禁忌という名の5
京楽が、上流貴族の姫に手をかけた。
その噂は瀞霊廷中に知れ渡ったが、姫は生きていて、無事だということがわかり、騒ぎはほどなくして収まった。
「京楽・・・・・」
「どうしたんだい、浮竹」
「上流貴族の姫は、生きていたんだな。ほっとした」
「ああ、あの子しぶといね。殺すつもりで切ったのに」
京楽は、浮竹のことになるとどこまでも残酷になる。
それに少し戸惑いながらも、今日も京楽は浮竹に愛を囁いた。
「愛してるよ、浮竹」
「俺も・・・・・・」
「ごほん」
七緒が、咳ばらいをした。
「ここは執務室です」
「知ってるよ、七緒ちゃん」
一番隊の執務室の、椅子に腰かけた京楽の膝の上に、浮竹はいた。膝の上に座り、上半身は京楽の首に手をまわしていた。
「ところかまわず、いちゃつかないでください」
「えー。これくらいいじゃない」
京楽が口を尖らす。
「ちゃんと仕事はしているんだし」
浮竹に抱きつかれながら、書類をてきぱきと処理していく。
「はあ・・・・もういいです。好きにしてください」
七緒は、最初浮竹の存在を嫌っていたが、今では普通に接してくれる。京楽と共に在る浮竹は、とても幸せそうで・・・・愛され続けていたので、ここ最近は体が透けるということはなくなっていた。
瀞霊廷の中で、異質の存在となっていた浮竹は、今は隊長ではないが、本物の浮竹のように扱われていた。それにとても満足しているのは京楽だった。
「日番谷隊長のところにいってもいいか?」
「ああ、構わないよ。夕方にまでは戻るんだよ」
瀞霊廷で、浮竹の存在が認められはじめて、隊長や副隊長もクローンの浮竹を、浮竹隊長と扱いだしていた。
中でも、一番怒っていた日番谷と京楽が和解したのは大きかった。
浮竹は、瀞霊廷であればある程度一人で行動することを許されていた。いつものように、お菓子を手に10番隊の執務室にくる。
「浮竹か・・・・」
「日番谷隊長、わかめ大使だ、食うだろう?」
「ああ。松本、茶を入れてくれ」
「は~い。浮竹隊長、愛されてますね。首にキスマーク残ってますよ」
その言葉に、浮竹は顔を真っ赤にして手で覆ってゴロゴロしだした。そんな癖さえ同じで・・・本当に、クローンではなく元の浮竹が蘇ったかのようだった。
「お前は、愛され、愛されているという実感がないと、生きていけねぇんだろ?」
「そうだが。それがどうかしたのか?」
「つまりは、京楽がいないと生きていけないんじゃねぇか。その辺、どうにかならねぇのか?」
エメラルドの瞳に見つめられて、浮竹の翡翠の瞳に虹色の輝きがともる。浮竹の瞳の色は日番谷と同じ緑だが、光彩の中に時折オパールの色がまじって、とても美しかった。
「それは俺にも分からない。俺という存在の元になる義魂丸は、花の神からもらったものらしい。それが、クローンの俺の体と混じり合って一つになって・・・・」
「そもそも、その花の神があやしいんだよ。文献で調べたが、地方に祭られている小さな神様じゃべねぇか。椿の狂い咲きの王だっけ?冬に椿の姫に恋い焦がれて、狂った王。まるで、椿が浮竹で京楽が王みたいじゃねぇか」
「あ、俺もそれは思ってた」
あの声を思い出す。愛児と、愛しげに接してくるあの神は、嫌いではなかった。
何より、条件つきではあるが、この世界にもう一度、在れるようにしてくれた。条件とは、愛され愛されているという実感がなければ、透けて消えてなくなってしまうこと。
「まぁ、今は問題ないし。なんとか、生きていくよ」
「神様の気まぐれほど、性質の悪いものはねぇな」
10番隊の執務室で、松本が入れてくれた茶を飲み、わかめ大使を食べながら、日番谷と松本と三人で談笑した。本当に、クローンではないように振る舞われて・・・時折、涙が零れそうになる。
涙が浮かび始める前に、目をこすって浮竹は微笑んだ。
「もうすぐ夕方になるから、帰るよ。日番谷隊長、またな」
「ああ、また来いよ」
その言葉に、ぽろりと一粒の涙が零れたが、背中を向けていたので気づかれなかった。
「・・・・・帰ろう」
「もしもし、そこのあなた」
「え?」
「そこの白い髪のあなたですわ」
立派な籠に入っていた女性が、暖簾をかきわけて、手招きしてきた。
