翡翠に溶ける 4回生の夏
4回生の夏になっていた。
相変わらず暑くて、浮竹は肌を露出して室内で扇風機で風を受けていた。
「あ~暑い・・・・」
「暑いって言ってると、余計に暑くなるよ」
氷室から出してきた、氷をいれた麦茶を渡される。
「ああ、生き返る・・・」
冷蔵庫もあるが、氷を作る機能はついていない。氷を作れる機能のある冷蔵庫があるのは、大きな料理店や氷と書いてある旗を掲げた甘味屋くらいのものだ。
電気代をバカみたいに食うので、普通の家庭では冷蔵庫と言えば、少しだけ冷やせる程度のものという印象だった。
冷蔵庫に麦茶をいれていたが、少し冷たいだけで、それでもないよりはましかと口にしていたが、京楽が自分の家の氷室をあけたことで、氷が出された。
「かき氷、食べるよね?」
「ああ、食べる」
わざわざ買ったかき氷機で、シャリシャリと氷が削られていく。
鬼道で溶けにくくしていたお陰で、京楽邸から寮までの間、溶けることなくもった。
ブルーハワイという、目にも鮮やかな青いシロップを選んでみた。
甘かった。
「浮竹、舌が青くなってる」
「え、まじか」
鏡を見ると、舌が青白くなっていた。
「見た目からして体に悪そうだしな・・・・味は美味しいけど」
おかわりのかき氷をもらって、メロン味のシロップをつけて食べた。今度が舌が緑色になった。
「シロップって甘いけど、色がすごいな」
「まあ、合成着色料がめっちゃ入ってるから」
「体にはあまりよくなさそうだな」
「害はないけどね」
残った氷を砕いて、氷マクラにいれた。
けっこうな大きさの氷を運んできたで、二人が満足するまでかき氷を食べても氷は残った。このまま溶かすのはもったいないと、氷まくらにいれてみたのだが、ひんやりとしてなんとも心地よかた。
2回生の夏は、京楽邸に泊まったが、京楽邸には今は家族が滞在しているらしい。京楽春水名義の屋敷なので、本来ならいないはずなのだが、帰省を求められいるのだ。
すでに護廷13隊入りが決定していて、席官になるだろうと言われていた。
そんな未来の死神を、一族で腐らせておくのは勿体ない、もっとさらに上流貴族と縁談をすすめて、京楽家を安泰にしようという目論見だった。
わかっていたので、浮竹が京楽邸に行きたいというと、今年はだめなのだとつっぱねた。
京楽は、一度きっぱりと両親に断った。男の恋人がいるので、見合い縁談はなしにしてくれと。それに怒った両親は、相手の浮竹に危害を加えようとした。
なんとか未遂で終わったが、今度こんな真似をしたら、家族の縁を切るといっておいた。
浮竹は知らない。
京楽との関係が、危うい場所にあるのだと。
一度、浮竹を寮に残して京楽邸にきた。両親が喜んでやってきた。浮竹と手を切ったと思っているのだ。
「春水、今度に日曜に、吉祥寺桜の妹の吉祥寺楓と見合いしなさい」
「父上。母上も。俺は、一生結婚も見合いもしません。僕には浮竹がいる。浮竹に手を出したら、父上と母上といえども、容赦はしません」
「ぬう・・・・・」
父親と母親は、ここまで育ててやったのにと、文句をたくさん零しながらも、結局は京楽のことを諦めてくれた。京楽は次男だ。
長男がいい縁談を決めていて、しょせん京楽はついでだったのだ。
「ここまで育ててやったっていうけど、金与えて放置して、扱いにこまって学院に放り込んで・・・死神が決定したら呼び戻すとか、どうかしてるよ」
寮に戻ると、浮竹の膝枕の上で、そう零していた。
「子は親を選べないからな」
「まさにそれ。まぁ、上流貴族として生まれたのはよかったけどね。お金があるお陰で、浮竹と安心して付き合える」
「俺は、お前が貧乏でもお前を選んでいたぞ」
「浮竹にみじめな思いをさせたくないじゃない」
