魔王と勇者7
「うおおお、成功だ!」
新勇者は涙した。
勇者京楽に頭を燃やされ、毛根を死滅させられて半年。
いつもヅラをつけてたけど、やっぱり本当の髪がほしい。
魔王浮竹と勇者京楽を2カ月間無視して、ドラゴン退治に取り組んだ。
ドラゴンはLV80以上の場合が多い。新勇者パーティーは、まずはザコモンスターを倒しまくって経験値を稼ぎ、ドラゴンを倒してLV85まできた。
そして、エンシェントドラゴンを打ち倒し、魔石や血肉、うろこ、目玉、角、牙・・・ドラゴンには無駄がない。素材として一級品ばかりだ。
しかも、エンシェントドラゴン。古を生きるドラゴンの魔石には、たくさんの膨大な魔力が宿っていた。
それらを自分の武具購入にあてるでなく、売りさばいて新勇者は仲間とも相談せずに、一人で資金を使い、伝説のアイテム賢者の石を手に入れた。
その賢者の石を錬金術士に託して、神薬といわれるエリクサーを作り出してもらった。1つのエリクサーを作るのに、賢者の石が1つ必要だった。
もう、エリクサーは作れない。
賢者の石は白金貨2000枚だ。
エリクサーの効能は、どんな病やケガでも治してしまうというもの。欠損した四肢さえも戻ってくる。
新勇者は、仲間にばれてエリクサーを没収される前に使った。
頭部に塗り込んだ。そして飲んだ。
頭皮が熱くなって、気づけばぶわっと髪の毛が生えていた。
「やったー、成功だ!」
勇者京楽によって、毛根を死滅するまで燃やされた髪は、こうして再び生えてきたのである。
それに気づいたパーティーメンバーたちは、新勇者をボコった。
勝手に賢者の石を購入し、エクリサーにして使ったことに。
大金だったので、特に女僧侶と少年魔法使いは新勇者の髪をむしったりして、怒った。
「あばばばば、魔王浮竹を倒しにいこう!今日こそ、勇者京楽にも毛根を死滅する気分を味わわれてくれる!」
新勇者の手には、エリクサーと一緒にできた、デッドオブソウルという、劇薬があった。
パーティーメンバーの少年魔法使いはそれを新勇者に飲ませて、新勇者はグロッキーになったところを、女僧侶に治癒してもらった。
「このデッドオブソウルがあれば、勇者京楽の頭も毛根が死滅できる!ふふふ、俺の苦しみを身をもって味わえ!」
------------------------------------------
「頼もう!」
新勇者パーティーは何十回訪ねてきたのかもわからぬ、魔王城にきていた。
「なんだ、また遊びにきたのか。オセロでもするか?」
浮竹の言葉に、新勇者がもだえる。
「オセロだと・・・・そんな貴族の遊び・・・・(*´Д`)ハァハァ。したいけど我慢だ!魔王浮竹、今日こそお前の命をいただく」
人造聖剣エクスカリバーで浮竹に斬りかかるが、ひらりと避けられてしまった。
「避けてばかりいないで、俺と戦え!」
「京楽、出番だぞー」
「はいはーい」
「げ、勇者京楽!」
新勇者は、頭部を手でおさえた。
つやつやな金髪が生えている頭部。この毛根だけは死滅させられたくない。
かつらのふりをすればいいのだ。
新勇者は、エクスカリバーで京楽に斬りかかる。
「LVあがった?前より力が強くなってるね」
「ふふふ。俺たちはLV85まであがったのだ!もはやお前たちなど雑魚同然!」
新勇者パーティーのメンバーも攻撃に参加してきた。
少年魔法使いは氷のランスをだし、女僧侶は補助魔法をかけ、獣人盗賊は浮竹の足元を狙って攻撃し、青年戦士は京楽と切り結びあっている新勇者を援護した。
京楽は、目を丸くした。
「すごいね。今までと動きが段違いだ。パーティー全員がちゃんと連携とれてる。修行でもしたの?」
「まぁそんなところだ!」
新勇者のヅラを燃やそうと、京楽は火の魔法を使おうとする。
とたんに新勇者は後ろに退き、魔法反射の護符を手にとった。
