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血と聖水1-3

「ゆけ、フェニックス!」

白哉は、契約している炎の精霊を、ヴァンパイアロードに向ける。

ヴァンパイアロードは、蝙蝠となって四散し、炎を避ける。その蝙蝠の群れに、白哉は容赦なくフェニックスの炎を向ける。

白哉の体は空中にあった。

巨大な金色の鷹に乗り、宙を飛べるヴァンパイアロードと対峙する。

「しつこい・・・・・」

ヴァンパイアロードは真紅の翼で空をかける。白哉に向かって、自分の血で作ったオートマティックバトルドールたち、戦闘人形をけしかける。

メイドの姿をした少女たちは、皆背中に真紅の翼を生やし、いろんな武器で白哉に向かって切りかかったりする。

「しつこいのはそちらであろう」

スパン。

鋭い音がした。

白哉の乗っていた、金色の鷹の首がもげた。
 
落下していく白哉の体。白哉は瞳を金色に輝かせる。

それは、覚醒者としての証。

金色に輝く六枚の翼が現れる。

そのまま、戦闘人形たちをシルフのつくりだした突風でバラバラにすると、白哉は宙を走る。

ギィン、キィン。

ヴァンパイアロードと、直接刃を交える。

ヴァンパイアロードは血でできた真紅の刃、それに対して白哉は、七つ星のハンターにのみ与えられたビームサーベルを手にしていた。

何度も切り結ぶ。

白哉は何度も使い魔を召還した。

黒い狼を召還すると、白哉はシルフの風で空に飛ばし、何度も蝙蝠になるその蝙蝠を食わせた。
 
「我が肉体を食らうというのか」

「駆逐する」

「お前が駆逐されろ」

「いや、兄だ」

「お前だ」

「兄だ」

「お前のかあちゃんでべそー」

「私に母はいない。人工生命体だ。でべそは兄のほうであろう?」

「ばれた!?」

ヴァンパイアロードは臍の位置をおさえた。
 
「いけ、戦闘人形ども!」

自らの血をまた流し、ヴァンパイアロードは何度も戦闘人形を召還する。

白哉は呪札を飛ばした。

それは一枚一枚が口となり、戦闘人形たちを食らっていく。
 
「遊んでいるのか、白哉?」

フェンリルで上空から、二人の戦いを見ていた浮竹は困った顔になった。

多分、本人たちは真剣なんだろうが、漫才を見ている気分だった。

そのまま、フェンリルで地上にまでおりると、浮竹と京楽は銃を構え、それぞれヴァンパイアロードを撃つ。

「新手か・・・」

すでに手負い状態のヴァンパイアロードは、敵側に同じヴァンパイアロードの姿を見て、唇を吊り上げた。

「ハンターよ、ヴァンパイアロードを使い魔にしたつもりか。知っているか。ヴァンパイアは、より強い者の下につく掟があることを」

しかし、京楽はヴァンパイアロードに向かって銀の弾丸を撃つ。

「ち。力は上か」

ヴァンパイアロードは、血の渦となって、京楽の体に吸い込まれた。

「あれ?えーと・・・・」

はじめ、京楽はぼけっとしていた。

次の瞬間には目が鳶色から真紅ににごり、衣服を破ってヴァンパイアの証である真紅の翼が飛び出した。

「従属せぬのであれば、操るまでよ!」

「京楽!」

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