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翡翠は揺れる

ある日、浮竹の機嫌が悪そうだった。どうしたのかと聞くと、ふてくされた表情で名を呼ばれた。

「京楽・・・」

「浮竹?」

「蒼って遊女・・・・俺の代わりなのか?」

ぎくりとした。

浮竹は話す。

京楽がいつもいく色街に出かけて、京楽の馴染みだからと話すと、蒼をあてがわれた。

蒼は、浮竹の存在を見て笑っていた。

「京楽の旦那は、あんたの代わりにあたしを抱くんだよ。そりゃもう、激しくてね。あんた、京楽の旦那に抱かれる勇気なんてないでしょう?京楽の旦那は、あんたが抱かせないからあたしを買いににくるんだ」

顔を蒼くして、うつむいている浮竹に、蒼は続けた。

「それに、浮竹といったかい?あたしは今、京楽のだんなの子を身籠っているんだ」

「嘘だ!」

浮竹が叫ぶと、蒼は高笑いをした。

「あははははは!あたしの一人勝ちだね!あんたはせいぜい、京楽の旦那の傍で尻尾ふってるといいよ。京楽の旦那は、あたしのものだ!」

蒼の頬をはたいて、浮竹は逃げ出した。怒りで、気がどうにかなりそうだ。くやしくて、涙がにじむ。

嘘だ嘘だ嘘だ。

そう言い聞かせて。

「蒼が身籠っている?そんなの嘘だ!」

「でも彼女は、確かに-------」

「僕だって、そんな間違いが起こらないようにちゃんと避妊していた!」

その言葉に、浮竹は安堵していた。

「そうか・・・よかった・・・・・」

「浮竹?」

「お前の子を身籠っていると聞いて、殺してやろうかと思った」

浮竹の抱く、渦巻く感情を何と言えばいいのだろう。

「もう、あんな女、俺の代わりに抱くな」

京楽に抱き着いて、浮竹は体を震わせた。

「俺を・・・・・抱いて、いいから」

怖くて怖くて、本当は逃げ出したい。

「無理しなくていいんだよ」

「でも!あんな女を買うくらいなら!」

「もう、女は買わない。君を無理やり・・・強姦するような真似はしない」

「それじゃあ、京楽はどうやって・・・・」

「なに、一人で抜くよ。それより、君はどうなんだい?」

「何が?」

「一人で抜くとき、どうしてるんだい?」

かっと、朱くなって京楽を突き飛ばした。

「な、何を言って・・・・・・」

「君だって男だ。溜まる時もあるでしょう?どうやって抜いてるのかな?僕を思ってくれていると、嬉しいな」

京楽が、体を密着させてきた。

「君も、たまっているんでしょ?抜いてあげる」

「京楽!」

浮竹の制止の声を聞かず、服の上から浮竹のそれをなぞる。何度もそうしていると、浮竹のものが立ち上がりかけた。

「やあっ」

直接の刺激は、あまりにも急すぎて。

衣服の合わせ目から、手が侵入してきた。

いつの間にか、前をくつろげられていた。

しごくように扱うと、少し頭をもたげていたそれは硬くなった。

「京楽!」

「大丈夫。気持ちよくなるだけだから」

「ああっ!」

何度がしごいて、先端に爪をたてると、呆気なく浮竹は果てた。

はぁはぁと、荒い息をついている浮竹の腰に、硬くなっている京楽のものがあたっていた。

「君の手で、処理してくれると嬉しいんだけど」

「これ、俺のせいなのか?」

「そうだよ。君がイク姿を見ていたら、こんなになっちゃった」

京楽は、前をくつろげて、そそり立ったものを見せた。

「手でしごいてくれればいいから・・・・・」

言われるままに、手を上下させると、京楽のものは先ばしりの液を出した。

「ああいいよ。とてもきもちいいよ、十四郎」

下の名を呼ばれて、かっと浮竹が朱くなった。

しごき続けると、京楽も浮竹の手に熱を放った。

でも、お互いまだ足りなかった。

浮竹の花茎に、いきなり京楽は唇をはわせた。

「ああっ、京楽っ」

「春水って呼んで?」

「春水・・・だめだっ」

口腔にいれて、舐めあげる。すぐに硬くなった花茎は、けれど射精前に京楽の手が戒めた。

「やあっいきたい!」

「少し我慢して?」

京楽は、唇を舐めた。

自分のそそり立ったものを、浮竹の花茎にそえて、二本同時にしごきだす。

「ほら、浮竹も」

「ああっ」

矯正をあげながらも、浮竹は自分のものと京楽のものに手を添えて、しごきだす。はきだされた液で、ぬるぬると滑る。

「んあっ」

「いいよ、十四郎・・・・そのまま、最後まで」

「あああああああああっ」

びくんと、浮竹が体を痙攣させた。吐き出された精液は、シーツと衣服を汚した。

「着換て、シーツも洗濯しなきゃね」

はぁはぁと、荒い息をついている浮竹にキスして、衣服を新しいのに着換えさせて、自分も着替えてシーツを交換した。

「気持ちよかったでしょ?」

コクリと、恥ずかしそうに浮竹は頷いた。

「いつか、君が僕の全てを受け入れてくれるまで、待つから-----------」

甘いしびれは、いつまでも浮竹を支配していた。

翡翠の瞳は揺れる。

京楽をずっと我慢させるわけはいかないと分かっていても、踏み出せない。ただ、怖くて。

翡翠の瞳は、ずっと京楽を映していた。











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