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血と聖水と名において15

血の帝国ブラッディアに滞在中、浮竹は実の父のレイモンドと会ってしまった。

何も言えないでいる浮竹に、レイモンドはその顎に手をかけて上を向かせる。

「ますます、母であるブリュンヒルデに似てきたな」

「父様」

「皇帝になれ、ソアラ。いや、今は浮竹十四郎だったか」

「お断りいたします」

「ふふ、そう言うと思って、呪いをかけておいた。三年以内に皇帝にならねば、お前の愛しい花嫁、京楽春水は呪いで狂い死ぬ」

「なんてことを!」

浮竹は、実の父を殴ろうとして、抱きしめられていた。

「ソアラ。皇帝になり、ブリュンヒルデを蘇らせろ」

「呪いの解呪は!?」

「できない。悪魔王ディアブロの呪いだ。解呪方法などない。ただ、お前がおとなしくブラッディアの皇帝となり、愛しい妻で花嫁であるブリュンヒルデを、命の神ライフに生贄を捧げて蘇らせればいい。その後は、皇帝をやめてもかまわん」

「父様は狂ってる。母様は死んだのに」

「お前がライフの精霊、いや、神を使役できるからだ。命の神は死者さえ蘇らせる。なに、生贄など罪を言いわたされたヴァンパイアロードを五人ほど捧げればいい」

浮竹は、それ以上レイモンドと一緒にいたくなくて、赤の館のレイモンドの屋敷を京楽と一緒に飛び出して、自分の館として与えられた緑の館に帰る。

「まいったねぇ。解呪できない死の呪い、かけられちゃったのか」

「三年の猶予がある。その間にでも解呪がだめなら、俺はブラッディアの皇帝になる。京楽、お前を失いたくない」

「うん。仕方ないね」

「すまない。お前まで巻き込んでしまって」

「何言ってるの。ボクは君の花嫁で契約者でしょ」

「ああ。アホの子で変態だがな」

「酷い!」

しくしくと泣きだす京楽の手には、ハンカチ代わりの浮竹のパンツがあった。

「これだから、変態でアホの子なんだ」

「変態は認めるけど、なんでアホの子なの?」

京楽は、前から疑問に思っていたことを口にする。

「空気を読まないからだ。お前、父であるレイモンドの背後で尻文字でアホとかやってただろ」

「ばれてた!?」

「ばれるわ、ぼけ。レイモンドは気づいていなかったようだが。気づいていたら、死ななくても燃やされていたぞ」

「うわぁ、悪魔王ディアブロの名を冠するヴァンパイアマスターの炎、ちょっと味わってみたかったかも」

「そういうところも、アホの所以だ」

「えへへへ、そんなに褒めないでよ」

「褒めとらんわ、だアホ!」

浮竹は京楽をハリセンで殴り、レイモンドの執事に帰るということを伝えて、ウィキティへの転移魔法陣で帰ってきた。

「ああ、久しぶりの我が家だ」

「浮竹がさらわれた時、荒らされたのまだ完全に直してないからね。建物を壊すとか、どんだけアホなんだろね」

「アホのお前にアホ呼ばわりされたら、死んだとはいえS級ヴァンパイアハンターたちも成仏できないだろうな。さまよい出てきて、お前の肩に・・・・・」

「ひいいい、やめてよ!ボク、怖い心霊系はだめなんだよ」

「知ってる。今度、知り合いに頼んで心霊写真手に入れて見せてやろう」

「やーめーてー」

浮竹は、くすりと笑った。

「あ、浮竹、ブラッディアに旅立って滞在して帰ってきて、やっと笑ったね。もう二週間は強張った顔してたよ?」

「そうだな。ブラッディアまでいくのもうつだったし、滞在中もうつだった」

「今日は、ピザを作ろう。君の好きなシーフードの」

「ああ、今から楽しみだ」

浮竹は、京楽と共に仮眠した。血の帝国ブラッディアと外の世界は24時間時間が違う。

入ってでたら、それだけで1日が経っている。


『宿借りにきたよー』

「あ、パートナードラゴンの京楽じゃないか。久しぶりだな」

『あ、ヴァンピールの浮竹!ここ最近留守にしてたみたいだけど、宿を借りるのに何度か館に勝手に泊まらせてもらったよ?』

「ああ、かまわない」

『ヴァンピールの俺、浮かない顔だな?』

「実は、父のレイモンドに・・・・」

事情を説明すると、パートナードラゴンの京楽は、解呪方法があるかもしれないと言っていた。

『ちょっと時間かかるけど、解呪方法探せそうなんだ。期限は三年だよね?』

「ああ」

『その間に、なんとかしてみようと思う』

「頼む。ブラッディアの皇帝になると、父は母を蘇らせたらすぐ退位していいというんだが、そう簡単に退位できないのが皇帝というものだ」

浮竹は困った顔をしていた。

『大変だな、ヴァンピールの俺』

「母を蘇らすのには、一度失敗しているんだ。今度も多分失敗する。ライフの神は、死者の蘇りを禁呪にしているからな。死んだ者をすぐに蘇生なら、生贄なしでもできるが。体に破損がない限りは」

『そもそも、ライフの精霊と契約切っちゃえば?』

「治癒に使うから、絶対に必要なんだ。ヴァンパイアハンターをしていると、生死の境をさまようケガをする時もあるからな」

『ライフの神、呼び出せる?』

「ああ、できるが」

『ちょっと呼んでみて』

パートナードラゴンの京楽に言われて、浮竹はライフを召喚する、

「ライフよ、顕現せよ」

『やっぱり。この精霊というか神、この世界の者じゃないね』

半透明な、シルフのような乙女の姿のライフは、くすりと笑ってパートナードラゴンの京楽の周囲を舞い踊ってから、元の世界に帰ってしまった」

「どういうことだ?」

『ん。ボクは、この世界のドラゴンではないからね。そういうの、分かるんだ』

『京楽がどの世界のドラゴンでも、京楽は京楽だ』

ドラゴンサモナーの浮竹は、ちびドラゴン姿のパートナードラゴンの京楽を抱き上げる。

「異界関連なら、呪いの解呪方法があるかもしれないってことか」

『そういうことだね』

問題の京楽は、こしみの姿でサンバを踊っていたので、とりあれずハリセンで床に沈めておいた。

「今日は、この変態のアホがピザを作ってくれるんだ。よかったら、食べていけ」

『うん、そうするよ』

『世話になる』

アホの変態は、今度はふんどし姿でソーラン節を踊っていた。

つっこんだら負けだろうと思ったが、しつこかったので、ハリセンで仕留めた。

「くくくく。ぽろりしちゃた♡」

「ぎゃああああ!股間隠せえええ」

「顔隠すね?」

そんなやりとりをする二人を見ながら、パードナードラゴンの京楽とドラゴンサモナーの浮竹は、紅茶を飲んでクッキーを食べて、見なかったことにして寛ぐのであった。







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