遠征の傷跡
「恋次・・・・・・」
名を呼ぶと、恋次は頬に手を当てて、キスをしてきた。
「どうしたんですか、隊長」
「なんでも、ない」
嘘だ。
恋次が去っていきそうな気がして、名を呼んだ。
緋真のように、手の届かない場所にいってしまいそうで。
「次の遠征、必ず帰ってきますから」
恋次は、虚退治の遠征に出発することが決まっていた。
白哉には待機命令が出されていた。
ユーハバッハの一味を、互いに倒した。初めはやられてばかりだったが、零番隊で湯治して、修行した。
今の力量なら、ただの虚退治の遠征くらい、なんてことはないだろう。
だが、恋次は5席を庇い、怪我をして戻ってきた。
酷い怪我だった。
ただちに4番隊の救護院に入院が決定した。
ちぎれかけた右手の先は腐っていて、本人の細胞から生み出した右手を移植手術した。背中にも大きな傷を負っていて、回道をかけたが傷はまだ完全に塞がりそうになかった。
移植手術はなんの問題もなく終わり、恋次は普通の病室に移された。
「愚か者・・・このような怪我を負って・・・・・」
「隊長?」
起き上がろうとした恋次は、背中に走った痛みと、右手の違和感に眉を顰めた。
「背に大きな傷がある。あと、右手は腐っていたので新しいものが培養されて作られて、接続手術は問題なく終わった」
「ああ・・・・右手、やっぱりだめだったんすか」
「うじがわいておった」
「そりゃ、使い物にならないわけだ」
「今の技術に感謝することだ。四肢を欠損しても、培養技術で作りだし、接続手術が成功すれば元の通りになる」
「隊長」
「なんだ」
「新しい右手で、触れてもいいですか」
何故急に恋次がそんなことを言いだしたのか、分からなかったが、いいだろうと言うと、恋次は白哉の白い頬に触れてきた。
「ああ・・・前と同じ感触がする。よかった、何も変わってない・・・・・」
「愚か者・・・・仲間を庇うなら、もっとダメージを最小限にして庇え」
「すみません・・・・」
「お前が担ぎ込まれた時の姿を見た時、心臓が止まるかと思った」
白哉の白く美しい、とても武人はとは思えない手が、恋次の赤い髪をすいた。
「今日は、随分と優しいんですね」
「怪我を負った愚か者を、叱りに来た」
「そのわりには、優しい」
「優しくされては、不安か?」
「いいえ。居心地がいい・・・しばらく傍にいてくれと言ったら、怒りますか」
「構わぬ」
「なら、もっと傍にきてください」
言われる通りに傍にいくと、唇を奪われた。
「ん・・・・・」
ピチャリと、舌が絡み合った。
その続きをしようとする恋次を、ベッドに押さえつけた。
「隊長?」
「ここは救護院だ。そのような場所ではない」
「なら、退院したらあんたを抱いてもいいですか」
「よかろう」
半分冗談のつもりだった。
こんな怪我人が、そうそうの退院することはないだろうと思っていたが、恋次は1週間で退院してしまった。
卯ノ花の後を継いだ勇音も、舌を巻くほどの回復ぶりであった。
背の傷後は残っているが、右手はもう違和感もなく動かせた。剣を握っても、それは関係なかった。
「隊長、退院しました。約束通り、抱かせてください」
「このように早く退院など・・・・・仕方ない、今宵あの館にこい」
夜になって、いつも逢瀬に使う館に案内された。
遠征の保存食に、救護院の病院食で物足りなかった恋次にとっては、久方ぶりのまともな食事だった。
珍しくおかわりを所望する恋次に、仕方ないと、料理人に違うメニューを作らぜて、食べさせた。
酒も飲んだ。
実に、1か月ぶりだ。
3週間の遠征と、1週間の入院。
白哉を抱くのも、1カ月ぶりだった。
「ん・・・・」
褥に横たえて、キスを繰り返した。
「ずっと、あんたに触りたかった・・・遠征とか、抜くこともなかなかできないから、溜まりまくってる」
「加減は、しろ」
「分かってます」
「んん・・・・」
潤滑油で濡れた指が入ってきた。
久し振りの異物感に、体が拒否反応を起こす。
「あんたのここ・・・・すごい熱い」
