻の生気を吸い取った上に発狂させたんです。どうか、面の呪いを解いてください!」

浮竹は、こう説明した。

「付喪神は悪い神ではない。面霊気も、大切に扱っていれば、こんな騒動をおこなかっただろうに。これは面の呪いではない。あやかしの仕業だ」

「あやかし。あなたたちの相手ですね。どうか、妻にとりついた面霊気とやらを祓ってください!」

「分かった。引き受けよう」

「浮竹、付喪神の一種だし、一応説得しよう」

「ああ、分かっている」

二人は、依頼者の家にいき、ベッドで拘束されている依頼者の妻とあった。

般若の面を被った女性は、拘束されているのに暴れていた。

「ぬおおおおお、憎い憎い。我を捨てるなど、愚かな人間が」

「面霊気。その女性を解放してはくれないだろうか。お前を大切に扱うようにさせるから・・・・・」

「憎い憎い。人間が憎い。付喪神となった我を捨てようとした人間どもが憎い!」

浮竹は、面霊気を痛みのない炎で包みこみ、怒りを鎮めようとしたが、逆効果になった。

「人間め、我を祓うつもりで術者を呼んだか!ああ、口惜しや。もはや、この体がどうなってもよいわ!」

ぶちぶちと、怪力で拘束していたベルトを破り、面霊気は浮竹に襲いかかった。

「京楽、面だけを狙え!」

「分かってるよ!でも、こう激しく動かれちゃ、面以外の部分もダメージを与えそうだ。一度、動きを封じるよ!」

「おのれ、水龍神か。神でありながら、我と同じ神でありながら、我を殺そうとするのか」

「付喪神は、神格があるだけで正式な神じゃないよ」

「うるさい!ええい、お前もお前も、この体も、この体の夫も、みんな呪い殺してやる!」

呪詛を唱えだし、面霊気は呪いを四人にかけた。

浮竹と京楽は、呪いをはじき返す。

「おのれええ、我の呪いが効かぬか!いっそ、この体を壊してくれる!」

京楽の術の準備が終わり、面霊気は動けなくなっていた。

「ぎがががが、動けぬ。動け、体よ」

「僕の術はその程度では破れないよ」

「おのれ。こうなれば、その白い美しい男に我が憑りついてやる」

面霊気の般若の面は、女性を解放すると、浮竹めがけて飛んでいく。

「させないよ!」

京楽が、霊刀のシンクを抜き放ち、面霊気を一刀両断した。

「ぎががががが」

半分に別れた面霊鬼は、呪詛をふりまく。

依頼者とその妻は、狂ったように暴れ出した。

それを、浮竹が式札を飛ばして呪いを浄化して、呪いを解いてやった。

「ああ口惜しや口惜しや。滝夜叉姫に愛されていた我が、このような・・・・・・」

「滝夜叉姫・・・・どうりで、普通の面霊気よりしぶといわけだ。滝夜叉姫は、この件に関係しているのか?」

「滝夜叉姫ええぇぇぇ、どうか、我の仇をとってくれえええ」

そう言い残して、面霊気は浄化されてただの半分に分かたれた、般若の面になった。

「終わったね」

「いや、まだだ・・・・お前、滝夜叉姫だな?」

般若の面を被っていたのは、美しい女性だった。

呪われて狂ったふりをしていたが、浮竹はかすかに感じる妖力を感知していた。

そして、面霊気から、この女性の妖力が溢れていたのに気づいていた。

「滝夜叉姫!?こんな場所に、いるのかい!」

「滝夜叉姫、さぁかくれんぼは終わりだ。正体を現せ!」

浮竹が式を放つと、滝夜叉姫は甲高く笑い声をあげた。

「ホホホホホ!わたくしの正体に気づくその力、容姿、どれをとっても悪くない。我が夫とならぬか?」

「ちょっと、何浮竹ナンパしてるのさ!浮竹は僕の伴侶だよ!」

「水龍神が二人・・・・ふふふ、獲物としては上々」

滝夜叉姫として姿を現した女性は、美しい十二単の着物を着た貴族の姫君の姿をしていた。