「うーん。なんか違和感あるんだよねぇ、君の頭部。髪の毛、伸びてない?」
「う、え、あ?」
新勇者は、気づいた。エリクサーがききすぎて、髪の毛は増えるわかめのような状態になっていた。
「あぎゃぎゃぎゃ!」
エクスカリバーで切っても切っても生えてくる。
「助けてくれーーー」
髪の海に沈みこんだ新勇者に、少年魔法使いが風の魔法で肩より上にざっくりと髪を切り落としてくれた。
「すまない」
「へぇ、どうしたのかは知らないけど、毛根復活したんだ」
にまーーー。
京楽が、邪悪な笑みを浮かべる。
「はっ!逃げるぞ、みんんな!」
「ファイアボール」
「あちゃちゃちゃ!」
まずは、新勇者の服を燃やした。
エンシェントドラゴンを退治した時の残り金でかった、ミスリル絹で織られた、普通の魔法程度なら防ぐはずの衣服が黒こげになる。フルチンになっていた。
「京楽、あまりいじめるなよ」
浮竹はそういうが、京楽はやっぱり京楽だった。
にまああああ。
「追加のファイアボール」
「ぎゃああああああああ!俺の大切な髪があああああああ!」
「毛根、もう1回死滅させてあげる♡」
ハートマークつきで微笑まれて、新勇者は頭部の火を消そうと転げまわった。
「あちちちちち!」
「ウォーター」
見かねた浮竹が、水の魔法で新勇者の頭の火を消してくれた。
しかし時すでに遅し。新勇者の頭は毛根が死滅してハゲになっていた。
「うわあああああああん!お前の母ちゃんでべそおおおおお」
新勇者は泣き出した。
デッドオブソウルを京楽に投げつける。ひょいっとかわされて、デッドオブソウルの入った瓶は粉々に砕けて、中身が床に転がった。
「ああ、デッドオブソウルまで!うわああああああん!!!」
「ほらほら、菓子をやるから泣き止め」
浮竹がペロペロキャンディーを新勇者にあげると、新勇者はそれを舐めながら、泣いていた。
「せっかくの俺の毛根がああ!ぺろぺろ・・・。また死んだあああああ。ぺろぺろ・・・」
「泣きながら食べてなくても・・・・」
「魔王浮竹、お前にはわからないだろ!毛根を死滅させられる俺の気持ちが!まだ俺は18だぞ!それなのに、ハゲになってカツラが手放せないんだ!」
「気の毒だな」
「うわああああああん!魔王浮竹、お前の母ちゃんもでべそおお!」
「俺の母は、でべそじゃないぞ。スタイルのいい美人だ」
「うわああああああん!」
新勇者パーティーは、みっともなく泣きわめく新勇者をかついで、えっさほいさと去っていった。
「京楽、毛根を死滅させるのはやりすぎじゃあないか?」
「浮竹、君、楽観視しすぎだよ。あいつらは、僕らの命を狙ってきてるんだ。殺しこそしないけれど、相応の目に合わせないと、またやってくる」
「遊びにきているだけじゃないか」
「あーもう、なんで君はそんなに平和主義なのさ」
浮竹が、新勇者パーティーに手を出すことはまずはほとんどない。
京楽が浮竹を庇い、怪我はしないが、衣服が切れたり燃やされたりはした。
LV85ならば、それなりの実力はあるが、LV395のチートであがったLVの差はいかんともしがたい。
浮竹なんて、新勇者がこなかった2カ月間の間に、ラッキースライム(経験値膨大)を倒しまくって、LV415からLV417になっていた。
「まぁ、新勇者パーティーと遊ぶのは楽しいから、また来てくれるといいな」
新勇者の襲撃を、遊びにきたと言い切る浮竹も、魔王らしいといえば魔王らしいかもしれない。
次の日。
新勇者パーティーは、また性懲りもなく魔王城にきていた。
新勇者はレインボーなカラーのアフロをかぶっていた。
その姿をみた浮竹は笑いまくり、京楽も我慢しながらも笑っていた。
「ふざけやがって!こんなカツラしか売ってなかったんだ!今日こそ、その首もらったり、魔王浮竹!」
新勇者は浮竹の首に、人造聖剣エクスカリバーで斬りかかった。
浮竹の首がころころと転がる。
