魔王と勇者
暇なので、「勇者と魔王」というパーティー名で冒険者として活躍していた。
ランクはS 。
Sランクはどんな依頼でも受けられる。
普通、ドラゴン退治とかになるのが、二人はあえてゴブリン退治を選んだ。
ゴブリンは子をたくさん産み、増える増える。おまけに家畜や人を攫って食う。
たかがゴブリン、されどゴブリン。
ゴブリン退治は下級冒険者向きの依頼だが、数が多いせいで退治依頼がたまる一方だった。
魔王城から一番近い街、二ニレムの街の郊外でゴブリンの巣が確認された。
ゴブリンロードやゴブリンシャーマン、ホブゴブリンなどの上級種もいて、普通はかけだしの冒険者がゴブリン退治を受けるのだが、今回は魔王城に近いということで、京楽と浮竹がその依頼を受けた。
「Sランクなら、安心ですね」
依頼書を受け付けの人に渡すと、そう言われた。
二人は、早速ゴブリンの巣にやってきた。
「数が多いねぇ。どうする?」
「いちいち、1匹ずつ相手にするだけ無駄だ。焼き尽くす」
「でも、君のLVじゃあ魔法で一掃すると、退治した証拠の魔石も残らないよ」
「別に、魔石なんて金になるだけだし・・・・金になる。うん、普通に殺していこう」
意見を覆す浮竹に、京楽は苦笑するのだった。
「エアカッター!」
「エアリアルエッジ!」
二人は、主に風の魔法でゴブリンを引き裂き、魔石を回収していった。
残った屍をさらしておけば、つぎのモンスターの苗床になるので、火の魔法で処理する。最初から火の魔法を使えばいいのだが、京楽はLV395、浮竹はLV415である。
そんなLVで火の魔法を使えば、魔石も消し飛んでしまう。
なので、加減した風の魔法で首をはねて魔石を回収した後で、ファイアボールで死体を一斉に焼き払った。
ゴブリンロードが、次々とやられていく手下のゴブリンを見て、雄叫びをあげる。
ゴブリンシャーマンが、魔法を使ってくる。
しかし、魔王である浮竹は魔法をかき消した。というか、耐えた。レジストしたのだ。
魔法耐性の強い職である魔王と勇者に、魔法攻撃などあまり効かないということを、理解する脳みそはない。
京楽は、聖剣エクスカリバーを抜いた。
洞窟の奥に、ゴブリンとは違う気配を感じたのだ。
「何かいるよ」
「腐臭がする。アンデッド系だ」
姿を現したのは、腐肉で凄い匂いを漂わせている、ドラゴンゾンビだった。
「キシャアアアアアアア」
ゴブリンたちが、あざ笑う。
ああ、この冒険者たちもドラゴンゾンビの手にかかれば、ひき肉だ。
その後は、鍋で煮て死体を食ってやろう。
そう、矮小な脳で考えていた。
「ドラゴンゾンビか・・・・聖属性の魔法は苦手だが・・・・ホーリーランス!」
浮竹は、聖なる槍を出現させた。
ドラゴンゾンビの腐肉が、浄化されていく。
「僕もおまけのホーリーファイア!」
ドラゴンゾンビのLVは80前後。
だが、LV395の京楽とLV415の浮竹の敵ではない。
聖なる槍と炎にやられて、ドラゴンゾンビは巨大な魔石を残して死んでしまった。すでに死んでいるのだから、死んだという表現もおかしいので、まぁ活動を停止した。
「残るゴブリンもめんどくさいから焼いちゃえ。ファイアアロー」
手加減した火の魔法でゴブリンたちを焼いていくが、魔石まで焼けていく。
まぁ、大半の魔石は回収したし、ドラゴンソンビの魔石がでかいし金になるので、ゴブリンの魔石なんて銀貨2枚程度なので、ゴブリンの巣ごと燃やしつくす。
「おまけだ。ファイアサークル」
浮竹は、思い切り魔力をこめて魔法を放った。
クレーターができた。
「我こそは勇者、ゴブリンを退治に・・・えええええええ!?クレーターになってる!?」
「お、そこにいるのは新勇者のパーティーじゃないか!」
