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禁忌という名の4

京楽に、見合い話が舞い込んだ。

相手は、京楽よりもさらに上級貴族の姫らしい。断るのが難しいと、京楽が言っていた。

「なんだろう、この気持ち・・・・・・」

胸がざわざわする。

いつもはドキドキと高鳴る胸が、不安で押しつぶされそうだった。

愛されていることを実感しないと、透けて透明になって消えてしまう。そんな非常識な自分の体が疎ましいが、どうすることもできない。

それから数日の間、京楽は見合いのため、いつもいる一番隊の執務室にいなかった。

「寂しい・・・」

いつもなら、愛してると囁いて傍にいてくれる京楽がいないだけで、こんなにも物足りなくかんじるなんて。

浮竹は、京楽といつも一緒だった。

クローンであるが、浮竹として他の死神が接してくれるのが嬉しかった。

ルキアなど、泣きまくって仕方なかった。

「はぁ・・・寂しい」

一人で、大きな寝台に横になる。

毎日のように抱かれている体が、疼く。

「んっ」

自分のものに手を這わせて、いつも京楽がしているように、自分で慰めて射精すると、後悔と不安だけが押し寄せてきた。


「こんな体・・・・・・」

肺の病はなくなったが、熱をだす病弱なところは変わっていない。

その日の午後、けっこうな高熱をだした。そして、執務室で倒れてしまった。

「ん・・・朽木?」

ちゃぷりと、水で浸された布を、額に置かれた。

「浮竹隊長・・・・大丈夫ですか?熱が下がりません」

「俺は、お前の隊長じゃない」

「でも、他になんとお呼びすればいいのかわかりません」

「ここは?」

周囲を見回す。見慣れた執務室でも、寝室でも、隊首室でもなく、何処か分からなかった。

「ここは、私の家です」

「朽木家の本家か・・・・・・」

「はい。浮竹隊長が倒れているのを、どうすればいいのか分からなく・・・兄様に頼ったら、朽木家の本家に運べと言われて」

「白哉がか・・・・・」

「はい」

そうしていると、白哉がやってきた。

「兄は、何故、京楽総隊長の傍におらぬ?その体は、愛されていることを感じていないと、透けて消え去ってしまうのであろう?」

「え、そうなのですか、兄様!」

翡翠色の瞳を、紫水晶の瞳が心配そうにのぞき込んできた。

「京楽総隊長から、直接そう聞いたのだ・・・」

「そうか、京楽から・・・・」

また、寂しさで胸の中に空洞があいたような虚無感を感じた。

「手が、大分透けている。京楽総隊長には、ちゃんと言伝しておいたから、兄は京楽総隊長がくるまで、養生していろ」

「俺の手・・・・・・」

大分透けていて、それは腕まできていた。

「このまま、消えてしまうのだろか」

「京楽隊長!せっかくこの世に生を受けたのです!弱気になってはいけません!」

ポロポロと、ルキアが涙を流す。

ルキアが涙を流すたびに、透けていた輪郭が少し戻ってきた。

「私の涙でも、なんとかなるのですか!」

「分からない。ただ、朽木に愛されているなと思ったら、胸のあたりが少しぽかぽかした」

「私でよろしければ、いくらでも涙を流しましょう!」

ぎゅっと手を握られて、ルキアは長い浮竹の白髪を撫でた。

そして、子守唄を歌いだす。

「音痴だな・・・・・・」

「ふふ・・・・そうでしょう?兄様にも音痴だと、よく言われるのです」

他愛ない話をしている間にも、また体が透け始めた。

「遅い!」

白哉が、珍しく苛立っていた。

「兄は、もう少しの辛抱だ」

やがて、夜になる前に京楽が姿を現した。その姿は、かなりやつれていた。

「浮竹、ごめんね!」

抱き締められる。それだけで、腕まで透けていた体が大分輪郭を取り戻した。

「白哉、すまないが床(とこ)を借りるよ」

「好きにすればいい」

ルキアと白哉は、連れ立っていなくなってしまった。

「京楽・・・・・・・」

「こんなに透けてしまって・・・・僕のせいだね」

「そうだ、お前のせいだ。責任をとれ・・・・・んっ」

深く口づけられた。舌と舌が絡まる。

「はあっ」

全体の透けている輪郭を愛撫される。キスの雨が、全身に降ってきた。

「んっ」

胸の先端をつままれると、背筋に電流が走った。

「俺を、愛せ・・・」

「愛してるよ、十四郎」

浮竹の花茎をしごきあげて、一度浮竹をいかせると、潤滑油をとりだして蕾を解すための指がtつぷりと体内に侵入してきた。

「ああっ」

前立腺ばかりを、すりあげられる。

「十四郎、愛している」

「あうっ!」

指がバラバラに動き、ある一点をついた。また、背筋を電流が走ったような衝撃を受けた。

前立腺の中でも一番感じる場所をすりあげられて、浮竹は涙を零した。

「直接、中に注ぐほうが効果があるみたいだから。君の体の透けた状態を回復させるには・・・・・・」

「んんっ」

ずるりと、奥まで入ってくる京楽の熱に、侵される。

突き上げられて、白い髪がぱらぱらと舞い散った。

「ああんっ」

前立腺ばかりを突き上げる動きに、嬌声も甘くなる。

「あ、あ、あ・・・・・・・」

ぐちゃぐちゃと侵されて、体も心も喜んでいた。

「京楽は、俺だけのものだ・・・・」

「そうだよ。僕は君のものだ。そして、君は僕のものだ」

それを知らしめるように、何度も突き上げられて、最奥に精液を放たれた。

「手の輪郭・・・・・治ったね」

「ん・・・・ほんとだ・・・・・・」

「ごめんね、君を放置してしまって。上級の姫には参ったよ。結婚しないと君を殺すといいだしてね・・・もう何もいえないように、片してきたから」

殺してきたと言っているのだ、京楽は。

「京楽が怖い」

「どうして?」

「俺のせいで、どんどん歪んでいく」

「それでいいんだよ。君のためなら、悪魔にだってなれる。もぅ、君の傍を離れない」

「今度離れたら、きっと俺は透けて消えてしまう」

「そんなこと言わないで。君だけを愛しているよ」

胸がぽかぽかする。

愛されていると、感じていた。愛し、愛され。愛されている時の気持ちは、まるで太陽を浴びた植物のようだ。

その日は、朽木家で一夜を過ごした。



ふと、花の神は微笑んだ。

「消え去る危機は、去ったか-------------愛児を本当に愛しているのだな」

静かに水面に立つ。

愛児である、浮竹の想い人の京楽の姿をしていた。愛児の記憶に触れて、一番愛しいであろう者の姿をとると、院生時代の京楽の姿になっていた。愛児が、一番激しく恋焦がれた頃の記憶をのぞいたのだ。

「愛児よ。偽りの命のまま、愛されて----------------いつまで、もつのであろうな?その仮初の命は」

もう、今の花の神に、別世界で浮竹と京楽の両方を愛し、祝福を与えたような奇跡は起こせない。

力が足りぬのだ。

力さえあれば、この世界でも愛児を蘇らせてあげたものを。

義魂丸と溶け合った、クローンの体は、偽りの命をもって生きている。
花の神は、泣いた。愛児を想い。愛児は、もう長くないことに、花の神は気づいていた。











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