忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 28 29 30 12

貞子がやってくる 怖がりの朽木兄妹

結婚して半年が経った。夏は終わり、冬になっていた。

「一護、起きろおおおおお」

「ぬあああああ!?」

布団からごろごろと這いずりだす。まだ、夜だ。

「なんだよ、ルキア!」

尸魂界は、浦原が戻ってきて急激に現世と同じ文化を歩むようになってきた。

「貞子が、貞子が!」

「はぁ?」

一護とルキアの寝室にもテレビが置いてあった。テレビの他にDVDプレイヤーも置いてあった。

そのDVDプレイヤーに「リング」というホラームービーのDVDが入れられていた。

一護も見たことある。「リング」という現世ではちょっとしたブームになったホラームービーだ。

「貞子がくる!テレビから、長い黒髪をうねらせて、やってくるのだ!」

ルキアはカタカタと震えて、涙を浮かべていた。

「なんだよ、お前幽霊が怖いのか?」

「たわけ、本物の幽霊なぞ怖くない!魂葬すればいいだけだからな。ただ、作り物と分かっているとはいえ、貞子は・・・・」

「こんな夜中に、一人でそんな怖い映画見るからだろ。ほら、布団の中に入れよ。一緒に寝ようぜ。それなら、怖くないだろ?」

「一護・・・・・・」

ルキアは、滲ませていた涙をぬぐいながら、一護の布団に入った。そして、眠った。そして、一護を蹴り飛ばして爆睡した。

「寝相悪いやつだな」

また蹴り飛ばされてはごめんだと、もう1組布団をしいて、一護はその上で眠った。

朝になった。

「一護、貞子が夢の中にでてきた。テレビから這いずり出てきて、私の首を絞めるのだ!苦しくて花瓶で殴ると、血が飛び散って私の頬にかかるが冷たくて・・・・・」

カタカタ震えているルキアを抱き締める。

「ただの夢だ、忘れろ」

「一護・・・・・」

しばらく抱き締めていたら、ルキアも平気になったのか、いつもの元気な顔色に戻っていた。

「一護の傍におれば、貞子もこぬな」

「あれは作りものだから、元から出てこねーよ」

「分からぬぞ!この世界には虚もいるのだ。貞子のような虚が・・・・想像しただけで・・・うきゃあああああああ」

だめだこりゃ。

重症のルキアを引っ張って、食堂にいくと白哉が蒼い顔をしていた。

「貞子が・・・・・」

お前もかよ。

この兄妹は、揃ってリングの映画を夜に見たらしい。

ルキアも白哉も、自分の寝室で、深夜に。

「貞子の呪いがかからぬよう、塩をまかねば」

ばさっと、一護に向かって塩が巻かれた。

「白哉、俺に塩かけてどーすんだよ」

「そうだぞ、一護、貴様がこれは面白いというから、深夜に見ればもっと面白くなるというから見たのだぞ!」

「あー?それ、1週間以上前の俺の言葉だろう。今更見て、怖がっても、俺のせいじゃねぇよ」

「いや、貴様のせいだ。貴様がDVDぷれいやーなるものを購入してきて、DVDなるものを購入してきたのだ。全部貴様のせいだ!」

ルキアも、白哉と一緒になって塩をつかみ、一護にむかって投げた。

「お清めだ!清めぬと、貞子がくる!」

「貞子・・・なんという怨念。兄が買った映画は趣味が悪い」

リングのDVDをぽいっと放りなげられた。

「おい、乱暴に扱うなよ。見れなくなるだろ」

「このようなもの、もう二度と見ぬ」

白哉は、貞子が嫌いなのか、リング2があると言ったら、眉をしかめた。

「リング2だと・・・・見ねばなるまい」

なんで!?

「白哉、お前怖いんじゃないのかよ!」

「怨念が、2まであるのあろう。全部見て、供養してやらねば、祟られる」

白哉もかわいいところがあるんだなと思ったら、思いっきり足を踏みつけられた。

「に、兄様、私も見ます。今日の夜、一護も一緒に3人で見ましょう。リング2を」

「おいルキア、あんなに怖がっていたのに平気かよ!」

「リング2を見ねば、貞子が祟ってくる!見終えて、供養して成仏させるのだ!」

「いや、ただの作り物で映画だから・・・・・」

結局、その日はそれぞれ6番隊と13番隊に仕事に出かけた。

お守りを、白哉もルキアも握りしめていた。

どんだけ怖かったのだろうかとも思うが、あれだけ怖がりながらリング2も見るという酔狂さに、少し呆れた。

死神の業務が終了し、朽木邸に戻り、湯浴みと夕餉をとった。

夜の10時になり、白哉の部屋のテレビでリング2を見だした。

「ひいいいいいい」

貞子の登場に、悲鳴をあげながらもルキアは食い入るように画面を見ていた。白哉のほうをみると、何か念仏のようなものを唱えながら見ていた。

リング2を見終えて、朽木家の兄妹は、互いを抱き締めあいながら、塩を一護にかけた。

「だからなんで俺なんだよ!」

「現世の怨霊はこわい・・・・・」

ルキアが、塩をまきながら、お守りを手に念仏を唱えだす。

「このDVDは、普通のリングのDVDと一緒に、高僧にお祓いをしてもらう」

いや、怖がり過ぎだろ。

白哉の言葉に、こう言う。

「ただの作りものだ。そんなに怖がる必要ねーよ」


「祟ってやる・・・・・」


「おい、今誰か何か言ったか?」

「何も言っていないぞ」

「私もだ」


急に、テレビの電源がついた。

ザーザーという画面に、長い黒髪の女が映る。

「冗談だろ」

「ひいいいい」

「南無阿弥陀仏」

べたべたと血の痕が、部屋の中に残った。

ぷつんと、テレビは消えた。

見ると、ルキアは気絶し、白哉も気絶しいた。

「おい、ちょっと、まじなのこれ!?俺置いて気絶しないでくれよ!この血の痕とかめっちゃこえーんだけど!」

一護も、念仏を唱えだした。

お守りを手に、DVDプレイヤーからリング2のDVDを出してパッケージに直そうとして、長い黒髪がパッケージに絡みついているのに気づいて、流石に一護も怖くなった。

3人そろって、次の日には高僧のいる寺までいって、リングとリング2のDVDにお祓いをしてもらい、寺に収めてもらった。

朽木邸に帰ると、日常が戻ってくる。

一護が湯あみをしようと湯殿にいくと、湯がなかった。

「白哉義兄様め・・・・・」

シャワーが出るようになったので、問題はなかったが、やはり湯船に浸からぬと12月なので凍えるように寒かった。

白哉が湯あみしている隙に、理髪店で集めた、長い黒髪を白哉の枕元に置いておいた。

十数分後、白哉の悲鳴が聞こえて、一護はうししししと一人ほくそ笑んだ。


結局、テレビに映った長い髪の女の正体も、部屋に残った血の手の痕も、パッケージについていた長い黒髪の原因も分からずじまいであったが、供養が効いたのか、それ以後奇怪な現象は起こることはなかった。





拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/27)
(11/26)
(11/25)
(11/25)
(11/22)
"ココはカウンター設置場所"