「誰だお前は!」
「ああ、認識阻害の魔法をかけてるからわからないのか。今解くから」
浮竹は、認識阻害の魔法を解いた。
「のあああああ、魔王!?」
「僕もいるよー」
「勇者京楽まで!?」
今日の新勇者は、モヒカン頭のかつらをしていた。
「そのモヒカン似合うな」
「え、やっぱりそう思う?俺ってば元々の容姿がいいから、どんなヅラかぶっても似合ちゃって・・・・って、そんなおだてには乗らないぞ!」
「いやぁ、元をただせば僕が君の毛根を魔法で死滅させたせいなんだけどねぇ」
「思い出したぞ勇者京楽!おのれ、この卑怯者め!さてはゴブリンを集めていたのはお前たちだな!この近辺にゴブリンの巣があるはずだ!白状しろ!」
「いや、さっき俺がファイアサークルでクレーターにしたからな」
「ファイアサークル程度の魔法でクレーターだと!?寝言は寝て言え!と見せかけて、ドレイン!」
浮竹と京楽にドレイン、HP吸収の魔法をかけると、新勇者はめきめきと筋肉をふくらませていった。
「ふはははは、お前たちのHPは残りわずかなはず!」
水晶で見ると、HPが555/9999999になっていた。
「いやぁ、たまにはまともに魔法受けてみるものだな。なんかすごいHPが少なくてアラームが止まらない。笑える」
浮竹も京楽も、笑っていた。
「何がおかしい!あと555しかHPのない分際で!」
「止めさすチャンスだよ」
京楽があおると、新勇者は人造聖剣エクスカリバーで京楽を斬った。
HPを確認する。
9999/999999
「増えてるうううう!?」
「あっはっは、リジェネ(持続再生魔法)使ってあるからな。HPなんてすぐに元にもどるさ」
魔王のHPを調べると20000/999999になっていた。
「おのれ、サイレンス!」
一帯に、魔法が使えないように新勇者は沈黙の魔法を使った。
「おい、俺たちまで魔法使えないじゃないか!」
「そうよそうよ!」
新勇者パーティーの魔法使いの少年と、女僧侶が文句を言った。
「うるさい!奴らも沈黙になる!沈黙がかかった状態でのリジェネは無効!」
だけど、京楽も浮竹もキラキラ輝いて、リジェネの恩恵を受けているのが見ているだけで分かった。
「なんで魔法が持続しているんだ!」
「いや、勇者のスキル、沈黙無効を使たっだけなんだけどねぇ」
「俺にはそんなスキルないぞ!」
「そりゃ、本家本元の勇者であるのと、本物の聖剣で得たスキルだからね」
「くそ、卑怯だぞ!俺の人造聖剣にはスキル獲得の効果なんてないのに!」
「だから、本物とレプリカの差だよ」
「きいいいいいいいいい」
新勇者は、モヒカン頭をかきむしった。
ずっと黙っていた浮竹が、小さく唱える。
「ファイア」
それは、新勇者の口から出た魔法だった。
浮竹が、新勇者にファイアの魔法を使わせたのだ。
ぼっと、新勇者の尻に火が付いた。
「ぎゃあああああああ!魔法は尻から出る!冒険者アカデミーの先生が言っていたことは本当だったのか!」
新勇者は、けつの火を消そうとゴロゴロ地面でのたうちまわっている。
「きゃあああ、新勇者のけつが大変だ!」
女僧侶が、げしげしと新勇者のけつを蹴る。
少年魔法使いは、これしかないと、しょんべんをひっかけた。
「やめろおおおおおおお」
新勇者はびしゃびしゃとしょうべんをひっかけられて、なんとか火は消えたようだが、今度は股間の布がなくなっていて、下半身フルチンだったので、悲鳴をあげていた。
「ぬおおおおお、なんでいつも俺は服がなくなるんだあああ!!!」
そんな新勇者パーティーを放置して、京楽と浮竹は、手を繋いで歩き出す。
「認識阻害の魔法、かけ直しておいたから」
「すまない、京楽」
