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血と聖水の名において30

京楽の家の使いの者がやってきた。

なんでも、京楽の父が死んだらしい。

「そうかい。父上は死んだのかい」

「跡継ぎに、春水様をとの遺書が見つかり、こうして参った次第であります」

京楽家の者は、京楽がヴァンパイア化していると知って、恐々としていた。

「安心して。ボクは人の血は吸わないよ。浮竹の血しか吸わない」

「おかげ様で、こっちは貧血気味だ」

「そんなにしょっちゅう吸ってないでしょ」

「一週間に2回は吸うだろうが!」

「ほんとは毎日吸いたいんだよ!」

「俺がミイラになるわ!」

京楽家の使いの者は、京楽と浮竹を連れてウィキティを含む州を領地としている、京楽伯爵家にやってきた。

「おかえりなさいませ、坊ちゃま」

「お前が坊ちゃま?うぐぐぐ、笑い死ぬ」

「失礼だね」

「でも、お前は貴族だったんだな」

「そうだよ。伯爵家の次男さ」




「おかえりなさい、春水」

「母上」

「そこの汚らわしいヴァンピールとの関係を絶って、人に戻りなさい」

「ヴァンパイアが人に戻るのは、生贄が必要だよ」

「なら、奴隷商人から購入しましょう」

「母上、ボクは伯爵を継ぐ気はないよ。それを言いにきたんだよ。兄上に、全てを任せるよ」

「そうなの。じゃあ早く立ち去りなさい。汚らわしいヴァンピールと共に」

京楽は、珍しく怒っていた。

「今度、浮竹を汚らわしいヴァンピールって言ったら、母上でも容赦はしないよ?」

「ひいっ。このヴァンパイアめ!ヴァンピールの花嫁になった挙句、ヴァンパイアになったなんて!京楽伯爵家の恥よ!早々に立ち去りなさい!」

「言われなくてもお暇するよ。行こう、浮竹」

「いいのか、京楽」

「うん。兄とは昔から馬が合わないし、会っても無駄。帰ろう」

風の精霊王ジルフェを呼んで、空間転移の魔法でウィキティに帰ると、ウィキティの町の一部が破壊されていた。

「どうしたんだろう」

「何かあったな?この気配は‥‥‥‥ドラゴンサモナーの俺か」

建物を壊した場所に、ドラゴンサモナーの浮竹の魔力の名残を感じた。

まだウィキティの館の中にいるようで、二人はドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽から、事情を聴いた。

なんでも、呪詛のせいらしい。

『俺は、まだここにいていいんだろうか』

ドラゴンサモナーの浮竹は、意気消沈していた。

「闇の精霊王ダークピュリアよ、顕現せよ」

「はぁい。呼んだ?」

豊満なナイスバディをもつ闇の精霊王は、浮竹にしなだれかかる。

それに、京楽の変態が反応しない。

何故かは分からないが、故郷に戻る道までの間もずっと変態でアホの子はおらず、京楽は真面目だった。

「ダークピュリア、町の人間から、襲ってきたのがドラゴンサモナーの俺だという記憶を消してくれ」

「あら、いいの?対価に、寿命少しもらうわよ?」

「ああ、構わない」

ダークピュリアは、大きな魔法陣を展開し、それは町全土まで広がり、人々の記憶からドラゴンサモナーの浮竹が襲ったことは忘れ去られた。

『神父のボクが変態じゃない。ボクの目がいかれたのかな』

『大丈夫だ、俺にも変態が見えない』

バタンと、京楽は倒れた。

「おい、京楽!」

すごい熱だった。

すぐに命の精霊ライフを呼び、癒してもらう。

「浮竹のパンツがない!ボクはどうしてまともだったんだ!浮竹のパンツで全ては解決する!」

京楽は、荷物を漁って浮竹のパンツを見つけると、スーハ-スーハーしてから、頭に被った。

「どうやら、ずっと熱を出していて、そのせいで変態がひっこんでいたみたいだ。まぁ、こっちのほうが俺は安心できる。変態だけど」

「浮竹、しっぽりしよう!」

「100年後にな」

「ボク、ミイラになっちゃうううううう」

何故か腹踊りをしだす京楽を無視して、浮竹はドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽と、お茶をする。

「ああ、ボクを見てええ」

『ヘルインフェルノ』

『カラミティファイア』

「フェニックス!」

3人から燃やされて、京楽はいつものように真っ黒こげのアフロになるのであった。



「京楽、夕飯はなんだ?」

「んー海鮮パスタ」

「そうか。サラダとあと、苺のタルトも追加してくれ」

「もう、浮竹は我儘だねぇ。まぁ、ボクの家の事情に悩まされたから、今日は特別にジャンボパフェもつけてあげよう」

京楽は、久しぶりに家事をしていた。

いつもは、居候のドラゴンサモナーの浮竹とパートナードラゴンの京楽がしてくれる。

二人は、今本当に町の住民から記憶が消えたのか確かめに行っている最中だった。

「ジャンボパフェは、浮竹だけだよ。ボクの家、貴族だから身内からヴァンパイアが出るなんて恥でしかないっていう考えもってるからね」

「まぁ、悪いヴァンパイアもいることだしな」

「人間と同じだよ。普通のヴァンパイアもいれば、悪いヴァンパイアもいる。それだけさ」

「頭に俺のパンツを被っていなければ、かっこよく見えたかもな?」

「え、ボクはいつでもかっこいいよ!」

「はぁ‥‥」

浮竹は大きなため息をついた。

京楽は、本気で頭にパンツを被っていても、自分がかっこいいと思っていた。

「熱、あったほうがかっこよかったかもな」

「酷い!ボクは健康な今こそ、真にかっこよいのだよ!」

「はいはい。さっさと夕飯作れ」

「はーい」

浮竹は、また大きなため息をつくのであった。





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