色のない世界・ゼロ
君がいなくなって、15年が経った。
世界は変わったよ。
もう、大戦の爪痕はほとんどない。
そうそう、君の大切な副官だったルキアちゃんが、阿散井君と結婚したんだ。
苺花というかわいい女の子を産んだよ。
もう8歳だろうか。
班目君の元で、剣の稽古に励んでいるよ。
君のあとは、ルキアちゃんが継いだんだ。
君も、ルキアちゃんなら安心だろう?
ああ、本当に君がいない15年はあっという間だった。
「会いたいねぇ・・・・・・」
君に、会いたい。
一目でいいから。
でも、それは叶わぬ願い。
いつの間にか眠ってしまったみたいだった。
「京楽、元気にしてるか?」
「浮竹!?」
ああ、これは夢か。
そう分かっても、僕にはありがたかった。
「ちょっとな・・・花の神に・・・・」
花の神。浮竹が赤子の頃祝福を授けたという田舎で崇められている名もなき神様。
「花の神は、世界を渡るから。俺も一緒に渡ってきたんだ。夢の中だけだけど、これは現実だ」
「現実?」
「ほら、俺は生きている」
僕は浮竹の隣に並んだ。浮竹ははにかみながら、僕の手をとって、心臓のある位置に置いた。
トクントクンと、鼓動がする。
「本当だ、生きてる」
「夢の中だけだけどな」
それでも。
君が生きていてくれるなら、それだけでいい。
「あの手紙、読んだのか」
「ああ・・・・君が死ぬ1日前に残した手紙だね。読んだよ。いっぱい泣いた。泣きすぎて目が赤くなったよ」
「すまなかった。もっとこう・・・・明るい、未来の話にしておけばよかったな」
「そうでもないよ。あの手紙のお陰で、君への想いがまた生まれた。何度でも繰り返す。君が好きだ。君を愛している」
僕は、浮竹の長い白髪を手にとった。
サラサラとした触覚がして、本当に浮竹は生きているんだと実感した。
「ねぇ、君はこのまま、去ってしまうの?」
「ああ。俺は、この世界では死んでいるから」
「別の世界なら、君は生きているの?」
「ああ」
「いいな。僕もそっちの世界にいってみたい」
「こっちには、こっちの京楽がいるんだ」
浮竹が、困ったように微笑んだ。
「そう、僕が。ややこしいね」
「京楽、一人でいるのか寂しいか?」
「かなりね。でも、みんないるから・・・絶望とまではいかないかな」
「よかった・・・・・・・」
浮竹は、心から安堵した様子で、僕の傍にきて僕を抱き締めた。
暖かった。
「俺は、いつまでもお前を思っている。その証に、これを」
翡翠の石を、渡された。
僕あげたものではない、別の翡翠の石だった。
形も色も違ったから、別物だとはっきりわかった。
「これを、せめて俺と思ってもっていてくれ。俺は、いつでもお前を見守っているから」
「君は・・・・いってしまうんだね」
「ああ。俺はすでに死んでいるからな」
「ねぇ、夢の中なら、またいつか会える?」
「さぁ、どうだろう」
浮竹は、困った顔をした。
ああ。
そんな表情の君さえ、愛しい。
「愛してる、十四郎」
「俺も愛してる、春水」
唇に、触れるだけのキスをした。
「時間切れだ。お前はもう目覚めなきゃいけない」
「嫌だよ・・・・もっと君と語らっていたい。君の傍にいたい」
「京楽総隊長だろ。我儘いうな」
「そうだね。今の僕は京楽総隊長だ。しっかり、しないとね」
ふわりと微笑んで、浮竹は花びらとなって散っていく。
「いつか、お前を迎えにいくよ。それまで、長生きしろよ!」
「浮竹、愛してるよ!」
「ああ、俺も愛してる」
目が覚めた。
「ああ。いい夢だった。覚めなきゃよかったのに」
ふと、甘い花の香がした。
浮竹の匂いだ。
部屋を見ると、桜の花にまみれていた。そして、僕の手の中には夢の中で、浮竹が渡してくれた翡翠の石があった。
「・・・・・・浮竹・・・・」
僕は、ポロリと一粒の涙を流した。
いつかいつか。
僕の命が果てたら。
むかえにきてね、浮竹。
愛してるよ。
色あせることのない、永遠の愛を君に。、
世界は変わったよ。
もう、大戦の爪痕はほとんどない。
そうそう、君の大切な副官だったルキアちゃんが、阿散井君と結婚したんだ。
苺花というかわいい女の子を産んだよ。
もう8歳だろうか。
班目君の元で、剣の稽古に励んでいるよ。
君のあとは、ルキアちゃんが継いだんだ。
君も、ルキアちゃんなら安心だろう?
