永遠を誓おう
「よお、久しぶりだなルキア」
「一護も久しぶりだな」
高校を卒業するまで、一緒に現世にいたルキアは、高校を卒業すると進路指導で実家の跡を継ぐといって、尸魂界に帰ってしまって、それから時折現世に遊びにくるものの、すっかり会う回数が減ってしまった。
大学4年生になっていた一護は、就職も決定しており、井上と付き合っていた。
順風満帆な人生を送っていた。
ルキアはまとまった休みをもらったらしく、一護のアパートに転がり込んできた。
ルキアもルキアで、恋次と付き合っているはずなのだが、お互いに誰と付き合っていることについて口にすることはなかった。
「キムチチャーハンが食いたい」
その日は大学が休みだったために、スーパーで材料を買って手料理を作ってルキアに食べさせてやった。
「明日は、休みか?」
「ああ、そうだけど」
「水族館に行ってみたいのだ。連れていってくれるか?」
「別にいいぜ?」
他愛ない昔話に花を咲かせて、その日はルキアは一護のベッドで眠った。まるで付き合っているかのように、お互いを抱き締めあいながら寝た。
「おはよう」
「ああ・・・・おはよう」
寝ぼけ眼(まなこ)のルキアを起こして、真新しい白いワンピースに袖を通したルキアは愛らしく、高校時代から時が止まっているかのようだった。
「ルキアは変わらねーな。純白のままだ」
「貴様もあまり変わっていないではないか。まぁ、髪型は変わったが」
少し短めに切られた一護の髪を手に取る。
「この太陽のような髪、私は好きだ。よければ、また伸ばせ」
「ああ、別にいいけど・・・・それより水族館に行きたいんだろ?近場でいいか?」
「ああ、構わぬ」
弁当を作って、電車とバスを乗り継いで、近い中では一番規模の大きな水族館に連れていった。
昔、高校時代も皆でこうやって、水族館にきたことがあった。
その時のルキアは、アマゾンコーナーの熱帯魚に瞳をかがやかせてじっと見入っていた。
今回も、アマゾンコーナーで、ずっとネオンテトラを見ていた。
「ルキア?」
「懐かしいな・・・・昔、皆で水族館を訪れた。石田と茶虎は元気か?」
「え、ああ。石田は医者になるためにインターン生してる。忙しそうだぜ。茶虎もボクシングの世界チャンピオンになるために、日々修行を重ねてるみたいだ」
そこに、井上は、という問いはなかった。
知っていた。
一護が、井上と付き合っていることを。
「皆・・・変わっていくのだな。変わらぬのは私だけか・・・・・」
「ルキアも、恋次と・・・その、付き合ったりして、尸魂界を復興したりで、変わっていってるじゃねーか」
「恋次とは、もう別れた」
「え・・・・・」
「次は海月を見たい。行くぞ」
「ちょ、待てよルキア!」
一人すたすた歩いていくルキアの後を、追いかける。
海月のコーナーにつくと、ルキアはふわふわ漂う海月をじっと見つめていた。
「今の私は、この海月のようなものなのだ」
「ルキア?」
「ただ世界に流されて・・・・時に流されて・・・・私の、意思は・・・・・・」
「どうしたんだよ、ルキア。今日のルキア、なんかおかしいぞ?」
一護が心配して、ルキアの手を握る。
抱き寄せた。
細く華奢な体は、壊れてしまいそうに見えた。
「なぁ、一護」
「なんだ?」
「今更すぎる。自分勝手すぎる。それでも、お前のことを好きだと言ったら、どうする?」
「冗談だろ?」
一護は、寂しそうに笑った。
高校時代、一度ルキアに告白してこっぴどく振られたのだ。
生きる世界が違うから、と。
「考えていたのだ。貴様は人間で私は死神。共に過ごせば、貴様は先に逝ってしまう。でも、魂魄が尸魂界にくれば、またやり直せる」
「ルキア・・・・・」
「1年前、恋次と別れた。恋次は私をとても大切にしてくれた。私も恋次のことが好きだった。でも、気づいてしまったのだ。その感情が恋愛感情ではなく、家族愛であるということを。私は、ただひたすらに貴様が好きなのだと、会って再び核心した」
「ルキア、俺は・・・・」
ルキアと距離をとる一護。