「どうしたんだい?」
近づくと、籠をの外で待機していた者が、浮竹の首の後ろに手刀を落とした。
「え・・・・・」
ぐらりと、体が傾ぐ。
意識を失いつつ、ただ思ったのだ、京楽のことだった。
「綺麗な男・・・・・・」
籠に入っていた女は、京楽に振られ、殺されかけた上流貴族の姫君だった。
浮竹を籠の中にいれて、命令する。
「このまま、運んでちょうだい」
男たちが、籠をを運びだす。浮竹がさらわれたことに気づく者は、誰もいなかった。
ばしゃっと、冷たい水をかけられて、浮竹は意識を取り戻した。
「あなた、綺麗ね」
「誰だ・・・・・」
手を、縄で後ろでくくられていた。
「京楽様に振られた、上流貴族の姫といえば、分かるでしょう?」
「君が・・・・・・・」
浮竹は息をのむ。確かに、装いはとても高い着物に髪飾りをしていたが、顔に切られた後の傷跡が醜く残っていた。
「その傷・・・・・」
「あなたを殺すと何度も脅したら、京楽様に斬られたの。回道でも治せないし・・・あなたに、責任をとっていただこうと思って」
きらりと、刃物をつきつけられる。浮竹は、安堵した声でいう。
「俺を切ることで、京楽が助かるなら、好きにするといい」
「この!」
姫は、浮竹の頬を切り裂いた。ぽたぽたと、血が滴っていく。
「やっぱり、あなたのような淫乱には、血では足りないのね。京楽様をたぶらかしたこと、思う存分後悔させてあげる。お前たち」
「は」
「はっ」
「この男をぐちゃぐちゃに犯しなさい」
「なっ・・・・・・・」
浮竹が、身を強張らせる。
男たちは、何かの薬を与えられた。欲情した目で、浮竹を見てくる。
「やめろ!」
覆いかぶさってくる男が気持ち悪くて、逃げ出そうにも、まずは足のアキレス腱を切られた。
「京楽!いやだ、いやだ、京楽!!!」
服を破られる。縄で縛られているので、完全にではないがドンドン破かれて、危ういラインが見えた。
「綺麗な身体・・・・全部、汚してあげる」
今の浮竹に、霊圧はほとんどない。
「いやだ、やめろ!」
乱暴に愛撫してくる手が気持ち悪くて、入ってきた舌を噛み切った。
「この!」
殴れて、口の中を切って、血の味がした。
「いやだあああああ!!!」
あまりのことに、このまま消えてなくなりたいと思った。思ったら、そのとたんに体が薄くなってきた。
それでも構わずに、男たちが浮竹を辱めようとする。
「京楽----------------!」
絶望の涙を流して、浮竹は自分の舌を噛み切った。
愛児の悲鳴にきづいた花の神が、降臨した。今の花の神は、京楽の院生時代の姿をとっていた。
「京楽様?・・・・・・違う、貴様何者ぞ!ここを瑠璃院家と知って入ってきたのか!」
姫が、悲鳴をあげた。
「愛児をこんな目に合わせて------------------」
花の神は、心から怒っていた。
「きたれ」
ゆらりと、水の波紋が空間に描かれる。花の神は、あるだけの力を添えて、京楽を今この場所に召喚した。
「ここは・・・・浮竹!?」
死覇装をびりびりに破かれて、足首と口からたくさんの血を流している浮竹の姿を見て、京楽は切れた。
「花の神、浮竹を頼む」
「愛児はお前以外の者に辱められそうになり、舌を噛み切った。アキレス健もやられている。我が力で、できるだけの治療はする」
ひらひらと、花びらが散っていく。それは、浮竹の傷口を癒していった。
京楽の目に、狂気が宿っていた。
その場にいた男たちを、虫けらを殺すように、いたぶって殺していく。さんざん命を弄んで、命乞いする男たちを殺していく。
「僕の浮竹をこんな目に合わせて・・・・・許せない」
「ひいいいい!」
一人残された姫は、失禁して悲鳴をあげた。
「君さ。せっかく命、拾ったのに。残念だったね」
京楽は、何かの大きなカプセルを砕いた。
「ぎゃああああああああああ!!!!!」
それは硫酸となり、姫の顔を焼いた。
「ぎゃああ、水、水うううう!!」
「その醜い姿で、生きながらえるといいよ。君は殺さないでいてあげる。このカプセルに入っていた硫酸は特殊でね。回道でも傷は癒えないんだよ。その酸で焼けた醜い姿が、君にはお似合いだよ」
