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青春白書10

「そうか。ああ、このままルキアは泊める。週末だし、このまま日曜まで家にいさせる。いいな、恋次?」

電話側の恋次は、安堵したように了承してくれた。

恋次から全て聞いた。

ルキアが恋次に「告白」をしてそれを恋次は受け入れず、そしてルキアは家を飛び出したのだと。

いわゆる家出のようなものだろう。

一護は自分の家にルキアが来てくれて心から安堵した。

「う・・・ん」

ベッドで寝返りをうつルキアの額にキスをする。

そのまま、同じベッドで眠った。

朝起きると、横にルキアはいなかった。一護は一人暮らしだ。

まさかどこかに行ったのかと焦ったが、靴があったのでほっとした。

でも、それもつかの間のことだった。

リビングルームで、ルキアはあられもない姿で座っていた。

綺麗に伸びた少し長めの髪が、無残なことになっていた。

「ルキア?」

鋏を持ったまま、放心しているルキアから鋏を取り上げる。切ったのは髪だけで、体に傷はつけていないようだった。

「ルキア」

ゆっくりと、アメジストの瞳が一護を見る。

「愛してくれ。私だけを愛してくれ」

服を脱ごうとするルキアを止める。

「何故だ?愛してくれないのか?」

「大丈夫、愛してる。でも、まだ早い。卒業するまで、体の関係はなしだ。それが最低限のルールだと俺は思う。教師と生徒だからっていうのもあるけど」

「本当に、私を愛しているのか?」

「ああ、本当だ。大好きだ。結婚しよう」

「・・・・・・・・・・恋次に振られた」

ルキアは泣き出した。

「恋次から聞いた」

「恋次のために伸ばした髪・・・こんなの、いらない!」

「ルキア」

頭をかきむしるルキアを抱きしめ、一護は唇を重ねると、はじめて舌を絡ました。

「ん・・・・・」

ルキアが震える。

そのまま組み敷くと、ルキアは顔を覆って震えながら泣き出した。

「怖い」

「だろ?無理に関係を求める必要なんてねぇんだ。俺は関係なんてなくてもルキアを愛している。結婚しよう」

「・・・・・・・・・私だけの一護でいてくれるのか?」

「ああ。お前だけの一護でいる。傍にいて、お前を守る。生涯かけて愛しぬく」

「・・・・・・・う、ううう、ひっく、ひっく」

ルキアは一護しがみついて泣きじゃくった。

そのまま、髪は一護がそろえてあげた。綺麗に伸ばされていた髪は、ルキアが自分でぎざぎざに切ったせいで、揃えると肩の高さになってしまった。

「約束してくれ。卒業したら、ちゃんと結婚してくれると」

「約束する。そうだな、不安なら婚約指輪を今度買いに行こうぜ」

たくさんのキスを受けて、一護の腕の中でルキアは落ち着いている。

「買いに行く。教会で結婚式あげたい。ウェディングドレス着てやる」

「うん、そうだな。いいな」

まるで新婚のように。

甘い夢を語りあう。

「一護」

「どうした?」

「大好きだ」

ルキアが、始めて一護のことを大好きと、好きといってくれた。

「愛してる。貴様が好きだ。恋次よりも好きだ・・・多分。同じくらい?まだここらへんが分からない。恋次が今まで私の全てだった。貴様が私の領域に入ってきた。恋次だけを見つめていた私の視線が、いつの間にか貴様を見つめていた。私の心を奪った責任をとれ」

