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院生時代の部屋3

朝起きると、京楽の顔があった。

「またか」

別々のベッドで眠ったはずなのに、京楽は浮竹のベッドに忍びこんで、一緒に眠るのだ。

浮竹が起きていると怒られるので、浮竹が寝てからベッドに忍び込んでくる。

まぁ、一緒のベッドで眠るだけなので、害があるというわけではないが、まだ残暑の残るこの季節には暑苦しかった。

「起きろ、京楽!」

京楽をベッドから蹴り飛ばす。

「あれ~?もう朝かい」

「そうだ。何度も言ってるだろう、勝手に人のベッドに侵入するのは止めろ!」

「いいじゃない。一緒に眠るくらい」

「俺たちは恋人同士じゃないんだぞ!親友同士にしては度がこしているだろう!」

「じゃあ、今すぐ恋人同士になろう!」

むちゅーっと抱き寄ってくる京楽が鬱陶しくて、また蹴りを入れた。

「足癖の悪い子だねぇ」

足首を掴まれる。そのまま、足首にキスをされて、浮竹はまた京楽を蹴った。

「いいか、このテープから内側に入ってくるな。お前のテリトリーは、このテープの外だ!」

毛を逆立てた猫みたいに威嚇してくる浮竹がかわいくて、うんうんと話は聞いているのだが、本当に理解しているのか謎だ。

浮竹は、学校があるので荷物を揃えて、寮の部屋を出た。
その後ろを、京楽が一定の距離をあけながらついてくる。

「うっとうしいな、お前は!」

「え~。いいじゃない、別に」

「もういい。普通に横に並んで歩け」

「わーい(*´▽`*)」

本当に、それだけで幸せそうな顔をする。

朝はぎりぎりまで寝ているせいで、朝食をとらないことが多々あった。

今日も、朝食を取り損ねた。

食堂で朝食をとったのは、何か月前だろう?

「お、浮竹、京楽」

友人の一人が、浮竹と京楽を見て近寄ってくる。

「あ。俺別に用があるんだった。またな!」

友人は、そう言って去って行った。

ちらりと京楽の方を見ると、憤怒の顔をしていた。

「お前な・・・・・友人に嫉妬するのやめろ」

「だって、浮竹と二人きりでいたいんだもん」

「はぁ・・・・・・・」

「よ、浮竹-------------ああ、俺今日日直だった」

「よう、浮竹----------------あ、忘れ物!」

「おはよう浮竹君----------あたし、トイレ」

「おはよう浮竹-------------早めに教室に戻らなくちゃ」

友人が来るたびに、威嚇する京楽。般若の面を被った顔をしていた。

浮竹は、肩まである髪を揺らして、まだ少し身長差のある京楽に背伸びして、噛みつくようなキスをした。

「これで勘弁しろ。友人たちと会話ができない」

京楽は、般若の面を脱いで、でろでろしだした。

そんな京楽を見て、友人たちは今日も京楽はやべぇとか言っていた。

「はぁ・・・・・」

席につく。運がいいのか悪いのか、京楽は隣の席。

ずっとこっちを見てくる。

本当に、こんな俺のどこがいいのかわからない。容姿は整っているほうだが、同じ男だ。しかも病弱で肺の病をもち、下級貴族の貧乏人。

上級貴族の考えることは分からないと、浮竹はため息をつく。

京楽は、別に上級貴族だから浮竹を好きなわけではない。本人に言わせると、運命的な出会いなのだそうだ。

休憩時間になって、浮竹を中心に、友達の輪ができる。初めの頃は般若の面をかぶっていたが、浮竹が嫌がるので、最近では朝にだけ般若の面を被るようになっていた。

「ここ教えて、浮竹君」

「俺も教えてくれ」

「俺も・・・・・ひっ」

何故か、京楽にだけは分かるのだ。浮竹に邪な思いで近づくやつが。

今日も、そんな一人を追い払った。無言で。京楽バリアーとでもいうのはっている。

そんな京楽の気苦労も知らず、浮竹は今日も無邪気に笑顔をふりまく。無防備に。

浮竹は浮竹で、京楽の独占欲に辟易とする。

馬があっているのかあっていないのか分からぬ二人であった。

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