そのまま冒険者ギルドにいって、魔石を買い取ってもらい、依頼達成の報酬も得た。
「たまには外食でもしようよ」
「そうだな。二ニレムの街にある西の居酒屋が美味いんだ」
認識阻害の魔法を解いて、街に繰り出す。
勇者だ魔王だと、注目を集めたが、すぐに人々も慣れて、京楽と浮竹は街に溶け込んでいく。
街の西にある居酒屋に入ると、犬耳の獣人のメイドが注文をとりにきてくれた。
「生ビール2つ。あとチーズときのこのグラタン2つ」
浮竹が、他にもいくつか料理を注文して、一番初めに注文した料理が、この店で一番美味しいんだと、注文を決めてくれた。
やがて、生ビールがやってくる。
キンキンに冷えていて、二人して、一気のみをした。
「おかわりお願いする」
「あ、僕も」
ゴブリン討伐の報酬は、居酒屋での飲食で消えてしまったが、まだ魔石の買取りの金銭がかなり残っているので、また今度飲みにこようと、酔った浮竹を京楽が肩を貸しながら、魔王城に帰還した。
新勇者パーティーが、魔王城に来ていた。
「さっきは・・・みっともない場面を見せたが、いざ勝負!」
新勇者は、ガシャンガシャンと鎧を着ていた。
ミスリル銀でできた、いい鎧だった。
浮竹は酔って、ふにゃふにゃしている。
京楽も酔っているが、意識はしっかりしていた。
「ああ、1日に2回も見たい顔じゃあないね。エアロープ」
透明な空気の縄が、新勇者を柱に固定する。
「え、え、え!?」
「じゃあ、僕らは寝るから。おやすみー」
京楽はすでに眠りに入っていしまった浮竹を抱き上げて、寝所に帰っていく。
「ちょ、放置プレイ!?」
「ちょっとどうすんのよ!はがせないわよ!」
「もういいじゃん。放置して帰ろうぜ」
少年魔法使いは、新勇者を放置して帰った。女僧侶も、他のパーティーの獣人の盗賊も、戦士の青年も、帰ってしまった。
「ちょっとおおおお!トイレいきたいんだけど!!!」
京楽も浮竹も、もういない。パーティーメンバーにも見捨てられた。
結局おしっこをもらしてしまい、飯もぬきにされて、新勇者は浮竹がその存在に気付くまで放置されていたとさ。
ランクはS 。
Sランクはどんな依頼でも受けられる。
普通、ドラゴン退治とかになるのが、二人はあえてゴブリン退治を選んだ。
ゴブリンは子をたくさん産み、増える増える。おまけに家畜や人を攫って食う。
たかがゴブリン、されどゴブリン。
ゴブリン退治は下級冒険者向きの依頼だが、数が多いせいで退治依頼がたまる一方だった。
魔王城から一番近い街、二ニレムの街の郊外でゴブリンの巣が確認された。
ゴブリンロードやゴブリンシャーマン、ホブゴブリンなどの上級種もいて、普通はかけだしの冒険者がゴブリン退治を受けるのだが、今回は魔王城に近いということで、京楽と浮竹がその依頼を受けた。
「Sランクなら、安心ですね」
依頼書を受け付けの人に渡すと、そう言われた。
二人は、早速ゴブリンの巣にやってきた。
「数が多いねぇ。どうする?」
「いちいち、1匹ずつ相手にするだけ無駄だ。焼き尽くす」
「でも、君のLVじゃあ魔法で一掃すると、退治した証拠の魔石も残らないよ」
「別に、魔石なんて金になるだけだし・・・・金になる。うん、普通に殺していこう」
意見を覆す浮竹に、京楽は苦笑するのだった。
「エアカッター!」
「エアリアルエッジ!」
二人は、主に風の魔法でゴブリンを引き裂き、魔石を回収していった。
残った屍をさらしておけば、つぎのモンスターの苗床になるので、火の魔法で処理する。最初から火の魔法を使えばいいのだが、京楽はLV395、浮竹はLV415である。
そんなLVで火の魔法を使えば、魔石も消し飛んでしまう。
