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色のない世界番外編

「愛しているよ」

「俺も愛してる」

二人の恋人であり結ばれた伴侶は、愛を囁きあった。


護廷13隊1番隊隊長京楽春水。元13番隊隊長浮竹十四郎。

花の神に再び命をもらった二人は、寄り添いあいながら生きた。

結婚して、2年が経とうとしていた。

ルキアと恋次の子、苺花は10歳になり、元々おませだったのが余計に酷くなってきた。

「そろそろ、チカさんと体の関係を築きたいんだけど・・・」

「だめ、絶対だめ!」

「そうだぞ、せめてあと最低5年は待て!」

1番隊の執務室に遊びにきていた苺花は、京楽と浮竹の言葉に唇を尖らせた。

「えーなんでー。あたし、おっぱいふくらんできたし、もう月経もはじまってるよ」

「おい、まだ10歳だったよな」

「最近の子は発育がいいからね」

こそこそと相談しあう二人。

「この件、朽木に相談するか?」

「そうだね、ルキアちゃんにちゃんと説明したほうがいいだろうね」

「ねーねー。何こそこそ話してるの、シロさん総隊長」

「この尸魂界では、14歳未満の子は体の関係は築いちゃだめなの」

「えー絶対嘘!それ現世の法律じゃん」

「苺花ちゃん、もっと自分を大切にしろ」

「シロさん、いつも総隊長と寝てるんでしょ?チカさんと同じことしたいだけだよ?」

「それがだめなんだ!」

浮竹が、がたんと立ち上がって、苺花の両肩を掴む。

「俺と京楽は爛れた関係だから、少々何かあろうがどうでもいいけど、苺花ちゃんは初めてだろう!しかもまだ10歳だ!初めてはもっと、特別にとっておくものだ!」

「えー。だからチカさんと」

「綾瀬川3席と君が寝たら、綾瀬川3席が処罰をうけるんだよ」

「ええっ、まじで?」

「まじで。児童への姦淫罪で」

「ああ、そうだ。だから、まだ初めては、せめて15歳になるまでとっておきなさい」

「あと5年か~。あたし、待てるかな?チカさんに恋人できたらどうしよう」

「綾瀬川3席に恋人はできないんじゃないかい。あの子、自分のこと大好きのナルシストだし」

「え、じゃああたしを恋人にしてくれないの?」

目にみるみる涙をためて、苺花は泣きだした。

「うわーん。総隊長がいじめるーーー」

「いじめてないから!」

「お菓子あげるから、泣き止みなさい」

浮竹が、日番谷にあげようとしていたキャンディの入った缶詰を、苺花にあげた。

「あーそういえば、バロウィンだな。せっかくだし、ハロウィンパーティーでもしようか」

浮竹の思い付きで、10月最後の日はハロウィンパーティーが行われることになった。


みんな、その日は思い思いのコスプレをして、カボチャを使った料理や、普通のお菓子を食べたりした。

「ハッピーハロウィン。トリックオアトリート」

ルキアが、チャッピーの恰好をして、旦那の恋次にお菓子をねだっていた。

旦那の恋次は、チャッピーの着ぐるみを無理やり着せられていた。ちょっとシュールだった。

それより目を引いたのは、白哉のわかめ大使の着ぐるみだろうか。

シュールだが、怖くて誰も笑えなかったとこを、浮竹が笑いだした。

「白哉、なんだその恰好は!せっかくの美貌が台無しだぞ。あはははは」

「兄は・・・・・トリックオアトリート」

「む、お菓子は日番谷隊長にあげてしまってないぞ」

「私が、兄にあげたいのだ。わかめ大使スペシャルだ」

どんと、どこに隠して持っていたのか、巨大わかめ大使や、わかめ大使チョコ、キャンディ・・・・・いろいろ詰まったお菓子セットを渡された。

「ありがとう、白哉」

「兄は、今幸せか?総隊長と結婚して・・・・・・」

「ああ、幸せだぞ。毎日を大切にしながら過ごしている」

「そうか。それならよいのだ」

白哉はルキアのほうへいった。ルキアは、白哉と同じで芸術的センスがちょっといかれているので、わかめ大使の着ぐるみをきた義兄を、「さすが兄様とても似合っています」と褒めまくっていた。

