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院生時代の部屋 恐怖、押しかけ花嫁

朝起きると、白無垢姿の京楽がいた。

「ぶばっ」

その姿に、浮竹が吹き出す。

「何してるんだ、おまえ」

「え。浮竹と結婚する準備。白無垢は着てくれないだろうから僕が着るから、袴姿になってね正装してね」

置かれていた花婿の正装の和服に、浮竹は冗談に付き合うつもりで着替えた。

手をひかれて、移動する。

今の京楽は、押しかけ花嫁だ。

神主がいた。

酒を注がれて、京楽が飲み干す。浮竹は、飲み干さずに逃げ出した。

本気だった。

観客はいなかったけど、本気で結婚式を挙げるところだった。

その気のない浮竹は、寮に戻って着替えて、和服の正装を踏みつけた。

「危なかった・・・・・冗談のつもりだと思っていたら、本気なんだものな」

京楽の白無垢姿はあまりに滑稽で笑えたけど、あのまま酒を飲んでいれば、結婚が行われたことになってしまうだろう。

「京楽と結婚とか・・・ありえない」

親友以上恋人未満。この関係から外れるとしたら、ただの友人に戻るという選択肢で、京楽と結婚式を挙げて既成事実を作られ、迫られるなどもっての他だった。

「浮竹~」

白無垢姿の京楽が、逃げてきた浮竹を追って、寮に入ってくる。

「おまえなんかこうだ!」

白無垢をはぎとってやった。

「あーれー。浮竹ってば大胆♡」

「あほいってないで、服を着ろ!」

京楽の院生服を出してやり、それの顔に投げつけた。

「僕が花嫁なら、結婚してくれると思ったのになぁ」

「おまえみたいな花嫁、願い下げだ」

「やっぱり、花嫁は浮竹じゃないとだめか」

「そういう問題じゃない!男同士で結婚式なんて挙げれるわけないだろう」

京楽は、笑った。

「金さえ積めば、結婚式なんていくらでもできるんだよ」

「そんなことに金を積むな!俺はおまえと結婚する気はないからな!」

「えー。けちー」

「あほ!」

京楽の脛を蹴飛ばした。

「あいたっ」

「結婚式なんて挙げなくても、俺たちは今のままでもいいだろう?」

京楽を押し倒してみる。

京楽は、ふっと真顔になって、浮竹の頬に手を当てた。その手に手を重ねる。

自然と唇が重なった。

「んっ・・・・」

離れようとしても、京楽がむちゅーと吸い付いてきて離れない。

「この駄アホ!」

京楽の顎を殴って、軽い脳震盪を起こさせると、ばたりと京楽は倒れた。

「なんか最近、京楽のペースに乱されがちだな・・・・・」

とりあえず、京楽はベッドの上で寝かせて、布団で簀巻きにしておいた。

1時間ほどして気づいた京楽は、簀巻きにされたのに喜んでいた。

「浮竹、我慢できないからって僕を簀巻きにしなくても」

「おまえの頭は本当に花が咲いてるな」

京楽が、手を出してこないように簀巻きにしたのだ。

簀巻きにした京楽の傍に座る。ギシリと、二人分の体重をかけたベッドが軋んだ音をたてる。

「もう、白無垢とは笑える恰好はするな。それと、俺はお前と結婚式を挙げるつもりはない。遥かなる未来までは分からないが、今は挙げるつもりはこれぽっちもないからな」

「残念」

京楽が悲しそうな声を出すが、遥かなる未来までは分からないという言葉に、希望を見出したようだった。

「学院を卒業する頃には、君は僕のものになっている。その時に改めて結婚式を挙げよう」

「勝手に言ってろ」

浮竹はため息を零した。

次の日、普通に学院に登校する。

「結婚式は洋風のほうがいいの?」

「和風よりは俺は洋風のほうが好きだ」

「じゃあ、僕がウェディングドレスを着るね」

「やめろ、塑像してしまう。毛むくじゃらのウェディングドレス姿を想像させるな!」

「じゃあ、浮竹がウェディングドレス着てくれる?」

「バカ言うな。タキシードなら着てやってもいい」

他の生徒がいる中でそう言い合いあって、二人は夫婦になるとか噂がたったが、いつも通りのバカップルぶりに、周囲にまたこの二人は・・・・などと、思われるのだった。





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