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院生時代の部屋5

夏祭りに出かけた。

浮竹は、数人の友人と京楽と一緒に夏祭りに出かけた。浴衣を着て行ったのだが、みんな少し恥ずかしそうにこっちを見てくる。

なんだろう?

そう思って、友人の一人に聞くと、

「気づいてないのか?首のとこ、キスマークあるぞ」

ぶちっ。

何かが切れる音がした。

京楽と恋人というわけではない。まだ肌を重ね合わせたことがないのだから。だから、京楽がわざとつけたことになる。

「京楽~~~~~~~~!」

「わーーーーごめんよーーー」

逃げる京楽をどこまで追いかけまわした。数回どついて、気が晴れた浮竹は、京楽も混ぜて夏祭りを楽しんだ。

林檎飴林檎飴林檎飴。

他に選択肢はないのかってくらい、林檎飴を食べる浮竹を、友人たちは心配そうに見ていた。

京楽も含めた友人たちは、たこ焼き、焼きそば、フランクフルト、イカ焼き・・・いろんな食べ物を食べているのに、浮竹だけは林檎飴を食べるのだ。

他の食べ物を勧めてみると、綿あめは食べた。

見ているだけ胸やけを起こしそうで、友人その1は、冷えた酒を買って飲みだした。

すでに成人はしているのだから、みんなわらわらと酒を飲みだす。その中で、浮竹だけがオレンジジュースを飲んでいた。

少し長くなった髪を結い上げて、柘榴の髪留めてとめている。

「浮竹・・・・その、今日は一段と色っぽいな」

「浮竹、京楽煽ってないだろうな?けっこうやべーぞ、お前の浴衣姿」

「浮竹、貞操の危機を感じたら、この前習った鬼道の白雷かまして逃げろ!」

友人たちは心配してくれたり、色っぽいといってきたりだが、その浮竹を見る京楽は、もうこの姿を一生目に焼き付けようとするように、浮竹ばかり映していた。

「寒気がする・・・」

じーーーーーー。

じーーーーーーーーーーーー。

京楽は、ひたすら浮竹を見ていた。柘榴の髪飾りは、この前の誕生日プレゼントにあげたものだった。高価なものを贈っても受け取ってくれないので、色ガラスでできた柘榴の髪飾りをあげた。

じーーーーーー。

じーーーーーーーーーーー。

「ああ、もう、鬱陶しいな。言いたいことがあるならはっきり言え」

「今すぐこの場で押し倒して犯したい」

アウトー。

友人たちは思った。

浮竹は、顔を真っ赤にして、京楽の鳩尾に蹴りを決めていた。

「うぐぐぐ・・・・今日の浮竹の姿は一段と萌える・・・・・・(*´Д`)ハァハァ」

「ああもう、京楽だめだわこりゃ」

「浮竹にも責任はあるんだぞ。無防備すぎるんじゃないのか。こんな変態の前でで浴衣とか・・・・・・・・」

「いや、ここまで酷くなるとは思っていなかった・・・・すまん」

浮竹は、変質者になりつつある京楽のことも含めて謝罪した。

「まぁまぁ。ここは気分を変えて金魚すくいでもしようぜ。あと輪投げとか」

浮竹は、すぐにポイを破ってしまった。

「金魚・・・・・」

金魚が欲しかった。

「僕に任せなさい」

京楽は、30匹はすくっただろうか。

「すごいな京楽。なんて無駄な才能だろう!」

友人たちが笑いあう。

金魚がほしい。

そういえなくて、もう一度金魚すくいに挑戦しようか迷っていると、無言で京楽が2匹の金魚が入った袋を渡してきた。

「ありがとう・・・・・・」

浮竹にしては珍しく、素直に受け取った。

寮の部屋で飼っていた金魚が、先週死んでしまったのだ。

色硝子をいれた浴槽の中で泳ぐ金魚は綺麗だった。見ていると、心が和む。

その後、花火をみて、思い思いにはしゃいで解散となった。寮で寝泊まりしているのは京楽と浮竹だけなので、二人で手を繋いで、帰路につこうとする。

この年一番の、大きな花火が上がった。

「綺麗だな・・・」

「花火を映す、翡翠の君の瞳のほうが綺麗だよ」

恥ずかしげもなく言われる言葉に、頬が赤らんだ。

「このばか・・・・・」

「今年も、夏祭り楽しかったね。また来年もこよう」

「ああ・・・・・・・」


親友以上恋人未満。

その関係は、まだまだ続きそうだった。

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