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祓い屋京浮シリーズ4

「ちゅんちゅん!!」

「だめだ、そのままの姿でいろ。盛るからだ」

「ちゅん!」

文鳥姿で、浮竹の式である京楽は特殊な結界をはった鳥かごに閉じ込められていた。

最近ご無沙汰だったので、盛ってしまい浮竹を抱いたのが昨日。朝起きると、京楽は簀巻きにされていて、風呂に入り情事の後を洗い流した浮竹がにこにこしていた。

「嫌だと言ったのに、しつこく何回も・・・・・」

「もぎゃあああああ!!」

ハリセンでボコボコにされて、しまいには文鳥姿を強制されて、京楽のその日のごはんは、ひえとあわと水だった。

「ちゅんちゅんちゅん」

「反省してます?本当か?」

「ちゅん!」

文鳥姿の京楽は必死で訴えた。

「そういえば、髪喰いを祓う依頼がきていたな。他にも術者を雇ったそうだが・・・・まぁ、共同で退治にあたればいいだろう」

「そうだよ。だから出して~」

文鳥姿で声を出すには力がいる。

京楽はもともとは水龍神であるので、力はあった。

他にルキア、海燕、夜一という人型の式を、浮竹はもっている。

その他には猫と鴉の式神だ。

ルキアと海燕は、屋敷のメイドと執事役をこなしていて、家事などをしてくれた。

「仕方ない。出してやる」

浮竹は京楽を鳥かごから出すと、京楽は人型になって、浮竹に抱き着いた。

「大好きだよ浮竹」

「また、鳥かごに戻りたいのか」

「ごめんなさい。簡便してください。それより、髪喰いは結婚前の長い女性の髪ばかり切って食べるらしいね。とある令嬢が被害にあって、それで僕ら以外にも依頼を出したみたいだよ」

「被害にあるのは未婚の女性・・・・・地域は決まってここらへんだ。次の被害が出る前に動こう」

「うん」


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『髪喰いねぇ。禍津神(まがつがみ)のキミが出るほどの相手じゃないと思うんだけど、依頼料が高いから引きう受けてはみたけど、まさか同じ術者を他にも雇ってくるなんて。よっぽど、髪喰いを退治してほしいらしいね』