その噂は瀞霊廷中に知れ渡ったが、姫は生きていて、無事だということがわかり、騒ぎはほどなくして収まった。
「京楽・・・・・」
「どうしたんだい、浮竹」
「上流貴族の姫は、生きていたんだな。ほっとした」
「ああ、あの子しぶといね。殺すつもりで切ったのに」
京楽は、浮竹のことになるとどこまでも残酷になる。
それに少し戸惑いながらも、今日も京楽は浮竹に愛を囁いた。
「愛してるよ、浮竹」
「俺も・・・・・・」
「ごほん」
七緒が、咳ばらいをした。
「ここは執務室です」
「知ってるよ、七緒ちゃん」
一番隊の執務室の、椅子に腰かけた京楽の膝の上に、浮竹はいた。膝の上に座り、上半身は京楽の首に手をまわしていた。
「ところかまわず、いちゃつかないでください」
「えー。これくらいいじゃない」
京楽が口を尖らす。
「ちゃんと仕事はしているんだし」
浮竹に抱きつかれながら、書類をてきぱきと処理していく。
「はあ・・・・もういいです。好きにしてください」
七緒は、最初浮竹の存在を嫌っていたが、今では普通に接してくれる。京楽と共に在る浮竹は、とても幸せそうで・・・・愛され続けていたので、ここ最近は体が透けるということはなくなっていた。
瀞霊廷の中で、異質の存在となっていた浮竹は、今は隊長ではないが、本物の浮竹のように扱われていた。それにとても満足しているのは京楽だった。
「日番谷隊長のところにいってもいいか?」
「ああ、構わないよ。夕方にまでは戻るんだよ」
瀞霊廷で、浮竹の存在が認められはじめて、隊長や副隊長もクローンの浮竹を、浮竹隊長と扱いだしていた。
中でも、一番怒っていた日番谷と京楽が和解したのは大きかった。
浮竹は、瀞霊廷であればある程度一人で行動することを許されていた。いつものように、お菓子を手に10番隊の執務室にくる。
「浮竹か・・・・」
「日番谷隊長、わかめ大使だ、食うだろう?」
「ああ。松本、茶を入れてくれ」
「は~い。浮竹隊長、愛されてますね。首にキスマーク残ってますよ」
その言葉に、浮竹は顔を真っ赤にして手で覆ってゴロゴロしだした。そんな癖さえ同じで・・・本当に、クローンではなく元の浮竹が蘇ったかのようだった。
「お前は、愛され、愛されているという実感がないと、生きていけねぇんだろ?」
「そうだが。それがどうかしたのか?」
「つまりは、京楽がいないと生きていけないんじゃねぇか。その辺、どうにかならねぇのか?」
エメラルドの瞳に見つめられて、浮竹の翡翠の瞳に虹色の輝きがともる。浮竹の瞳の色は日番谷と同じ緑だが、光彩の中に時折オパールの色がまじって、とても美しかった。
「それは俺にも分からない。俺という存在の元になる義魂丸は、花の神からもらったものらしい。それが、クローンの俺の体と混じり合って一つになって・・・・」
「そもそも、その花の神があやしいんだよ。文献で調べたが、地方に祭られている小さな神様じゃべねぇか。椿の狂い咲きの王だっけ?冬に椿の姫に恋い焦がれて、狂った王。まるで、椿が浮竹で京楽が王みたいじゃねぇか」
「あ、俺もそれは思ってた」
あの声を思い出す。愛児と、愛しげに接してくるあの神は、嫌いではなかった。
何より、条件つきではあるが、この世界にもう一度、在れるようにしてくれた。条件とは、愛され愛されているという実感がなければ、透けて消えてなくなってしまうこと。
「まぁ、今は問題ないし。なんとか、生きていくよ」
「神様の気まぐれほど、性質の悪いものはねぇな」
10番隊の執務室で、松本が入れてくれた茶を飲み、わかめ大使を食べながら、日番谷と松本と三人で談笑した。本当に、クローンではないように振る舞われて・・・時折、涙が零れそうになる。
涙が浮かび始める前に、目をこすって浮竹は微笑んだ。
「もうすぐ夕方になるから、帰るよ。日番谷隊長、またな」
「ああ、また来いよ」
その言葉に、ぽろりと一粒の涙が零れたが、背中を向けていたので気づかれなかった。
「・・・・・帰ろう」
「もしもし、そこのあなた」
「え?」
「そこの白い髪のあなたですわ」
立派な籠に入っていた女性が、暖簾をかきわけて、手招きしてきた。
「どうしたんだい?」
近づくと、籠をの外で待機していた者が、浮竹の首の後ろに手刀を落とした。