「え!?やった!?」
浮竹は、イリュージョンの魔法で新勇者パーティーに幻覚を見せていた。
「やったぞ、魔王浮竹を打ち倒した!残るは勇者京楽だけだ!エアスラッシュ!」
新勇者は、剣技を京楽に叩きつける。
それをはじいて、新勇者の頭を殴った。
「え、あ、あれ!?魔王浮竹が生きてる・・・・く、卑怯だぞ、幻覚を見せるなんて!」
「少しは勝利の余韻に浸れただろう?」
浮竹はにこにこしていた。
純粋に新勇者に喜んでもらおうとやっている行動だから、なおさらたちが悪い。
「今日は何して遊ぼうか?」
浮竹の問いに、新勇者は顔を真っ赤にして。
「お前を倒すためにきてるんだ、こんちくしょーー!!!」
そう叫んで、人造聖剣エクスカリバーを叩きつけようとして、京楽に頭と衣服を燃やされて、また泣いて帰るのだった。
「もう、新勇者泣きすぎ!たかがフルチンのハゲにされたくらいで泣かないでよね!」
女僧侶がツンツンと尖る。
「まぁまぁ。魔王討伐に出ている間は報奨金がもらえますから」
獣人盗賊が、女僧侶を慰めた。
「オレ、ハラヘッタ」
頭まで筋肉でできている青年戦士は、他人の5倍は食う。でも力は確かだ。
「正直、今の僕らじゃ倒せないと思うんだけどねー」
少年魔法使いの言葉に、新勇者が少年魔法使いを蹴った。
「いて、何するんだよ!」
「俺たちは、何があっても魔王と元勇者を、退治するんだ!」
夕日を背に、かっこうをつけるが、マントを羽織っただけでフルチンでハゲだった。
「汚いもの見せんじゃないわよ!」
女僧侶の蹴りを股間に見事に喰らって、新勇者は撃沈した。
「のああああああああ!もげる、もげる!」
「いっそこと、本当にもいでやろうかしら!」
「新勇者が、オカマ勇者になっちゃうから、そこらへんで簡便してやりなよ」
少年魔法使いのため息が、夕暮れの空に吸い込まれていった。
新勇者は涙した。
勇者京楽に頭を燃やされ、毛根を死滅させられて半年。
いつもヅラをつけてたけど、やっぱり本当の髪がほしい。
魔王浮竹と勇者京楽を2カ月間無視して、ドラゴン退治に取り組んだ。
ドラゴンはLV80以上の場合が多い。新勇者パーティーは、まずはザコモンスターを倒しまくって経験値を稼ぎ、ドラゴンを倒してLV85まできた。
そして、エンシェントドラゴンを打ち倒し、魔石や血肉、うろこ、目玉、角、牙・・・ドラゴンには無駄がない。素材として一級品ばかりだ。
しかも、エンシェントドラゴン。古を生きるドラゴンの魔石には、たくさんの膨大な魔力が宿っていた。
それらを自分の武具購入にあてるでなく、売りさばいて新勇者は仲間とも相談せずに、一人で資金を使い、伝説のアイテム賢者の石を手に入れた。
その賢者の石を錬金術士に託して、神薬といわれるエリクサーを作り出してもらった。1つのエリクサーを作るのに、賢者の石が1つ必要だった。
もう、エリクサーは作れない。
賢者の石は白金貨2000枚だ。
エリクサーの効能は、どんな病やケガでも治してしまうというもの。欠損した四肢さえも戻ってくる。
新勇者は、仲間にばれてエリクサーを没収される前に使った。
頭部に塗り込んだ。そして飲んだ。
頭皮が熱くなって、気づけばぶわっと髪の毛が生えていた。
「やったー、成功だ!」
勇者京楽によって、毛根を死滅するまで燃やされた髪は、こうして再び生えてきたのである。
それに気づいたパーティーメンバーたちは、新勇者をボコった。
勝手に賢者の石を購入し、エクリサーにして使ったことに。
大金だったので、特に女僧侶と少年魔法使いは新勇者の髪をむしったりして、怒った。
「あばばばば、魔王浮竹を倒しにいこう!今日こそ、勇者京楽にも毛根を死滅する気分を味わわれてくれる!」
新勇者の手には、エリクサーと一緒にできた、デッドオブソウルという、劇薬があった。
