絶たれた絆と失った目
「・・・・・・・・!」
なんだろう。
何かが、聞こえる気かする。
「・・・・・・・・!!」
なんだろう。
懐かしい声だ。
「・・・・・・・四郎!!」
誰かが、俺の名前を呼んでいる・・・・?
でも、誰だろう。
「浮竹十四郎!」
名を呼ばれて、はっとなった。
「きょうら・・・・・く?」
真っ黒だ。
暗闇の中にいる。
「どこだ京楽。明かりは?」
「浮竹!?大丈夫か!?」
京楽は、どこだ?
「京楽・・・・真っ黒だ。どこにいる?」
「君の目の前にいるじゃないか!」
抱き寄せられたのか、ふわりと体重が一瞬浮いた。
ついで、すごくきつく抱きしめられて、その苦しさに息をつぐ
「浮竹・・・・・目が?」
「目?・・・暗闇じゃないのか?明るい場所なのかここは?何も見えない」
「浮竹!」
記憶もすっぽり抜けている。
「俺はどうしたんだ?何故目が見えなくなった?」
「何も覚えていないのかい!?」
「何かあったのか?」
「君は、僕らを庇って破面の攻撃を受けたんだ。名前は分からない」
破面?
藍染が封印されたことで、エスパーダたちは散り散りになったはず。
今も、単独で動いている破面がいるということか?
そもそも「僕ら」とは?
「京楽。傍に誰がいるんだ?」
「七緒ちゃんだよ!七緒ちゃんと僕を庇って、君はけがを・・・・目を・・」
そういえば、右肩から臍にかけて、血が流れているようだ。でも、痛みはあまりない。
それよりも、目が見えないことのほうがショックだった。
「自分でも、混乱していてよく分からない。俺は、伊勢副隊長と京楽、お前を庇って怪我をして、視力をなくしたんだな?」
霊圧を探ってみる。伊勢副隊長の霊圧も、京楽の霊圧も普通だ。
「こちら京楽総隊長。至急、4番隊を流魂街七十八地区 戌吊まで送りたし。浮竹が怪我をした」
「京楽・・・・・総隊長?」
「浮竹!?まさか、今までの記憶も!?」
「俺の知っている京楽は、8番隊の隊長だ・・・・それが総隊長?どういうことだ?」
ぐらりと、体が傾いだ。
目が、焼けるように痛い。ただ痛くて、意識を手放した。
-------------------------------------------
その日は、ごく普通の一日だった。
いつものように、総隊長として一日の仕事を始めて、昼になる前には仕事は一段落した。
僕は、愛しい人を起こすために、隊首室に奥にある寝室のベッドまできた。そこに寝ている浮竹を揺り起こす。
「浮竹、もう昼だよ。昨日は遅くまで交わってしまったけど、いい加減におきて」
愛しい恋人は、気だるげに髪をかきあげた。その姿に、ドキリとする。
何百年たっても、浮竹は変わらない。白い長い髪も、白い肌も、翡翠の瞳も。
麗人は、ゆっくりと起きて小さな欠伸をした。
「ごめん、昨日は無理させちゃったかな?」
昨日、浮竹を抱いた。2回ほど浮竹の中に精を放って満足して、湯あみをしてから二人でべッドに横になって眠った。
「お前は、朝から仕事か・・・・・も少し、ゆっくりすればいいのに」
「無理だよ。今日は、流魂街七十八地区 戌吊に出たという、破面を探し出すために、僕も出動が決まっているからね」
なんでも、その破面は、記憶を食うらしい。
もう何人かの先遣隊がやられている。殺されなかった者は、記憶を食われて廃人同然になっているか、記憶の一部を食われて混乱するかだった。
藍染が操っていたエスパーダの、ザエルアポロと呼ばれていた破面によく似た破面は、強くて席官クラスでも歯が立たなかったそうだ。
無事に戻ってきた者の中には、綾瀬川弓親がいた。顔に怪我を負ってはいたが、比較的軽症だった。11隊の3席だ。それでも、歯が立たなかったらしい。しかも、弓親も記憶を一部食われていた。昔の・・・・いつも一緒にいる、班目副隊長と出会った頃の記憶を奪われたらしい。
本人は、その記憶がなくても大丈夫と、元気さをアピールしていたが、やはり敗北はこたえるのだろう。
悲しそうな顔をしていた。
綺麗な子だから、顔の怪我が早く治ればいいのにとは思った。
時間がきて、出撃準備が整った。
副官の七緒ちゃんが率いる部隊でまずは誘いだし、僕のが率いる本隊で、仕留めるつもりだった。心配してついていくと聞かなかった浮竹は、七緒ちゃんのいるほうの部隊に交じってもらった。
双魚理を取り戻したことだし、死神としても戦える。何より、昔13番隊の隊長をしていた子だ。僕の愛しい恋人であるけど、儚いけど強い。信頼できる相手だ。
誘いだしには成功した。でも、次々と隊士がやられていく。七緒ちゃんに襲いかかろうとしているところを、浮竹が背後をとらえて切り捨てた。
