耳かきと天ぷら
「海燕、お腹減った。何か作ってくれ」
「まだ4時ですよ。12時に昼餉食べたばかりでしょう」
「でも、今日は甘味物をたべていないから、お腹がすいた。何か作ってくれないと、駄々をこねるぞ」
「好きに駄々こねてください」
じたばたした後、ごろごろを畳を転がりだした浮竹に、海燕は大きなため息をついた。
「何か、果物でもないか見てきます」
「そうしてくれ」
隊舎に戻ると、柿が山ほどあった。
その柿を手に戻ってくると、浮竹は皮つきのまましゃりしゃりと食べだした。
「ちょっと、皮剥かなくていいんですか」
「ああ、子供の頃から柿は皮つきのまま食べていた。主に、弟が盗んでもぎ取ってっきた柿を」
「隊長は8人兄弟ですからね・・・・両親の稼ぎだけじゃ足りなかったんじゃないですか?」
「おまけに、俺は肺をやられていて、薬代に借金までこさえていた。隊長になった今は、今まで苦労をかけた分、仕送りをしている」
「隊長の仕送りの額って半端じゃないですからね」
「一族が、俺の仕送りに頼っているからな。本当は、もう少し自立を促したいんだが」
「いっそ、仕送りやめたらどうですか」
海燕の言葉に、京楽は首を横に振った。
「弟妹が、仕事についていないんだ。俺が仕送りをやめると、困窮する」
「はぁ・・・・隊長になったらなったで、そういう問題も起こるんですね」
「そういう海燕はどうなんだ。仕送りとかしているのか?」
「いや、うちんとこは没落したとはいえ、元5大貴族ですよ。金はまだあります」
「そういえば、海燕は一応元上流貴族だったな」
「一応は余計です」
浮竹は、海燕の膝に頭を乗せた。
「なんですか、甘えて」
「耳かきしてくれ」
「はいはい」
耳かきをされて、その気持ちよさに欠伸が出る。
「う~き~た~け~」
暖簾をかき分けて入ってきた京楽、海燕に耳かきをしてもらっている浮竹を見て、おどろおどろしい声をだしていた。
「どうした、京楽。けっそうな顔をして」
「う~わ~き~は~ゆ~る~さ~な~い~よ~~」
「浮気?これが?ただ海燕に耳かきをしてもらっていただけだぞ」
「海燕君、耳かきの道具かしてくれる?」
「あ、はい」
選手交代だ。
京楽の膝に頭を乗せて、京楽に耳かきをしてもらった。
「んー。やっぱ、海燕のほうがうまい」
「そんなこと言わないで。海燕君とのスキンシップはほどほどに」
「京楽は、焼きもち焼きだな」
「そうだよ。浮竹のことになると、僕は独占的になるの」
「海燕にまで嫉妬するなんて、大人げないぞ」
「大人げなくて結構」
浮竹は、今日の分の仕事にとりかかった。
京楽も、8番隊からもってきた仕事を片付けていく。
海燕は思う。ちゃんと8番隊の執務室で仕事をすればいいのにと。でも、浮竹のことがすきだから、傍にいたいんだろうなという気持ちも分からないでもなかった。
「そういえば、海燕、都とはどうなんだ?」
「なっ、どこでそれを!」
「いや、都が言ってきたんだが」
今海燕は都という13番隊の席官の女性と付き合っていた。
「はぁ・・・・都のばか。よりによって隊長にいうなんて」
「なんだ、俺に知られてはまずいことでもあるのか?」
「隊長のことだ、絶対からかってくる!」
にまにました顔で、浮竹は首を横に振った。
「いやいや、愛しい副官をからかうだなんてそんな」
「その笑みはなんですか」
「いやいやいや」
「結婚式には、僕も呼んでね」
「京楽隊長!余計なこと言わないでください!」
「結婚かぁ。海燕も立派になったものだなぁ」
「まだ、付き合ってるだけですからね!」
ぐー。
浮竹の腹がなった。
「浮竹、お腹すいたの?」
「柿をいくつか食べたんだが・・・足りないようだ」
「ちょっと、壬生の甘味屋まで、おはぎ買いに行ってくるよ」
「いいのか、京楽?」
「愛しい浮竹にひもじい思いなんてさせれないからね」
さっと瞬歩で去って行った京楽は、15分ほどして帰ってきた。
重箱につまったおはぎを、浮竹はぺろりと平らげた。
「ほんと、甘味物はよく食べるね。3人前はあったんだけど」
「夕餉も食べるぞ」
「はぁ、ほんとによく食べるね」
京楽と浮竹は、夕餉の間まで抱き合ったりキスしたりして、ごろごろしていた。
「俺は空気ですか」
「ああ、いたのか海燕」
「ずっといました」
「空気というか、置物だな」
「どっちにしろ、酷いです」
海燕は、時間なので夕餉を2人分もってきてくれた。
「今日は天ぷらか・・・・・・」
「隊長、好きでしょう?特別に海老3匹です」
夕餉をぺろりと平らげた浮竹は、デザートの杏仁豆腐を食べていた。
じっと、京楽の杏仁豆腐を眺めるものだから、京楽があげようとして、海燕に止められた。
「隊長は、物欲しそうに他人の料理をもらわないこと!」
「えーけち。海燕のけちー」
浮竹は、また駄々をこねだした。
本当に、この上司は手がかかる。
でも、駄々のこね方とかかわいいので、ほっこりする。
ごろごろと畳を転がりだした浮竹に溜息をついて、海燕は京楽が残してくれた杏仁豆腐と、結局浮竹に食べさせてしまうのだった。
我ながら甘いと思いつつも、上官の畳を転がるわけのわからない駄々のこね方ってなんなんだろうと思うのであった。