パーティーメンバーの少年魔法使いはそれを新勇者に飲ませて、新勇者はグロッキーになったところを、女僧侶に治癒してもらった。
「このデッドオブソウルがあれば、勇者京楽の頭も毛根が死滅できる!ふふふ、俺の苦しみを身をもって味わえ!」
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「頼もう!」
新勇者パーティーは何十回訪ねてきたのかもわからぬ、魔王城にきていた。
「なんだ、また遊びにきたのか。オセロでもするか?」
浮竹の言葉に、新勇者がもだえる。
「オセロだと・・・・そんな貴族の遊び・・・・(*´Д`)ハァハァ。したいけど我慢だ!魔王浮竹、今日こそお前の命をいただく」
人造聖剣エクスカリバーで浮竹に斬りかかるが、ひらりと避けられてしまった。
「避けてばかりいないで、俺と戦え!」
「京楽、出番だぞー」
「はいはーい」
「げ、勇者京楽!」
新勇者は、頭部を手でおさえた。
つやつやな金髪が生えている頭部。この毛根だけは死滅させられたくない。
かつらのふりをすればいいのだ。
新勇者は、エクスカリバーで京楽に斬りかかる。
「LVあがった?前より力が強くなってるね」
「ふふふ。俺たちはLV85まであがったのだ!もはやお前たちなど雑魚同然!」
新勇者パーティーのメンバーも攻撃に参加してきた。
少年魔法使いは氷のランスをだし、女僧侶は補助魔法をかけ、獣人盗賊は浮竹の足元を狙って攻撃し、青年戦士は京楽と切り結びあっている新勇者を援護した。
京楽は、目を丸くした。
「すごいね。今までと動きが段違いだ。パーティー全員がちゃんと連携とれてる。修行でもしたの?」
「まぁそんなところだ!」
新勇者のヅラを燃やそうと、京楽は火の魔法を使おうとする。
とたんに新勇者は後ろに退き、魔法反射の護符を手にとった。
「うーん。なんか違和感あるんだよねぇ、君の頭部。髪の毛、伸びてない?」
「う、え、あ?」
新勇者は、気づいた。エリクサーがききすぎて、髪の毛は増えるわかめのような状態になっていた。
「あぎゃぎゃぎゃ!」
エクスカリバーで切っても切っても生えてくる。
「助けてくれーーー」
髪の海に沈みこんだ新勇者に、少年魔法使いが風の魔法で肩より上にざっくりと髪を切り落としてくれた。
「すまない」
「へぇ、どうしたのかは知らないけど、毛根復活したんだ」
にまーーー。
京楽が、邪悪な笑みを浮かべる。
「はっ!逃げるぞ、みんんな!」
「ファイアボール」
「あちゃちゃちゃ!」
まずは、新勇者の服を燃やした。
エンシェントドラゴンを退治した時の残り金でかった、ミスリル絹で織られた、普通の魔法程度なら防ぐはずの衣服が黒こげになる。フルチンになっていた。
「京楽、あまりいじめるなよ」
浮竹はそういうが、京楽はやっぱり京楽だった。
にまああああ。
「追加のファイアボール」
「ぎゃああああああああ!俺の大切な髪があああああああ!」
「毛根、もう1回死滅させてあげる♡」
ハートマークつきで微笑まれて、新勇者は頭部の火を消そうと転げまわった。
「あちちちちち!」
「ウォーター」
見かねた浮竹が、水の魔法で新勇者の頭の火を消してくれた。
しかし時すでに遅し。新勇者の頭は毛根が死滅してハゲになっていた。
「うわあああああああん!お前の母ちゃんでべそおおおおお」
新勇者は泣き出した。
デッドオブソウルを京楽に投げつける。ひょいっとかわされて、デッドオブソウルの入った瓶は粉々に砕けて、中身が床に転がった。
「ああ、デッドオブソウルまで!うわああああああん!!!」
「ほらほら、菓子をやるから泣き止め」
浮竹がペロペロキャンディーを新勇者にあげると、新勇者はそれを舐めながら、泣いていた。
「せっかくの俺の毛根がああ!ぺろぺろ・・・。また死んだあああああ。ぺろぺろ・・・」
「泣きながら食べてなくても・・・・」