仕留めたのだと思った。
でも、破面は死んでいなかった。理解不能な叫び声をあげて、七緒ちゃんに襲いかかった。僕は、身を挺して庇おうとした。それを、浮竹がさらに庇った。
「浮竹!」
鮮血を散らしていく。浮竹と破面は何度か切り結びあっていた。僕は、気が気じゃなかった。また、君を失うかもしれないと思って、卍解しそうになっていた。
「死ね」
斬魄刀で、切りつけた。また、悲鳴をあげる破面。
応援にかけつけてきた10番隊の日番谷隊長の攻撃が、逆にあだとなった。破面は、逃げ出してしまった。
「大丈夫かい、浮竹!?」
ピクリともしない。僕は怖かった。また、君を失うのかと思って。
何度か声をかけていると、意識が戻った。傷は、七緒ちゃんが回道で応急処置をしてくれた。、
「どこだ京楽。明かりは?」
浮竹が視線を彷徨わせる。怪我をしたショックのせいかとおもった。
「浮竹!?大丈夫か!?」
声をかけると、浮竹は僕の顔をみないで、視線を彷徨わせる。
「京楽・・・・真っ黒だ。どこにいる?」
「君の目の前にいるじゃないか!」
揺さぶろうとして、自分を止めた。浮竹を抱き寄せた。その細い体を。
きつく抱きしめると、浮竹が腕の中で身じろいだ。
「浮竹・・・・・目が?」
「目?・・・暗闇じゃないのか?明るい場所なのかここは?何も見えない」
「浮竹!」
「俺はどうしたんだ?何故目が見えなくなった?」
さっきの破面の攻撃で、目をやられたらしい。それもショックだが、前後の記憶がすっぽりとぬけているのだと思った。
どうか、記憶が奪われていませんようにと、神に祈った。
「何も覚えていないのかい!?」
「何かあったのか?」
「君は、僕らを庇って破面の攻撃を受けたんだ。名前は分からない」
「京楽。傍に誰がいるんだ?」
「七緒ちゃんだよ!七緒ちゃんと僕を庇って、君はけがを・・・・目を・・」
応急手当をすませたとはいえ、怪我は深い。痛み止めを打っておいて、正解だった。
また抱き締めてみる。目をみると、眼球そのものは大丈夫そうだが、黒い靄のようなものがかかっていた。
綺麗な翡翠の瞳に、濁りが見えた。
「自分でも、混乱していてよく分からない。俺は、伊勢副隊長と京楽、お前を庇って怪我をして、視力をなくしたんだな?」
僕は、伝令神機で4番隊に連絡をいれた。
「こちら京楽総隊長。至急、4番隊を流魂街七十八地区 戌吊まで送りたし。浮竹が怪我をした」
「京楽・・・・・総隊長?」
浮竹の言葉に、ぎくりとなった。
「浮竹!?まさか、今までの記憶も!?」
「俺の知っている京楽は、8番隊の隊長だ・・・・それが総隊長?どういうことだ?」
浮竹は。浮竹は、生き返った記憶を奪われていた。
ぐらりと、体が傾ぐのを、できるだけ優しく受け止める。
浮竹は、僕の手の中で完全に意識を手放した。
--------------------------------------------------------------------
これは復讐かもしれない。
護廷13隊の全力をあげて、例の破面を探し出すことに成功したが、生け捕りにはできなかった。自決したのだ。
まず、報告があった。
記憶をうばわれた、綾瀬川弓親が、記憶を取り戻したのだという。
「本当に、記憶がもどったんだね?」
「はい、総隊長。一角とつるんでバカやってた頃の記憶が、今も昨日のことのようにかんじれるんです」
顔の傷も治癒したようで、京楽もほっといしていた。
他にも、記憶を奪う破面にやられた隊士たちが全員、廃人寸前だった隊士まで回復して、破面の死により、奪われた記憶は元にもどったのだと思った。
それが、間違いだった。
「浮竹・・・・・・」
浮竹を抱き寄せる。
4番隊で見てもらった、浮竹の怪我は応急処置が早かったお陰で、跡も残らないくらい綺麗に治った。ただ、目のほうは眼球は無事だが、視力が自然に戻るのを待つしかないと言われて、また絶望感を味わった。
「京楽、俺の目はもう光を映さないのか?」
「大丈夫。時間がたてば自然に治る可能性が高いって」
「そうか・・・・・」
浮竹と会話しあった。
やはり、一度死んだことを覚えていなかった。総隊長となった京楽と、再び積み重ねていた今までの時間を、失っていた。
記憶は、藍染が倒された少し後まではある。そこから先の、今まで過ごしてきた大切な時間の全てを、奪われていた。
-----------------------------------------
数週間が経った。
相変わらず、浮竹の記憶は戻らない。目も、見えないままだった。
