空気
「はっくしょん。うー、寒い」
「海燕、大丈夫か?」
「あ、はい」
雨乾堂で、いつもは浮竹が伏せっているのだが、今は海燕が臥せっていた。
海燕は風邪をひいた。
妻である都は里帰りしていて、家に戻っても一人なので、それならと浮竹が雨乾堂で過ごすことを許可してくれたのだ。
「火鉢、もう少し近づけるか?」
「いえ、大丈夫です」
「寒いんだろう。毛布をもう1枚かぶるといい」
「ありがとうございます」
浮竹と海燕は、いつもと立場が逆になっていた。
いつもは海燕が浮竹を看病するのだが、今日は浮竹が海燕を看病していた。
額に、ぬれたタオルを置いて、それを浮竹は取り換える。
「俺の風邪薬しかないが、とりあえず何も飲まないよりいいだろう。飲め」
卯ノ花印の苦い薬を出されて、海燕は飲みたくないなぁと内心思いつつも、副官である自分をここまで心配して世話までしてくれる上官に感謝した。
「あのーーー」
「ああ、なんか空気が何か言っているな。気にするな。空気だから」
「そうですね。空気は空気。あ、今日の夕飯はお粥でいいです」
「ボクは空気じゃないよ!」
京楽は、一人会話に混ざれなくて、不貞腐れていた。
「おい空気、うるさい」
「はい・・・・・・・」
風邪なのに浮竹を抱いてうつして、微熱がある浮竹を抱いて、風邪を悪化させて、浮竹の風邪が治ったと思ったら海燕にうつってしまった。
全ての元凶は京楽である。
京楽は風邪をひいているのに、雨乾堂に遊びにきて、浮竹を抱いた。
浮竹は風邪をひいて、微熱を出したのに、京楽は抱いた。
元凶が京楽なので、浮竹と海燕は今日一日京楽のことを空気として扱うことに決めた。
「海燕、湯たんぽもってくるな?」
「ああ隊長、そこまでしなくても大丈夫です。それにさせるなら空気にさせたらいいと思います」
「空気は空気だからな。あんまり構うと調子に乗る」
「どうせ今日のボクは空気ですよ・・・・しくしく」
夕刻になり、夕餉の時間になった。
海燕はお粥で、浮竹は普通のごはん。京楽は猫まんまだった。
「猫まんま・・・・・」
「嫌なら食うな、この全ての元凶の空気が」
「食べますぅ」
京楽は猫まんまを食べた。たりないので、おかわりまでした。
「く、空気のくせにしぶといな。音を上げて自分の隊舎に帰ると思ってたのに」
浮竹は、空気こと京楽の頭をハリセンで叩く。
「痛い!なんで殴るの!」
「いつまで雨乾堂にいるんだ空気!8番隊の隊舎に戻ったらどうだ」
「だって、せっかく時間ができて遊びにきたんだもの」
溜まっていた仕事をやっとある程度片付けて、実に2週間ぶりに雨乾堂にきたのだった。そして風邪を引いているのに浮竹を抱いて浮竹にうつして、浮竹から空気感染で海燕も風邪になった。
浮竹の場合、睦み合ったせいで風邪になったのだが。
「見ての通り、海燕が風邪をひいて遊びどころじゃない。そもそも風邪をもってきたのは空気、お前だろうが」
「空気、空気って、ボクにはちゃんと京楽春水って名前があるよ!」
「この空気はうるさいな。つまみ出すか」
「いやあああ、それだけは勘弁してえええ。今8番隊の隊舎に戻ったら、七緒ちゃんに捕まってまだ残ってる書類の仕事させられるううう」
「空気が。やはり遊びにきたのは、仕事から逃れるための口実か」
浮竹は、京楽の頭をハリセンでばしばし殴った。
「空気の虐待反対!」
「空気だから、虐待にならない!」
「そうまでして、ボクが愛しいんだね、浮竹?」
「ぎゃあああああああ」
「隊長!!!」
京楽に押し倒される浮竹を見て、海燕が起き上がるが、すぐに布団に横になった。
「眩暈が・・・熱、けっこうあるかもしれません」
「どれどれ・・・・」
浮竹が体温計を渡すと、39度をさしていた。
「高熱じゃないか!ちゃんと寝てろ!解熱剤探してくる。それにしても、空気は使えないな。猫まんまにしたのに平気そうな顔してるし」
「ボクだってダメージ受けてるよ!?悪かったと思ってるよ!!」
「じゃあ、せめて解熱剤買ってこい」
「はい・・・・・」
京楽は、しょんぼりしながら雨乾堂を出て、薬局に行った。
「買ってきたよ」
浮竹が中身を確かめると、解熱剤の他にローションが入っていた。
「この空気は、違う意味でやる気満々だな、おい」
「だって、安売りしてたから!」
「海燕、解熱剤だ。飲んで、寝ろ。俺はこの空気を追い出してくる」
「びえええええん」
浮竹にしこたまハリセンで頭をはたかれて、結局京楽は雨乾堂を追い出されるのであった。
「空気がいないと、静かだな」
「でも、そんな空気が好きなんでしょ?」
「まぁ、空気だが・・・悪いやつではない。多分」
「風邪うつるの分かってて抱いてる時点で、悪いです」
「それもそうだな。禁欲2週間の刑にしてやろう」
その頃、空気こと京楽は七緒に捕まって、残った書類の仕事を片付けるまで眠らせないと言われて、空気扱いされてもいいから雨乾堂にいればよかったと、後悔するのであった。
「海燕、大丈夫か?」
「あ、はい」