それは、若い姿の京楽だった。

祓い屋業界でも名の通った、祓い屋であった。

式に禍津神の浮竹を従えていた。

『さっさと終わらせて、報酬でケーキバイキングに行こう』

『はいはい・・・・・』

式の浮竹は、ケーキが大好きだった。

負の神であるが、力は確かなもので、淀んだものを食べたりした。


--------------------------------------------


「ああ、今回の同じ依頼を受けた・・・・・」

『祓い屋の京楽春水です』

「俺は浮竹十四郎。後ろにいるのが、式の・・・・京楽春水。同じ名前でややこしいが」

『ボクの式は禍津神だけど浮竹十四郎というんだ』

「これまた、ややこしい・・・・」

『京楽が年をとったら、あんな風になるのかな?』

術者京楽の式の浮竹は、術者浮竹の式の京楽を見ていた。

禍津神である式の浮竹に、同じ式である京楽は手を振っていた。

『なんか、ちゃらいかんじがする。やっぱり、京楽はお前がいい』

『ちゃらい式・・・僕の姿をしてるだけあって、力はありそうだけどね?』

術者の京楽は、術者浮竹の式の京楽を見た。

「一応、水龍神だ。そっちの
禍津神ほどではないかもしれないが、力はある」

『神様同士の式か。強そうだね』

「よろしく頼む。俺たちは北側を当たるから、そちらは南側を対処してほしい」

『分かったよ』

『分かった』

術者京楽と式の浮竹は、南側に移動した。

「若い頃の浮竹みたいでかわいいねぇ」

「京楽、お前は飯ぬきにされたいのか」

術者浮竹と式の京楽との仲は、悪いわけではないが、術者京楽と式の浮竹のように甘いわけでもなく、それなりの関係を築いていて、肉体関係もあった。

「きゃああ!!あたしの髪があああ!!!」

北側で警戒していた浮竹の元に、悲鳴が飛び込んでくる。

「髪喰い、ここでお前は終わりだ!」

「クケケケケ、もっと髪をよこせ。若い女の髪を!」

髪喰いは子供くらいの鬼の姿をしていた。

「お前の食事も、今回が最後だ。いけ、京楽!」

「はいはい・・・・」

水を渦巻かせて、京楽は髪喰いを水の縄で戒めると、浮竹が呪文を唱え、髪喰いに浄化の術を施す。

「ぐげげげげげ、自由がきかない。術者ごときにやられてたまるか!」

髪喰いは、浮竹の白い髪に長い手を伸ばして、浮竹の白い髪は肩あたりで奪われてしまった。

「よくも、浮竹の綺麗な髪を!」

「ぐげげげげ、力が漲る・・・・なんだこの髪は。すごいぞ、女の髪を食わなくても力が溢れてくる・・・・・」

「滅せよ!」

京楽が、浄化の焔を噛み喰いに向けた。

「ぐぎゃあああああああ!!」

髪喰いは、怒った京楽の浄化の力で、滅した。

「ああ、僕の浮竹の大事な髪が・・・今、再生させるから」

「別に髪なんて・・・・・」

「だめだよ!僕は君の長い綺麗な白髪が大好きなんだから」

癒しの力で、京楽は浮竹の短くなってしまった髪を元通りにしてしまった。

「術者の京楽に式を飛ばすか。退治が終わったと」

「うん。マオ、頼むよ」

「にゃあ」

浮竹が従える猫の式を飛ばして、術者京楽たちに連絡を入れる。

お互い、依頼主のところにいって報酬をもらい、簡潔な別れを告げる。

『機会があれば、いずれまた』

『俺は別に興味ない。ケーキバイキングにいくぞ、京楽』

「術者同士の会合なんかで会ったら、よろしく頼む」

「ばいばい、かわいい浮竹ちゃん」

「京楽~~~?」

「あいたたたたた」

京楽は、式の浮竹に少し興味があるようで、主である術者の浮竹に頭をぐりぐりされていた。

「ちゅん!」

「あ、文鳥になって逃げるか!」

「ちゅん、ちゅん!」

京楽は数度羽ばたくと、浮竹の肩に止まった。

それを物珍し気に術者京楽と式の浮竹が見ていた。

「こいつ、都合が悪くなったらいつも文鳥姿になって逃げるんだ」

『でも、かわいいね』

『・・・・・・・焼き鳥・・・・』

式の浮竹の言葉に、びくりと文鳥の京楽は震えて術者浮竹の背後に隠れる。

『冗談だよ、ね、浮竹』

『夕食は焼き鳥にしよう』

文鳥になった京楽は、チュンチュン鳴いて、逃げ回った。

襲ってくる者はいないが。


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「はぁ。焼き鳥にされると思った」

「いくらなんでも、ペットにもなる文鳥を焼き鳥にする輩はいないだろ」

「分からないよ。あの浮竹ちゃん、僕をおいしそうに見てた」

「気のせいだ」

おいしそうというより、物珍し気に見ていたのを知っているので、浮竹はそれ以上言わなかった。

「この前はマオに襲われて食われかけるし、僕は文鳥から鴉にでもなろうかな」

「それはだめだ」

「どうして?」

「文鳥姿のほうがかわいいからだ」

「そうですか・・・・・」

「文鳥用の餌も鳥かごも無駄になるじゃないか」

「僕はペットじゃないんですけど」

「似たようなものだろう」

「酷い!愛がない!」

「愛が欲しいのか?」

浮竹が笑い、京楽の長い黒髪を手に取って引き寄せると、唇に唇を重ねた。

「はい、おしまい」

「え、続きは!?続きしようよ!ベッドまで運ぶから!」

「盛るな!」

浮竹は、ハリセンで京楽の頭を殴った・

「ええ、きっかけを作ったのは君でしょ!」

「昨日抱いたばかりだろう。俺は嫌だ」

「むう。じゃあ、一緒のベッドで寝るで我慢するよ」

「そうしておけ」

浮竹は、食事をして風呂に入ると、早々にベッドに横になった。

京楽も同じベッドで横になる。

「ああ、浮竹の匂いがする」

「変態か」

「君が好きだよ」

「知ってる」

軽くキスをかわして、照明を落とす。

浮竹はすぐに寝てしまい、京楽もまた力を使った疲労感からか眠りにつくのであった。


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