「京楽・・・・・別れよう」
その言葉に、京楽は鼓動が止まりそうになった。
「何言ってるんだい、浮竹?」
「だって・・・・こんな、目も見えないようなお荷物・・・・それに、お前が愛した浮竹は、もうどこにもいない」
「いるじゃない。僕の目の前に、君がいるじゃない」
「だが俺は、総隊長になったお前を知らない。俺が死んだというのも、生き返ったというのも、分からない。今の俺には、何もない」
「在るよ。今までの絆が、絶たれたわけじゃない」
「でも!」
浮竹を抱き寄せて、その耳に囁いた。
「僕なしで、生きていけるの?そんな淫乱な身体で」
「なっ・・・・・・・・」
言葉をなくしている浮竹の体を・・・・・背中を押すだけで、浮竹はよろめいた。
「そんな身体で、どうやって生きていくの。自分の面倒さえ、みきれないのに」
「故郷へ、戻る」
今まで。どんなにつらいことがあっても、浮竹が、たとえ冗談でも、別れ話を切り出すことなかった。
怒りを覚えた。
愛しいのに。
この愛しい生き物は、光を失って自暴自棄になっているのだと、気づいてはいたが、怒りが大きすぎて、京楽は自分をセーブできなかった。
その細い体を抱き上げると、いつもは大人しい、されるがままの浮竹が抗った。
それがまた癇に障って、京楽は浮竹を乱暴に、ベッドに放り投げた。
「やめろ」
「やめない。君は僕のものだ」
「俺は、俺だ。誰のものでもない」
いつもなら、お前も俺のものだといってくれるのに。
本当に、この愛しい生き物は残酷だ。
「やめっ」
「やめない。どんなに泣き叫んでも、やめない」
死覇装をはぎとって、帯で手を戒める。
襦袢姿にしてそれもはぎ取っていく。
「京楽、やめろ」
「やめない」
噛みつくように口づけると、浮竹は体を強張らせた。
全身にキスの雨を降らせて、輪郭をたどっていくと、愛しい生き物は甘い声をだした。
「やあっ」
足をばたつかせて暴れるので、急所を握って、握りつぶすと脅したら、大人しくなった。
足を大きく開かせる。
「目がみえなくよかったね。今、君はとても恥ずかしい恰好をさせられているよ」
「こんなの、ただの暴力だ。強姦だ」
「強姦でけっこう」
京楽は、浮竹の体中に痕を伸していく。
「やだっ」
目が見えないせいで、余計に不安に感じているのだろう。浮竹は泣いていた。
ちゅっと、キスして涙をすいとって、鎖骨から臍にかけて舌を這わせる。胸の先端をきつくつまむと、びくりと浮竹の体が反応した。
「体は素直だね」
「やあ」
うちももを吸い上げて、浮竹の花茎に舌を這わせた。
「!」
先端を口に含み、入りきらなかった場所は手で扱った。何度がしごきあげ、先端に爪をたてて、
吸い上げると、あっけなく浮竹は精を放った。
「ああっ!」
乱れていく浮竹が愛しくて、早く一つになりたくて、潤滑油をとりだすと、浮竹の蕾と自分の欲望に塗り付ける。
指にも塗り付けて、まずは中を解して傷つけないようにすることから始めた。
「ああっ」
指をつぷりと差し入れると、浮竹は逃げようとする。
「どこにいくの?」
「故郷に、かえる」
泣き出した浮竹をあやすこともせずに、指を3本に増やして突き入れた。
ぐちゃぐちゃにかき乱すと、流れ落ちてきた涙がシーツにしみをつくった。
「愛してるよ・・・・・・・」
前立腺をコリコリと刺激すると、浮竹の体は素直に反応する。そこばかりいじっていると、浮竹が自分の唇を舐めた。
ああ、この子・・・・・・強姦されてるのに、情欲してるんだ。
愛しいと思った。手放したくないと。
「!・・・・何をっ!」
蕾を、なめた。内部に舌をいれると、京楽はできる範囲で前立腺を舐めあげた。
「ひあっ」
今まで、この数百年睦みあったけれど、こんな行為をしたのはじめてだった。軽い興奮を覚えた。
見ると、浮竹は戒められた手でシーツをきつくつかみ、声を我慢していた。
舌をぬきさると、浮竹はほっとした様子だった。
でも、次に来る衝撃で、苦しげに体を折った。
みしりと、音を立てて、浮竹の蕾に自分の情欲を突き入れた。
「いたっ・・・・やめろ、京楽っ」
「やめないっていったでしょ」
ふとももを肩に担いで、欲望のままに腰に腰を打ち付ける。
「いあああああっ」
何度も、浮竹のいいとこだけをこすりあげてやると、浮竹はまた精を放った。
「僕は、まだ一度も満足してないよ」
「ああっ!」
最奥を突き上げる。何度も挿入を繰り返す。
じゅぷじゅぷと音をたてて、結合部は泡だっていた。
揺さぶられる動きと同時に、浮竹の長い白い髪が宙を舞う。
「やぁいやだっ」