「妻が・・・妻が、滝夜叉姫!?」

依頼者は、パニックを起こして、尻もちをついて後ずさる。

「正確には、滝夜叉姫に憑かれている。あなたの妻は、あの体の持ち主として、ちゃんと世界に存在している」

「どうか、どうか、妻を!」

「分かっている。滝夜叉姫、その女性の体から出てこい!」

「ふふふ。こんな依代とはいえ、人間だ。人間ごと、切ることはできまい?」

「それはどうかな?」

浮竹が、禍々しい色で燃え上がる、京楽の霊刀シンクを指さす。

「あの刀は特殊でな。その気になれば、霊体だけを殺せる」

「な、なんじゃと!」

「え、そんな能力まで備わってるの!」

京楽は、シンクの持ち主としては若干知識が欠けているようだった。

シンクを生み出したのは、浮竹の霊力の根源であり、神の力である。

「京楽、霊だけを斬るつもりで、滝夜叉姫を斬り捨てろ」

「分かったよ!」

京楽は、禍々しく輝く霊刀シンクの柄を握り直すと、滝夜叉姫ごと女性を斬った。

「ぎゃああああああ!!痛い、痛い!」

女性の中から、本当の滝夜叉姫が出てくる。

十二単を乱し、美しい顔を歪ませて、長い黒髪をうねらせて、京楽に襲い掛かる。

「滅!」

浮竹が、最上級の浄化の祝詞を唱えて、滝夜叉姫にダメージを与える。

「嫌じゃ嫌じゃ、こんな場所で死にとうない。どうか、慈悲を!」

「人に憑りついて生きている段階で、駆除対象だ」

「おのれえええ、せめてお前も道づれにしてやる」

滝夜叉姫は、浮竹を長い黒髪でぐるぐる巻きにした。

それを、京楽が放った青白い破壊の炎が焼いていく。

「嫌じゃ嫌じゃ、一人で死ぬのは嫌じゃ」

「面霊気が、向こうで待っているぞ」

「嫌じゃああああああ!!!」

狂ったように叫び、滝夜叉姫は酷い穢れを出してきた。

それを、京楽と浮竹は浄化してしまう。

水龍神は、特に浄化の力が強い神である。

滝夜叉姫といえど、あやかし。

あやかしが、神に勝てるはずなどない。

「ああああ、体が、体が焼けるううう」

滝夜叉姫は、浮竹と京楽の力を合わせた強力な浄化の結界の中で、浄化の焔に包まれていた。

「あああ、嫌じゃ・・・・滝夜叉姫ともあろう者が、術者に殺されるなど・・・」

「さようなら、滝夜叉姫」

「覚えていろ!いつか、復活してやる!これは仮初の滅び。我の核はここにはない!」

「そうか。なら、復活したらまた殺してやろう」

浮竹は、残酷に微笑んだ。それがまた妖艶で、京楽は滝夜叉姫なんてどうでもいいとばかりに、浮竹ばかりを見つめていた。

「浮竹十四郎、京楽春水。名乗りもしないお主たちの名、しかと我が魂に刻みつけた。我は滝夜叉姫。平家の末裔ぞ」

それだけを言い残して、滝夜叉姫は浄化の焔に飲みこまれて、灰となった。

「これで、終わりだな」

「うん、そうだね。核がここにないとなると、いつかまた現れるかもしれないけど」

「その時は、その時だ」

「お前、お前、しっかりしろ!」

依頼者の男性は、気を失っていた自分の妻を揺さぶった。

「あなた・・・・ここは?この方々は?」

浮竹と京楽は、大ざっぱに自己紹介と事情を説明する。

「そうですか。あなた方が、私を助けてくれたのですね」

依頼者は、冷静さを取り戻すと、約束の5倍の報酬金を払ってくれた。

「妻を助けていただき、本当にありがとうございました」

「いや、こちらも仕事なので」

「少ないですが、どうか謝礼金を」

一千万はありそうな札束を、少ないというのだから、金持ちは怖いと京楽は思った。

それを、平然と受け取る浮竹も、さすがに名家の富豪だなぁと京楽は思った。

「京楽、シンクをちゃんと扱えるようになれよ」

