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視力を失った白哉 

6隊隊の遠征が行われた。

白哉と恋次が、虚を切りすてる。

流魂街に出没する、強力な虚の群れを退治するのが、今回の任務だった。虚を率いているのは、ザエルアポロに似た破面だった。

本物のザエルアポロは、涅マユリの手の中にある。死体で。

「隊長、ここは私が!」

飛び出してきた15席に向かって、破面が襲い掛かる。

「危ない!」

白哉は、咄嗟に15席を庇った。怪我はしなかったが、何か糸のようなものをつけられた。

「ふふふふふ。朽木白哉。君の目、いただいたよ」

そういう破面に、恋次がとどめをさした。

「大丈夫ですか、隊長」

「恋次か?暗闇で・・・何も見えぬ」

「隊長、目をやられたんですか!」

「眼球は無事だ。目をやられた記憶もない。あるとすれば、糸をつけられたことだろうか」

「こしちゃいられない!もう遠征は終わりですから、すぐに4番隊にいって、虎鉄隊長に診てもらいましょう!」

白哉は、千本桜を鞘に納めたが、真っ暗でどこに行けばいいのか分からなかった。

「俺の手、握ってください。歩けますか?」

「なんとか・・・っ」

石につまずいてこけそうになるのを、恋次が軟かく受け止めた。

流魂街から瀞霊廷に帰還し、早速虎鉄隊長に診てもらったが、敵の怪しげな術のせいだということで、術者が死んでいるので、時間と共に少しずつ見えるようになるとのことだった。

「隊長、朽木邸まで送ります」

「すまぬ、恋次」

目の見えない白哉は、しばらくの間隊長の任務から離れることになった。

朽木邸に、恋次は白哉の視力が戻るまでの間、世話をするために滞在することが決まった。

「隊長・・・夕飯ですが、一人で食べれそうですか」

「きっと、零すな・・・・」

そんな白哉に、恋次は食事を口元に運んでやったり、一緒に風呂に入ったり、甲斐甲斐しく世話を焼いた。

「貴様、兄様の目が見えないのをいいことに、不埒な真似はするなよ!」

ルキアの言葉に、恋次が首を縦に振る。

「こんな状態の隊長を抱くほど、落ちぶれちゃいねぇ」

「ふふ・・・・」

白哉が、二人のやりとりに笑みを零した。

「私の目が見えないことで、暗くなっていないのでよかった」

「兄様、目は光をすぐに取り戻します!それまで、恋次のバカに面倒を見てもらうのはちょっと納得いきませんが、仕方ないこととして受け止めましょう」

「すまぬ。ルキアにも世話をかける」

「いいえ兄様のためなら、たとえ水の中火の中!」

「隊長、風呂いきましょう」

「恋次、貴様くれぐれも変な気を起こすなよ」

「わーってるよ」

風呂場にいき、白哉は隊長羽織と死覇装を自分で抜いだ。下着もぬいで、裸になると、恋次が赤い顔をしているのだが、白哉は目が見得ぬのでそれが分からない。

シミ一つない、綺麗な体だった。色が白く、人形のように整った美貌のせいで、余計に儚く見えた。

「恋次、どこだ。湯船に浸かりたいのだが」

「あ、すみません。俺も今脱ぎます」

恋次に手を引かれて、湯船に浸かる。それから髪と体を洗ってもらい、なんとか自力で服を着た。

「隊長、服が乱れてます。整えますね」

「ああ・・・・・・」

1週間ほど、そんな生活が続いたのだが、徐々に白哉は視力を取り戻していった。

まだぼんやりとなので、介護が必要だったので、恋次が傍にいた。

「恋次、毎日すまぬ」

「隊長、いいですよそんなこと!俺は隊長の傍に居られて嬉しいですし」

「そうか・・・・・」

やがて、完全に視力を取り戻した。視力を失ってから、実に2週間がかかった。

「恋次、礼を言う。もう、大丈夫だ」

そういう白哉を抱き締めて、恋次は名残惜しそうにしていた。

「あーあ。今日で隊長と同じ屋根の下での生活も終わりか」

「では、時折泊まりにくるがいい」

「え、いいんですか!?」

「世話になったのだ。それくらいは造作もない」

恋次は、とても浮かれた。白哉とまた一緒にいられると。

「隊長、愛してます」

口づけを交わす。

白哉の答えは。

「私も愛している」

だった。






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