「ふふ。ただ、貴様の傍に少しいたいだけだ。井上もいることだし、貴様に無理はいわんよ」
そんな言葉を、切なそうな表情で話すルキアを抱きしめていた。
「一護?」
「俺は・・・・自分に嘘をついていた。井上をお前の代わりにしていた。ルキア、昔から・・・そして今も、俺はお前が好きだ。やり直せるなら、チャンスをくれ」
「一護」
ルキアが、驚きに目を見開いていた。
「井上とは別れる。好きだ、ルキア。付き合おう」
「でも、井上が・・・・」
「井上も気づいてる。俺がルキアをずっと好きだってこと。身代わりにされてるってこと。井上を愛しているわけじゃないってことを」
「ずいぶんと、酷い男だな貴様は。井上が哀れだ」
「じゃあ、このまま尸魂界に戻るか?俺に告白したことはなしにして」
「いやだ。私も、貴様が好きなのだ。諦められない」
顔を見合わせて、苦笑した。
「お互い、どうしようもないな」
「そうだな」
お昼になり、お弁当を食べて水族館を二人で周った。
まるで、デートのようだ。否、これはデートだ。
水族館を出ると、一護はイルカのぬいぐるみをルキアに買い与えた。
ルキアは、嬉しそうにそれを大事するといって、チャッピーのリュックの中にしまった。
日が暮れて、一護の家に戻る。イルカのぬいぐるみを胸に、その日も同じベッドで眠った。
翌日は、ルキアは一護の大学についていった。
井上とは違う大学だったが、友人たちから新しい彼女なのかと聞かれて、適当に言葉を濁して誤魔化した。
「一護・・・家で待っていたほうがよかったか?」
「いや、傍にいてほしい。ルキアが好きだから」
大学の授業が終わり、一護のバイト先までついていって、ルキアは一護の傍にいた。そんな一護は、決意した。
「井上と今日別れる」
「一護・・・・」
「ごめん、今日は遅くなりそうだ。飯作っておくから、先に寝ててくれ」
一護は、スマホで井上に連絡を入れて、重要な話があると夜のファミレスに呼び出して、別れ話を切り出した。
井上はぽろぽろ泣いていたが、元から身代わりだったことを理解していたので、別れることを承諾してくれた。
「絶対に、朽木さんと幸せになってね。そうじゃなきゃ、私は黒崎君を許さない」
「すまない、井上・・・・・。今まで、ありがとう」
「これからは、昔みたいに友達でいよう」
「ああ」
井上の思考は前向きだった。
夜のファミレスを出て、井上を自宅まで送って、自分のアパートに帰宅する。
ルキアが、待っていた。
「先に寝てろっていったのに」
でも、そう簡単に寝れないだろう。一護と自分の未来がかかっているのだ。
「井上とは?」
「別れた。ただの友人に戻った。お前を幸せにしなきゃ絶対許さないって言われた」
「井上のやつ・・・自分も辛いだろうに」
ポロリと、ルキアの瞳から涙があふれだした。
「愚かなほどに貴様が好きだ。愛している。尸魂界にいる間中、時折気がおかしくなりそうなくらい、貴様のことを思った。現世に会いにいったりしていたのは、その気持ちを抑えるためでもあった。でも、もう我慢しなくてもいいのだな」
一護は、ルキアを抱きしめた。
「好きだ、ルキア。一度お前に振られても、俺はお前をずっと好きだった。愛してる。どうか・・・・・・一緒に、生きてくれ」
「一護・・・喜んで、その言葉を受け入れよう」
それからが、慌ただしかった。
尸魂界に行き、恋次にルキアと付き合うことになったことを報告した後、白哉にルキアと正式な交際を認めてもらうために朽木家にまで足を延ばした。
「兄は・・・ルキアを、幸せにできると?」
「幸せにできる。俺以外の男がルキアを幸せにはできない」
「大きく出たな・・・・散れ、千本桜」
白哉の千本桜に、一護は斬月をふりあげて、その花びらの本流を断ってしまった。
「ふ・・・・力は、健在なわけか。黒崎一護、ルキアを幸せにしろ。不幸にしたら、私の千本桜が貴様の首をかき切るだろう」
「白哉・・・・・交際、認めてもらえるんだな」
「婚礼も視野にいれておけ。その覚悟はあるだろう」
「ああ」
「兄様!」