「君のここは、もっと僕を欲しがっているよ?」
一度ひきぬきくと、勢いをつけて最奥までたたきつけた。
「あああああああっ!」
京楽は、浮竹の腹の奥で果てた。
ぬきとられていく灼熱に、浮竹が涙を流す。
「京楽・・・・もっと・・・・・・・・・おもい、だした。俺は・・・ミミハギ様を、神掛をして病気で死んで・・・・・・またお前と出会って・・・・・・」
「!!」
京楽は、涙を零した。
「愛してるよ、浮竹」
「別れるっていって、すまない。もう、二度といわない・・・・ああっ」
前立腺をこすりあげてやった。めいっぱい感じるように。
薄い浮竹の筋肉のついた腹が、外からでも侵されているのが分かった。
何度も何度も前立腺をこすりあげてやると、浮竹が啼き出した。
「やあああ、きもちよすぎて、変になるっ」
花茎を何度もしごいて、精を放たせてやっていると、さすがにもう何もでないのか、熱をもったまましおれてしまった。
すぷすぷと、音をたてて浮竹の体を犯していく。
何度目かもわからない精液を、浮竹の中に放って、京楽も力尽きた。
汗が、流れ落ちた。気だるげな時間を過ごす。
「愛してるよ、浮竹」
「ん・・・・俺も」
愛しくて、抱きしめた。
その跡、湯あみをして新しいシーツと布団を出して、二人でまどろんだ。
「浮竹?」
起きると、腕の中に浮竹はいなかった。
目が見えないので、あまり遠くにはいっていないはずだ。探すと、隊首室の隅にいた。
手に、地獄蝶を止まらせていた。
「 綜合救護詰所に入院している、俺と同じように、視力をなくした者が、目の洗浄を何度か受けて視力が回復したらしい」
それは、嬉しいニュースだった。
ここ数週間、浮竹はずっと暗闇の中にいた。生活は、京楽が面倒をみてやっていた。片時も手放さなかった。
浮竹の視力が戻れば、何もかも元通りだ。
「ちょっと遅いけど、朝餉食べるでしょ?」
聞くと、こくりと浮竹は頷いた。
自分で食事をとり、次に浮竹に食べさせてあげた。今日の朝餉は和食だった。
4番隊の綜合救護詰所まで、手を繋いでゆっくり歩いた。浮竹が転ばないように、足元に常に気を配った。
綜合救護詰所につくと、虎徹勇音隊長が、浮竹をみてくれた。
目の洗浄を行うと、最初は光が見えるだけだった。何度か洗浄を続けると、目にかかっていた靄が消え、目の濁りもとれた。
綺麗な翡翠色の瞳がそこにあった。
「浮竹さん。見えますか?」
「見える」
「この指は、何本に見えますか?」
勇音が指を3本にすると、浮竹ははっきりと答えた。
「3本」
「はい、完全に目の方は完治したようですね。記憶のほうも戻ったと聞きますし・・・でも京楽総隊長、目の見えない半病人である方に、あまり無理強いはしないように」
念のため体全体を診てもらったのだが、性行の痕がたくさんあって、浮竹は平気でも京楽が恥ずかしい目にあった。
「気を付けるよ」
勇音隊長に礼を告げて、詰所を出る。
外に出て、浮竹を抱きあげてくるくる回った。嬉しすぎて、言葉では言い表せなかった。
陳腐だが、なんとか言葉をみつける。
「おかえり」
「ただいま」
浮竹を抱き締めた。ふわりと、甘い花のかおりがした。
-------------------------------
それから数日がたった。浮竹の体には異常はなかった。記憶もしっかりしているし、目もちゃんと見えていた。
「あ、シロ、お帰り」
数週間の間、浮竹が視力を失っている間全然こなかった、半分飼われているに近い小鳥が、窓から入ってきて京楽の肩に止まった。
「チチチチ」
まるで、浮竹の回復を祝っているようで。
エサを与えるようとすると、もう一羽の小鳥が入ってきた。
その鳥は、シロの個体と同じ種で、色が黒だった。
「ああ・・・・・伴侶を見つけたんだね」
仲良さそうにエサを啄む。
「チチチチチチ」
「チチッ」
「黒いから、この子はクロだな」
浮竹が、名前をつけた。
シロとクロは、仲良さげに大空に飛び立っていった。
京楽と浮竹は、断ち切られた絆を取り戻した。
浮竹は視力も取り戻した。
浮竹が、別れ話をすることは、それ以後決してなかった。
シロとクロのように。
違いを伴侶として、過ごしていく。
京楽は、一度浮竹を失ったが、浮竹は戻ってきた。浮竹は生き返ったとか平行世界からきたとか、よくわからぬ説であったけれど、浮竹を一人にすることはなく常に傍に寄り添っていた。
なんだろう。
何かが、聞こえる気かする。
「・・・・・・・・!!」
なんだろう。
懐かしい声だ。
「・・・・・・・四郎!!」
誰かが、俺の名前を呼んでいる・・・・?
