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青春白書11

「一護、大人気ないぞ」

子供にルキアを独占されて、一護はルキアを抱き上げてしまった。

子供が背が届かないので、一護の足に蹴りを入れた。

「こら、親を蹴るな!」

「ママを返せー!バカ一護!!」

幼いながらも、しっかり血は変なところで受け継がれているようだ。ルキアを独占したいというところが、受け継がれている。それはそれはもう、しっかりと。一勇となづけられた長男は、とにかく一護の足を蹴った。

「ママは僕のものだ!バカ一護、返せ!」

幼い二人の我が子は、一護を蹴りi続ける。

ちゃんとしつけはしているのだが、一護に対して子供は母であるルキアを奪われると、ライバル心をむき出しにしてくる。

「パパー」

「おvなんだ?」

苺花と名づけられた、二人の子供である長女は、子供特有の大きな瞳で見上げて、一護を呼ぶ。

パパと呼ばれて、一護がルキアを地面に下ろした。

「パパー。大好きー」

「そうかー。俺も大好きだぞー」

子供を抱き上げると、子供は幼いのにどこでそんなことを覚えたのか、ルキアの血を引いているような言動をとる。

「大嫌い!」

「何をおおお」

逃げ回る子供を追い掛け回す一護。

そして、ルキアの背後に隠れて、じっとアメジストのルキアと同じ瞳で見上げてくる。

「大嫌いの反対」

「う」

この視線。ルキアの視線そのものだ。

この視線に弱い。

幼いくせに、目線の使い方をとてもよく理解している我が子に、一護はこれは年を重ねるごとに一筋縄ではいかないと思った。

「一護。愛している」

「俺もだ、ルキア」

二人はキスをする。

子供が背伸びをして、僕も私もとせがんでくる。

「僕も愛してるのー」

「愛してる」

幼い我が子の額にキスをして、ルキアは子供達を抱き上げる。そのルキアを、一護が抱き上げる。

ピンポーン。

チャイムがなる。

一護はルキアと我が子を抱き上げたままドアをあける。連絡は受けてある。

「恋次」

「恋次お兄さん」

嬉しそうに、子供は恋次の方を向く。

「はいはい、恋次お兄さんだぞー」

「恋次、大好きだ!」

ルキアは、昔と変わらない声と笑顔を恋次に向ける。

恋次は結婚したが、まだ子供はいない。そのせいで、遊びに来ることは多い。冬獅郎も、大学生になっていたが、よく遊びにきた。

「俺も大好きだぞ、ルキア」

そこに、昔のように女の子として恋次を慕うルキアはいない。

いるのは、一護の人妻で子供ありのルキア。

「おう、恋次、今日は泊まってけよ」

「言われなくてもそのつもりだ!」

「恋次お兄さん、遊んで!

子供が、ルキアの手からはなれてはしゃいで恋次の服をひっぱる。

そんな光景を、一護とルキアは二人並んで幸せそうに見つめている。

「大好きでだ、一護」

「俺もだぜ、ルキア」

そのまま唇を重ねる二人は、いつでも新婚気分だ。

「チャッピーーごっこしよ!一護もママも一緒にあそぼ!」

きゃっきゃとはしゃぐ我が子の愛しい声を聞きながら、二人はいつまでも抱きしめあっていた。

青春は、もう少し昔の出来事。

青春白書というドラマがあった。小説だったかもしれない。それが、どんな物語でどんな内容であったのかは二人は見ていないので知らない。

二人の青春白書は、ひとまずピリオト。


              青春白書
               fin



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