「言うな、愚か者・・・ああ!」
指でぐっと前立腺がある場所を押されて、体が反応する。
「ひああああ!」
コリコリと前立腺ばかり刺激されて、前もいじられて、白哉は精を放っていた。
「入れますよ」
「ああああああああ!!」
指とは比較にならないものに引き裂かれて、白哉は生理的な涙を零した。
背中に爪をたてようとして、まだ傷口にガーゼが当てられ包帯が巻かれていたので、包帯の上から爪を立てた。
「隊長、ずっとあんたに触れたかった。ずっと一つになりたかった・・・・」
1か月間の空白は、白哉にとっても溜めこむことになった。
「ひあああ!」
前立腺をすり上げられて、白哉は二度目の熱を放つが、その量がいつもより多かった。
「隊長、あんたぬいてなかったのか」
「そのような行為、好まぬ」
「俺が存在しなかったとき、どうしてたんですか」
「覚えておらぬ」
それは本当だった。
「隊長、愛してます」
「私も、愛している」
ぐちゃりと奥を犯されて、白哉の中が締まり、恋次はやっと思いのたけを白哉にぶつけた。
「ああ、めちゃくちゃきもいい・・・」
射精は長かった。
よほど溜めこんでいたのだろう。
「ん・・・・」
やっと律動を再開した恋次の動きに、白哉もおいつめられいく。
「ああああ!」
恋次が二度目になる熱を白哉の腹の奥に出す頃には、白哉は三度目の熱を放っていた。
「加減をしろと言っておいた。まだするつもりか?」
「あと1回だけ」
「早く、いってしまえ」
くちゅくちゅと内部を犯されて、前立腺ばかりを刺激してくる動きに、白哉は何も考えられなくなった。
「いあああああ・・・・ああ・・・うああ」
下肢に力を籠めると、その締め付けで、恋次は3度目をあっという間に放っていた。
「もっとあんたを味わいたかったのに・・・・・」
「もう十分であろう」
「まだいけますが、さすがにだめですよね」
「加減をしろと言っておいたであろう」
「はい・・湯殿、いきますか」
睦みあった情事の後を流すために、いつも行為の後は湯殿で体を清めた。時折意識を飛ばした時は、起きたら湯殿に行った。
「あ・・・・・・」
とろとろと、恋次の放ったものが大量に、太ももを伝っていく。
「かき出しますね」
「んん・・・・・」
指をいれられてかき出す動きに、いってしまいそうになって、かき出されると、白哉は湯船に浸かった。
もう出すものがないので、オーガズムでいきそうになってしまった。
「すみません、ちょっと隊長の声聞いてると、たっちゃったんで抜きます」
風呂場で一人で抜く恋次を、白哉は黙って見ていた。
「あの、恥ずかしいからあんま見ないでもらえます?」
「何を今さら。互いの裸なぞ、見飽きた」
ぬいてスッキリした恋次は、湯船の中で白哉に抱きついた。
「ああもう、そのつんけんした態度がたまらない」
「お前は、マゾか?」
「違いますよ!隊長の性格のせいでこうなったんです!」
「ふむ・・・背の傷、後でガーゼを交換して包帯を巻いてやろう」
「ありがとうございます」
やがて湯からあがり、恋次の背中の傷に化膿を防ぎ、傷口の治りを早くするお値段の高い4番隊で売っている軟膏をつけてから、ガーゼをあてて、その逞しい胸と背中に、包帯を巻いていく。
「お前の背中は広いな。逞しい」
「あ、隊長、こんな風になりたいと思っても無駄ですからね。隊長の体は、鍛えても今以上の筋肉はつきそうもないし」
「知っている」
何度鍛錬しても、この体は筋肉があまりつかないのだ。体質のせいでだろう。
「右手は、もう違和感はどこにもないのか?」
「ありません。接続手術をしたのが嘘みたいだ」
「そうか。ならばよい。明日も仕事がある。寝る」
褥ではなく、普通に出した1組の布団で、寄り添いあいながら寝た。
「もう、そのような傷を作るな・・・・・」
眠りに落ちる前、白哉は確かにそう言った。
「はい・・・・・って隊長?寝ちまったか・・・・・・」
恋次も、大人しく眠るのだった。
名を呼ぶと、恋次は頬に手を当てて、キスをしてきた。