「俺は金がかかるからな。薬代に、食費代・・・・・・」
「薬代は自分で出してるじゃない」
確かにそうだが、京楽の金が浮竹に流れているのは確かだ。
「だが、食費代を随分だしてもらっている。この前も、高級居酒屋に連れていってもらった」
「じゃあ、体で返して?」
「いいぞ」
「え、まじで?」
「まじで」
扇風機をかけたまま、浮竹の院生の服を脱がせる。
つい、4日前につけたばかりのキスマークが残っていた。
そこに上書きするように、キスマークを残していく。
「ああ・・・・」
キスをすると、舌が絡まった。
潤滑油でその場所を解しつつ、前立腺を触ってやると、浮竹の体がはねた。
「ひああああ!」
「気持ちいい?」
「あ。気持ちいい・・・・」
挿入した。
「んあああ!」
衝撃に、浮竹の背が弓なりにしなる。
前立腺ばかりをすりあげると、浮竹は花茎から先走りの蜜を零した。
「ああん!」
ずちゅっと犯されて、浮竹は白濁した液体を散らしていた。
「あああ!」
京楽が、浮竹の全てを侵略していく。前立腺をいじられるだけでいけることを、浮竹は覚えてしまった。
たった数か月で、淫らな体にされてしまった。
3~4日の1回でペースで体を重ねた。
若いので、互いの性欲は旺盛だった。
浮竹はよく熱を出すので、無理に抱くことはしない日もある。
臥せると、安静を兼ねて2週間は手を出さなかった。でも、その次の日に抱かれた時は、本当に出すものがなくなるまで抱かれるので、浮竹は普通のセックスで十分だった。
「あ!」
くちゅりと、浅い部分を犯される。ぬぷぬぷと出入りを繰り返す灼熱に、身もだえる。
「あ、もっと奥に・・・・・いいところ、犯して」
「浮竹は、本当にかわいいね」
言われた通りに、前立腺を犯してやると、浮竹は嬌声をげて白濁した液を散らした。
「あああああああ!!!」
きゅっと内部がしまり、京楽も浮竹の中に熱を放った。
暑い中、セックスは暑いが、それでもお互いを求めあった。
「ひあう!」
ズチュンと音がたてるくらい激しく挿入を繰り返される。
「ひあ!」
前立腺をきっちりとこすりあげていく動きに、浮竹は三度目になる熱を放つ。
最奥まで突き上げて、京楽も浮竹の腹の奥に二度目になる欲望を吐きだした。
お互い、汗まみれだった。
「水風呂に入ろうか」
「んあっ・・・・」
中からひきぬかれるだけでも、浮竹は甘い声をあげる。
「そんなにあおらないでよ。また抱きたくなるじゃない」
「あおってない!今日はもう十分だ!」
二人で水風呂に入って、体も髪も洗ってすっきりして戻ってくる。精液でぐちゃぐちゃになったシーツを、京楽が手で洗った。
「手伝おうか?」
「腰、重いでしょ。休んでて」
セックスをした後は、受け身の浮竹にダメージが残る、
学院のみんなが、浮竹と京楽がついにできたと知っていた。原因は、初めて抱いた日に首筋にいっぱいつけたキスマークのせいだった。
気味悪がられるどころか祝福されて、いい友人をもったものだと、二人とも思った。
「なぁ」
「なぁに?」
「こん関係を、いつまで続けらると思う?」
「どちかが死ぬまで」
「そうか・・・・って、正気か?」
浮竹が、シーツを浴室で洗っている京楽の近くに立った。
「僕は、年をとっても別れる気はないよ。セックスできなくなっても、君から離れたくない」
「それは俺もだが・・・・・・」
「ふふふふ」
「なんだ、気持ち悪いな」
「僕は、浮竹に愛されてるんだな~と思って」
シーツを洗いながらにまにましている京楽。
「それはこちらの台詞だ」
浮竹は、赤くなってそう返すのだった。
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