忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 26 27 28 29 30 12

院生時代の部屋 えとせとら

それは、一目惚れだった。

院生時代、入学式に首席の子の挨拶があった。

京楽はさぼっていたので、入学式には出ずに桜の木の上で居眠りをしていた。山じいに見つかり、こっぴどく叱られた。

そして、自分を学院に放り込んだ両親に反抗するかのように、新しく用意されていた屋敷を使わずに寮で生活することにした。

一人部屋を希望していたが、山じいが、病弱なのでどうしても同じ部屋にして、面倒を見てほしいという相手を紹介された。

「浮竹十四郎だ。よろしく」

ぽかん。

そんな顔を、京楽はしていた。

ドストライクだった。だが、残念なことに性別は同じ男だった。

気づけば、あれは一目惚れだったのだろう。

「あ・・・・」

「これ、春水!」

山じいに叱られて、京楽も挨拶する。

「京楽春水だよ。よろしくね」

こうして、もやもやした学院での生活は始まった。


とにかく、浮竹は白い髪に翡翠の瞳という、他の人とは全く違った色をしていた。人目を集めてしまう。

本人はあんまり気にしてないようだが、その視線が鬱陶しいのだと、京楽は浮竹を見てくる、特に男を中心に睨み返した。

浮竹はもてた。

女だけでなく、男にまで。

はじめて男に告白されて、目を白黒させている間に既成事実を作られようとして、助け出したのは昨日のことだった。

浮竹は、ショックのあまり、がたがたと震えていた。

同じ男に、そういう目で見られているということは昔から知っていたが、襲ってこられたのははじめてで、護身術を身に着けていたが、茫然としてしまって対処できなかった。

ピンチを救ってくれたのは、京楽春水という、同じ寮の相手だった。

「大丈夫?」

「あ、ああ・・・・・」

まだ、がたがたと震えていた。

「かわいそうに」

ふわりと抱き締められた。

なぜか、震えが収まった。

「あ・・・」

「ごめん、嫌だったかな」

「いや・・・すまない、もう少し、このままで・・・」

京楽に抱き締められると、何故か安堵した。その体温の暖かさにも、安堵を覚えた。

「君、見た目がいいから気をつけたほうがいいよ。ただでさえ、死神は男の方が多いからね」

「護身術を・・・・習って、いたんだ。子供の頃からそういう目で見られることがあるから、念のためにって・・・でも、いざとなるとだめだった」

くやし涙を浮かべる浮竹の白い髪を手ですいて、頭を撫でてやった。

「困ったことがあったら僕にいいなよ。解決できるなら、手を貸すから」

京楽春水は、優しかった。

でも、女遊びが激しくて、授業をさぼることも多かった。

よく、山じいに怒られていた。

いつの間にか、親友になっていた。寮だけでなく、学院生活に私生活も一緒のことが多かった。

浮竹は病弱で、よく熱を出して、肺病を患っているせいで吐血もした。

でも、そんなことを微塵も感じさせない、明るい性格をしていた。

冗談で、友人の一人が浮竹と京楽はできていると言い出して、みんなして笑っていた。

1回生が過ぎ、2回生になり、3回生になった。

いつの間にか、親友以上の関係になっていた。

京楽の女遊びもなりをひそめ、京楽は浮竹を見ていた。浮竹は、それに気づいていたが、どうすればいいのか分からず、ただ京楽の隣にいた。

4回生の春。

桜の木の下で、京楽に告白された。

「あのね、浮竹。僕、君のことがどうやら好きみたいなんだ。いきなり襲ったりしないから、ためしに付き合ってみない?」

「俺も・・・・お前のことが好きだ」

浮竹は、その答えていた。

京楽は、告白したが浮竹とどうこうなるわけではなかったが、今までなかったキスとハグを経験した。

初めてキスをした時、浮竹は真っ赤になって逃げた。

浮竹は、純粋培養でできた人物で、誰か特定の相手とどうこうなるというのを、経験したことがなかった。

何度かキスをしていると、浮竹は京楽に問いかけた。

「お前は・・・・その、俺と・・・寝たい、のか?」

「あ、もう頭の中では君はあられもない恰好で、僕にいろんなことされてるから」

浮竹は真っ赤になった。

「でも、無理強いはしないから」

京楽は、浮竹がたとえ自分を受け入れなくてもいいと思っていた。

ただ、隣にあれればいいと。

5回生の春。

「お前に、俺の全部をやる!」

意を決した浮竹に、桜の木の下でそう言われて、京楽は浮竹を抱き締めた。

「本当に、いいんだね?」

「ああ・・・・その、やっぱり、俺が抱かれる側なのか?」

「僕を抱きたいなら、それでもいいよ」

「いや・・・お前が抱くで、いい・・・・・・」