「どうしたんですか、隊長」
「なんでも、ない」
嘘だ。
恋次が去っていきそうな気がして、名を呼んだ。
緋真のように、手の届かない場所にいってしまいそうで。
「次の遠征、必ず帰ってきますから」
恋次は、虚退治の遠征に出発することが決まっていた。
白哉には待機命令が出されていた。
ユーハバッハの一味を、互いに倒した。初めはやられてばかりだったが、零番隊で湯治して、修行した。
今の力量なら、ただの虚退治の遠征くらい、なんてことはないだろう。
だが、恋次は5席を庇い、怪我をして戻ってきた。
酷い怪我だった。
ただちに4番隊の救護院に入院が決定した。
ちぎれかけた右手の先は腐っていて、本人の細胞から生み出した右手を移植手術した。背中にも大きな傷を負っていて、回道をかけたが傷はまだ完全に塞がりそうになかった。
移植手術はなんの問題もなく終わり、恋次は普通の病室に移された。
「愚か者・・・このような怪我を負って・・・・・」
「隊長?」
起き上がろうとした恋次は、背中に走った痛みと、右手の違和感に眉を顰めた。
「背に大きな傷がある。あと、右手は腐っていたので新しいものが培養されて作られて、接続手術は問題なく終わった」
「ああ・・・・右手、やっぱりだめだったんすか」
「うじがわいておった」
「そりゃ、使い物にならないわけだ」
「今の技術に感謝することだ。四肢を欠損しても、培養技術で作りだし、接続手術が成功すれば元の通りになる」
「隊長」
「なんだ」
「新しい右手で、触れてもいいですか」
何故急に恋次がそんなことを言いだしたのか、分からなかったが、いいだろうと言うと、恋次は白哉の白い頬に触れてきた。
「ああ・・・前と同じ感触がする。よかった、何も変わってない・・・・・」
「愚か者・・・・仲間を庇うなら、もっとダメージを最小限にして庇え」
「すみません・・・・」
「お前が担ぎ込まれた時の姿を見た時、心臓が止まるかと思った」
白哉の白く美しい、とても武人はとは思えない手が、恋次の赤い髪をすいた。
「今日は、随分と優しいんですね」
「怪我を負った愚か者を、叱りに来た」
「そのわりには、優しい」
「優しくされては、不安か?」
「いいえ。居心地がいい・・・しばらく傍にいてくれと言ったら、怒りますか」
「構わぬ」
「なら、もっと傍にきてください」
言われる通りに傍にいくと、唇を奪われた。
「ん・・・・・」
ピチャリと、舌が絡み合った。
その続きをしようとする恋次を、ベッドに押さえつけた。
「隊長?」
「ここは救護院だ。そのような場所ではない」
「なら、退院したらあんたを抱いてもいいですか」
「よかろう」
半分冗談のつもりだった。
こんな怪我人が、そうそうの退院することはないだろうと思っていたが、恋次は1週間で退院してしまった。
卯ノ花の後を継いだ勇音も、舌を巻くほどの回復ぶりであった。
背の傷後は残っているが、右手はもう違和感もなく動かせた。剣を握っても、それは関係なかった。
「隊長、退院しました。約束通り、抱かせてください」
「このように早く退院など・・・・・仕方ない、今宵あの館にこい」
夜になって、いつも逢瀬に使う館に案内された。
遠征の保存食に、救護院の病院食で物足りなかった恋次にとっては、久方ぶりのまともな食事だった。
珍しくおかわりを所望する恋次に、仕方ないと、料理人に違うメニューを作らぜて、食べさせた。
酒も飲んだ。
実に、1か月ぶりだ。
3週間の遠征と、1週間の入院。
白哉を抱くのも、1カ月ぶりだった。
「ん・・・・」
褥に横たえて、キスを繰り返した。
「ずっと、あんたに触りたかった・・・遠征とか、抜くこともなかなかできないから、溜まりまくってる」
「加減は、しろ」
「分かってます」
「んん・・・・」
潤滑油で濡れた指が入ってきた。
久し振りの異物感に、体が拒否反応を起こす。
「あんたのここ・・・・すごい熱い」
「言うな、愚か者・・・ああ!」
指でぐっと前立腺がある場所を押されて、体が反応する。