「魔王浮竹、お前にはわからないだろ!毛根を死滅させられる俺の気持ちが!まだ俺は18だぞ!それなのに、ハゲになってカツラが手放せないんだ!」
「気の毒だな」
「うわああああああん!魔王浮竹、お前の母ちゃんもでべそおお!」
「俺の母は、でべそじゃないぞ。スタイルのいい美人だ」
「うわああああああん!」
新勇者パーティーは、みっともなく泣きわめく新勇者をかついで、えっさほいさと去っていった。
「京楽、毛根を死滅させるのはやりすぎじゃあないか?」
「浮竹、君、楽観視しすぎだよ。あいつらは、僕らの命を狙ってきてるんだ。殺しこそしないけれど、相応の目に合わせないと、またやってくる」
「遊びにきているだけじゃないか」
「あーもう、なんで君はそんなに平和主義なのさ」
浮竹が、新勇者パーティーに手を出すことはまずはほとんどない。
京楽が浮竹を庇い、怪我はしないが、衣服が切れたり燃やされたりはした。
LV85ならば、それなりの実力はあるが、LV395のチートであがったLVの差はいかんともしがたい。
浮竹なんて、新勇者がこなかった2カ月間の間に、ラッキースライム(経験値膨大)を倒しまくって、LV415からLV417になっていた。
「まぁ、新勇者パーティーと遊ぶのは楽しいから、また来てくれるといいな」
新勇者の襲撃を、遊びにきたと言い切る浮竹も、魔王らしいといえば魔王らしいかもしれない。
次の日。
新勇者パーティーは、また性懲りもなく魔王城にきていた。
新勇者はレインボーなカラーのアフロをかぶっていた。
その姿をみた浮竹は笑いまくり、京楽も我慢しながらも笑っていた。
「ふざけやがって!こんなカツラしか売ってなかったんだ!今日こそ、その首もらったり、魔王浮竹!」
新勇者は浮竹の首に、人造聖剣エクスカリバーで斬りかかった。
浮竹の首がころころと転がる。
「え!?やった!?」
浮竹は、イリュージョンの魔法で新勇者パーティーに幻覚を見せていた。
「やったぞ、魔王浮竹を打ち倒した!残るは勇者京楽だけだ!エアスラッシュ!」
新勇者は、剣技を京楽に叩きつける。
それをはじいて、新勇者の頭を殴った。
「え、あ、あれ!?魔王浮竹が生きてる・・・・く、卑怯だぞ、幻覚を見せるなんて!」
「少しは勝利の余韻に浸れただろう?」
浮竹はにこにこしていた。
純粋に新勇者に喜んでもらおうとやっている行動だから、なおさらたちが悪い。
「今日は何して遊ぼうか?」
浮竹の問いに、新勇者は顔を真っ赤にして。
「お前を倒すためにきてるんだ、こんちくしょーー!!!」
そう叫んで、人造聖剣エクスカリバーを叩きつけようとして、京楽に頭と衣服を燃やされて、また泣いて帰るのだった。
「もう、新勇者泣きすぎ!たかがフルチンのハゲにされたくらいで泣かないでよね!」
女僧侶がツンツンと尖る。
「まぁまぁ。魔王討伐に出ている間は報奨金がもらえますから」
獣人盗賊が、女僧侶を慰めた。
「オレ、ハラヘッタ」
頭まで筋肉でできている青年戦士は、他人の5倍は食う。でも力は確かだ。
「正直、今の僕らじゃ倒せないと思うんだけどねー」
少年魔法使いの言葉に、新勇者が少年魔法使いを蹴った。
「いて、何するんだよ!」
「俺たちは、何があっても魔王と元勇者を、退治するんだ!」
夕日を背に、かっこうをつけるが、マントを羽織っただけでフルチンでハゲだった。
「汚いもの見せんじゃないわよ!」
女僧侶の蹴りを股間に見事に喰らって、新勇者は撃沈した。
「のああああああああ!もげる、もげる!」
「いっそこと、本当にもいでやろうかしら!」
「新勇者が、オカマ勇者になっちゃうから、そこらへんで簡便してやりなよ」
少年魔法使いのため息が、夕暮れの空に吸い込まれていった。
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