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小説掲載プログ
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翡翠に溶ける 氷室と熱

「暑い・・・・」

浮竹は、院生の服をはだけさせて、だらしなくベッドの上でごろごろしていた。

ほとんど、半裸に近い。

「なんて恰好してるの!暑いからって、ちゃんと服を着なさい!」

顔を朱くした京楽に、浮竹が小首を傾げる。

「なんでだ?流石にこんな暑さなら、少々脱いだところで熱は出ない」

「君、分かってる?僕、君が好きなんだよ?」

その言葉に、今度は浮竹が朱くなった。

友達から始めましょうと言われたが、京楽のものになると誓ったようなものなのだ。借金のかたに身売りをしたに近い。

「君の艶めかしい白い肌。目に毒だ」

いそいそと、院生の服をちゃんときた。

うちわであおいで風を送るが、全然涼しくなかった、

「そうそう、僕の所有する氷室をあけるから、かき氷を食べよう」

「本当か!」

「うん」

京楽の屋敷まで、足を延ばした。少し遠かったし暑かったが、幸いにも今日は曇りで、直射日光に浮竹がやられることはなかった。

夏季休暇に入るまで、外で授業があるとよく倒れた。

やがて、氷室から出された氷がもってこられる。それをかき氷機でしゃりしゃりと削っていった。

氷の欠片をもらい、それを額や手に当てている浮竹に、苺味のシロップのかかったかき氷が渡された。

「んーひんやりして美味しい」

屋敷の中のに入っているので、外より数度気温が低いが、それでも暑かった。

夢中で食べていくと、すぐなくなってしまった。

京楽はそれに苦笑して、お替りを作ってくれた。今度はメロン味のシロップだった。

「ああ、大分体が冷えた。満足だ」

「どうせなら、今日この屋敷に泊まらない?井戸水でスイカも冷やしてあるんだ」

「泊まる!」

寮の自室でだらだら過ごすよりはいいと思った。

風が入りやすい造りになっていて、室内だが寮の自室にいるより涼しかった。

夕食前に、冷えたスイカが出された。

ペロリと平らげる浮竹に、京楽は呆れつつも、夕食も楽しみにしておいてねと言った。

夕食はちらし寿司と天ぷらだった。

良く冷えた、麦茶がついてきた。

その麦茶のお替りばかりもらいながら、豪勢な夕食を平らげた。

夜には、氷水をいれたたんぽが用意されて、それで体を冷やしながら寝た。

体を冷やし過ぎたのか、次の日浮竹は熱を出した。

幸いなことに氷室があるので、冷えたタオルを額に置かれた。

「京楽・・・・・傍にいて・・・・」

熱で潤んだ瞳でそう言われて、京楽は片時も浮竹から離れなかった。

「キスしてもいい?」

ダメ元で聞いてみると。

「キスしてもいい・・・・」

と返ってきた。

夏休みになるまで、何度か触れるだけのキスをしたことがある。

「深い口づけでもいい?」

「構わない・・・・・」

ゴクリと、喉がなった。

「いただきます」

唇を重ねる。口をあけない浮竹の顎に手をかけて、少し口を開かせると、舌を入れた。びくりと縮こまる舌をおいかけて、歯茎を舐め、何度も舌を絡めあった。

「ううん・・・んあっ」

濡れた声の浮竹のそれだけで、たっしてしまった。

つっと、銀の糸を引いて舌をぬく。

「ちょっと、湯浴みしてくる」

反応してしまった息子さんを大人しくさせるために、風呂場で浮竹の乱れた姿を想像して3回ほどぬいて、すっきりした。

新しい服を着て戻ると、浮竹の姿がなかった。

「京楽・・・・どこ・・・・」

熱のある体で、廊下に立っているのを見つけると、抱き上げてベッドに寝かせた。

「京楽・・・・どこにも、行かないで・・・・・」

ああ。

普段が、今の3分の1でもかわいかったらいいのに。

熱を出した浮竹は甘えてきて可愛かった。

このまま時が止まってしまえばいいと思った。

だがそういうわけにもいかず、夕飯に卵粥を食べさせて、解熱剤を与えた。

浮竹は、すぐに眠ってしまった。

京楽も、浮竹と同じベッドで眠った。


「ん・・・・京楽?」

「あ、おはよう。起きたのかい?」

「狭いのに、一緒のベッドで寝たのか」

「だって君、離れないでって・・・・・」

「俺はそんなこといわない」

どうやら、熱を出していったこととかは覚えていないようだった。

「はぁ・・・・・キスは覚えてる?」

浮竹は真っ赤になった。

「はじめてのディープキだけど、君の声聞いてるだけでいちゃたよ。風呂場で3回抜いた」

「お、俺のせいじゃない」

「君がかわいすぎるからだよ」

ちゅっと、音をたてて、頬にキスをされた。

「おい、京楽!」

「あはは、ほっぺにキスくらい許してよ」

氷室があるせいで、その年の夏は休みが終わるまでずっと京楽邸で過ごすのであった。



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