祓い屋京浮シリーズ28
禍津神の浮竹と、完全に神化した夜刀神の京楽に稽古をつけてもらって一週間。
確実に力が増していて、術者の浮竹と式の京楽は、修行してよかったと思っていた。
そんなある日、依頼者が訪れた。
なんと、あやかしだった。
「山の魑魅(ちみ)が、我ら川の魑魅の川を、泥をながして泥水にして汚染するのだ。それに、山の魑魅は自分の体液を流しもしている。山の魑魅をどうにかしてくれまいか」
「基本、俺たちはあやかし同士のいざこざには手をかさないんだが」
「山の魑魅は、川の我らを汚染して、汚染した水を人間に飲ませるつもりだ。そうすれば、人間にとって毒でもある山の魑魅の体液が、人間の体に堆積して、死者がいずれ出るぞ」
「それは見過ごせないな。山の魑魅を退治すればいいのか?」
浮竹はそう聞くが、川の魑魅は首を横に振った。
「山の魑魅がいなくなると、自然界のバランスが崩れる。退治せず、説得してほしい」
「これまた、厄介な依頼だねぇ」
京楽が、川の魑魅に紅茶を出した。
「人の食べ物はうまいな」
川の魑魅は、茶菓子も食った。
「頼んだぞ、水龍神の子らよ」
「まだ引き受けるって言ってないのに、去ってしまった」
「まぁ、依頼料の代わりに新鮮な川魚をいっぱいもらったし、たまにはあやかしの依頼を受けてもいいんじゃない」
「ふむ・・・・とりあえず、明日その山の魑魅の元に行ってみるか」
次の日になって、浮竹と京楽は、海燕が運転する車で山の麓まできて、山を登った。
山がざわざわとざわついて、二人の前に山の魑魅が複数でてきた。
「きけけけけ。人の子め。川の魑魅に言われて、のこのこやってきたか」
「山の魑魅よ!川を汚し、人に害を与えようとしないでくれ!場合によっては、退治する!」
「きけけけけ。我らを退治すれば、自然界のバランスが崩れて、山の生き物が死ぬ。退治など、できぬくせにほざくものよ」
「浮竹、なんとかならない?」
「うーん、そうは言われても・・・・そうか、封印すればいいのか。殺すわけじゃなしに、封印しておけば、生きているし、山の生き物に被害が出ることはないだろう」
「きけけけけ。封印だと!人の子の分際で!」
山の魑魅は、石を投げてきた。
それを、現れた川の魑魅が投げ返す。
「この方たちは、人の子ではない。川を守護しても下さる水龍神様だ」
「何!水龍神様だと!山神様より偉いのか!」
「多分、同じくらいに偉い」
川の魑魅は、山の魑魅に頼み込む。
「どうか、川の汚染をやめてほしいのだ。川神様も怒っている。山神様にも頼みこんだが、山神様は長い眠りについていてだめだったから、水龍神様にお願いした」
「山の魑魅よ。封印されたくなければ、川の汚染をやめろ」
浮竹は、半ば脅すように封印の術札を取り出した。
「分かった、分かった。川を汚染するのはやめる。だから、封印はしないでくれ。自由がいい。他の山の魑魅にも納得させるから、その怖い術札をもつ水龍神をなんとかしてくれ」
「水龍神様、ありがとう。もう大丈夫そうだ。あとはあやかし同士で話し合いをつけるので、帰ってくれて大丈夫だ」
「ああ、そうか」
「水龍神様、生意気をいってすまなかったのだ。これは山の幸だ。どうかこれで、無礼にふるまったことを許してほしい」
数匹の山の魑魅が、野苺、山ぶどうといった山の果物を浮竹と京楽に渡す。
「我らはあやかし。人の世俗にまみれて生きるあやかしもいるが、我らは人とは関わりをあまりもたぬ。それゆえ、人の世界の金というものがない。これで許してもらえるか」
山の魑魅は、不安そうに浮竹と京楽を見上げた。