「ひああああ!」
コリコリと前立腺ばかり刺激されて、前もいじられて、白哉は精を放っていた。
「入れますよ」
「ああああああああ!!」
指とは比較にならないものに引き裂かれて、白哉は生理的な涙を零した。
背中に爪をたてようとして、まだ傷口にガーゼが当てられ包帯が巻かれていたので、包帯の上から爪を立てた。
「隊長、ずっとあんたに触れたかった。ずっと一つになりたかった・・・・」
1か月間の空白は、白哉にとっても溜めこむことになった。
「ひあああ!」
前立腺をすり上げられて、白哉は二度目の熱を放つが、その量がいつもより多かった。
「隊長、あんたぬいてなかったのか」
「そのような行為、好まぬ」
「俺が存在しなかったとき、どうしてたんですか」
「覚えておらぬ」
それは本当だった。
「隊長、愛してます」
「私も、愛している」
ぐちゃりと奥を犯されて、白哉の中が締まり、恋次はやっと思いのたけを白哉にぶつけた。
「ああ、めちゃくちゃきもいい・・・」
射精は長かった。
よほど溜めこんでいたのだろう。
「ん・・・・」
やっと律動を再開した恋次の動きに、白哉もおいつめられいく。
「ああああ!」
恋次が二度目になる熱を白哉の腹の奥に出す頃には、白哉は三度目の熱を放っていた。
「加減をしろと言っておいた。まだするつもりか?」
「あと1回だけ」
「早く、いってしまえ」
くちゅくちゅと内部を犯されて、前立腺ばかりを刺激してくる動きに、白哉は何も考えられなくなった。
「いあああああ・・・・ああ・・・うああ」
下肢に力を籠めると、その締め付けで、恋次は3度目をあっという間に放っていた。
「もっとあんたを味わいたかったのに・・・・・」
「もう十分であろう」
「まだいけますが、さすがにだめですよね」
「加減をしろと言っておいたであろう」
「はい・・湯殿、いきますか」
睦みあった情事の後を流すために、いつも行為の後は湯殿で体を清めた。時折意識を飛ばした時は、起きたら湯殿に行った。
「あ・・・・・・」
とろとろと、恋次の放ったものが大量に、太ももを伝っていく。
「かき出しますね」
「んん・・・・・」
指をいれられてかき出す動きに、いってしまいそうになって、かき出されると、白哉は湯船に浸かった。
もう出すものがないので、オーガズムでいきそうになってしまった。
「すみません、ちょっと隊長の声聞いてると、たっちゃったんで抜きます」
風呂場で一人で抜く恋次を、白哉は黙って見ていた。
「あの、恥ずかしいからあんま見ないでもらえます?」
「何を今さら。互いの裸なぞ、見飽きた」
ぬいてスッキリした恋次は、湯船の中で白哉に抱きついた。
「ああもう、そのつんけんした態度がたまらない」
「お前は、マゾか?」
「違いますよ!隊長の性格のせいでこうなったんです!」
「ふむ・・・背の傷、後でガーゼを交換して包帯を巻いてやろう」
「ありがとうございます」
やがて湯からあがり、恋次の背中の傷に化膿を防ぎ、傷口の治りを早くするお値段の高い4番隊で売っている軟膏をつけてから、ガーゼをあてて、その逞しい胸と背中に、包帯を巻いていく。
「お前の背中は広いな。逞しい」
「あ、隊長、こんな風になりたいと思っても無駄ですからね。隊長の体は、鍛えても今以上の筋肉はつきそうもないし」
「知っている」
何度鍛錬しても、この体は筋肉があまりつかないのだ。体質のせいでだろう。
「右手は、もう違和感はどこにもないのか?」
「ありません。接続手術をしたのが嘘みたいだ」
「そうか。ならばよい。明日も仕事がある。寝る」
褥ではなく、普通に出した1組の布団で、寄り添いあいながら寝た。
「もう、そのような傷を作るな・・・・・」
眠りに落ちる前、白哉は確かにそう言った。
「はい・・・・・って隊長?寝ちまったか・・・・・・」
恋次も、大人しく眠るのだった。
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