「とる。だから、結婚しよう」

まるで子供のように駄々をこねるルキアの言葉にちゃんと答える一護

そのまま、しばらくの間ルキアは一護の家に泊まることになった。一護の家から通学するルキア。

ルキアが自宅に戻ったのは、2週間後のことだ。

恋次は髪を自分で切ってしまったルキアにショックを受けたが、また自分を変わりなく受け入れてくれるルキアに感謝した。

そして、そのルキアの指には一護から買ってもらったという婚約指輪が光っていた。

話を聞いて、恋次は気絶した。

「俺の大切なルキアがお嫁にいっちまう!」

学校の友人に、そして彼女にそういって男泣きする恋次の姿が数週間続いたという。

ルキアは、そのまま一護と付き合いながら高校三年になった。

それから季節は過ぎていく。

学校側は、ルキアと一護を受け入れた。正式に婚約あり、体の関係はなしという方向で。

自分たちから、正式に婚約をして付き合っているといいだしたルキアと一護。無論、問題にはなった。保護者である白哉が呼び出されもした。

教師と生徒なのだから、仕方ないことかもしれないが。

だが、昨今では体の関係などすでにあって、何もいわずに退学して結婚するケースもある中で、二人の毅然とした態度と約束は目を見張るものがあった。

すでに、この年齢で結婚の約束なしで付き合っている教師と生徒というケースはごまんとある。過去にこの学校でもあった。その中で、あえて自分たちから言い出し、約束を決めてそれを守るという姿勢を理事長も了承し、二人は学校でも公認のカップルとなった。

高校3年にもなると、もう公認でルキアは一護の家に住むようになっていた。

ルキアと一護の結婚式は、それはそれは華やかなものだった。
何せ、学校の教師全員に同じ学年の者たちが祝いに出たのだから。他にも旧知の友人の招待などもあったが、とにかくめでたくゴールインした二人を祝おうを学校で特別文化祭まであったほどに二人は祝福された。

「おめでとう!」

「おめでとう!!」

純白のウェディングドレスを着たルキアと、正装した一護

「ルキアああああ!俺はあああああ!うううう」

「落ち着け、恋次。鼻水でてるぞ」

俺はあああと、泣きまくる恋次も、次の年には彼女と結婚することになる。

冬獅郎が、恋次の鼻水を拭く。

ルキアは笑顔で恋次に「今までありがとう、大好だ恋次」といって、一護と並んだ。

恋次の泣きようはそれはもう凄いもので、鼻水の量も凄かった。一緒に出席した恋次の彼女も驚いたくらいに。

保護者であった白哉は、静かにルキアの、義妹の結婚式を見つめていた。

「緋真、見ているか。そなたの妹幸せを掴んだぞ」

ブーケを投げると、それを受け止めたのは恋次の彼女だった。

白哉の他に、ルキアの義理の両親も結婚式に出てくれた。ルキアは、虐待していた義理の両親を許した。義理両親は、長いこと悔やんでいたのだという。ルキアが緋真にあまりに似ていたため、虐待に繋がった。当時義理の母親は愛人もいて、そのせいで義理父親は精神的に不安定になって職も休んでいて、ルキアを襲ったのも本意ではなかったことらしい。覚せい剤をしていたらしい、当時。

荒れに荒れた場所から逃げたルキアは、白哉に保護され、そこから新しい恋次との出会いを生み、そしてそこから一護と出会うことになる。

一護の最初の両親も結婚式にきていた。一護も二人を許した。

長いこと、手紙で謝罪がきていた。実際にあって許そうと思ったのは、ルキアのお陰かもしれない。

二人の両親は、泣いて謝罪して、そして幸せになった二人を心から祝った

不良グループの頃の友人もきていた。当時世話になった警察官やおまわりさんまできていた。もう大所帯すぎて、とにかくにぎやかだった。

新婚旅行はニュージーランド。
新婚旅行なのに、二人は羊と戯れて、牧場で体験生活をしていたという。

ルキアは、結婚した後一護とそのまま一緒に住みながら、希望の大学に進んだ。

名前は変わっていない。朽木ルキアのままだ。白哉のことを思うと、名前をかえれなかった。一緒に暮らした時間は僅か2年であるが、愛しい義兄であった。一護も苗字が別々なのに同意してくれた。

二人はいつでも新婚バカップルだった。

恋次も同じ大学に進んだ。
大学2年の夏、3ヶ月大学を休学した。

新しい命が、二人の愛の結晶として産み落とされたからだ。

はじめ、ルキアは怖がっていた。自分が義理の親に虐待されていたせいで、子供を虐待するのではないかと。

けれど、一護と二人で歩んで一護はいつでも相談に乗ってくれたし、子供は素直に愛しいと思えた。ルキアは一護に支えられながら、育児と家事とそれに学業まですることになる。

家事を一護が全部引き受けてくれたり、恋次とその妻が子守をしにきてくれたりと、とにかくやっていけそうだとルキアは思った。

一人で子供のことに関して悩むことはなかった。初産の母親は育児ノイローゼになりがちだが、ルキアは周囲がとにかくこれでもか!ってくらいに世話をしにきてくれた。

特に恋次が。あと冬獅郎も。

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