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青春白書8

また、いつもの朝がはじまる。

「一護」

3時間目になると、ルキアは保健室にやってくる。

教師はルキアが発作的に暴れたりすることが全くなくなったせいで、みな一護を信頼して、一護にルキアのことを任せていた。

ルキアは、一護のことを「一護」と呼ぶようになっていた。

鞄には、買ってあげたキーホルダーをつけているし、毎日一護があげた髪飾りをつけるようになっていた。

ためしに、違う髪飾りをプレゼントしてあげた。

翌日には、それをつけてきてくれていた。髪も恋次に綺麗に結ってもらって、周囲がみてもルキアは明らかに変わっていた。そう、とてもよい方向へ。

週末、いつものようにルキアの家に泊まりにいくと、ルキアは笑顔で出迎えてくれる。それから、一日の出来を一護に語って聞かせる。

「なぁ、俺のこと好き?」

そう聞くと、必ずルキアはこう答える。

「一護なぞ、嫌いだ」

そういいながらも、腕を引っ張って、自分の部屋に通してくれる。

夜になると、一護が買ったチャッピーのパジャマに着替えたルキアは、一護と一緒に寝ると言い出した。

いつもは恋次か冬獅郎と寝ているのだという。

誰かが傍にいると、とてもルキアは安心する。
一護は誘われるままに、一緒のベッドで眠る。ルキアを抱きしめて。

デートする回数が多くなった。

毎日、携帯電話で話をする。おやすみと、必ずメールがくる。朝になると、おはようとメールがやってくる。

一護の元で、カウンセリングに似たものを受けるルキア。

ある日、ルキアから重大なニュースが飛び込んできた。

はじめて、同じクラスで同性の友達ができたそうだ。とても嬉しそうにしていた。

活発的になったルキア。もう、以前のような退廃的な雰囲気はないに等しい

ルキアの周りに、恋次の友人以外の友人が増えた。同性の友達もできた。

以前ケンカを起こして騒ぎになった女生徒からの接触はあれからないらしい。他の女の子のグループから嫌がらせを受けることもなくなった。

ルキアはクラブに入った。委員会にも入った。
目まぐるしく変わっていく。

ルキアが、熱を出して欠席することも、突然倒れることも少なくなった。

恋次からは、正式にルキアのことをお願いすると言われた。それは、将来的な意味も含めてのことだ。一護は受け入れた。

「いや。行きたくない」

「なんでだ?」

2年の修学旅行に、ルキアは行きたくないと言い出した。

「一護がいないから嫌だ!」

一護は修学旅行には行かないことになっていた。」

「でも、みんなルキアが来るといいなっていってたぞ」

「でも、一護がいないから嫌だ!」

「じゃあ、俺がいればいいんだな?」

「ああ」

一護は、なんとか無理をして修学旅行に自費で一緒に行くことになった。生徒たちの安全を見守りたいということで、一護の個人的な我侭は通された。

何より、理事長が頭のいいティエリアのことを気にしていて、特別に計らってくれたのだ。

ルキアは学校はじまっていらいの天才だ。学力テストなどでは、全国でも必ず1位か2位をとる。今までは、学力テストも適当で、IQも高いと名高いのに、成績は今ひとつだった。