「ああ、十分だ。ありがとう。お前たちを封印はしないし、あとは川の魑魅と話し合いで解決してくれ」
「もう、川を汚染しちゃだめだよ」
「分かった」
山の魑魅は、仲が悪いはずの川の魑魅と交じりあって、話し合いを始めた。
それを見届けて、浮竹と京楽は帰路についた。
館に戻ると、夜刀神の京楽と禍津神の浮竹が遊びにきていた。
『お、水龍神様たち、おかえり』
『勝手にお邪魔しているぞ。このステーキうまいな』
禍津神の浮竹は、式のルキアに頼みこんで、松阪牛のシャトーブリアンのステーキを焼いてもらって、二人の許可なく勝手に食べていたのだが、術者の浮竹も式の京楽も、ただ溜息をついた。
「修行の苦痛を思いだすよ」
「なんだかんだ言って、楽しかったが修行、きつかったからな」
「もぐもぐ・・・・術者の俺も食え。はい、あーん」
『ちょっと、禍津神様、ボクは!?』
術者の浮竹は、素直に口をあけて禍津神から、ステーキをもらって食べた。
『禍津神様、ボクも!』
『むう、春水もか。仕方ないな、あーん』
『あーん』
夜刀神の京楽は、嬉しそうにしていた。
「僕だけのけもの・・・・・」
『水龍神にやるステーキはない。焼き鳥でも食ってろ』
「水龍神って、浮竹も水龍神だよ?」
『じゃあ、鳥臭い水龍神に言い換える。おい、鳥臭い水龍神』
「ひどい!僕は鳥臭くないよ!」
『鳥臭い。このクッションも鳥臭い』
鳥臭いといいながら、京楽の羽毛100%クッションをもふもふする、禍津神の浮竹であった。
『むう、お前から術者の俺の匂いがする。また盛ったな、この桜文鳥!』
「僕たち結婚して、新婚さんなんだし、別にいいでしょ!」
『むう、新婚さんか・・・・春水、ちょっと羨ましいぞ』
『禍津神様、ボクらも結婚する?』
『俺はいらない。そんな形だけの形式なんかなくても、お前はいつも俺の傍に居てくれる』
『禍津神様・・・・・』
『春水・・・・・・・』
二人の世界を作りだすので、式の京楽は文鳥姿になって、ちゅんちゅんと飛び回って邪魔をする。
浮竹といえば、水龍神化して、禍津神の己の手をひっぱった。
「禍津神の俺、遊んで?」
『むう、術者の俺はかわいいな』
術者の浮竹をぎゅーっと抱きしめて、夜刀神をほうりだした禍津神の浮竹は、術者の浮竹と一緒に鬼ごっこをすると言い出して、外に出てしまった。
置き去りにされた夜刀神の京楽は、にこにこ微笑んではいるが、ちょっと嫉妬が混じっていた。
『君のとこの伴侶の水龍神様、ボクの十四郎をたまに独り占めするよね』
「僕だって、浮竹とられて悔しいんだから」
『でも、禍津神様の望みだしね・・・・・・』
「浮竹、禍津神の自分には優しいんだよね・・・・・・」
『でも、君にも素直でしょ?』
「ツンデレの時が多いけどね」
「京楽喉乾いた。冷たい麦茶を二人分用意しろ」
「はいはい」
鬼ごっこをしている浮竹たちは、楽しそうにしていた。
『ボクも混ぜて』
『いいぞ。春水が鬼だ』
「にげろーー」
術者の浮竹が、にげろといって、禍津神の浮竹の手をとって走り出す。
「僕だけまたのけもの・・・いいもん、いいもん」
麦茶を二人の浮竹に飲ませて、式の京楽は文鳥姿になると、術者の浮竹の肩に止まった。
「ちゅんちゅん!(これで僕も一緒だよ)」
「お前は呼んでない!夕飯の準備でもしてろ!」
ツーンと、ツンデレな術者の浮竹にそう言われたが、文鳥姿の京楽はしつこくねばった。
「ちちちちちち」
「耳元でうるさく鳴くな、この鳥!」
「ちゅんちゅん!!(僕にもかまって!)」
「じゃあ、羽をむしって焼き鳥の準備でもするか」