でも、誰だろう。
「浮竹十四郎!」
名を呼ばれて、はっとなった。
「きょうら・・・・・く?」
真っ黒だ。
暗闇の中にいる。
「どこだ京楽。明かりは?」
「浮竹!?大丈夫か!?」
京楽は、どこだ?
「京楽・・・・真っ黒だ。どこにいる?」
「君の目の前にいるじゃないか!」
抱き寄せられたのか、ふわりと体重が一瞬浮いた。
ついで、すごくきつく抱きしめられて、その苦しさに息をつぐ
「浮竹・・・・・目が?」
「目?・・・暗闇じゃないのか?明るい場所なのかここは?何も見えない」
「浮竹!」
記憶もすっぽり抜けている。
「俺はどうしたんだ?何故目が見えなくなった?」
「何も覚えていないのかい!?」
「何かあったのか?」
「君は、僕らを庇って破面の攻撃を受けたんだ。名前は分からない」
破面?
藍染が封印されたことで、エスパーダたちは散り散りになったはず。
今も、単独で動いている破面がいるということか?
そもそも「僕ら」とは?
「京楽。傍に誰がいるんだ?」
「七緒ちゃんだよ!七緒ちゃんと僕を庇って、君はけがを・・・・目を・・」
そういえば、右肩から臍にかけて、血が流れているようだ。でも、痛みはあまりない。
それよりも、目が見えないことのほうがショックだった。
「自分でも、混乱していてよく分からない。俺は、伊勢副隊長と京楽、お前を庇って怪我をして、視力をなくしたんだな?」
霊圧を探ってみる。伊勢副隊長の霊圧も、京楽の霊圧も普通だ。
「こちら京楽総隊長。至急、4番隊を流魂街七十八地区 戌吊まで送りたし。浮竹が怪我をした」
「京楽・・・・・総隊長?」
「浮竹!?まさか、今までの記憶も!?」
「俺の知っている京楽は、8番隊の隊長だ・・・・それが総隊長?どういうことだ?」
ぐらりと、体が傾いだ。
目が、焼けるように痛い。ただ痛くて、意識を手放した。
-------------------------------------------
その日は、ごく普通の一日だった。
いつものように、総隊長として一日の仕事を始めて、昼になる前には仕事は一段落した。
僕は、愛しい人を起こすために、隊首室に奥にある寝室のベッドまできた。そこに寝ている浮竹を揺り起こす。
「浮竹、もう昼だよ。昨日は遅くまで交わってしまったけど、いい加減におきて」
愛しい恋人は、気だるげに髪をかきあげた。その姿に、ドキリとする。
何百年たっても、浮竹は変わらない。白い長い髪も、白い肌も、翡翠の瞳も。
麗人は、ゆっくりと起きて小さな欠伸をした。
「ごめん、昨日は無理させちゃったかな?」
昨日、浮竹を抱いた。2回ほど浮竹の中に精を放って満足して、湯あみをしてから二人でべッドに横になって眠った。
「お前は、朝から仕事か・・・・・も少し、ゆっくりすればいいのに」
「無理だよ。今日は、流魂街七十八地区 戌吊に出たという、破面を探し出すために、僕も出動が決まっているからね」
なんでも、その破面は、記憶を食うらしい。
もう何人かの先遣隊がやられている。殺されなかった者は、記憶を食われて廃人同然になっているか、記憶の一部を食われて混乱するかだった。
藍染が操っていたエスパーダの、ザエルアポロと呼ばれていた破面によく似た破面は、強くて席官クラスでも歯が立たなかったそうだ。
無事に戻ってきた者の中には、綾瀬川弓親がいた。顔に怪我を負ってはいたが、比較的軽症だった。11隊の3席だ。それでも、歯が立たなかったらしい。しかも、弓親も記憶を一部食われていた。昔の・・・・いつも一緒にいる、班目副隊長と出会った頃の記憶を奪われたらしい。
本人は、その記憶がなくても大丈夫と、元気さをアピールしていたが、やはり敗北はこたえるのだろう。
悲しそうな顔をしていた。
綺麗な子だから、顔の怪我が早く治ればいいのにとは思った。
時間がきて、出撃準備が整った。
副官の七緒ちゃんが率いる部隊でまずは誘いだし、僕のが率いる本隊で、仕留めるつもりだった。心配してついていくと聞かなかった浮竹は、七緒ちゃんのいるほうの部隊に交じってもらった。
双魚理を取り戻したことだし、死神としても戦える。何より、昔13番隊の隊長をしていた子だ。僕の愛しい恋人であるけど、儚いけど強い。信頼できる相手だ。
誘いだしには成功した。でも、次々と隊士がやられていく。七緒ちゃんに襲いかかろうとしているところを、浮竹が背後をとらえて切り捨てた。
仕留めたのだと思った。
でも、破面は死んでいなかった。理解不能な叫び声をあげて、七緒ちゃんに襲いかかった。僕は、身を挺して庇おうとした。それを、浮竹がさらに庇った。
