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血と聖水1-5

血の聖水となった京楽が、同じヴァンパイアロードの心臓を食らう。

驚異的な回復で再生する心臓に噛み付き、そして全身にヴァンパイアの毒である水銀をいきわたらせる。

水銀は危険であるため、人間では取り扱いができない。使役魔も同じだ。主に接触する可能性があるため、使うことはできない。

京楽は、ヴァンパイアの最大の弱点でもある水銀を使う。

それで千年の間生き延びてきたのだ。

同じヴァンパイアの血肉になることもなく、狩られることもなく。

京楽は水銀で同じヴァンパイアを殺し、そしてヴァンパイアハンターは実力で殺した。

ドロドロと、とけていヴァンパイアロードは、ついに灰となった。

ビームサーベルをひきぬく二人。

京楽はすぐに血液となり、元の姿に戻る。

「灰を・・・とらないと」

浮竹が、ハンター協会に提出するために灰を手に取ろうとするのを、京楽が止めた。

「さわらないで。僕がとるよ。水銀にまみれてるから・・・人間にとっても毒だ」

「いつも思うが、なぜ京楽は水銀を使う?」

白哉が首を傾げていた。

「水銀が、ロードにもマスタークラスにも有効だからだよ」

「しかし、兄の命にも影響があるだろう」

「残念。僕は、水銀からうまれたんだよ。水銀の汚染で、3つの王国は勝手に滅びた」

「兄も、賞金首になっているのを知っているか、京楽?」

白哉のビームサーベルが、京楽の胸の前につきつけられる。

「白哉!京楽は、もう昔に吸血行為は俺のみとすると誓った」

「だからといって、過去の罪が消えるわけではない」

「西の帝国を滅ぼした、鷹のヴァンパイアロード。元々ヴァンパイアでありながら、ヴァンパイアハンターとして生きる君に、罪をどうこういういわれはないよ」

京楽は、ビームサーベルを片手で掴んだ。

肉のこげる匂いに、浮竹が泣きそうになった。

白哉は、ビームサーベルをおさめた。

「浮竹の情夫になど、興味はない」

「だ!!だから、京楽は情夫などではない!」

浮竹が真っ赤になって叫ぶ。

「えー。あんなことやこんなことしてるのに?」

「京楽!!悪乗りしすぎだ!」

浮竹が、紅くなったまま京楽を殴り飛ばした。

その時は突然だった。

浮竹の瞳が金色に輝き、背中に六枚の金色の翼が現れたのだ。

「ほう。覚醒か」

ヴァンパイアハンターに現れる、潜在能力を極限にまで引き出す。それが覚醒。

「覚醒?これが・・・って、何もかわったかんじがないが」

翼はすぐに消えて、瞳の色も翡翠色に戻った。

「おかしいな。覚醒をした者は、飛躍的に力がUPすると聞いているが」

「にゃーにゃにゃ。主の星の数が増えてるにゃ」

フェンリルが、目を回していれう京楽のかわりに、自動でLVを告げる星システムの3つ星が4つ星になっているのを見つけた。

「3つ星が4つ星か・・・・ふっ」

白哉は背中をむけてちいさく笑っていた。

「うるさい!!」

浮竹は、怒って白哉を投げ飛ばそうとするが、するりと避けられてしまった。



家には、京楽が召還したナイトメアの背に乗って帰った。

協会に、覚醒を告げ、星が一つ増えたことを嬉しげに伝えると、皆プッって笑っていた。

覚醒で星がたった一つ増えたなんて、はじめてだった。通常はもっと強くなる。

「怒ると、綺麗な顔がだいなしだよ?」

「怒ってなどいない」

「にゃーにゃ。にゃっ」

フェンリルを猫じゃらしで遊ばせながら、京楽は浮竹の額にキスをする。

「情夫って響きはねぇ。せめて彼氏くらいじゃないと」

京楽は、猫じゃらしを浮竹の目の前にもってきた。

浮竹は、それごと京楽を投げ飛ばすのであった。

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