「う、うん。君の霊刀だけあって、君がピンチの時ほど切れ味が鋭くなる。あと、滝夜叉姫を屠ったせいか、もっている霊力が増してる」

「シンクは、あやかしを屠れば屠るほどに強くなっていく、進化する霊刀だ」

「うん。僕も、強くならないとね」

京楽は、シンクを鞘に戻した。

「そう思うなら、修行するか?」

「そうだねぇ」

「禍津神の俺と術者のお前に、稽古をつけてもらうように頼みこむか」

「ええ、あの二人!?いくらこっちが水龍神二人といっても、きついよ?」

「きついから、修行になるんだろうが」

「それはそうだけど・・・・・」

京楽は、あまり気乗りしないようだった。

禍津神の浮竹と修行したことはあるが、かなりきつかった思い出がある。

「俺もついていくから、安心しろ」

「うん。僕も、神の力に飲まれないように、強くならないとね」

水龍神であるが、高位のあやかしを屠り続けて、神としてのランクが高くなっていた。

「とりあえず、家に戻ろうか。お腹すいちゃった。今日はピザとナポリタンスパゲッティ作るね」

「確かに、俺も腹が減ってきた。帰るか」

依頼者が、食事を提供するというのを丁重に断って、二人は館に戻る。



夜になり、浮竹の寝室に京楽が忍び込んできた。

「ん・・・・なんだ、夜這いか?」

「うん、そうだよ」

「んん・・・・・んう」

深く口づけられて、飲みこみきれなかった唾液が、シーツに染みを作った。

「んあっ」

体全体を弄られて、浮竹は控えめな声を出した。

「ねぇ、もっと感じて?もっと、声出して?」

「ん、あああ!!」

浮竹の衣服をはいで、裸にさせると浮竹のものを口にふくむ。

「やあああああ」

ちょっとご無沙汰だったので、思っていたよりも多い量の精液が、京楽の口の中で弾けた。

「あ、ああああああ、あ!」

ローションで濡れた京楽の指が、蕾に入ってくる。

「んあああ」

ばらばらに動かされて、浮竹は涙を流す。

「あ、やあ、そこやっ」

「ここ?ここ、好きだよね?ぐりぐりされるの」

「やああああ!!!」

前立腺のある場所をぐりぐりと指で刺激されて、浮竹は射精してしまっていた。

「まだいれてないのに、こんなに濡らして」

「あ、早く来い。お前が、欲しい・・・・・」

艶やかに誘ってくる浮竹に、ごくりと喉を鳴らして、京楽は硬くなった己で浮竹を貫いた。

「ひああああああ!!!」

「んっ、きつい。もうちょっと、体の力抜いて」

「やああ、無理、やああ」

「一度、出すよ」

中で京楽が弾けると、コポリと蕾から京楽の精液が少しだけ溢れた。

量の多い京楽の精液で、蕾はローションなしでもぬるぬると滑り出す。

浮竹を貫き、揺さぶり、何度も挿入を繰り返していると、浮竹の思考がぐずぐずに溶けていく。

「あ、もっとぉ。もっと、ちょーだい?♡」

「君って子は・・・・・」

背後から貫いて、結腸にまでぐぽりと入り込むと、浮竹は喘いだ。

「あ、あ、熱いのでいっぱい。あ、あ、溢れちゃう」

「まだ、欲しいの?」

「うん。もっと、いっぱい俺の中にザーメンだして♡」

「どうなっても、知らないからね」

京楽は、浮竹が意識を完全に飛ばすまで抱いた。

結局、浮竹の中で5回は精液をはなっていた。

「愛してるよ・・・・・十四郎」

「ん・・・・・・」

浮竹は、うっすらと目をあけて、言葉を紡ぐ。

「俺も、愛してる・・・・春水」

誓いあうように、何度も口づけを繰り返して、結局朝がくるまで睦み合うのだった。


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