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運命の糸

「ルキア・・・・」

一護は、ルキアを抱きしめる。

大戦が終わり、10年が経過した。

ルキアは恋次と結婚して、苺花という娘をもうけて、一護は織姫と結婚して、一勇という息子をもうけていた。

何かが、すれ違ったのだ。

お互い、好きなままで別の人と結婚して子供を授かった。

ルキアは恋次のことを愛していたし、一護も織姫のことを愛していた。

でも。

魂のレベルで刻まれた、好きという感情。

それは、結婚しても子供ができても、変わらなかった。


「なぁ、ルキア、こっち向いてくれ」

「たわけ・・・・このようなシーン、誰かに見られたら・・・・」

「今は俺たちしかいない。なぁ、俺はまだルキアのことが好きなんだ。今更だよな」

ルキアの細く小さな体をきつく抱きしめる。

ふわりと、甘いシャンプーの匂いがした。

「たわけ。今更だ・・・・でも、魂のレベルで私たちは繋がっている。私も貴様のことが、未だに好きなのだ」

唇が、重なった。

いつの日か、告げようと思っていた想いは、お互い届くことなく、大戦から10年の時を要した。

「ん・・・・・」

「ルキア、好きだ」

「たわけ。私たちは、お互い伴侶がいて子供がいる」

「分かってる。それでも、好きなんだ」

一護は、短くなったオレンジの髪を風になびかせて、ルキアを抱きしめていた。

ルキアの長くなった黒絹のような髪も、風でなびく。

窓は、開け放たれたままだった。

一護の部屋。

いつもあの窓から出入りしていた。

あのベッドで、いつも抱きしめ合って眠った。

もう、遠い過去のこと。

お互いを好きと感じながらも、想いを告げられなくて、今に至る。

好きだというのが、遅すぎた。

でも、ルキアにも一護にも、まだまだ時間はある。

「不倫になるな」

「そうだな」

「ルキアは、恋次がいるのに俺と一緒にいてもいいのか?」

「貴様こそ、織姫がいながら、私と一緒にいてもいいのか?」

二人で、昔のようにベッドに横になって、抱きしめあった。

ルキアを抱きしめるかんじで、ベッドでゴロゴロする。

ルキアと肉体関係をもちたい気分はなかった。

ただ、想いが伝わればいい。

そう思った。

ルキアもまた、一護と同じ思いだった。


「「好きだ」」


さわさわと、庭の木が風で揺れる。

互いを抱きしめ合いながら、もう一度唇を重ねた。

触れるだけの、優しいものを。

「俺、死んだら死神になる。んで、ルキアを恋次から奪う」

「たわけ。何十年かかると思っているのだ。それに、私は恋次を愛している。そう簡単に、別れられぬよ」

「それでも、いつか・・・・・」

いつか。

ルキアを手に入れたい。

一護はそう思った。

今はただ、時折会うだけでいい。

携帯で、連絡を時折とるだけでいい。

魂のレベルで刻み込まれた運命の糸は、決して切れない。

たとえ、どんなに時間が経っても。


「「愛してる」」

運命の糸は、決して消えない。

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