翡翠に溶ける 血の誓い
5回生の春になっていた。
もはや、いつ死神になっても大丈夫だという実力もついた。
5回生からは、実際に護廷13隊の隊士をして任務につく授業があった。互いに、京楽は8番隊に、浮竹は13番隊に選ばれた。
即ち、将来もこの隊に配属されることが決まった。
京楽と浮竹は、些細なことで喧嘩をしてしまい、その日お互いばつが悪そうな顔をして口を聞かなかった。
「浮竹のバカ!」
「なんだと、京楽のおたんこなす!」
口を開くとこうなる。
なので、任務中は口を閉じていた。
8番隊と13番隊が連携しての、虚狩りだった。普通見習いの学院生は、バックアップに回るのだが、その実力の高さを買われて、一般隊士に交じって、出現する虚を切っていった。
霊圧が濁った。
「なんだ!?」
大虚(メノスグランデ)だった。しかも、ギリアンでなくアジューカス。
黒腔(ガルガンタ)が開き、アジューカスが姿を現す。歪な形をしていた。
一般隊士たちが次々にやられていく。
「危ない!」
浮竹を庇った京楽の背中に、深々とアジューカスの爪痕があった。
「な・・・・・」
「卍解!」
13番隊長が、卍解をしてアジューカスを切り殺した。
「負傷者を早く4番隊のところへ!」
浮竹は、京楽に謝った。
「今日の朝はごめん、俺が悪かった!頼むから、死なないでくれ!」
出血の量がおびただしい。
回道をかけるが、出血が止まらない。
「こちらへ!」
ついてきていた4番隊の席官に、京楽を託す。
「出血の量が多いですが、傷口は浅いです」
回道で、血が止まった。
「後は、安静に・・・・」
「う・・・・」
「京楽、意識が戻ったのか?」
「浮竹・・・僕こそ今日はごめん。君を抱けなかったから、イラついた」
「いいんだ。セックスしたい時はちゃんと前日の夜に言ってくれ。朝方に抱きたいと言われても、対処のしよがない」
「ごほん」
4番隊の席官が、赤くなりながら、咳払いをした。
「「あ」」
時と場所を弁えろ、というやつだった。
次々に負傷した者たちが運びこまれる。
京楽はまだ傷が塞がっていないので、4番隊の見習いの学院の生徒に傷口に薬をぬってもらい、包帯を巻いてもらった。
浮竹の院生の服は、京楽の血で真っ赤に染まっていた。
「君も怪我を?」
「いえ、これは俺を庇った友人の血です」
「そうか良かった。一般隊士が2名死んだ」
「え・・・・」
ただの虚退治、のはずだった。
そうなのだ。
虚退治、すなわり死神は、いつでも死と隣り合わせなのだ。
京楽の血がべっとりついた服の血の匂いに、くらりと眩暈がして倒れこんだ。
「ごほっごほっ!」
浮竹は、吐血していた。
「おい、君!誰か!」
「浮竹!?」
「おい、君は動いちゃいかん!血止めはしたが、傷は完全に塞がっていない!安静にしていなさい!」
京楽は、失血のせいでいうことを聞かない体を呪った。
そのまま二人は、4番隊の病院に入院となった。
京楽は怪我人として。浮竹は病人として。
浮竹は京楽が死にそうになったことと、初めての死神の死に直面した精神的なショックのせいで、吐血した挙句に高熱を数日出して、容体はよくなかった。
4番隊の病院で再び回道を受けて、京楽の怪我は大分癒えた。あと数日で退院となり、自由に動くことも許された。
京楽は、浮竹のベッドにきていた。
「ねぇ、浮竹、早く目を覚まして・・・・・・」
未だに意識の戻らぬ浮竹の傍にずっとついていた。
天敵の管をさされた、細い白い手が痛々しかった。
「京楽・・・・・・」
「気がついたの、浮竹!」
「ああ、よかった・・・お前は、無事だったんだな」
「よくないよ!君、肺の発作を起こした上に高熱で倒れて、今まで5日間も意識がなかったんだよ」
「ああ、こういうの幼い頃からよくあったことだから。精神的に強いショックを受けると、発作の後に高熱を出してしまうんだ」
「どれほど、僕が心配したことか・・・・・・・」
「すまなかった、京楽」
「君の意識が戻ってよかった。一般隊士で2名死亡者が出たことに驚いていたね。死神になるの、やめるかい?」
「いや、俺の覚悟が足りなかっただけだ。大丈夫だ」
虚退治で、人が死ぬを経験したのは初めてだった。ショックは大きかったが、そうならないように、自分を鍛錬して強くなればいいのだ。
いずれ、隊長に。
桜の下で誓い会った言葉を忘れてはいない。
浮竹は、がりっと自分の親指をかじった。
「浮竹?」
「血の誓いだ。お前も」
「うん」
京楽も、自分の親指をかんで、血を滲ませた。
その血を交じり合わせながら、言葉を紡ぐ。
「俺たちは、もっともっと強くなって、いずれ隊長になる。俺は13番隊で、お前は8番隊だ。血の誓いをここに」
「血の誓いにかけて。いずれ隊長となり、いつまでも君の傍にいることを誓う」
キスをした。
血の味がした。