「ちゅんちゅんーーーー(いやだああああああ)」
逃げようとする式の京楽を捕まえて、術者の浮竹は羽をむしりだす。
『術者の俺、鬼に捕まるぞ!』
「あ、そうだった。京楽、ちゃんと夕飯の準備しとけよ」
術者の浮竹にぽいっと投げ捨てられて、式の京楽は、しくしくと泣く。
水龍神の姿になった浮竹は、精神年齢が幼くなるので、式の京楽を放置してお気に入りの禍津神の自分と遊ぶのを好んだ。
「ああ、僕の浮竹はそれでもかわいい」
冷たくあしられても、式の京楽は最終的には自分の元に帰ってくるので、術者の浮竹を自由にさせていた。
「今日はすきやきにでもしますか・・・・・・」
夕飯の準備にとりかかる。肉は、もちろん高級なものを四人分。
「酒も用意しときますかね」
術者の浮竹には、オレンジジュースだ。
禍津神の浮竹にはカクテルを。
夜刀神の京楽と自分にはアルコール度数の高い日本酒を用意する。
「夕ご飯の支度できたよ。みんな戻って!」
『夕飯だ!』
『またごちそうになるね』
「京楽、いいとこだったのに」
「はいはい、浮竹も手を洗って席について」
「言われなくても、そうする」
つーんと、ツンデレな術者の浮竹は、人の姿に戻るとオレンジジュースを飲みだす。
その仕草がかわいいと、式の浮竹は思う。
『お前の分の肉もいただくぞ!』
禍津神の浮竹は、少しぼーっとしてしまった式の京楽の分の肉をさらっていくのだった。
結局、禍津神の浮竹は酔いつぶれて、術者の浮竹もカクテルを間違って口にして酔いつぶれて、京楽達二人で、酒盛りをする。
「僕の浮竹はね、とにかく妖艶で綺麗でかわいいの」
『ボクの禍津神様もかわいいよ!』
延々と、夜が更けるまでお互いの伴侶について、語り合い、自慢話を続けるのであった。
確実に力が増していて、術者の浮竹と式の京楽は、修行してよかったと思っていた。
そんなある日、依頼者が訪れた。
なんと、あやかしだった。
「山の魑魅(ちみ)が、我ら川の魑魅の川を、泥をながして泥水にして汚染するのだ。それに、山の魑魅は自分の体液を流しもしている。山の魑魅をどうにかしてくれまいか」
「基本、俺たちはあやかし同士のいざこざには手をかさないんだが」
「山の魑魅は、川の我らを汚染して、汚染した水を人間に飲ませるつもりだ。そうすれば、人間にとって毒でもある山の魑魅の体液が、人間の体に堆積して、死者がいずれ出るぞ」
「それは見過ごせないな。山の魑魅を退治すればいいのか?」
浮竹はそう聞くが、川の魑魅は首を横に振った。
「山の魑魅がいなくなると、自然界のバランスが崩れる。退治せず、説得してほしい」
「これまた、厄介な依頼だねぇ」
京楽が、川の魑魅に紅茶を出した。
「人の食べ物はうまいな」
川の魑魅は、茶菓子も食った。
「頼んだぞ、水龍神の子らよ」
「まだ引き受けるって言ってないのに、去ってしまった」
「まぁ、依頼料の代わりに新鮮な川魚をいっぱいもらったし、たまにはあやかしの依頼を受けてもいいんじゃない」
「ふむ・・・・とりあえず、明日その山の魑魅の元に行ってみるか」
次の日になって、浮竹と京楽は、海燕が運転する車で山の麓まできて、山を登った。
山がざわざわとざわついて、二人の前に山の魑魅が複数でてきた。
「きけけけけ。人の子め。川の魑魅に言われて、のこのこやってきたか」
「山の魑魅よ!川を汚し、人に害を与えようとしないでくれ!場合によっては、退治する!」
「きけけけけ。我らを退治すれば、自然界のバランスが崩れて、山の生き物が死ぬ。退治など、できぬくせにほざくものよ」
