翡翠に溶ける 親睦会
夏休みも終わり、新学期が始まった。
クラスメイトの中にも、編入であまり顔の知らない生徒も出てきた。
頃合いかなと思って、親睦会という名の宴会が開けられることになった。主催は京楽で、お金も全部京楽が負担してくれる。
ただというだけあって、ほとんどのクラスメイトが顔を出した。
美味い酒に美味い料理。全てただなのだ。
クラスメイトたちは、思い思いに羽を伸ばす。
「ねぇ、浮竹君。京楽君とはどこまでいってるの?もう食べられちゃった?」
ぶーーー。
浮竹が、女生徒の質問に酒を吹き出した。
「な、なんだって?」
「だから、どこまで進んでるのかなーと思って。その調子だと、まだ最後までいってないのね」
きゃあきゃあと、黄色い声をだす女生徒に、浮竹は囲まれた。
「色白い~。お肌すべすべ~」
「白い髪も綺麗。柔らかい。そういえば、浮竹君学院に入ってから髪の毛切ってないよね?伸ばしてるの?」
「ん、ああ。京楽が長いほうが似合うから切るなと」
きゃあああと、女生徒からまた黄色い声があがった。
「京楽君のために髪を伸ばしてるのね・・・すてき♡」
「いや、別にそういうわけじゃあ」
そこに、京楽が割って入ってきた。
「そうそう、浮竹は僕のために髪を伸ばしてくれてるの」
「京楽君、今日はありがとう!こんな高い店なのに、全員分払うって太っ腹!さすが大貴族京楽家ね」
京楽は上流貴族だが、その中でも4大貴族に近い。
「みんな、楽しんでいってね」
浮竹を連れ出す。
「はぁ・・・・最近の女子は、男と男の関係が気になるのか」
「じゃあさ、間近で女の子と女の子ができてたらどうする?」
「うわ、それはすごく気になるな。話してみたくなる」
「それと一緒さ」
「なるほど・・・・」
浮竹は納得してしまった。
浮竹を誘い、料理を食べていく。
酒も飲ませたが、ほろ酔い程度にしておいた。
「おい、京楽。もっと酒を飲ませろー」
ほろ酔いのつもりが、けっこう酔っていた。
浮竹の好む果実酒を用意していたのだが、女生徒たちから強いお酒を飲まされたのだ。
「京楽君、今日はチャンスよ。このまま浮竹君を食べちゃえばいいの」
「気持ちはありがたいけど、こんな酔った浮竹を抱いても、後悔が残るだけだよ。僕は浮竹を大事にしたいんだ」
「純愛ね!」
「ピュアだわ~」
「こら、京楽、女子といちゃついてないで酒もってこーーーい。うぃっく」
「浮竹君、それ以上飲まないほうがいいよ」
「大丈夫大丈夫。酔いつぶれたら、京楽が持って帰ってくれる」
ここまで酔ってしまっては変わらないかと、京楽は浮竹に追加の酒を飲ませた。
それから数分もしないうちに、限界がきたのか寝てしまった。
「あら、浮竹君寝ちゃったの」
「この子、酔うけど、酒を飲みすぎると寝るんだ」
「むふふふ。いいこと聞いちゃった」
「ちょっと、浮竹を酔わせてどうのこうのなんて考えないでよ?」
「大丈夫よ。1回生の吉祥寺桜のようにはなりたくないもの」
懐かしい名前だった。
京楽にまといつき、浮竹をはめた女だ。山じいの手により退学処分になって、風の噂では京楽よりは劣るが、それなりの上流貴族の男を婿入りさせたらしい。
少しだけ、浮竹が目覚めた。
「京楽・・・キスして」
「寮に帰ったらね」
「今がいい」
「仕方ないね」
触れるだけのキスをすると、女生徒が黄色い悲鳴をあげた。
「きゃああああ!生よ、生!」
「眼福~!来て良かった!」
男子生徒たちは、何とも言えない顔をしていたが、かわいい浮竹の様子に頬を赤らめる子もいた。
「浮竹はほんとにかわいいから、僕は心配なんだよ」