もはや、いつ死神になっても大丈夫だという実力もついた。
5回生からは、実際に護廷13隊の隊士をして任務につく授業があった。互いに、京楽は8番隊に、浮竹は13番隊に選ばれた。
即ち、将来もこの隊に配属されることが決まった。
京楽と浮竹は、些細なことで喧嘩をしてしまい、その日お互いばつが悪そうな顔をして口を聞かなかった。
「浮竹のバカ!」
「なんだと、京楽のおたんこなす!」
口を開くとこうなる。
なので、任務中は口を閉じていた。
8番隊と13番隊が連携しての、虚狩りだった。普通見習いの学院生は、バックアップに回るのだが、その実力の高さを買われて、一般隊士に交じって、出現する虚を切っていった。
霊圧が濁った。
「なんだ!?」
大虚(メノスグランデ)だった。しかも、ギリアンでなくアジューカス。
黒腔(ガルガンタ)が開き、アジューカスが姿を現す。歪な形をしていた。
一般隊士たちが次々にやられていく。
「危ない!」
浮竹を庇った京楽の背中に、深々とアジューカスの爪痕があった。
「な・・・・・」
「卍解!」
13番隊長が、卍解をしてアジューカスを切り殺した。
「負傷者を早く4番隊のところへ!」
浮竹は、京楽に謝った。
「今日の朝はごめん、俺が悪かった!頼むから、死なないでくれ!」
出血の量がおびただしい。
回道をかけるが、出血が止まらない。
「こちらへ!」
ついてきていた4番隊の席官に、京楽を託す。
「出血の量が多いですが、傷口は浅いです」
回道で、血が止まった。
「後は、安静に・・・・」
「う・・・・」
「京楽、意識が戻ったのか?」
「浮竹・・・僕こそ今日はごめん。君を抱けなかったから、イラついた」
「いいんだ。セックスしたい時はちゃんと前日の夜に言ってくれ。朝方に抱きたいと言われても、対処のしよがない」
「ごほん」
4番隊の席官が、赤くなりながら、咳払いをした。
「「あ」」
時と場所を弁えろ、というやつだった。
次々に負傷した者たちが運びこまれる。
京楽はまだ傷が塞がっていないので、4番隊の見習いの学院の生徒に傷口に薬をぬってもらい、包帯を巻いてもらった。
浮竹の院生の服は、京楽の血で真っ赤に染まっていた。
「君も怪我を?」
「いえ、これは俺を庇った友人の血です」
「そうか良かった。一般隊士が2名死んだ」
「え・・・・」
ただの虚退治、のはずだった。
そうなのだ。
虚退治、すなわり死神は、いつでも死と隣り合わせなのだ。
京楽の血がべっとりついた服の血の匂いに、くらりと眩暈がして倒れこんだ。
「ごほっごほっ!」
浮竹は、吐血していた。
「おい、君!誰か!」
「浮竹!?」
「おい、君は動いちゃいかん!血止めはしたが、傷は完全に塞がっていない!安静にしていなさい!」
京楽は、失血のせいでいうことを聞かない体を呪った。
そのまま二人は、4番隊の病院に入院となった。
京楽は怪我人として。浮竹は病人として。
浮竹は京楽が死にそうになったことと、初めての死神の死に直面した精神的なショックのせいで、吐血した挙句に高熱を数日出して、容体はよくなかった。
4番隊の病院で再び回道を受けて、京楽の怪我は大分癒えた。あと数日で退院となり、自由に動くことも許された。
京楽は、浮竹のベッドにきていた。
「ねぇ、浮竹、早く目を覚まして・・・・・・」
未だに意識の戻らぬ浮竹の傍にずっとついていた。
天敵の管をさされた、細い白い手が痛々しかった。
「京楽・・・・・・」
「気がついたの、浮竹!」
「ああ、よかった・・・お前は、無事だったんだな」
「よくないよ!君、肺の発作を起こした上に高熱で倒れて、今まで5日間も意識がなかったんだよ」
「ああ、こういうの幼い頃からよくあったことだから。精神的に強いショックを受けると、発作の後に高熱を出してしまうんだ」
「どれほど、僕が心配したことか・・・・・・・」
「すまなかった、京楽」
「君の意識が戻ってよかった。一般隊士で2名死亡者が出たことに驚いていたね。死神になるの、やめるかい?」
「いや、俺の覚悟が足りなかっただけだ。大丈夫だ」
虚退治で、人が死ぬを経験したのは初めてだった。ショックは大きかったが、そうならないように、自分を鍛錬して強くなればいいのだ。
いずれ、隊長に。
桜の下で誓い会った言葉を忘れてはいない。
浮竹は、がりっと自分の親指をかじった。
「浮竹?」
「血の誓いだ。お前も」
「うん」
京楽も、自分の親指をかんで、血を滲ませた。
その血を交じり合わせながら、言葉を紡ぐ。
「俺たちは、もっともっと強くなって、いずれ隊長になる。俺は13番隊で、お前は8番隊だ。血の誓いをここに」
「血の誓いにかけて。いずれ隊長となり、いつまでも君の傍にいることを誓う」
キスをした。
血の味がした。
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