雨乾堂で、いつもは浮竹が伏せっているのだが、今は海燕が臥せっていた。
海燕は風邪をひいた。
妻である都は里帰りしていて、家に戻っても一人なので、それならと浮竹が雨乾堂で過ごすことを許可してくれたのだ。
「火鉢、もう少し近づけるか?」
「いえ、大丈夫です」
「寒いんだろう。毛布をもう1枚かぶるといい」
「ありがとうございます」
浮竹と海燕は、いつもと立場が逆になっていた。
いつもは海燕が浮竹を看病するのだが、今日は浮竹が海燕を看病していた。
額に、ぬれたタオルを置いて、それを浮竹は取り換える。
「俺の風邪薬しかないが、とりあえず何も飲まないよりいいだろう。飲め」
卯ノ花印の苦い薬を出されて、海燕は飲みたくないなぁと内心思いつつも、副官である自分をここまで心配して世話までしてくれる上官に感謝した。
「あのーーー」
「ああ、なんか空気が何か言っているな。気にするな。空気だから」
「そうですね。空気は空気。あ、今日の夕飯はお粥でいいです」
「ボクは空気じゃないよ!」
京楽は、一人会話に混ざれなくて、不貞腐れていた。
「おい空気、うるさい」
「はい・・・・・・・」
風邪なのに浮竹を抱いてうつして、微熱がある浮竹を抱いて、風邪を悪化させて、浮竹の風邪が治ったと思ったら海燕にうつってしまった。
全ての元凶は京楽である。
京楽は風邪をひいているのに、雨乾堂に遊びにきて、浮竹を抱いた。
浮竹は風邪をひいて、微熱を出したのに、京楽は抱いた。
元凶が京楽なので、浮竹と海燕は今日一日京楽のことを空気として扱うことに決めた。
「海燕、湯たんぽもってくるな?」
「ああ隊長、そこまでしなくても大丈夫です。それにさせるなら空気にさせたらいいと思います」
「空気は空気だからな。あんまり構うと調子に乗る」
「どうせ今日のボクは空気ですよ・・・・しくしく」
夕刻になり、夕餉の時間になった。
海燕はお粥で、浮竹は普通のごはん。京楽は猫まんまだった。
「猫まんま・・・・・」
「嫌なら食うな、この全ての元凶の空気が」
「食べますぅ」
京楽は猫まんまを食べた。たりないので、おかわりまでした。
「く、空気のくせにしぶといな。音を上げて自分の隊舎に帰ると思ってたのに」
浮竹は、空気こと京楽の頭をハリセンで叩く。
「痛い!なんで殴るの!」
「いつまで雨乾堂にいるんだ空気!8番隊の隊舎に戻ったらどうだ」
「だって、せっかく時間ができて遊びにきたんだもの」
溜まっていた仕事をやっとある程度片付けて、実に2週間ぶりに雨乾堂にきたのだった。そして風邪を引いているのに浮竹を抱いて浮竹にうつして、浮竹から空気感染で海燕も風邪になった。
浮竹の場合、睦み合ったせいで風邪になったのだが。
「見ての通り、海燕が風邪をひいて遊びどころじゃない。そもそも風邪をもってきたのは空気、お前だろうが」
「空気、空気って、ボクにはちゃんと京楽春水って名前があるよ!」
「この空気はうるさいな。つまみ出すか」
「いやあああ、それだけは勘弁してえええ。今8番隊の隊舎に戻ったら、七緒ちゃんに捕まってまだ残ってる書類の仕事させられるううう」
「空気が。やはり遊びにきたのは、仕事から逃れるための口実か」
浮竹は、京楽の頭をハリセンでばしばし殴った。
「空気の虐待反対!」
「空気だから、虐待にならない!」
「そうまでして、ボクが愛しいんだね、浮竹?」
「ぎゃあああああああ」
「隊長!!!」
京楽に押し倒される浮竹を見て、海燕が起き上がるが、すぐに布団に横になった。
「眩暈が・・・熱、けっこうあるかもしれません」
「どれどれ・・・・」
浮竹が体温計を渡すと、39度をさしていた。
「高熱じゃないか!ちゃんと寝てろ!解熱剤探してくる。それにしても、空気は使えないな。猫まんまにしたのに平気そうな顔してるし」
「ボクだってダメージ受けてるよ!?悪かったと思ってるよ!!」
「じゃあ、せめて解熱剤買ってこい」
「はい・・・・・」
京楽は、しょんぼりしながら雨乾堂を出て、薬局に行った。
「買ってきたよ」
浮竹が中身を確かめると、解熱剤の他にローションが入っていた。
「この空気は、違う意味でやる気満々だな、おい」
「だって、安売りしてたから!」
「海燕、解熱剤だ。飲んで、寝ろ。俺はこの空気を追い出してくる」
「びえええええん」
浮竹にしこたまハリセンで頭をはたかれて、結局京楽は雨乾堂を追い出されるのであった。
「空気がいないと、静かだな」
「でも、そんな空気が好きなんでしょ?」
「まぁ、空気だが・・・悪いやつではない。多分」
「風邪うつるの分かってて抱いてる時点で、悪いです」
「それもそうだな。禁欲2週間の刑にしてやろう」
その頃、空気こと京楽は七緒に捕まって、残った書類の仕事を片付けるまで眠らせないと言われて、空気扱いされてもいいから雨乾堂にいればよかったと、後悔するのであった。
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