「それ分かる~。浮竹君、そこらの女より美人なんだもん。京楽君と付き合う前は、よく同性に告白されてたなー」
「もう、なくなったでしょ」
「ああ、そう言えばそうね」
「京楽~だっこ~~~」
とりあえず、浮竹がこんなかんじだし、時間も遅いので解散ということになった。
女子生徒たちは、浮竹と京楽を最後まで見届けようと、何人かが残っていた。
「世界が、廻ってる・・・京楽のせいだ・・・・・・ZZZZZZZZZZ」
浮竹が眠りだす。
それなりの甘い空気を漫喫できたのか、女生徒たちも帰っていった。
「さてと」
酔っぱらった浮竹を背負って、寮に戻る。
「ん・・・・」
「浮竹、起きたの?」
「水を・・・・・」
コップに水を入れて渡すと、それを全て飲みほした。
「京楽、こっちにこい」
手招きされて、近寄るとぎゅっと抱きしめられた。
「どうしたの」
苦笑する京楽。
「苦しいよ」
「傍にいてくれ。一人は嫌だ」
幼い頃を思い出す。僅か3歳で肺病にかかり、ミミハギ様を宿した。
その肺ではなく、心が痛かった。
幼い頃はまだ兄弟もおらず、友達もおらず、両親は浮竹の薬代を出すために共働きだった。
よく、一人の夜を過ごした。
もう、一人の夜を過ごさなくていい-----------------そう安堵して、浮竹はまた眠りについた。
浮竹に抱きしめられた格好の京楽は、寝てしまった浮竹を起こさないようにその腕をどけた。
それから、ちゃんとパジャマに着替えて・・・・浮竹はまぁ仕方ないので院生の服のままだったが、京楽は浮竹の眠っているベッドに入る。
夏の終わりだ。
まだじわりとした暑さはあるが、夜は大分涼しくなってきた。
浮竹が風邪をひかないように、肩まで薄い布団を被せてあげた。
そして、京楽は浮竹を腕の中に閉じ込めるようにして、眠るのだった。
クラスメイトの中にも、編入であまり顔の知らない生徒も出てきた。
頃合いかなと思って、親睦会という名の宴会が開けられることになった。主催は京楽で、お金も全部京楽が負担してくれる。
ただというだけあって、ほとんどのクラスメイトが顔を出した。
美味い酒に美味い料理。全てただなのだ。
クラスメイトたちは、思い思いに羽を伸ばす。
「ねぇ、浮竹君。京楽君とはどこまでいってるの?もう食べられちゃった?」
ぶーーー。
浮竹が、女生徒の質問に酒を吹き出した。
「な、なんだって?」
「だから、どこまで進んでるのかなーと思って。その調子だと、まだ最後までいってないのね」
きゃあきゃあと、黄色い声をだす女生徒に、浮竹は囲まれた。
「色白い~。お肌すべすべ~」
「白い髪も綺麗。柔らかい。そういえば、浮竹君学院に入ってから髪の毛切ってないよね?伸ばしてるの?」
「ん、ああ。京楽が長いほうが似合うから切るなと」
きゃあああと、女生徒からまた黄色い声があがった。
「京楽君のために髪を伸ばしてるのね・・・すてき♡」
「いや、別にそういうわけじゃあ」
そこに、京楽が割って入ってきた。
「そうそう、浮竹は僕のために髪を伸ばしてくれてるの」
「京楽君、今日はありがとう!こんな高い店なのに、全員分払うって太っ腹!さすが大貴族京楽家ね」
京楽は上流貴族だが、その中でも4大貴族に近い。
「みんな、楽しんでいってね」
浮竹を連れ出す。
「はぁ・・・・最近の女子は、男と男の関係が気になるのか」
「じゃあさ、間近で女の子と女の子ができてたらどうする?」
「うわ、それはすごく気になるな。話してみたくなる」
「それと一緒さ」
「なるほど・・・・」
浮竹は納得してしまった。
浮竹を誘い、料理を食べていく。
酒も飲ませたが、ほろ酔い程度にしておいた。
「おい、京楽。もっと酒を飲ませろー」
