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青春白書7

公園で待ち合わせをしたルキアと一護。

ルキアをしきりに気にする周囲の男たちを他所に、一護はルキアに近づく。

「時間きっかりだな。早くきたりはしてないだろ?」

「早くきても、他の男に声をかけられるだけだからな。それで、どこに行くのだ?」

「そうだなぁ。まずは買い物に行こうぜ」

「?」

「服を買おう」

「そんなお金はない」

「俺が出すから」

「でも、それでは」

「いいから、気にすんなって」

ルキアの服は男もので、しかも恋次のものを借りたのでサイズが合っていない。

自分で洋服を選ぶことのないルキアは、いつも恋次が適当に買ってきてくれる男ものの服をきていたり、冬獅郎の服を勝手に着ていたりで。

服を選びにいこうと、恋次と出かけても、いらないとルキアは首を横に振る。女ものの服の置いてある場所に連れて行かれても、興味は全く湧かなかった。


そのまま、ティーンズの少女向けの服が売ってあるブティックに入る

「私は、こんなものに興味は」

「はい、いいからいいから」

一護は適当に見繕ったものをルキアに持たせ、そのまま試着室に押しこんだ

少々強引ではあるが、ルキアも仕方なしに服を着替える。

萌葱色のミニスカートに、白のニーソ、上はタートルネックの長袖のシャツに、その上から白のサマーセーター。

「こんなの・・・・似合わないに決まっている」

「いや、すっごい似合ってるぜ。グッジョブ、俺」

ルキアはスカートをはくのは学生服で慣れているので、嫌ではないようだ。

ユニセックスな服装にしようかと一護は思ったが、いっそのことだからティーンズの少女らしい格好をさせようと思った。普通の靴から、膝丈まであるブーツに履き替えさせる。
全部、ニールが選んだもの。

「ありがとうございました」

他にもいろんな服を買って、荷物は全部一護が持った。

ルキアは、髪を両サイドを三つ編みにしてツインテールにすると、一護があげた髪飾りをしていた。

全部恋次がしてくれた。二人でデートだと事前に一護が恋次に教えておいたのだ。

恋次はおしゃれをしなければと、ルキアの長い髪を結ってくれた。そして、自分が買い与えたと、壊れたとは思っていない硝子細工のかわいい髪飾りをつける。

服装は男ものなのは仕方ない。女の子の服というものをルキアは持っていないから。恋次は、一護なら似合った服を買って着せるだろうと予想していた。それは的中する。

「うん、かわいい」

「こんなもの・・・・」

「かわいい、ルキア」

一護が自信たっぷりに、ルキアに声をかける。

ルキアは頬を赤くして、あらぬ方角を見てしまった。

異性に、こんな風に接してもらうことが極端に少ないのだ。恋次はルキアの家族としてあくまで接しているので、恋次からかわいいと言われることも多いが、こうやって違う異性から堂々とかわいいと言われるのは初めてなのかもしれない。

そのまま服の荷物はかさばるので、駅のコインロッカーに入れる。

そして一護は、ルキアと手を繋いで歩きだす。

「どこにいくのだ?」

「何処に行きたい?」

「別に、何処でも・・・・」

電車に乗って、駅を乗り継いで、一護はルキアと並んで歩きだす。

テーマパークにやってきた。

「こんなの、興味ない・・・・」

「いいから、いいから」

そのまま、二人分のお金を払って入場すると、一護はテーマパークの奥へ奥へとルキアの手を掴んで歩きだす。さも億劫というようなルキアの顔。
男女のカップルの男は、大抵ルキアを見れば振り返り、彼女に怒られている。そんな周囲はどうでもいいので放置する。ルキアの美少女ぶりは、とにかく人目をひく。それは、出あった時にすでに分かっている。

ある場所で、一護が止まる。

ルキアは、どうでもよさげにしていたが、目の前にきた着ぐるみに目を輝かせる。

「チャッピーだ!」

一護の手を離して、ルキアは駆け出す。

そこはチャッピーのイベントをしている場所だった。

並んだいろんな商品を楽しげに見つめるルキア。チャッピーグッズがある前にくると、本当に嬉しそうにしていた。

「なんでも好きなの選ぶといい。買ってやるよ」

「しかし・・」

「欲しいんだろ?俺とデートしてくれたお礼」

「じゃ、じゃあこれとこれとこれとこれ・・・」

ルキアは、チャッピーのキーホルダー、マグカップ、手の平サイズのぬいぐるみ、パシャマを選んだ。

「遠慮することねぇぞ。荷物が多ければ、タクシーで移動するし」

「!」

一護はとても優しく微笑んでいた。

「じゃあ、これとこれとこれも!」

ルキアは微笑んでいた。とても自然な笑みを刻んでいる。

事前に、恋次からルキアはチャッピーがとても好きだという話を、聞いておいてよかったと思った。
ルキアが欲しがったものをそのまま全部買った。一護はチャッピーのイベント場所でルキアが喜んでくれて、心から嬉しかった。

ルキアは上機嫌だった。荷物はまたコインロッカーに入れて、それまではタクシーで移動し、近くなれば歩いて手を繋いで移動する。

ルキアが見たいといっていたという映画を見て、水族館にいって、それから少し早いが夕食に少し高級なレストランに入る。ルキアは戸惑っていたが、慣れている一護にリードされて自然な状態を保っていた。

デートの一日が終わる。

たくさんの荷物は持ちきれなくて、タクシーでルキアを家まで送り届ける。

「なぁ」

「なんだ?」

「今日、楽しかったか?」

「・・・・・・ああ」

「そりゃ良かった」

一護は自分のことのように喜んだ。

「・・・・・・・・一護」

はじめて、ルキアが一護のことを名前で呼んでくれた。それまでは先生という呼び方さえもなかなかしてくれなかったのに。

「また、デートしてくれるか?」

「・・・・・ああ」

「そうか。好きだぜ」

「・・・・・・目、瞑って」

一護は、言われた通りに目を瞑った。

ルキアは、頬にキスをすると、そのまま走り去ってしまった。

「あーもう。ほんとかわいいな」

一護は夕暮れに向かって、呟いていた。

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