蜂蜜(1期)
キラン。
輝くプラチナ色。
歯の再生治療ができるようになる間、引っこ抜いた虫歯の歯のかわりに植え付けられたもの。
ティエリアの右奥歯に。
それはプラチナでできた歯だった。
銀歯や、金歯なら聞いたことがあるが、プラチナってどうなんだろうとロックオンは思った。
「銀歯も金歯もいやだ。ホワイトゴールドがいい」
そう言いだしたティエリアに、ホワイトゴールドの歯なんてあるかと怒ったドクター・モレノだったが、なぜかプラチナの歯が最近地球では流行っていたので、プラチナの歯でどうだと打診したところ、ティエリアが快諾した。
銀歯と金歯以外ならいいらしい。
歯にファッションしても、普段見えないから関係ないだろうにと思うが、何か重要な意味があるらしい。多分。
「ジャボテンダーさんの虫歯も見てください」
ドクター・モレノにジャボテンダーをぐいぐい押しつける、いつものティエリアを見て、ロックオンは苦笑いした。
「おいおい、ドクター・モレノをあんまり困らせるなよ」
「困らせてなどいない。ジャボテンダーさんは前歯が虫歯なのだ」
不思議生物のティエリアには、ジャボテンダーは歯が生えている設定らしい。
あまりにもぐいぐいとジャボテンダーを押し付けるものだから、ドクター・モレノは顔にジャボテンダーの顔を押し付けられて息もできないでいる。
それを見ていたロックオンは、まずはため息を一つ吐いた。
どもまでも不思議生物になったティエリアの腰に手を伸ばし、ジャボテンダーをドクター・モレノに押し付けると、ロックオンはいきなりティエリアにキスをした。
「ん・・・・・ふっ・・・・」
角度を変えて何度も口づけする。
舌で、もう虫歯がないことを確認するように、歯をまさぐった。
「ロックオ・・・・・見てる・・・・からぁ・・・・」
涙目になるティエリア。
ピンクのカーディガンを脱がせて、その下のシャツに手を差し入れ、薄い胸に手を伸ばすと、ティエリアは頬を染めてロックオンとドクター・モレノを交互に見た。
「見てるからぁ、だめぇ」
甘い声は、けれどロックオンの行為を加速させるにすぎない。
ロックオンは、もう一度ティエリアに口づけをする。
薄い胸を撫であげて、脇腹から腰の輪郭を確かめるように手を伸ばすと、ティエリアはロックオンの手にすでに陥落していた。
「見てる・・・・のに・・・」
「おう、診てるぞ。お前らの頭を診てやろうか!」
ロックオンは、ジャボテンダーの魔の手からドクター・モレノを救い出そうと思ったのだが、ティエリアの反応が可愛すぎて、もうどうでもよくなっていた。
「じゃ戻るわ。ジャボテンダーの虫歯治しておいてやってくれ」
ティエリアを抱き上げて、振り向くロックオンに、聴診器をもったドクター・モレノはロックオンの頭に聴診器を当てた。
「ふむ。むふむふ病だな」
「だろ。我慢きかないから戻る」
むふむふ病。それは治らない不治の病である。
よくカップルがいいムードになった時におきる病・・・・ってそんなものあるか、ぼけ。
誰かがその場にいたら、そう突っ込んだだろう。
ティエリアが歯を抜かれて再生治療を受けるまで禁欲生活を過ごそうと思っていたが、すでに我慢を2か月も強いられていたので、ロックオンは不思議生物ティエリアが可愛すぎて、禁欲のことも忘れ去ろうとしていた。
人前でいちゃいちゃを堂々とする二人だが、流石に過度の、肌と肌が触れ合うような行為はしないのだが、ドクター・モレノは例外らしい。
ティエリアの体の構造も知っているし、裸だって何度も見ている。
ティエリアは特別だ。
イノベイターであり、人間ではない。科学が生み出した結晶体だ。その体に性別はなく、ティエリアは中性であった。
ロックオンのせいで、肉体的には女性的な変化が起こり始めているものの、性別のないティエリアを抱くという背徳感に、ロックオンは苛まれることがある。それでも、ティエリアを抱きたくなってしまうのは、男として生まれてしまったせいだろうか。
恋人同士になって、初めは一緒にいるだけで良かった。
だが、一度蜜の味を知ってしまうと、もうだめだ。
ティエリアは甘い甘い蜂蜜だ。ロックオンだけの。
「続き・・・・・する?」
ロックオンとティエリアが同棲する部屋のベッドに横たえられて、ティエリアは潤んだ柘榴の瞳でロックオンを見つめた。
すでに着衣は乱れている。
ロックオンは無言で明りを落とした。
「ジャボテンダーさんの虫歯、治るでしょうか?」
ティエリアは特別だ。不思議生物でもある。
「治るさ」
何度も啄むような優しいキスを繰り返すロックオン。
「そうですね。治るといいな」
優しいキスに応えながら、時間は過ぎていく。
その頃、医務室ではベッドにジャボテンダーを横たえて、ジャボテンダーのカルテをかいているドクター・モレノの姿があったそうな。
ティエリアは蜂蜜だ。
不思議で神聖で天使だ。
性別のない、きっと天使だ。
ティエリアという名の蜂蜜は、ロックオンしか摂取することを許されていない。
何もかも、特別。
ロックオンは、華奢なティエリアを組み敷く。ティエリアはロックオンの背中に爪をたてる。
そんな関係も特別。
ロックオンは思う。ティエリアと関係をもったことが間違いではないと。それがいつか壊れてしまうことを知らない今はまだ、ロックオンとティエリアは幸せに包まれていた。
いつか、壊れてしまうことを、彼らはまだ知らない。
輝くプラチナ色。
