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赤信号

11月。

肌寒い季節になってきた。

大戦は終わり、もう残り少ない時間を、ルキアと過ごしていた。

ルキアは、特別に卒業するまでの間は現世に残ることが許された。本当なら、護廷13隊の13番隊副隊長として、隊長代理も兼ねて尸魂界の復旧に尽力せねばならないのであるが。

ユーハバッハを倒した、一護の我儘でもあった。

それを、京楽総隊長が受け入れてくれた。

「なぁ、ルキア」

「なんだ」

学校の帰り道、ぶらぶらと二人で歩いていた。

「好きだって言ったら、どうする?」

「笑う」

「そうか。好きだ」

「ハハハハ」

ルキアは、乾いた笑い声を乾いた空気に放っていた。

「で、一体なんなのだ・・・・・ん!」

ルキアに、キスをしていた。

「ききき、貴様、なんなのだ!」

「言っても分からないようだから、行動に現しただけだ」

「まままま、まさか本気で私のことを好きだと!?」

ルキアは、見ているこっちが面白くなるくらい、青ざめたり朱くなったりを繰り返していた。

「俺は本気でお前のことが好きだ」

「一護・・・・・・」

信号が青に変わった。一護が、ルキアの手をとって歩いていく。

「答えをくれとは言わない。ただ、分かってほしい。俺が、お前のこと好きなんだってこと」

「一護、私は」

信号が赤に変わりそうになる。

ルキアの手をひっぱって、横断歩道を渡っていく。

「私も、貴様が好きだ!」

信号が完全な赤になる。

ルキアの顔も、真っ赤だった。

クスリ、と。一護が笑った。

「知ってた。お前が俺のこと好きなの」

「なななな、いつばれた!?」

「好きでもねぇ相手にハグとか、普通しないだろ?」

「そそそそんなことでばれたのか!?」

「そうだ。恋愛感情かは分からかったけど、好いていてくれてるんだなとは思ってた」

ルキアは、真っ赤になりながらも、一護の後を追う。

「私は、恋愛感情で貴様のことが好きだ!」

「ああ、俺も、恋愛感情でお前のことが好きだ」

帰宅すると、二人は制服姿のままで抱き締めあい、ベッドで横になった。

しばらくそうしていると、満足したのか、一護もルキアも私服に着替えた。

でも、またベッドで横になって、体温を共有しあった。

「本当は、貴様に想いを告げるつもりはなかったのだ」

「俺だって、ずっと秘密にしようと思ってた。でも卒業までこっちにいるって言われて、歯止めがきかなくなっちまった」

一護は、優しく優しくルキアに触れる。

「そのように、壊れものを扱うようにせんでも、私は大丈夫だ」

「俺がそうしたいんだ。想いが通じ合うのって、こんなに幸福なんだな」

「一護・・・・」

「ルキア、好きだ」

キスを繰り返す。ルキアははにかんだ笑みを浮かべる。

「私も、今幸福だ。貴様へ想いをうちあけ、お互いが好き同士だと分かって」

今までは、赤信号だった。

今の信号は青。

残り少ない時間ではあるが、一護と過ごしていこうと決める。

ただ、お互いが好きで。

それだけで満足だった。

「ルキア、今度の日曜デートしようぜ」

「いいぞ。まるで、付き合っているかのようだな」

「んー。もう、付き合うか」

「そうだな」

告白は突然で。好きと互いにぶつけあって。互いに受け入れて。

「3月の卒業まで、貴様と一緒に時間を過ごす」

「尸魂界に帰っても、連絡はくれよな」

「ああ。でも、まだ卒業まで4か月はあるのだ。その間どうやって過ごすかを決めねば」

「とりあえず、今まで通り過ごそうぜ。ただし、恋人同士としてな」

ルキアは、笑う一護のブラウンの瞳が、綺麗だと思った。

一護は、ルキアのアメジストの瞳が綺麗だと思った。

屈託なく笑う一護の笑顔が、特別なものに見えた。

赤信号になって、このまま時が永遠に止まればいいと、ルキアは思うのだった。


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