それが、飛躍的に一気に伸びたのだ。それはもう、理事長からしても、自分の学校にそんな生徒がいるとなると鼻が高いだろう。

一護は神的に不安定になりやすい、ルキアのケアをしていることもあり、理事長の耳にもその名前は届いていた。

修学旅行はイタリアだった。
2週間の旅になった。

修学旅行が終わった次の日、一護はルキアに尋ねた。

「なぁ、ルキア。俺のこと好きか?」

「一護なんて大嫌いの反対だ」

「え」

一護が聞き返した。

いつも「一護なんて大嫌いだ」と答えるルキアの返答が変わっていた。

「もっかい言って」

「いやだ」

ルキアは、一護に小さく舌を出して、そのまま教室に戻ってしまった。

「大嫌いの反対かぁ・・・・つまりは大好き?」

一人職員室でニマニマしている一護に、声をかける教師はいなかった。



神的に落ち着いたルキアに、恋次は自分の彼女と再び会わせた。
それが引き金だった。

また、ルキアが不安定になりだした。

恋次は自分の軽率な行動を悔やんだ。

熱を出して、保健室に運び込まれたルキア。

一護はルキアに事情を聞く。ルキアは素直に答える。

「まだ、恋次が好きなのだ。恋次の彼女を見ると、自分のものじゃないんだって再確認させらて・・・・なんか思考がぐるぐるして・・・・」

一護は、ルキアの右手首をみる。

リストカットしたあとはない。

「リストカットしたいと思ったか?恋次の気を引きたいって思ったか?」

「リストカットはしないと、貴様と約束した」

「うん、偉いな」

「恋次の気を引きたいかは・・・分からない。引いても、結局恋次は私のものにならぬ」

「そうか」

ルキアは、眠ってしまった。

熱は下がらず、結局早退となる。

週末、一護はいつものようにルキアの家に泊まりにいったが、恋次となんだかぎくしゃくしているようだった。

「ケンカでもしたのか?」

「違う。私が避けているのだ」

「そうか」

あまり、深いことは聞かない

これは恋次とルキア「の問題であって、一護が介入する余地はない。

「一護は、私のものでいてくれるか?ずっと私の傍にいてくれるか?」

「ああ。約束する」

「本当に?」

「本当だ。そもそも、恋次からその心を奪ってみせろといったのはルキアだぞ。俺は恋次からお前の心を奪うために必死になってる。今でも必死だ」

「ああ」

「眠いか?一緒にまた寝ようか」

「ああ」

一護は、ルキアのベッドで一緒に横になると、ルキアを抱きしめてその夜を過ごしたi。

ルキアはじっと、眠った一護の顔を見ていた

「どうした?見惚れるくらいにかっこいいか?」

「バカ

「ははは」

一護は優しくブラウンの瞳を細めると、ルキアを抱きしめて、髪を指で梳く。

「卒業したら、結婚しよう」

「え」

「俺は本気だ。ルキアは大学に進むんだろう?」

「ああ。その予定だ」

「もう結婚しても大丈夫な年齢だ、お互い。ルキアが嫌じゃなかったら、ルキアが卒業したら結婚しよう。そして一緒に暮らそうぜ。家族になろう」

「家族に?」

「ああ。毎日一緒にいられる」

「結婚。私だけの人でいてくれるのか?」

「ずっと前から決めてた。お前に、恋次から心を奪ってみせろっていわれた頃にはもう決めてた。結婚しよう。俺の家に遊びにきたことはあっても、流石に泊まらせることはできないからな。一応生徒と教師だし。俺が泊まりにくるのは、まぁ恋次の了解があるからだけど。お前を泊まらせることは恋次がNGだしてるから」

「恋次が」

「そう。大切なルキアに万が一のことがあったら困るってさ」

「・・・・・・そうか」

ルキアは、少し哀しそうに目を伏せて、そのまま一護の胸に顔を埋めてしまった。

「答え、急がなくていいから。今みたいな関係でいたいなら、それでもいいし。俺たち、付き合ってるだろう?」

「・・・・・・・・・これって、付き合ってるのか?」

腕のなかのルキアが首を傾げる。

「バカ。知らなかったのか。デートとか、付き合ってるからするんだろ」

「そうなのか」

どこまでも真っ白なルキア。
愛しいと思う。
生涯をかけて愛したいと思う。

「答え。来週、泊まりにきたとき答える」

「急がなくてもいいぜ。まだまだお前は子供なんだから。恋次の傍にいたいなら、この関係を続けてもいいし。ああ、俺が婿さんとしてこの家にくるってのもありだなぁ。今の親は怒るだろうけど」

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