「浮竹!」
鮮血を散らしていく。浮竹と破面は何度か切り結びあっていた。僕は、気が気じゃなかった。また、君を失うかもしれないと思って、卍解しそうになっていた。
「死ね」
斬魄刀で、切りつけた。また、悲鳴をあげる破面。
応援にかけつけてきた10番隊の日番谷隊長の攻撃が、逆にあだとなった。破面は、逃げ出してしまった。
「大丈夫かい、浮竹!?」
ピクリともしない。僕は怖かった。また、君を失うのかと思って。
何度か声をかけていると、意識が戻った。傷は、七緒ちゃんが回道で応急処置をしてくれた。、
「どこだ京楽。明かりは?」
浮竹が視線を彷徨わせる。怪我をしたショックのせいかとおもった。
「浮竹!?大丈夫か!?」
声をかけると、浮竹は僕の顔をみないで、視線を彷徨わせる。
「京楽・・・・真っ黒だ。どこにいる?」
「君の目の前にいるじゃないか!」
揺さぶろうとして、自分を止めた。浮竹を抱き寄せた。その細い体を。
きつく抱きしめると、浮竹が腕の中で身じろいだ。
「浮竹・・・・・目が?」
「目?・・・暗闇じゃないのか?明るい場所なのかここは?何も見えない」
「浮竹!」
「俺はどうしたんだ?何故目が見えなくなった?」
さっきの破面の攻撃で、目をやられたらしい。それもショックだが、前後の記憶がすっぽりとぬけているのだと思った。
どうか、記憶が奪われていませんようにと、神に祈った。
「何も覚えていないのかい!?」
「何かあったのか?」
「君は、僕らを庇って破面の攻撃を受けたんだ。名前は分からない」
「京楽。傍に誰がいるんだ?」
「七緒ちゃんだよ!七緒ちゃんと僕を庇って、君はけがを・・・・目を・・」
応急手当をすませたとはいえ、怪我は深い。痛み止めを打っておいて、正解だった。
また抱き締めてみる。目をみると、眼球そのものは大丈夫そうだが、黒い靄のようなものがかかっていた。
綺麗な翡翠の瞳に、濁りが見えた。
「自分でも、混乱していてよく分からない。俺は、伊勢副隊長と京楽、お前を庇って怪我をして、視力をなくしたんだな?」
僕は、伝令神機で4番隊に連絡をいれた。
「こちら京楽総隊長。至急、4番隊を流魂街七十八地区 戌吊まで送りたし。浮竹が怪我をした」
「京楽・・・・・総隊長?」
浮竹の言葉に、ぎくりとなった。
「浮竹!?まさか、今までの記憶も!?」
「俺の知っている京楽は、8番隊の隊長だ・・・・それが総隊長?どういうことだ?」
浮竹は。浮竹は、生き返った記憶を奪われていた。
ぐらりと、体が傾ぐのを、できるだけ優しく受け止める。
浮竹は、僕の手の中で完全に意識を手放した。
--------------------------------------------------------------------
これは復讐かもしれない。
護廷13隊の全力をあげて、例の破面を探し出すことに成功したが、生け捕りにはできなかった。自決したのだ。
まず、報告があった。
記憶をうばわれた、綾瀬川弓親が、記憶を取り戻したのだという。
「本当に、記憶がもどったんだね?」
「はい、総隊長。一角とつるんでバカやってた頃の記憶が、今も昨日のことのようにかんじれるんです」
顔の傷も治癒したようで、京楽もほっといしていた。
他にも、記憶を奪う破面にやられた隊士たちが全員、廃人寸前だった隊士まで回復して、破面の死により、奪われた記憶は元にもどったのだと思った。
それが、間違いだった。
「浮竹・・・・・・」
浮竹を抱き寄せる。
4番隊で見てもらった、浮竹の怪我は応急処置が早かったお陰で、跡も残らないくらい綺麗に治った。ただ、目のほうは眼球は無事だが、視力が自然に戻るのを待つしかないと言われて、また絶望感を味わった。
「京楽、俺の目はもう光を映さないのか?」
「大丈夫。時間がたてば自然に治る可能性が高いって」
「そうか・・・・・」
浮竹と会話しあった。
やはり、一度死んだことを覚えていなかった。総隊長となった京楽と、再び積み重ねていた今までの時間を、失っていた。
記憶は、藍染が倒された少し後まではある。そこから先の、今まで過ごしてきた大切な時間の全てを、奪われていた。
-----------------------------------------
数週間が経った。
相変わらず、浮竹の記憶は戻らない。目も、見えないままだった。
「京楽・・・・・別れよう」
その言葉に、京楽は鼓動が止まりそうになった。