「浮竹、なんとかならない?」
「うーん、そうは言われても・・・・そうか、封印すればいいのか。殺すわけじゃなしに、封印しておけば、生きているし、山の生き物に被害が出ることはないだろう」
「きけけけけ。封印だと!人の子の分際で!」
山の魑魅は、石を投げてきた。
それを、現れた川の魑魅が投げ返す。
「この方たちは、人の子ではない。川を守護しても下さる水龍神様だ」
「何!水龍神様だと!山神様より偉いのか!」
「多分、同じくらいに偉い」
川の魑魅は、山の魑魅に頼み込む。
「どうか、川の汚染をやめてほしいのだ。川神様も怒っている。山神様にも頼みこんだが、山神様は長い眠りについていてだめだったから、水龍神様にお願いした」
「山の魑魅よ。封印されたくなければ、川の汚染をやめろ」
浮竹は、半ば脅すように封印の術札を取り出した。
「分かった、分かった。川を汚染するのはやめる。だから、封印はしないでくれ。自由がいい。他の山の魑魅にも納得させるから、その怖い術札をもつ水龍神をなんとかしてくれ」
「水龍神様、ありがとう。もう大丈夫そうだ。あとはあやかし同士で話し合いをつけるので、帰ってくれて大丈夫だ」
「ああ、そうか」
「水龍神様、生意気をいってすまなかったのだ。これは山の幸だ。どうかこれで、無礼にふるまったことを許してほしい」
数匹の山の魑魅が、野苺、山ぶどうといった山の果物を浮竹と京楽に渡す。
「我らはあやかし。人の世俗にまみれて生きるあやかしもいるが、我らは人とは関わりをあまりもたぬ。それゆえ、人の世界の金というものがない。これで許してもらえるか」
山の魑魅は、不安そうに浮竹と京楽を見上げた。
「ああ、十分だ。ありがとう。お前たちを封印はしないし、あとは川の魑魅と話し合いで解決してくれ」
「もう、川を汚染しちゃだめだよ」
「分かった」
山の魑魅は、仲が悪いはずの川の魑魅と交じりあって、話し合いを始めた。
それを見届けて、浮竹と京楽は帰路についた。
館に戻ると、夜刀神の京楽と禍津神の浮竹が遊びにきていた。
『お、水龍神様たち、おかえり』
『勝手にお邪魔しているぞ。このステーキうまいな』
禍津神の浮竹は、式のルキアに頼みこんで、松阪牛のシャトーブリアンのステーキを焼いてもらって、二人の許可なく勝手に食べていたのだが、術者の浮竹も式の京楽も、ただ溜息をついた。
「修行の苦痛を思いだすよ」
「なんだかんだ言って、楽しかったが修行、きつかったからな」
「もぐもぐ・・・・術者の俺も食え。はい、あーん」
『ちょっと、禍津神様、ボクは!?』
術者の浮竹は、素直に口をあけて禍津神から、ステーキをもらって食べた。
『禍津神様、ボクも!』
『むう、春水もか。仕方ないな、あーん』
『あーん』
夜刀神の京楽は、嬉しそうにしていた。
「僕だけのけもの・・・・・」
『水龍神にやるステーキはない。焼き鳥でも食ってろ』
「水龍神って、浮竹も水龍神だよ?」
『じゃあ、鳥臭い水龍神に言い換える。おい、鳥臭い水龍神』
「ひどい!僕は鳥臭くないよ!」
『鳥臭い。このクッションも鳥臭い』
鳥臭いといいながら、京楽の羽毛100%クッションをもふもふする、禍津神の浮竹であった。
『むう、お前から術者の俺の匂いがする。また盛ったな、この桜文鳥!』
「僕たち結婚して、新婚さんなんだし、別にいいでしょ!」
『むう、新婚さんか・・・・春水、ちょっと羨ましいぞ』
『禍津神様、ボクらも結婚する?』
『俺はいらない。そんな形だけの形式なんかなくても、お前はいつも俺の傍に居てくれる』
『禍津神様・・・・・』