白哉も、まんざらではなさそうだった。

写真を撮ったり撮りあったり。

日番谷は、狼男のコスプレを松本は魔女のコスプレをしていた。

「あーん、隊長のコスプレかわいいー写真撮っていいですよね?」

「松本は、ちょっと年齢考えたらどうだ」

「ひどい!わたし、まだまだぴちぴちですよ!女の子です」

「女の子だって・・・・年考えろってやつだね」

フランケンシュタインにコスプレした弓親が、松本を怒らせる。

「なんですってーーー!」

「おお怖い。更年期障害かな」

「キーーー!」

京楽はかぼちゃそのもののコスプレを・・・これも笑えるのだが。

浮竹は、お岩さんのコスプレをしていた。

なんかちょっと、趣旨がずれていた。

浮竹の芸術センスもゼロだから、みんなまったりとして、京楽の恰好もきっと浮竹の仕業だと話しだす。

事実、その通りだった。

ハロウィンでは、コスプレのコンテストもあった。

優勝したのは白哉だった。

開催したのは京楽である。金一封などは意味もないだろうから、現世への旅行へ行けるチケットと有給休暇をあげた。

「ルキア、恋次、苺花。北海道へいくぞ」

「お、いいですね、隊長」

「兄様が選ぶ場所は間違っていない!」

「白哉叔父様の選ぶ場所はいいとこ!」

朽木家と縁続きのある者たちは、金銭感覚がおかしい。唯一まともなのは恋次だった。


「はぁ。久しぶりにみんなでわいわい楽しめたな」

「そうだね。こういうの、たまにはいいよね」

コスプレを終えて、元に恰好に戻る。

1番隊の隊首室の奥にある寝室で、浮竹は大きなベッドの上に体を投げ出した。

「今年ももう10月の終わりか。年末年始も、あっという間だろうな」

「そうだね」

浮竹に覆いかぶさって、京楽が口づける。

「んっ」

「今日は、していいかい?2週間ぶりだし」

「ああ、いいぞ」

浮竹からYESをもらって、口づけあいながら、違いの衣服を脱がしていく。

「んあっ」

中に入ってきた京楽の熱い熱を感じた。

「あああっ」

前立腺をすりあげていく性急な動きに、浮竹が京楽に抱き着いた。

「もっとゆっくり・・・・俺はもう、消えたりしないから」

「ごめん。ちょっと急すぎたね」

ゆっくりと内部を侵していく。

「あっ」

胸の先端をかじられ、入れられたまま揺さぶられた。

「ひあっ・・・・・いあああ」

前立腺をこすりあげられて、花茎に手をかけられる。あっという間に吐精してしまった。

「んっ」

そのまま体位を変えられ、後ろから貫かれた。

「ああっ!」

咥内に、指が入ってくる。

「んうっ」

舌を絡める。

浮竹は、ペロリと自分の唇を舐めた。

「はぁっ」

引き抜かれ、また挿入される。何度かその行為を繰り返していくうちに、結合部から水音がした。ぐちゃぐちゃと音をたてて、侵される。

「んあ!」

最奥を貫かれて、浮竹は射精した。

腹の奥で、京楽がはじけるのを感じた。

「春水・・・・もっとキスを」

「十四郎は、いつでもかわいいね」

浮竹が、京楽の眼帯を外す。右目がもう見えないが、義眼をはめてあった。浮竹と同じ、緑色の義眼だった。

「オッドアイみたいで、綺麗だ」

「こっちの目は、もうだめで摘出してしまったからね」

「片目だと、きつくないか?」

「もう、慣れてしまったよ」

何度も口づけしあう。

ハロウィンの夜も更けていく。





ふっと、水底で花の神は揺らめいた。

「愛児たちに、祝福あれ・・・」

ぶわりと、寝室の天井から花びらの奔流が降ってくる。

それはちらちらと舞う程度になり、最後は光の雨になって音もなく消えていった。

その光景を見つめながら、思う。

もう一度与えられた命の大切さを。


「俺は幸せだ」

「僕も幸せだよ」

もう、姿を現す力もない花の神に、微笑んだ。

冬になれば、雨乾堂の池に、椿を沈めよう。別名椿の狂い咲きの王のために。

椿姫に恋い焦がれれた、孤独な王に、せめて椿の花を。

色のない世界が色づいていく。

それは、椿の色。

薄紅色だった。


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