「何言ってるんだい、浮竹?」
「だって・・・・こんな、目も見えないようなお荷物・・・・それに、お前が愛した浮竹は、もうどこにもいない」
「いるじゃない。僕の目の前に、君がいるじゃない」
「だが俺は、総隊長になったお前を知らない。俺が死んだというのも、生き返ったというのも、分からない。今の俺には、何もない」
「在るよ。今までの絆が、絶たれたわけじゃない」
「でも!」
浮竹を抱き寄せて、その耳に囁いた。
「僕なしで、生きていけるの?そんな淫乱な身体で」
「なっ・・・・・・・・」
言葉をなくしている浮竹の体を・・・・・背中を押すだけで、浮竹はよろめいた。
「そんな身体で、どうやって生きていくの。自分の面倒さえ、みきれないのに」
「故郷へ、戻る」
今まで。どんなにつらいことがあっても、浮竹が、たとえ冗談でも、別れ話を切り出すことなかった。
怒りを覚えた。
愛しいのに。
この愛しい生き物は、光を失って自暴自棄になっているのだと、気づいてはいたが、怒りが大きすぎて、京楽は自分をセーブできなかった。
その細い体を抱き上げると、いつもは大人しい、されるがままの浮竹が抗った。
それがまた癇に障って、京楽は浮竹を乱暴に、ベッドに放り投げた。
「やめろ」
「やめない。君は僕のものだ」
「俺は、俺だ。誰のものでもない」
いつもなら、お前も俺のものだといってくれるのに。
本当に、この愛しい生き物は残酷だ。
「やめっ」
「やめない。どんなに泣き叫んでも、やめない」
死覇装をはぎとって、帯で手を戒める。
襦袢姿にしてそれもはぎ取っていく。
「京楽、やめろ」
「やめない」
噛みつくように口づけると、浮竹は体を強張らせた。
全身にキスの雨を降らせて、輪郭をたどっていくと、愛しい生き物は甘い声をだした。
「やあっ」
足をばたつかせて暴れるので、急所を握って、握りつぶすと脅したら、大人しくなった。
足を大きく開かせる。
「目がみえなくよかったね。今、君はとても恥ずかしい恰好をさせられているよ」
「こんなの、ただの暴力だ。強姦だ」
「強姦でけっこう」
京楽は、浮竹の体中に痕を伸していく。
「やだっ」
目が見えないせいで、余計に不安に感じているのだろう。浮竹は泣いていた。
ちゅっと、キスして涙をすいとって、鎖骨から臍にかけて舌を這わせる。胸の先端をきつくつまむと、びくりと浮竹の体が反応した。
「体は素直だね」
「やあ」
うちももを吸い上げて、浮竹の花茎に舌を這わせた。
「!」
先端を口に含み、入りきらなかった場所は手で扱った。何度がしごきあげ、先端に爪をたてて、
吸い上げると、あっけなく浮竹は精を放った。
「ああっ!」
乱れていく浮竹が愛しくて、早く一つになりたくて、潤滑油をとりだすと、浮竹の蕾と自分の欲望に塗り付ける。
指にも塗り付けて、まずは中を解して傷つけないようにすることから始めた。
「ああっ」
指をつぷりと差し入れると、浮竹は逃げようとする。
「どこにいくの?」
「故郷に、かえる」
泣き出した浮竹をあやすこともせずに、指を3本に増やして突き入れた。
ぐちゃぐちゃにかき乱すと、流れ落ちてきた涙がシーツにしみをつくった。
「愛してるよ・・・・・・・」
前立腺をコリコリと刺激すると、浮竹の体は素直に反応する。そこばかりいじっていると、浮竹が自分の唇を舐めた。
ああ、この子・・・・・・強姦されてるのに、情欲してるんだ。
愛しいと思った。手放したくないと。
「!・・・・何をっ!」
蕾を、なめた。内部に舌をいれると、京楽はできる範囲で前立腺を舐めあげた。
「ひあっ」
今まで、この数百年睦みあったけれど、こんな行為をしたのはじめてだった。軽い興奮を覚えた。
見ると、浮竹は戒められた手でシーツをきつくつかみ、声を我慢していた。
舌をぬきさると、浮竹はほっとした様子だった。
でも、次に来る衝撃で、苦しげに体を折った。
みしりと、音を立てて、浮竹の蕾に自分の情欲を突き入れた。
「いたっ・・・・やめろ、京楽っ」
「やめないっていったでしょ」
ふとももを肩に担いで、欲望のままに腰に腰を打ち付ける。
「いあああああっ」
何度も、浮竹のいいとこだけをこすりあげてやると、浮竹はまた精を放った。
「僕は、まだ一度も満足してないよ」
「ああっ!」
最奥を突き上げる。何度も挿入を繰り返す。
じゅぷじゅぷと音をたてて、結合部は泡だっていた。
揺さぶられる動きと同時に、浮竹の長い白い髪が宙を舞う。
「やぁいやだっ」
「君のここは、もっと僕を欲しがっているよ?」