初夜は、いろいろと入念に準備しておいた。

男とそんな関係をもったことのない京楽は、男とのやり方を、陰間茶屋で色子を買って、ただ買うだけで抱くことはせず知識をもらった。

潤滑油、媚薬など、いろいろ用意した。

浮竹に、媚薬を使えばきもちいいだけで、痛みはないからと言ったが、媚薬を使うのはいらないと拒否された。

ちょっぴり残念だったが、ずっと欲しかった浮竹を手に入れれるのなら、なくてもよかった。

お互い正座して、ベッドの上に座った。

「その、よろしく」

「あ、ああ・・・・」

軽く触れるだけのキスから始めた。

舌を絡めるようなキスをするのは、これで何回目だろうか。

「ん・・・・」

浮竹の熱のこもった声を聞きたくて、服の上から体のあちこちを弄った。

「あ・・・・」

衣服を脱がされていく。

そのまま、鎖骨を甘噛みされて、胸から臍にかけてキスマークを残された。

「んん・・・・」

浮竹のものを、握りしめると、びくんと浮竹が強張った。

「一緒に、きもちよくなろう」

そそり立った京楽のものと一緒にしごきあって潤滑油もたして、ぬるぬると互いのものを手でいじくりあった。

「あああ!」

「きもちいい?」

こくこくと、浮竹は頷いた。

そのままお互い射精して、呼吸を整える。

「指、いれるよ」

潤滑油に濡れた指を浮竹の体内に入れると、浮竹は体から力を抜いた。

「そうそう。リラックスリラックス」

「あ!」

前立腺がある部分をいじると、浮竹が反応した。

男という生き物は、後ろでもいけるのだ。それは誰もが同じで。色子からもらった知識をフル活用して、浮竹を追い詰めていった。

「あああ!」

ずるりと指をぬいて、自分の怒張したものを宛がう。

優しくするつもりではあるが、侵入するとその中のよさに、あっという間に果ててしまいそうになった。

「ああ!」

なんとか我慢して、根本まで入れた。

「痛くない?」

「少し、痛い・・・・・」

「動くから・・・・きつかったらいって」

「ああ」

ゆっくりと、律動する。

なるべく前立腺をすりあげるように動くと、浮竹もきもちよいのか、感じていた。

その表情を見るだけで、熱が集まる。

「あ、大きくなって・・・・・ああ!」

最奥を犯すと、浮竹は体を痙攣させた。

浮竹がいったのを確認してから、またいくように前立腺を突き上げて、とにかくよいと思う場所を突いた。

「あ、ああ・・・・ひあああ!」

浮竹は、長くなった白い髪を乱していた。

最高にエロかった。

その声と表情だけで軽く何発でも抜けそうだ。

「ん・・・出すよ」

「あ・・・・・・」

じんわりとした熱を腹の奥で感じて、浮竹は目を閉じた。

「好きだ、春水」

「僕もだよ、十四郎」

何度も口づけしあった。

そのまま、また何度か突き上げて、浮竹がいったのを確認してから、京楽もまた熱を浮竹の中に放った。

「ああ・・・・んんん・・・ああ・・・・」

ズチュリと、中を犯す。

体位を変えると、中を抉られて、浮竹は言葉もなく体を痙攣させた。

「ああ、すごいね君の中・・・・・」

「あ・・やあああああ」

気づけば、ぱんぱんと腰がぶつかる音が響いていた。

優しくするはずだったのに、あまりの良さに、加減ができなくなっていた。

「やあ!」

浮竹は、泣いてた。

生理的な涙なのか、感情からくる涙なのか判断がつきかねた。

散々浮竹を蹂躙して、京楽は満足した。

最後は、浮竹は意識を失っていた。

後始末をして、浮竹の中に吐きだした己の精液をかきだすと、驚くほどでてきた。

「ん・・・・・・」

「気づいた?」

「俺は?」

「意識、失ってた」

「もう終わりで、いいか?もう無理だ・・・・」

「うん。初めてなのに、加減できなくてごめんね」

「別に、いい」

浮竹は、照れたように赤くなりながらそっぽを向いた。

「好きだよ」

「うん・・・・・・」

その日から、週に一度は体を重ね合うようになった。

6回生になり、互いに席官として死神になった後も逢瀬を続け、気づけば隊長にまでなっていた。

「浮竹、入るよ」

「ああ、京楽か」

雨乾堂で、今日も浮竹はおはぎをほうばっていた。

昔から、甘いものが好きな子だった。

「京楽も食べるか、おはぎ」

「うん、もらおうかな」

院生時代を経て、なおも続くその関係。

全ては、京楽の一目惚れからはじまったのだった。



院生時代尾の部屋、えとせとら。 終

拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/25)
(11/25)
(11/22)
(11/21)
(11/21)
"ココはカウンター設置場所"