歯の再生治療ができるようになる間、引っこ抜いた虫歯の歯のかわりに植え付けられたもの。
ティエリアの右奥歯に。
それはプラチナでできた歯だった。
銀歯や、金歯なら聞いたことがあるが、プラチナってどうなんだろうとロックオンは思った。
「銀歯も金歯もいやだ。ホワイトゴールドがいい」
そう言いだしたティエリアに、ホワイトゴールドの歯なんてあるかと怒ったドクター・モレノだったが、なぜかプラチナの歯が最近地球では流行っていたので、プラチナの歯でどうだと打診したところ、ティエリアが快諾した。
銀歯と金歯以外ならいいらしい。
歯にファッションしても、普段見えないから関係ないだろうにと思うが、何か重要な意味があるらしい。多分。
「ジャボテンダーさんの虫歯も見てください」
ドクター・モレノにジャボテンダーをぐいぐい押しつける、いつものティエリアを見て、ロックオンは苦笑いした。
「おいおい、ドクター・モレノをあんまり困らせるなよ」
「困らせてなどいない。ジャボテンダーさんは前歯が虫歯なのだ」
不思議生物のティエリアには、ジャボテンダーは歯が生えている設定らしい。
あまりにもぐいぐいとジャボテンダーを押し付けるものだから、ドクター・モレノは顔にジャボテンダーの顔を押し付けられて息もできないでいる。
それを見ていたロックオンは、まずはため息を一つ吐いた。
どもまでも不思議生物になったティエリアの腰に手を伸ばし、ジャボテンダーをドクター・モレノに押し付けると、ロックオンはいきなりティエリアにキスをした。
「ん・・・・・ふっ・・・・」
角度を変えて何度も口づけする。
舌で、もう虫歯がないことを確認するように、歯をまさぐった。
「ロックオ・・・・・見てる・・・・からぁ・・・・」
涙目になるティエリア。
ピンクのカーディガンを脱がせて、その下のシャツに手を差し入れ、薄い胸に手を伸ばすと、ティエリアは頬を染めてロックオンとドクター・モレノを交互に見た。
「見てるからぁ、だめぇ」
甘い声は、けれどロックオンの行為を加速させるにすぎない。
ロックオンは、もう一度ティエリアに口づけをする。
薄い胸を撫であげて、脇腹から腰の輪郭を確かめるように手を伸ばすと、ティエリアはロックオンの手にすでに陥落していた。
「見てる・・・・のに・・・」
「おう、診てるぞ。お前らの頭を診てやろうか!」
ロックオンは、ジャボテンダーの魔の手からドクター・モレノを救い出そうと思ったのだが、ティエリアの反応が可愛すぎて、もうどうでもよくなっていた。
「じゃ戻るわ。ジャボテンダーの虫歯治しておいてやってくれ」
ティエリアを抱き上げて、振り向くロックオンに、聴診器をもったドクター・モレノはロックオンの頭に聴診器を当てた。
「ふむ。むふむふ病だな」
「だろ。我慢きかないから戻る」
むふむふ病。それは治らない不治の病である。
よくカップルがいいムードになった時におきる病・・・・ってそんなものあるか、ぼけ。
誰かがその場にいたら、そう突っ込んだだろう。
ティエリアが歯を抜かれて再生治療を受けるまで禁欲生活を過ごそうと思っていたが、すでに我慢を2か月も強いられていたので、ロックオンは不思議生物ティエリアが可愛すぎて、禁欲のことも忘れ去ろうとしていた。
人前でいちゃいちゃを堂々とする二人だが、流石に過度の、肌と肌が触れ合うような行為はしないのだが、ドクター・モレノは例外らしい。
ティエリアの体の構造も知っているし、裸だって何度も見ている。
ティエリアは特別だ。
イノベイターであり、人間ではない。科学が生み出した結晶体だ。その体に性別はなく、ティエリアは中性であった。
ロックオンのせいで、肉体的には女性的な変化が起こり始めているものの、性別のないティエリアを抱くという背徳感に、ロックオンは苛まれることがある。それでも、ティエリアを抱きたくなってしまうのは、男として生まれてしまったせいだろうか。
恋人同士になって、初めは一緒にいるだけで良かった。
だが、一度蜜の味を知ってしまうと、もうだめだ。
ティエリアは甘い甘い蜂蜜だ。ロックオンだけの。
「続き・・・・・する?」
ロックオンとティエリアが同棲する部屋のベッドに横たえられて、ティエリアは潤んだ柘榴の瞳でロックオンを見つめた。
すでに着衣は乱れている。
ロックオンは無言で明りを落とした。
「ジャボテンダーさんの虫歯、治るでしょうか?」
ティエリアは特別だ。不思議生物でもある。
「治るさ」
何度も啄むような優しいキスを繰り返すロックオン。
「そうですね。治るといいな」
優しいキスに応えながら、時間は過ぎていく。
その頃、医務室ではベッドにジャボテンダーを横たえて、ジャボテンダーのカルテをかいているドクター・モレノの姿があったそうな。
ティエリアは蜂蜜だ。
不思議で神聖で天使だ。
性別のない、きっと天使だ。
ティエリアという名の蜂蜜は、ロックオンしか摂取することを許されていない。
何もかも、特別。
ロックオンは、華奢なティエリアを組み敷く。ティエリアはロックオンの背中に爪をたてる。
そんな関係も特別。
ロックオンは思う。ティエリアと関係をもったことが間違いではないと。それがいつか壊れてしまうことを知らない今はまだ、ロックオンとティエリアは幸せに包まれていた。
いつか、壊れてしまうことを、彼らはまだ知らない。
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