ルキアは涙をたくさん流していた。
「兄様、すみません、兄様・・・・・・」
「よいのだ、ルキア。幸せになれ」
「兄様・・・・・」
白哉に抱き着いて泣いていたルキアは、顔をあげて一護の隣にきた。
「俺は、ルキアを幸せにしてみせる。妹さんを、俺にください」
「よかろう・・・・」
白哉は、静かに微笑んだ。
恋次とうまくいってほしかったが、ルキアが恋次ではない他の誰かを見ていることは知っていた。
あえて言及しなかった。
自分の道は、自分で切り開くものだ。
一護は、大学を卒業して翻訳家として、小さな出版会社に就職した。
土日になると、その傍にはルキアがいた。
そんな生活を2年ほど続けただろうか。
「尸魂界で・・・貴様との婚姻を、許された」
「まじか!」
一護は、ルキアを抱き上げて、くるくると回った。
「目が回るではないか!」
ルキアは、現世と尸魂界と行ったりきたりを繰り返していて、専門の穿界門を作られた。
「現世でも、結婚しようぜ」
そう言って、一護はルキアの指にエンゲージリングをはめた。
「尸魂界だと、俺の友人や家族が行けないからさ・・・2回になるけど、結婚、してくれるか?」
「喜んで・・・・」
ルキアは、静かに一護に口づけた。
誓いのキスだった。
その後、ルキアと一護は尸魂界でも現世でも婚姻し、共に時間を過ごした。
そして、一時の別れ。
「さて、尸魂界での生活を満喫しますか!」
魂魄になって若い姿に戻った一護は、魂葬され尸魂界へと落ちていく。
普通は、前世での記憶などない。
でも、一護は元々死神代行だ。
「また、会いにきたぞ、一護」
「ああ、また始めよう、新しい人生を。ルキア、大好きだ。愛してる」
「それは、こちらの台詞だ」
尸魂界で死神化した一護に抱き上げられて、ルキアは綻ぶように微笑んだ。
「永遠の愛を、貴様に」
「じゃあ、俺も永遠の愛をルキアに」
死してもなお、続く愛の軌跡。
二人の物語は、まだ続いていく。
遥かなる未来まで。
「一護も久しぶりだな」
高校を卒業するまで、一緒に現世にいたルキアは、高校を卒業すると進路指導で実家の跡を継ぐといって、尸魂界に帰ってしまって、それから時折現世に遊びにくるものの、すっかり会う回数が減ってしまった。
大学4年生になっていた一護は、就職も決定しており、井上と付き合っていた。
順風満帆な人生を送っていた。
ルキアはまとまった休みをもらったらしく、一護のアパートに転がり込んできた。
ルキアもルキアで、恋次と付き合っているはずなのだが、お互いに誰と付き合っていることについて口にすることはなかった。
「キムチチャーハンが食いたい」
その日は大学が休みだったために、スーパーで材料を買って手料理を作ってルキアに食べさせてやった。
「明日は、休みか?」
「ああ、そうだけど」
「水族館に行ってみたいのだ。連れていってくれるか?」
「別にいいぜ?」
他愛ない昔話に花を咲かせて、その日はルキアは一護のベッドで眠った。まるで付き合っているかのように、お互いを抱き締めあいながら寝た。
「おはよう」
「ああ・・・・おはよう」
寝ぼけ眼(まなこ)のルキアを起こして、真新しい白いワンピースに袖を通したルキアは愛らしく、高校時代から時が止まっているかのようだった。
「ルキアは変わらねーな。純白のままだ」
「貴様もあまり変わっていないではないか。まぁ、髪型は変わったが」
少し短めに切られた一護の髪を手に取る。
「この太陽のような髪、私は好きだ。よければ、また伸ばせ」
「ああ、別にいいけど・・・・それより水族館に行きたいんだろ?近場でいいか?」
「ああ、構わぬ」
弁当を作って、電車とバスを乗り継いで、近い中では一番規模の大きな水族館に連れていった。
昔、高校時代も皆でこうやって、水族館にきたことがあった。
その時のルキアは、アマゾンコーナーの熱帯魚に瞳をかがやかせてじっと見入っていた。
今回も、アマゾンコーナーで、ずっとネオンテトラを見ていた。
「ルキア?」
「懐かしいな・・・・昔、皆で水族館を訪れた。石田と茶虎は元気か?」