「え・・・・・」
ぐらりと、体が傾ぐ。
意識を失いつつ、ただ思ったのだ、京楽のことだった。
「綺麗な男・・・・・・」
籠に入っていた女は、京楽に振られ、殺されかけた上流貴族の姫君だった。
浮竹を籠の中にいれて、命令する。
「このまま、運んでちょうだい」
男たちが、籠をを運びだす。浮竹がさらわれたことに気づく者は、誰もいなかった。
ばしゃっと、冷たい水をかけられて、浮竹は意識を取り戻した。
「あなた、綺麗ね」
「誰だ・・・・・」
手を、縄で後ろでくくられていた。
「京楽様に振られた、上流貴族の姫といえば、分かるでしょう?」
「君が・・・・・・・」
浮竹は息をのむ。確かに、装いはとても高い着物に髪飾りをしていたが、顔に切られた後の傷跡が醜く残っていた。
「その傷・・・・・」
「あなたを殺すと何度も脅したら、京楽様に斬られたの。回道でも治せないし・・・あなたに、責任をとっていただこうと思って」
きらりと、刃物をつきつけられる。浮竹は、安堵した声でいう。
「俺を切ることで、京楽が助かるなら、好きにするといい」
「この!」
姫は、浮竹の頬を切り裂いた。ぽたぽたと、血が滴っていく。
「やっぱり、あなたのような淫乱には、血では足りないのね。京楽様をたぶらかしたこと、思う存分後悔させてあげる。お前たち」
「は」
「はっ」
「この男をぐちゃぐちゃに犯しなさい」
「なっ・・・・・・・」
浮竹が、身を強張らせる。
男たちは、何かの薬を与えられた。欲情した目で、浮竹を見てくる。
「やめろ!」
覆いかぶさってくる男が気持ち悪くて、逃げ出そうにも、まずは足のアキレス腱を切られた。
「京楽!いやだ、いやだ、京楽!!!」
服を破られる。縄で縛られているので、完全にではないがドンドン破かれて、危ういラインが見えた。
「綺麗な身体・・・・全部、汚してあげる」
今の浮竹に、霊圧はほとんどない。
「いやだ、やめろ!」
乱暴に愛撫してくる手が気持ち悪くて、入ってきた舌を噛み切った。
「この!」
殴れて、口の中を切って、血の味がした。
「いやだあああああ!!!」
あまりのことに、このまま消えてなくなりたいと思った。思ったら、そのとたんに体が薄くなってきた。
それでも構わずに、男たちが浮竹を辱めようとする。
「京楽----------------!」
絶望の涙を流して、浮竹は自分の舌を噛み切った。
愛児の悲鳴にきづいた花の神が、降臨した。今の花の神は、京楽の院生時代の姿をとっていた。
「京楽様?・・・・・・違う、貴様何者ぞ!ここを瑠璃院家と知って入ってきたのか!」
姫が、悲鳴をあげた。
「愛児をこんな目に合わせて------------------」
花の神は、心から怒っていた。
「きたれ」
ゆらりと、水の波紋が空間に描かれる。花の神は、あるだけの力を添えて、京楽を今この場所に召喚した。
「ここは・・・・浮竹!?」
死覇装をびりびりに破かれて、足首と口からたくさんの血を流している浮竹の姿を見て、京楽は切れた。
「花の神、浮竹を頼む」
「愛児はお前以外の者に辱められそうになり、舌を噛み切った。アキレス健もやられている。我が力で、できるだけの治療はする」
ひらひらと、花びらが散っていく。それは、浮竹の傷口を癒していった。
京楽の目に、狂気が宿っていた。
その場にいた男たちを、虫けらを殺すように、いたぶって殺していく。さんざん命を弄んで、命乞いする男たちを殺していく。
「僕の浮竹をこんな目に合わせて・・・・・許せない」
「ひいいいい!」
一人残された姫は、失禁して悲鳴をあげた。
「君さ。せっかく命、拾ったのに。残念だったね」
京楽は、何かの大きなカプセルを砕いた。
「ぎゃああああああああああ!!!!!」
それは硫酸となり、姫の顔を焼いた。
「ぎゃああ、水、水うううう!!」
「その醜い姿で、生きながらえるといいよ。君は殺さないでいてあげる。このカプセルに入っていた硫酸は特殊でね。回道でも傷は癒えないんだよ。その酸で焼けた醜い姿が、君にはお似合いだよ」
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