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10番隊でクリスマス

「日番谷隊長、メリークリスマス」

10番隊の執務室に、クリスマスサンタの恰好をした浮竹が現れた。

京楽の手によるものなのだろう。ふりふりのふわふわで、かわいかった。

「ああ、浮竹か。メリークリスマス」

「甘納豆をもってきたぞ。食べてくれ。クリスマスプレゼントは、現世の「せがのびーる」君だ」

なにか、錠剤をもらった。なんでもカルシウムがたっぷりで、飲むと背が伸びるらしい。

「こんなもの、効くのか?」

「さぁ。現世の薬局で健康グッズ漁っていたら、売ってたから買ってみた」

「健康グッズ・・・・何してやがんだ」

「何か、せめて熱をあまり出さないようの体を鍛えようと思って、いろいろ探したが、いまいちぴんとこなかった」

現世にまでいって、健康グッズを漁る病弱な13番隊隊長・・・その姿を想像してみると、けっこう哀れかもしれない。

「あー、浮竹隊長めちゃくちゃかわいい!」

隊首室から顔を出した松本が、浮竹のサンタ姿を伝令神機で写真をとっていた。

「京楽が、これを着ないと襲うというから、着てみた」

「サンタ服で美味しくいただかれる浮竹隊長・・・・・クリスマスプレゼントはもちろん、浮竹隊長ですね!」

「それ、なんかやだな」

「いや、いいね!実にいいね!」

いつ来ていたのか、霊圧を消していた京楽が、松本の言葉に感動していた。

「浮竹、「俺を食べてくれ」ってその恰好でいってほしいな」

「いやだ!本当においしくいただかれるからいやだ!」

「そう言わずに」

「日番谷隊長、助けてくれ」

日番谷の後ろに隠れる浮竹。

「おい京楽、浮竹が嫌がってるだろ。あまり無理強いはするな」

「わかってないなぁ。これも愛だよ、愛」

「京楽の愛は、欲望にまみれている」

日番谷の後ろで、浮竹はそう言った。

「日番谷隊長を俺とお揃いの恰好にできたら、言ってやってもいい」

「おい、浮竹!」

いきなり矛先が自分に向いたので、日番谷が声を出す。

「お前、庇ってやってるのにそんなことを言いだしやがるのか」

「だって、絶対日番谷隊長このサンタ服、似合うと思うんだ」

「ふりふりのふわふわなんて、俺には似合わない・・・・・」

縛道の六十一 六杖光牢」

「え、おい、京楽!」

鬼道で自由を奪われ、元からそのつもりだったのか、日番谷サイズのサンタ服を手に、京楽と松本がにじりよってくる。

「ぎゃああああああああ」

哀れ。

日番谷は、京楽と自分の部下である松本の手で、ふりふりふわふわのサンタ服を着せられてしまった。

「ああもう、こうなったらやけだ。今日はこの格好でいるぞ」

「やあん、隊長かわいいーー」

「かわいいなぁ、日番谷隊長」

松本と浮竹が、頭を撫でまくった。

「浮竹隊長と並んでくださーい。はい、写真とりますよ」

日番谷は、やけくそで浮竹と一緒にピースサインをした。

「はぁ・・・浮竹とお揃いか」

「嫌か?」

「もうどうでもいい」

本当に、どうでもよさそうだった。

京楽もいれて、4人でクリスマスケーキを包丁がなかったので、斬魄刀で切って食べた。

浮竹が、現世から買ってきたケーキで、とてもおいしかった。

日番谷は足りないのか、甘納豆を口にしていた。

「日番谷隊長、俺にもくれ」

あまりにも日番谷が美味しそうに食べるものだから、浮竹も欲しくなったのだ。

「浮竹、約束の言葉言ってよ」

そんな浮竹に、京楽が唇を尖らせる。

「え、何をだ」

「言ったじゃない。日番谷隊長を同じ格好にしたら、「俺を食べてくれ」と言ってもいいって」

「そ、そんな約束したかな?」

浮竹が誤魔化そうとするが、京楽はふりふりふわふわのサンタ服を着た浮竹を見た。

「言ってくれなきゃ、襲う」

「仕方ないな・・・・・「俺を食べてくれ」・・・」

「その言葉、確かに受け取ったよ!」

「え?」

がばりと、その場に押し倒された。

「お、おい、京楽・・・・・んあっ」

舌が絡まるキスをされた。

服の上から、敏感な部分を触れられて、流石にやばいと浮竹も思った。

「やん、京楽、盛るなら雨乾堂で・・・・やあ」

「お前ら・・・・俺も松本もいるのに、いい度胸だな」

「日番谷隊長・・・ああっ、京楽、やめ・・・・・」

「蒼天に座せ、氷輪丸!」

氷の龍は、盛った京楽と、それをぱしゃぱしゃと写真に撮っていた松本を巻き込んで、天高く昇っていった。

「日番谷隊長?俺は?」

「悪いのは京楽だろ。浮竹のせいじゃねぇ。甘納豆もくれたしな」

「うわーん、日番谷隊長ー!」

浮竹は、日番谷に抱き着いた。

「京楽のやつ、今日は盛りっぱなしで・・・・助かった」

浮竹と日番谷は、半壊した10番隊執務室で、甘納豆を口にしながら、お茶をすするのであった。



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