「え、ああ。石田は医者になるためにインターン生してる。忙しそうだぜ。茶虎もボクシングの世界チャンピオンになるために、日々修行を重ねてるみたいだ」
そこに、井上は、という問いはなかった。
知っていた。
一護が、井上と付き合っていることを。
「皆・・・変わっていくのだな。変わらぬのは私だけか・・・・・」
「ルキアも、恋次と・・・その、付き合ったりして、尸魂界を復興したりで、変わっていってるじゃねーか」
「恋次とは、もう別れた」
「え・・・・・」
「次は海月を見たい。行くぞ」
「ちょ、待てよルキア!」
一人すたすた歩いていくルキアの後を、追いかける。
海月のコーナーにつくと、ルキアはふわふわ漂う海月をじっと見つめていた。
「今の私は、この海月のようなものなのだ」
「ルキア?」
「ただ世界に流されて・・・・時に流されて・・・・私の、意思は・・・・・・」
「どうしたんだよ、ルキア。今日のルキア、なんかおかしいぞ?」
一護が心配して、ルキアの手を握る。
抱き寄せた。
細く華奢な体は、壊れてしまいそうに見えた。
「なぁ、一護」
「なんだ?」
「今更すぎる。自分勝手すぎる。それでも、お前のことを好きだと言ったら、どうする?」
「冗談だろ?」
一護は、寂しそうに笑った。
高校時代、一度ルキアに告白してこっぴどく振られたのだ。
生きる世界が違うから、と。
「考えていたのだ。貴様は人間で私は死神。共に過ごせば、貴様は先に逝ってしまう。でも、魂魄が尸魂界にくれば、またやり直せる」
「ルキア・・・・・」
「1年前、恋次と別れた。恋次は私をとても大切にしてくれた。私も恋次のことが好きだった。でも、気づいてしまったのだ。その感情が恋愛感情ではなく、家族愛であるということを。私は、ただひたすらに貴様が好きなのだと、会って再び核心した」
「ルキア、俺は・・・・」
ルキアと距離をとる一護。
「ふふ。ただ、貴様の傍に少しいたいだけだ。井上もいることだし、貴様に無理はいわんよ」
そんな言葉を、切なそうな表情で話すルキアを抱きしめていた。
「一護?」
「俺は・・・・自分に嘘をついていた。井上をお前の代わりにしていた。ルキア、昔から・・・そして今も、俺はお前が好きだ。やり直せるなら、チャンスをくれ」
「一護」
ルキアが、驚きに目を見開いていた。
「井上とは別れる。好きだ、ルキア。付き合おう」
「でも、井上が・・・・」
「井上も気づいてる。俺がルキアをずっと好きだってこと。身代わりにされてるってこと。井上を愛しているわけじゃないってことを」
「ずいぶんと、酷い男だな貴様は。井上が哀れだ」
「じゃあ、このまま尸魂界に戻るか?俺に告白したことはなしにして」
「いやだ。私も、貴様が好きなのだ。諦められない」
顔を見合わせて、苦笑した。
「お互い、どうしようもないな」
「そうだな」
お昼になり、お弁当を食べて水族館を二人で周った。
まるで、デートのようだ。否、これはデートだ。
水族館を出ると、一護はイルカのぬいぐるみをルキアに買い与えた。
ルキアは、嬉しそうにそれを大事するといって、チャッピーのリュックの中にしまった。
日が暮れて、一護の家に戻る。イルカのぬいぐるみを胸に、その日も同じベッドで眠った。
翌日は、ルキアは一護の大学についていった。
井上とは違う大学だったが、友人たちから新しい彼女なのかと聞かれて、適当に言葉を濁して誤魔化した。
「一護・・・家で待っていたほうがよかったか?」
「いや、傍にいてほしい。ルキアが好きだから」
大学の授業が終わり、一護のバイト先までついていって、ルキアは一護の傍にいた。そんな一護は、決意した。
「井上と今日別れる」
「一護・・・・」
「ごめん、今日は遅くなりそうだ。飯作っておくから、先に寝ててくれ」
一護は、スマホで井上に連絡を入れて、重要な話があると夜のファミレスに呼び出して、別れ話を切り出した。
井上はぽろぽろ泣いていたが、元から身代わりだったことを理解していたので、別れることを承諾してくれた。
