忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 26 27 28 29 30 12

院生時代の部屋 添い寝チケット

「今日は僕の誕生日!ということで、愛をちょうだい!」

半裸で飛びかかってきた京楽を、ひょいと避けてけてから、浮竹はその足に回し蹴りをいれた。

「酷い!僕の誕生日なのに!」

「お前の誕生日だからって、プレゼントは用意してないぞ!」

「じゃあ、これを僕にプレゼントして!」

京楽が渡してきた紙を見る。

(浮竹と×××するチケット、1枚につき2時間有効)と書かれたものが、10枚あった。

「誰がこんなこと、許可するか!」

びりびりに破いて捨てる。

「酷い!( ノД`)シクシク…」

しくしくと泣き出した京楽が鬱陶しくて、浮竹は白い紙に、(添い寝してやるチケット。3枚のみ有効。添い寝以外は禁止)と書いたものを渡した。

「浮竹の添い寝!嬉しい、さっそく今日使うね!」

京楽は目を輝かせていた。

浮竹は、サービスしすぎたかと思ったが、毎年誕生日になると高価なものを贈ってくる京楽のことを考えて、まぁいいかと自分自身を納得させた。

夜になり、京楽がチケットを1枚浮竹に渡して、浮竹のベッドに寝ころぶ。

「もっと離れろ!鬱陶しい!」

「添い寝、してくれるんでしょ?」

「う・・・・・」

大きな犬みたいに見上げられて、浮竹は仕方なく京楽と一緒のベッドで眠りについた。

いざ、寝ようとすると京楽が(*´Д`)ハァハァと荒い息をしていたので、何かと思えば伸びた髪をくんかくんかとかがれていた。

「大人しく、寝ろ!」

浮竹は、京楽を簀巻きにした。

夏なので、薄い毛布で簀巻きにした。

簀巻きにされた京楽は、それでも浮竹と一緒に寝れるのが嬉しいのか、にこにこしていた。

浮竹は、京楽を簀巻きにしたことに安堵して、眠りについた。

「ん・・・暑苦しい・・・」

夏に入り、夜とはいえ室温も暑くなっていた。

薄い布団をかぶっていたのだが、隣にいたはずの京楽が簀巻きから逃れて、浮竹を抱きしめて寝ていた。

「暑い!」

京楽の腕から脱出して、京楽を再び簀巻きにしてから、ベッドから蹴り落とした。

「ん~。浮竹ぇ、大好きだよお」

京楽は、深く眠っているようで、起きなかった。

浮竹は、京楽をなんとかベッドの上にもちあげると、ため息をついて同じベッドでまた眠ることにした。

チケットの約束は、約束だから。

窓をあけて、夜風が入るようにする。

それでも暑くて、なかなか寝つけないでいた。

「京楽のやつ、こんな暑いのによく寝れるな」

よくよく見ると、京楽は氷枕を胸に抱いていた。

さわってみると、よく冷えていて京楽の体も冷たかった。

「今日だけ、だから・・・・・」

浮竹は、京楽というか、京楽の氷枕を抱きしめるような形で、うとうと、と意識を失っていく。

朝起きると、京楽がやっぱり簀巻きから脱出して、浮竹を抱きしめていた。

その腕からなかなか出れなくて、浮竹が叫ぶ。

「京楽起きろ、朝だぞ」

「浮竹の肌がすべすべ。花の甘い香がする」

「おい、起きてるんだろう、京楽!」

「ふふふん、僕はまだ寝ている。なので、浮竹と添い寝するんだよ」

「起きてるだろうこのバカ!」

京楽の頭を、ばしばしと何回もはたいた。

「痛い、痛い」

伸びたひげを引っ張ると、京楽は降参して浮竹を自由にしてくれた。

「ひげ、ひっぱらないで。痛いから」

「じゃあ、次からはそのもじゃもじゃの胸毛をひっぱってやる」

「それも痛そう」

京楽は、へらりと笑った。

浮竹は、ため息をつく。

添い寝するだけが、完全に抱きしめられていた。あと2回、チケットあるんだよなぁと悩みながらも、朝から寝汗を流すためにシャワーを浴びた。

院生の服をきて、少し長くなった白髪をタオルで水分とふきとる。

京楽は、浮竹のシャワーシーンを覗き見して、鼻血を垂れていた。

「・・・・・やっぱり、チケット返せ」

「嫌だよ!この添い寝チケットは僕のものだ!」

朝からぎゃあぎゃあとわめいていると、隣の部屋の寮の者が苦情を言ってきた。

「朝っぱらからうるさいんだよこの夫婦が!」

「夫婦だと?」

「浮竹、僕ら夫婦だそうだよ」


実際に、オシドリ夫婦と呼ばれるようになるのは、この先数百年後のことであった。




拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/25)
(11/25)
(11/22)
(11/21)
(11/21)
"ココはカウンター設置場所"