ああ、本当に君がいない15年はあっという間だった。
「会いたいねぇ・・・・・・」
君に、会いたい。
一目でいいから。
でも、それは叶わぬ願い。
いつの間にか眠ってしまったみたいだった。
「京楽、元気にしてるか?」
「浮竹!?」
ああ、これは夢か。
そう分かっても、僕にはありがたかった。
「ちょっとな・・・花の神に・・・・」
花の神。浮竹が赤子の頃祝福を授けたという田舎で崇められている名もなき神様。
「花の神は、世界を渡るから。俺も一緒に渡ってきたんだ。夢の中だけだけど、これは現実だ」
「現実?」
「ほら、俺は生きている」
僕は浮竹の隣に並んだ。浮竹ははにかみながら、僕の手をとって、心臓のある位置に置いた。
トクントクンと、鼓動がする。
「本当だ、生きてる」
「夢の中だけだけどな」
それでも。
君が生きていてくれるなら、それだけでいい。
「あの手紙、読んだのか」
「ああ・・・・君が死ぬ1日前に残した手紙だね。読んだよ。いっぱい泣いた。泣きすぎて目が赤くなったよ」
「すまなかった。もっとこう・・・・明るい、未来の話にしておけばよかったな」
「そうでもないよ。あの手紙のお陰で、君への想いがまた生まれた。何度でも繰り返す。君が好きだ。君を愛している」
僕は、浮竹の長い白髪を手にとった。
サラサラとした触覚がして、本当に浮竹は生きているんだと実感した。
「ねぇ、君はこのまま、去ってしまうの?」
「ああ。俺は、この世界では死んでいるから」
「別の世界なら、君は生きているの?」
「ああ」
「いいな。僕もそっちの世界にいってみたい」
「こっちには、こっちの京楽がいるんだ」
浮竹が、困ったように微笑んだ。
「そう、僕が。ややこしいね」
「京楽、一人でいるのか寂しいか?」
「かなりね。でも、みんないるから・・・絶望とまではいかないかな」
「よかった・・・・・・・」
浮竹は、心から安堵した様子で、僕の傍にきて僕を抱き締めた。
暖かった。
「俺は、いつまでもお前を思っている。その証に、これを」
翡翠の石を、渡された。
僕あげたものではない、別の翡翠の石だった。
形も色も違ったから、別物だとはっきりわかった。
「これを、せめて俺と思ってもっていてくれ。俺は、いつでもお前を見守っているから」
「君は・・・・いってしまうんだね」
「ああ。俺はすでに死んでいるからな」
「ねぇ、夢の中なら、またいつか会える?」
「さぁ、どうだろう」
浮竹は、困った顔をした。
ああ。
そんな表情の君さえ、愛しい。
「愛してる、十四郎」
「俺も愛してる、春水」
唇に、触れるだけのキスをした。
「時間切れだ。お前はもう目覚めなきゃいけない」
「嫌だよ・・・・もっと君と語らっていたい。君の傍にいたい」
「京楽総隊長だろ。我儘いうな」
「そうだね。今の僕は京楽総隊長だ。しっかり、しないとね」
ふわりと微笑んで、浮竹は花びらとなって散っていく。
「いつか、お前を迎えにいくよ。それまで、長生きしろよ!」
「浮竹、愛してるよ!」
「ああ、俺も愛してる」
目が覚めた。
「ああ。いい夢だった。覚めなきゃよかったのに」
ふと、甘い花の香がした。
浮竹の匂いだ。
部屋を見ると、桜の花にまみれていた。そして、僕の手の中には夢の中で、浮竹が渡してくれた翡翠の石があった。
「・・・・・・浮竹・・・・」
僕は、ポロリと一粒の涙を流した。
いつかいつか。
僕の命が果てたら。
むかえにきてね、浮竹。
愛してるよ。
色あせることのない、永遠の愛を君に。、
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