「絶対に、朽木さんと幸せになってね。そうじゃなきゃ、私は黒崎君を許さない」
「すまない、井上・・・・・。今まで、ありがとう」
「これからは、昔みたいに友達でいよう」
「ああ」
井上の思考は前向きだった。
夜のファミレスを出て、井上を自宅まで送って、自分のアパートに帰宅する。
ルキアが、待っていた。
「先に寝てろっていったのに」
でも、そう簡単に寝れないだろう。一護と自分の未来がかかっているのだ。
「井上とは?」
「別れた。ただの友人に戻った。お前を幸せにしなきゃ絶対許さないって言われた」
「井上のやつ・・・自分も辛いだろうに」
ポロリと、ルキアの瞳から涙があふれだした。
「愚かなほどに貴様が好きだ。愛している。尸魂界にいる間中、時折気がおかしくなりそうなくらい、貴様のことを思った。現世に会いにいったりしていたのは、その気持ちを抑えるためでもあった。でも、もう我慢しなくてもいいのだな」
一護は、ルキアを抱きしめた。
「好きだ、ルキア。一度お前に振られても、俺はお前をずっと好きだった。愛してる。どうか・・・・・・一緒に、生きてくれ」
「一護・・・喜んで、その言葉を受け入れよう」
それからが、慌ただしかった。
尸魂界に行き、恋次にルキアと付き合うことになったことを報告した後、白哉にルキアと正式な交際を認めてもらうために朽木家にまで足を延ばした。
「兄は・・・ルキアを、幸せにできると?」
「幸せにできる。俺以外の男がルキアを幸せにはできない」
「大きく出たな・・・・散れ、千本桜」
白哉の千本桜に、一護は斬月をふりあげて、その花びらの本流を断ってしまった。
「ふ・・・・力は、健在なわけか。黒崎一護、ルキアを幸せにしろ。不幸にしたら、私の千本桜が貴様の首をかき切るだろう」
「白哉・・・・・交際、認めてもらえるんだな」
「婚礼も視野にいれておけ。その覚悟はあるだろう」
「ああ」
「兄様!」
ルキアは涙をたくさん流していた。
「兄様、すみません、兄様・・・・・・」
「よいのだ、ルキア。幸せになれ」
「兄様・・・・・」
白哉に抱き着いて泣いていたルキアは、顔をあげて一護の隣にきた。
「俺は、ルキアを幸せにしてみせる。妹さんを、俺にください」
「よかろう・・・・」
白哉は、静かに微笑んだ。
恋次とうまくいってほしかったが、ルキアが恋次ではない他の誰かを見ていることは知っていた。
あえて言及しなかった。
自分の道は、自分で切り開くものだ。
一護は、大学を卒業して翻訳家として、小さな出版会社に就職した。
土日になると、その傍にはルキアがいた。
そんな生活を2年ほど続けただろうか。
「尸魂界で・・・貴様との婚姻を、許された」
「まじか!」
一護は、ルキアを抱き上げて、くるくると回った。
「目が回るではないか!」
ルキアは、現世と尸魂界と行ったりきたりを繰り返していて、専門の穿界門を作られた。
「現世でも、結婚しようぜ」
そう言って、一護はルキアの指にエンゲージリングをはめた。
「尸魂界だと、俺の友人や家族が行けないからさ・・・2回になるけど、結婚、してくれるか?」
「喜んで・・・・」
ルキアは、静かに一護に口づけた。
誓いのキスだった。
その後、ルキアと一護は尸魂界でも現世でも婚姻し、共に時間を過ごした。
そして、一時の別れ。
「さて、尸魂界での生活を満喫しますか!」
魂魄になって若い姿に戻った一護は、魂葬され尸魂界へと落ちていく。
普通は、前世での記憶などない。
でも、一護は元々死神代行だ。
「また、会いにきたぞ、一護」
「ああ、また始めよう、新しい人生を。ルキア、大好きだ。愛してる」
「それは、こちらの台詞だ」
尸魂界で死神化した一護に抱き上げられて、ルキアは綻ぶように微笑んだ。
「永遠の愛を、貴様に」
「じゃあ、俺も永遠の愛をルキアに」
死してもなお、続く愛の軌跡。
二人の物語は、まだ続いていく。
遥かなる未来まで。
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