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血と聖水と名において18

ドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽が言うには、京楽の悪魔王ディアブロの死の呪いの解呪方法が分かった。方法は2つあった。

1つ、かけた者に呪いを返す。しかしこれは、自分より格上の相手では無理。レイモンド相手では、浮竹と京楽ではまだ太刀打ちができない。

2つ、かけられた者を殺して蘇生させる。これは、ライフの精霊神を召喚、使役できる浮竹のためだけに許された方法。

2つ目のを行う場合、京楽は人間であるが限りなくヴァンパイアに近くなっていた。それが、完全なるヴァンパイアとなって復活する。

「京楽、お前はヴァンパイアになる覚悟はあるか」

「あるよ。ボクは、君のためなら悪魔にだって魔王にだってなれる」

「なれもしないくせに、口だけ達者だな」

「ふふ、ボクを殺す?」

京楽は、浮竹を誘ってくる。

「これはお前のためでもある。一度死んで蘇れば、もう悪魔王ディアブロの呪いは受けない。死んでくれ」

浮竹は、ゆっくりと京楽の首を絞めた。京楽は、それを恍惚と、息の根が止まるまで見ていた。


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「目覚めの気分はどうだ?」

「うーん、爽快だね。血が欲しい」

「待ってろ、今、人工血液を・・・・・」

「君の、マスターの血が欲しい。それ以外いらない」

「京楽、俺の血には猛毒の水銀が!あう!」

京楽は、自分のマスターであるはずの浮竹の首筋に噛みつくと、血をすする。

けっこうな量を飲まれて、浮竹はぐったりとなって、京楽に大量の人工血液をもってきてもらい、飲んだ。

「浮竹の水銀は、ボクには効かないよ。君の血と肉を口にしたことがあるんだから。花嫁となった時点で、水銀はきかないようになっていたよ」

「だからって、一度にあれほど口にするな。俺を殺すつもりか」

「あははは、ヴァンピールの君は血液がなくなった程度では死なないでしょう?おまけに銀の武器も効かないし、魔法も効きにくい。まるでヴァンパイアの王だね」

「まぁ、父はレイモンド。ヴァンパイアマスターは、ヴァンパイアの王種だ。その血を引く俺も、ある意味王種かもな」

「君は稀なる、神をも使役するエレメンタルマスターでもある。レイモンドの息子でもあるし、利用価値が高い。だから、レイモンドもボクを餌に君をブラッディア帝国の皇帝にしようとした。でも、ボクは一度死んで、命の神、ライフに蘇生してもらってヴァンパイアとなった」

京楽は、ヴァンパイア特有の尖った牙と耳をもっていた。ヴァンピールである浮竹とお揃いであった。

「なぁ、これからも俺たちはヴァンパイアハンターでいられるのだろうか」

「いられるよ?だって、ヴァンパイアとヴァンピールだけど、ハンターライセンスはもってるし、ボクも浮竹も人に害はなさないし、法律でも人に害をなしたヴァンパイア以外の殺生は禁じられている。大丈夫だよ。ただ、風当たりはきつくなるかもだけど」

「一度、ハンターギルドにいって、久しぶりに退治をしようと思う。最近旅やら休暇やらで、手持ちの金が減ってきた。その気になれば食うに困らないが、京楽はアホなことで金を使うし、俺も錬金術に関するものを仕入れたいしな」

浮竹には、錬金術師の才能もあった。

ポーション程度なら、店で買うものより浮竹が作ったもののほうが効果は数倍になる。

「行ってみよう。ハンターギルドに」

浮竹と京楽は、ヴァンパイアとヴァンピールである外見を隠しもせずに、ハンターギルドに入る。

「うわ、京楽、お前ヴァンパイアになったのか!くれぐれも、人に害をなして賞金首になったりするなよ。S級ハンターの賞金首なんて、しかも京楽じゃあ、誰も退治できやしない」

「ヴァンンピールの浮竹、久しぶりだな」

あちこちから、声をかけられる。

適当に流して、酒場にもなっているギルドで、エールを2つ注文して、ハンターギルドマスターを呼んだ。

「ああ、よりによってお前がレイモンドの息子とは。おまけに京楽はヴァンパイア化しているし」

「首か?」

「そんなことはない。A級以上のヴァンパイアハンターが不足している。血の帝国ブラッディアに皇帝がいないせいで、外の世界に出て人を襲うヴァンパイアが多くなっている。今回はこれなんてどうだ。シスター殺しのエンパニア。ヴァンパイアロードで、兄弟がいて名前は不明だが、兄と弟がいて、どっちもヴァンパイアロードだ」

「ふむ」

「ヴァンパイアロードを3人も相手なんて、京楽くらいしか頼めそうになくて往生していたところだ」

「この件、引き受けた」

京楽は、書類にサインした。報酬金は金貨3千枚。

通所のヴァンパイアで、金貨2百枚という相場なので、いかに強いのかが値段でもわかる。

「じゃあ、ちょっといって退治してくるよ」

「俺も一緒に行ってくる」

シスター殺しのエンパイアとその兄弟は、修道院に居を構えていた。周囲には、犯され血を吸われて下級のヴァンパイアになってしまったシスターたちの遺体が積み重なっていた。

「あははは、下級ヴァンパイアを犯すのも飽きたんだ。ハンターの血、飲ませてもらうぞ」

浮竹は、わざとエンパイアに血を飲ませた。

「ぎゃあああああああ、喉が、喉が焼けるううううう」

エンパイアは苦しみ続けた。

「シスターたちの仇だ。苦しみぬいて死ね」

浮竹は、エンパイアの腹を裂いて、そこに水銀を含む自分の血を滴らせる。

「ひぎあああああ!傷が再生しないいいい」

エンパイアの兄と弟は、すでに京楽が亡き者にしていた。

「京楽、とどめを」

「あいよ。血と盛衰の名において、アーメン」

そう祈り、京楽は聖銀の聖剣でエンパイアの首と胴を切り離す。傷口を焼いて、再生できないよにすると、エンパイアは吐き捨てた。

「いずれ、藍染様が帝国に君臨なさる。そうなれば、お前たちはすぐに殺される」

「うるさいね」

京楽は。エンパイアの頭を踏みつぶした。

さらさらと灰になったものをカプセルにつめこむ。3人分、3つのカプセルにつめこんで、ギルドに帰還した。

「はぁ!?もう倒した!?依頼を受けて、まだ半日だぞ!」

「いや、近かったから」

「はぁ!?馬車で1週間の距離だぞ!」

フェンリルに乗って、風の上位精霊ジルフェに依頼して一番近くの村まで転送してもらい、あとはフェンリルの足で修道院まで向かったのだと説明すると、ギルドマスターは頭を抱えてから、にこやかになった。

「今ある退治の依頼の中で、普通では倒せないのや、任務失敗の依頼を全部引き受けてくれ」

「え、ちょっと多すぎじゃない?」

「何、毎日片付けていけば、半月で終わる」

「仕方ないねぇ」

「仕方ないな」

「恩に着る!」

こうして、浮竹と京楽は、S級とA級のヴァンパイアハンターとして返り咲いたのであった。



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