「まだ4時ですよ。12時に昼餉食べたばかりでしょう」
「でも、今日は甘味物をたべていないから、お腹がすいた。何か作ってくれないと、駄々をこねるぞ」
「好きに駄々こねてください」
じたばたした後、ごろごろを畳を転がりだした浮竹に、海燕は大きなため息をついた。
「何か、果物でもないか見てきます」
「そうしてくれ」
隊舎に戻ると、柿が山ほどあった。
その柿を手に戻ってくると、浮竹は皮つきのまましゃりしゃりと食べだした。
「ちょっと、皮剥かなくていいんですか」
「ああ、子供の頃から柿は皮つきのまま食べていた。主に、弟が盗んでもぎ取ってっきた柿を」
「隊長は8人兄弟ですからね・・・・両親の稼ぎだけじゃ足りなかったんじゃないですか?」
「おまけに、俺は肺をやられていて、薬代に借金までこさえていた。隊長になった今は、今まで苦労をかけた分、仕送りをしている」
「隊長の仕送りの額って半端じゃないですからね」
「一族が、俺の仕送りに頼っているからな。本当は、もう少し自立を促したいんだが」
「いっそ、仕送りやめたらどうですか」
海燕の言葉に、京楽は首を横に振った。
「弟妹が、仕事についていないんだ。俺が仕送りをやめると、困窮する」
「はぁ・・・・隊長になったらなったで、そういう問題も起こるんですね」
「そういう海燕はどうなんだ。仕送りとかしているのか?」
「いや、うちんとこは没落したとはいえ、元5大貴族ですよ。金はまだあります」
「そういえば、海燕は一応元上流貴族だったな」
「一応は余計です」
浮竹は、海燕の膝に頭を乗せた。
「なんですか、甘えて」
「耳かきしてくれ」
「はいはい」
耳かきをされて、その気持ちよさに欠伸が出る。
「う~き~た~け~」
暖簾をかき分けて入ってきた京楽、海燕に耳かきをしてもらっている浮竹を見て、おどろおどろしい声をだしていた。
「どうした、京楽。けっそうな顔をして」
「う~わ~き~は~ゆ~る~さ~な~い~よ~~」
「浮気?これが?ただ海燕に耳かきをしてもらっていただけだぞ」
「海燕君、耳かきの道具かしてくれる?」
「あ、はい」
選手交代だ。
京楽の膝に頭を乗せて、京楽に耳かきをしてもらった。
「んー。やっぱ、海燕のほうがうまい」
「そんなこと言わないで。海燕君とのスキンシップはほどほどに」
「京楽は、焼きもち焼きだな」
「そうだよ。浮竹のことになると、僕は独占的になるの」
「海燕にまで嫉妬するなんて、大人げないぞ」
「大人げなくて結構」
浮竹は、今日の分の仕事にとりかかった。
京楽も、8番隊からもってきた仕事を片付けていく。
海燕は思う。ちゃんと8番隊の執務室で仕事をすればいいのにと。でも、浮竹のことがすきだから、傍にいたいんだろうなという気持ちも分からないでもなかった。
「そういえば、海燕、都とはどうなんだ?」
「なっ、どこでそれを!」
「いや、都が言ってきたんだが」
今海燕は都という13番隊の席官の女性と付き合っていた。
「はぁ・・・・都のばか。よりによって隊長にいうなんて」
「なんだ、俺に知られてはまずいことでもあるのか?」
「隊長のことだ、絶対からかってくる!」
にまにました顔で、浮竹は首を横に振った。
「いやいや、愛しい副官をからかうだなんてそんな」
「その笑みはなんですか」
「いやいやいや」
「結婚式には、僕も呼んでね」
「京楽隊長!余計なこと言わないでください!」
「結婚かぁ。海燕も立派になったものだなぁ」
「まだ、付き合ってるだけですからね!」
ぐー。
浮竹の腹がなった。
「浮竹、お腹すいたの?」
「柿をいくつか食べたんだが・・・足りないようだ」
「ちょっと、壬生の甘味屋まで、おはぎ買いに行ってくるよ」
「いいのか、京楽?」
「愛しい浮竹にひもじい思いなんてさせれないからね」
さっと瞬歩で去って行った京楽は、15分ほどして帰ってきた。
重箱につまったおはぎを、浮竹はぺろりと平らげた。
「ほんと、甘味物はよく食べるね。3人前はあったんだけど」
「夕餉も食べるぞ」
「はぁ、ほんとによく食べるね」
京楽と浮竹は、夕餉の間まで抱き合ったりキスしたりして、ごろごろしていた。
「俺は空気ですか」
「ああ、いたのか海燕」
「ずっといました」
「空気というか、置物だな」
「どっちにしろ、酷いです」
海燕は、時間なので夕餉を2人分もってきてくれた。
「今日は天ぷらか・・・・・・」
「隊長、好きでしょう?特別に海老3匹です」
夕餉をぺろりと平らげた浮竹は、デザートの杏仁豆腐を食べていた。
じっと、京楽の杏仁豆腐を眺めるものだから、京楽があげようとして、海燕に止められた。
「隊長は、物欲しそうに他人の料理をもらわないこと!」
「えーけち。海燕のけちー」
浮竹は、また駄々をこねだした。
本当に、この上司は手がかかる。
でも、駄々のこね方とかかわいいので、ほっこりする。
ごろごろと畳を転がりだした浮竹に溜息をついて、海燕は京楽が残してくれた杏仁豆腐と、結局浮竹に食べさせてしまうのだった。
我ながら甘いと思いつつも、上官の畳を転がるわけのわからない駄々のこね方ってなんなんだろうと思うのであった。
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