ほろ酔いのつもりが、けっこう酔っていた。
浮竹の好む果実酒を用意していたのだが、女生徒たちから強いお酒を飲まされたのだ。
「京楽君、今日はチャンスよ。このまま浮竹君を食べちゃえばいいの」
「気持ちはありがたいけど、こんな酔った浮竹を抱いても、後悔が残るだけだよ。僕は浮竹を大事にしたいんだ」
「純愛ね!」
「ピュアだわ~」
「こら、京楽、女子といちゃついてないで酒もってこーーーい。うぃっく」
「浮竹君、それ以上飲まないほうがいいよ」
「大丈夫大丈夫。酔いつぶれたら、京楽が持って帰ってくれる」
ここまで酔ってしまっては変わらないかと、京楽は浮竹に追加の酒を飲ませた。
それから数分もしないうちに、限界がきたのか寝てしまった。
「あら、浮竹君寝ちゃったの」
「この子、酔うけど、酒を飲みすぎると寝るんだ」
「むふふふ。いいこと聞いちゃった」
「ちょっと、浮竹を酔わせてどうのこうのなんて考えないでよ?」
「大丈夫よ。1回生の吉祥寺桜のようにはなりたくないもの」
懐かしい名前だった。
京楽にまといつき、浮竹をはめた女だ。山じいの手により退学処分になって、風の噂では京楽よりは劣るが、それなりの上流貴族の男を婿入りさせたらしい。
少しだけ、浮竹が目覚めた。
「京楽・・・キスして」
「寮に帰ったらね」
「今がいい」
「仕方ないね」
触れるだけのキスをすると、女生徒が黄色い悲鳴をあげた。
「きゃああああ!生よ、生!」
「眼福~!来て良かった!」
男子生徒たちは、何とも言えない顔をしていたが、かわいい浮竹の様子に頬を赤らめる子もいた。
「浮竹はほんとにかわいいから、僕は心配なんだよ」
「それ分かる~。浮竹君、そこらの女より美人なんだもん。京楽君と付き合う前は、よく同性に告白されてたなー」
「もう、なくなったでしょ」
「ああ、そう言えばそうね」
「京楽~だっこ~~~」
とりあえず、浮竹がこんなかんじだし、時間も遅いので解散ということになった。
女子生徒たちは、浮竹と京楽を最後まで見届けようと、何人かが残っていた。
「世界が、廻ってる・・・京楽のせいだ・・・・・・ZZZZZZZZZZ」
浮竹が眠りだす。
それなりの甘い空気を漫喫できたのか、女生徒たちも帰っていった。
「さてと」
酔っぱらった浮竹を背負って、寮に戻る。
「ん・・・・」
「浮竹、起きたの?」
「水を・・・・・」
コップに水を入れて渡すと、それを全て飲みほした。
「京楽、こっちにこい」
手招きされて、近寄るとぎゅっと抱きしめられた。
「どうしたの」
苦笑する京楽。
「苦しいよ」
「傍にいてくれ。一人は嫌だ」
幼い頃を思い出す。僅か3歳で肺病にかかり、ミミハギ様を宿した。
その肺ではなく、心が痛かった。
幼い頃はまだ兄弟もおらず、友達もおらず、両親は浮竹の薬代を出すために共働きだった。
よく、一人の夜を過ごした。
もう、一人の夜を過ごさなくていい-----------------そう安堵して、浮竹はまた眠りについた。
浮竹に抱きしめられた格好の京楽は、寝てしまった浮竹を起こさないようにその腕をどけた。
それから、ちゃんとパジャマに着替えて・・・・浮竹はまぁ仕方ないので院生の服のままだったが、京楽は浮竹の眠っているベッドに入る。
夏の終わりだ。
まだじわりとした暑さはあるが、夜は大分涼しくなってきた。
浮竹が風邪をひかないように、肩まで薄い布団を被せてあげた。
そして、京楽は浮竹を腕の中に閉じ込めるようにして、眠るのだった。
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