『春水・・・・・・・』
二人の世界を作りだすので、式の京楽は文鳥姿になって、ちゅんちゅんと飛び回って邪魔をする。
浮竹といえば、水龍神化して、禍津神の己の手をひっぱった。
「禍津神の俺、遊んで?」
『むう、術者の俺はかわいいな』
術者の浮竹をぎゅーっと抱きしめて、夜刀神をほうりだした禍津神の浮竹は、術者の浮竹と一緒に鬼ごっこをすると言い出して、外に出てしまった。
置き去りにされた夜刀神の京楽は、にこにこ微笑んではいるが、ちょっと嫉妬が混じっていた。
『君のとこの伴侶の水龍神様、ボクの十四郎をたまに独り占めするよね』
「僕だって、浮竹とられて悔しいんだから」
『でも、禍津神様の望みだしね・・・・・・』
「浮竹、禍津神の自分には優しいんだよね・・・・・・」
『でも、君にも素直でしょ?』
「ツンデレの時が多いけどね」
「京楽喉乾いた。冷たい麦茶を二人分用意しろ」
「はいはい」
鬼ごっこをしている浮竹たちは、楽しそうにしていた。
『ボクも混ぜて』
『いいぞ。春水が鬼だ』
「にげろーー」
術者の浮竹が、にげろといって、禍津神の浮竹の手をとって走り出す。
「僕だけまたのけもの・・・いいもん、いいもん」
麦茶を二人の浮竹に飲ませて、式の京楽は文鳥姿になると、術者の浮竹の肩に止まった。
「ちゅんちゅん!(これで僕も一緒だよ)」
「お前は呼んでない!夕飯の準備でもしてろ!」
ツーンと、ツンデレな術者の浮竹にそう言われたが、文鳥姿の京楽はしつこくねばった。
「ちちちちちち」
「耳元でうるさく鳴くな、この鳥!」
「ちゅんちゅん!!(僕にもかまって!)」
「じゃあ、羽をむしって焼き鳥の準備でもするか」
「ちゅんちゅんーーーー(いやだああああああ)」
逃げようとする式の京楽を捕まえて、術者の浮竹は羽をむしりだす。
『術者の俺、鬼に捕まるぞ!』
「あ、そうだった。京楽、ちゃんと夕飯の準備しとけよ」
術者の浮竹にぽいっと投げ捨てられて、式の京楽は、しくしくと泣く。
水龍神の姿になった浮竹は、精神年齢が幼くなるので、式の京楽を放置してお気に入りの禍津神の自分と遊ぶのを好んだ。
「ああ、僕の浮竹はそれでもかわいい」
冷たくあしられても、式の京楽は最終的には自分の元に帰ってくるので、術者の浮竹を自由にさせていた。
「今日はすきやきにでもしますか・・・・・・」
夕飯の準備にとりかかる。肉は、もちろん高級なものを四人分。
「酒も用意しときますかね」
術者の浮竹には、オレンジジュースだ。
禍津神の浮竹にはカクテルを。
夜刀神の京楽と自分にはアルコール度数の高い日本酒を用意する。
「夕ご飯の支度できたよ。みんな戻って!」
『夕飯だ!』
『またごちそうになるね』
「京楽、いいとこだったのに」
「はいはい、浮竹も手を洗って席について」
「言われなくても、そうする」
つーんと、ツンデレな術者の浮竹は、人の姿に戻るとオレンジジュースを飲みだす。
その仕草がかわいいと、式の浮竹は思う。
『お前の分の肉もいただくぞ!』
禍津神の浮竹は、少しぼーっとしてしまった式の京楽の分の肉をさらっていくのだった。
結局、禍津神の浮竹は酔いつぶれて、術者の浮竹もカクテルを間違って口にして酔いつぶれて、京楽達二人で、酒盛りをする。
「僕の浮竹はね、とにかく妖艶で綺麗でかわいいの」
『ボクの禍津神様もかわいいよ!』
延々と、夜が更けるまでお互いの伴侶について、語り合い、自慢話を続けるのであった。
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