一度ひきぬきくと、勢いをつけて最奥までたたきつけた。
「あああああああっ!」
京楽は、浮竹の腹の奥で果てた。
ぬきとられていく灼熱に、浮竹が涙を流す。
「京楽・・・・もっと・・・・・・・・・おもい、だした。俺は・・・ミミハギ様を、神掛をして病気で死んで・・・・・・またお前と出会って・・・・・・」
「!!」
京楽は、涙を零した。
「愛してるよ、浮竹」
「別れるっていって、すまない。もう、二度といわない・・・・ああっ」
前立腺をこすりあげてやった。めいっぱい感じるように。
薄い浮竹の筋肉のついた腹が、外からでも侵されているのが分かった。
何度も何度も前立腺をこすりあげてやると、浮竹が啼き出した。
「やあああ、きもちよすぎて、変になるっ」
花茎を何度もしごいて、精を放たせてやっていると、さすがにもう何もでないのか、熱をもったまましおれてしまった。
すぷすぷと、音をたてて浮竹の体を犯していく。
何度目かもわからない精液を、浮竹の中に放って、京楽も力尽きた。
汗が、流れ落ちた。気だるげな時間を過ごす。
「愛してるよ、浮竹」
「ん・・・・俺も」
愛しくて、抱きしめた。
その跡、湯あみをして新しいシーツと布団を出して、二人でまどろんだ。
「浮竹?」
起きると、腕の中に浮竹はいなかった。
目が見えないので、あまり遠くにはいっていないはずだ。探すと、隊首室の隅にいた。
手に、地獄蝶を止まらせていた。
「 綜合救護詰所に入院している、俺と同じように、視力をなくした者が、目の洗浄を何度か受けて視力が回復したらしい」
それは、嬉しいニュースだった。
ここ数週間、浮竹はずっと暗闇の中にいた。生活は、京楽が面倒をみてやっていた。片時も手放さなかった。
浮竹の視力が戻れば、何もかも元通りだ。
「ちょっと遅いけど、朝餉食べるでしょ?」
聞くと、こくりと浮竹は頷いた。
自分で食事をとり、次に浮竹に食べさせてあげた。今日の朝餉は和食だった。
4番隊の綜合救護詰所まで、手を繋いでゆっくり歩いた。浮竹が転ばないように、足元に常に気を配った。
綜合救護詰所につくと、虎徹勇音隊長が、浮竹をみてくれた。
目の洗浄を行うと、最初は光が見えるだけだった。何度か洗浄を続けると、目にかかっていた靄が消え、目の濁りもとれた。
綺麗な翡翠色の瞳がそこにあった。
「浮竹さん。見えますか?」
「見える」
「この指は、何本に見えますか?」
勇音が指を3本にすると、浮竹ははっきりと答えた。
「3本」
「はい、完全に目の方は完治したようですね。記憶のほうも戻ったと聞きますし・・・でも京楽総隊長、目の見えない半病人である方に、あまり無理強いはしないように」
念のため体全体を診てもらったのだが、性行の痕がたくさんあって、浮竹は平気でも京楽が恥ずかしい目にあった。
「気を付けるよ」
勇音隊長に礼を告げて、詰所を出る。
外に出て、浮竹を抱きあげてくるくる回った。嬉しすぎて、言葉では言い表せなかった。
陳腐だが、なんとか言葉をみつける。
「おかえり」
「ただいま」
浮竹を抱き締めた。ふわりと、甘い花のかおりがした。
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それから数日がたった。浮竹の体には異常はなかった。記憶もしっかりしているし、目もちゃんと見えていた。
「あ、シロ、お帰り」
数週間の間、浮竹が視力を失っている間全然こなかった、半分飼われているに近い小鳥が、窓から入ってきて京楽の肩に止まった。
「チチチチ」
まるで、浮竹の回復を祝っているようで。
エサを与えるようとすると、もう一羽の小鳥が入ってきた。
その鳥は、シロの個体と同じ種で、色が黒だった。
「ああ・・・・・伴侶を見つけたんだね」
仲良さそうにエサを啄む。
「チチチチチチ」
「チチッ」
「黒いから、この子はクロだな」
浮竹が、名前をつけた。
シロとクロは、仲良さげに大空に飛び立っていった。
京楽と浮竹は、断ち切られた絆を取り戻した。
浮竹は視力も取り戻した。
浮竹が、別れ話をすることは、それ以後決してなかった。
シロとクロのように。
違いを伴侶として、過ごしていく。
京楽は、一度浮竹を失ったが、浮竹は戻ってきた。浮竹は生き返ったとか平行世界からきたとか、よくわからぬ説であったけれど、浮竹を一人にすることはなく常に傍に寄り添っていた。
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