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院生時代の部屋 山じいの思い

今日は、尸魂界での虚退治の訓練日だった。

浮竹と京楽はペアを組んだ。そして、教師でも手がたたない強力な虚をなんとかしろと言われた。

念のため、6番隊の隊長朽木銀嶺がついていた。山本総隊長も見ていた。

浮竹と京楽は、違いに斬魄刀を始解させて、強力な虚に切りかかった。

30分ほど格闘していただろうか。

虚の放った攻撃を、浮竹が双魚の理で右の剣で吸い取り、左の剣ではじき返す。一瞬の隙をついて、京楽が花天狂骨で虚を真っ二つにした。浮竹が、さらに駒切にしていく。

「見事じゃ、春水、十四郎。たった3年で、よくここまで成長した。まだ斬魄刀を始解出来ぬ者もおるのに、よう己の斬魄刀と心を通わせあった。お主らなら、いずれ卍解を習得し、隊長にまで登りつめることであろう」

「やめてよ山じい。まだ3回生だよ?もうすぐ4回生になるけど」

この冬が終わり、桜の花が咲く季節、浮竹と京楽は4回生になる。

「元柳斎先生、ありがとうございます。いつか絶対に卍解を習得し、隊長になってみせます」

「それより・・・・春水、お主、十四郎に懸想しているとは本当か」

「あれ、ばれっちゃった?」

「学院でも有名じゃ。十四郎、春水を切りすてるつもりはないのか?」

「それは、ありません」

京楽は喜んだ。

自分の気持ちを、踏みにじることは決してしないと、尊敬している山じいに伝えたのだ。

「いつか時がきたら、自分で解決します、元柳斎先生」

「ふむ・・・教え子が、同じ性別でできるなど、歓迎できたものではないが、お主らのことじゃ。禁じればそれを破るのであろう」

「当たり前でしょ、山じい。山じいといえ、恋愛にまで口を出す権利はないよ」

「十四郎のほうは、まだ春水とできることを承諾しているわけではないのじゃろう。それでも、干渉はいらぬというのだな、十四郎」

「はい、元柳斎先生」

「あいわかった。お主らが婚礼し、子を見るのを楽しみにしておったのじゃが、このままではそれもかわなぬか」

「ごめん、山じい」

「すみません、元柳斎先生」

「まぁよい。お互いを大切にするのじゃぞ、春水、十四郎」

「山じいもこう言ってることだし、今日にでも結ばれよう、浮竹!」

そう言い出した京楽の鳩尾に蹴りをいれて、叫ぶ。

「調子に乗るな!あ、元柳斎先生すみません。お見苦しいところを見せました」

「もうよい」

山本総隊長は、朽木銀嶺を連れて、去っていった。

「ねぇ、どうして山じいはいきなり僕らの様子見に来たりしたのかな」

「元柳斎先生なりの、お考えがあるだろう」

真実は違った。

恋愛に現を抜かし、鍛錬を怠っているようであれば、二人の仲を裂こうとしていたのだ、山本総隊長は。

浮竹に、妻を早々に娶らせるつもりだった。京楽は、もう浮竹しか見えていないようだから、まだ正常な浮竹に妻を娶らせて、京楽のことをただの友人として見るように指導しようと思っていた。

だが、互いを庇いあう二人を見て、考えを改めた。

恋愛を強制する権利は、山本総隊長にもない。

「十四郎はああ言っておったが、もう春水の想いを受け入れる覚悟ができている顔じゃった・・・・」

若いな、と思うと同時に、惜しいと思った。

きっと、子ができればその力、受け継がれていくだろうに。

「のう、銀嶺。お主は、もしも我が子が同じ性別でできてしまったらどうするのじゃ。仲を引き裂くか、歓迎するか、黙認するか」

「山本総隊長、もしも私の子がそのようになれば、黙認いたしましょうぞ。子は、一族から養子をもらい、それに跡を継がせましょう」

「そうか・・・・」

山本総隊長の心も決まったようだった。

このまま、自然の流れにあの二人を任せることにすると。


「ねぇねぇ、山じいもああいってたんだし、僕らもできようよ」

「しつこい!」

「おぷ!」

寮の自室で、しつこい京楽の顔に裏拳を入れて黙らさせた。

「はぁ・・・」

山本総隊長に、自分でいずれ問題を解決すると言ったが、干渉はいらないと断言してしまった。つまり、京楽とできることを黙認してくれといったよなものだった。

「十四郎、春水を切りすてるつもりはないのか?」

「ありません」

あのやりとりを、その記憶を、その場にいた全ての者から消してしまいたかった。特に京楽に。

「はぁ・・・・・」

その日、浮竹は何度も溜息をついた。

消灯の時間になって、おやすみのキスを京楽にすると、吸い付いて離れてなかったので、頭突きをかまして気絶させた。

「はぁ・・・・」

しばらくの間、京楽は山じいの言葉通りできようとうるさかったが、1週間ほどすると、いつものように浮竹のパンツを頭に被るただの変態に成り下がっていた。

山じいの言葉通りになろうと、真剣に迫られて、貞操の危機に陥ったこと実に3回。

最後の砦であるパンツは死守したが、パンツの上から直接触れかけられて焦った。

「それ以上すると、キスもハグもなしにするぞ!」

そう脅すと、大人しくなった。

本当に、京楽は厄介だ。

隙をみせるわけにはいかないと分かっていたが、吐血した。

「ごほっごほっ・・・・」

「大丈夫、浮竹!?」

「う・・・・薬を・・・・」

ごぽりと血の塊を吐くと、少し楽になった。

京楽は、服が浮竹の吐いた血で汚れるのも構わず、医務室に送ってくれた。

寮の自室から学院の医務室まで距離をあるだろうに、無理に習得したばかりの瞬歩を使ってくれた。

もってきていた薬を飲まされ、医務室で回道の治療を受けて、発作は静かになった。

「浮竹、苦しいならいってね」

「ん・・・・」

ズキンズキンと肺が痛んだ。

「鎮痛剤を・・・・・」

京楽の手で、薬として与えられえている、発作の時のための鎮痛剤を打たれた。

「傍に・・・・いてくれ・・・・」

「うん、ちゃんと傍にいるよ」

肺の病で、一人きりになるのはとても寂しいのだ。

京楽は、浮竹が眠っても、その傍を離れなかった。

寮の自室に戻された。意識のない浮竹を京楽が運んだ。

寮の自室でも、京楽は浮竹と同じベッドで眠り、傍にいた。

血で汚れた服は、京楽が着換えさせてくれた。

その気になれば、襲える隙などいくらでもあるのだ。でも、京楽は絶対に熱をだしたり、吐血して意識のない浮竹に手を出さない。

京楽は確かに変態でどうしようもないが、とても優しい。その優しさについ甘えてしまう。好きだと毎日のように囁かれて、頷いてしまいそうになる自分を叱咤する。

変態京楽とできるのは御免だった。

変態を辞めたら、京楽を受け入れていいかもしれないと思いながら、変態が治るようにと思いながらも、自分のためにこの変態ぶりが続きますようにと、矛盾の思いを抱える浮竹だった。

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