なので、加減した風の魔法で首をはねて魔石を回収した後で、ファイアボールで死体を一斉に焼き払った。
ゴブリンロードが、次々とやられていく手下のゴブリンを見て、雄叫びをあげる。
ゴブリンシャーマンが、魔法を使ってくる。
しかし、魔王である浮竹は魔法をかき消した。というか、耐えた。レジストしたのだ。
魔法耐性の強い職である魔王と勇者に、魔法攻撃などあまり効かないということを、理解する脳みそはない。
京楽は、聖剣エクスカリバーを抜いた。
洞窟の奥に、ゴブリンとは違う気配を感じたのだ。
「何かいるよ」
「腐臭がする。アンデッド系だ」
姿を現したのは、腐肉で凄い匂いを漂わせている、ドラゴンゾンビだった。
「キシャアアアアアアア」
ゴブリンたちが、あざ笑う。
ああ、この冒険者たちもドラゴンゾンビの手にかかれば、ひき肉だ。
その後は、鍋で煮て死体を食ってやろう。
そう、矮小な脳で考えていた。
「ドラゴンゾンビか・・・・聖属性の魔法は苦手だが・・・・ホーリーランス!」
浮竹は、聖なる槍を出現させた。
ドラゴンゾンビの腐肉が、浄化されていく。
「僕もおまけのホーリーファイア!」
ドラゴンゾンビのLVは80前後。
だが、LV395の京楽とLV415の浮竹の敵ではない。
聖なる槍と炎にやられて、ドラゴンゾンビは巨大な魔石を残して死んでしまった。すでに死んでいるのだから、死んだという表現もおかしいので、まぁ活動を停止した。
「残るゴブリンもめんどくさいから焼いちゃえ。ファイアアロー」
手加減した火の魔法でゴブリンたちを焼いていくが、魔石まで焼けていく。
まぁ、大半の魔石は回収したし、ドラゴンソンビの魔石がでかいし金になるので、ゴブリンの魔石なんて銀貨2枚程度なので、ゴブリンの巣ごと燃やしつくす。
「おまけだ。ファイアサークル」
浮竹は、思い切り魔力をこめて魔法を放った。
クレーターができた。
「我こそは勇者、ゴブリンを退治に・・・えええええええ!?クレーターになってる!?」
「お、そこにいるのは新勇者のパーティーじゃないか!」
「誰だお前は!」
「ああ、認識阻害の魔法をかけてるからわからないのか。今解くから」
浮竹は、認識阻害の魔法を解いた。
「のあああああ、魔王!?」
「僕もいるよー」
「勇者京楽まで!?」
今日の新勇者は、モヒカン頭のかつらをしていた。
「そのモヒカン似合うな」
「え、やっぱりそう思う?俺ってば元々の容姿がいいから、どんなヅラかぶっても似合ちゃって・・・・って、そんなおだてには乗らないぞ!」
「いやぁ、元をただせば僕が君の毛根を魔法で死滅させたせいなんだけどねぇ」
「思い出したぞ勇者京楽!おのれ、この卑怯者め!さてはゴブリンを集めていたのはお前たちだな!この近辺にゴブリンの巣があるはずだ!白状しろ!」
「いや、さっき俺がファイアサークルでクレーターにしたからな」
「ファイアサークル程度の魔法でクレーターだと!?寝言は寝て言え!と見せかけて、ドレイン!」
浮竹と京楽にドレイン、HP吸収の魔法をかけると、新勇者はめきめきと筋肉をふくらませていった。
「ふはははは、お前たちのHPは残りわずかなはず!」
水晶で見ると、HPが555/9999999になっていた。
「いやぁ、たまにはまともに魔法受けてみるものだな。なんかすごいHPが少なくてアラームが止まらない。笑える」
浮竹も京楽も、笑っていた。
「何がおかしい!あと555しかHPのない分際で!」
「止めさすチャンスだよ」
京楽があおると、新勇者は人造聖剣エクスカリバーで京楽を斬った。
HPを確認する。
9999/999999
「増えてるうううう!?」
「あっはっは、リジェネ(持続再生魔法)使ってあるからな。HPなんてすぐに元にもどるさ」
魔王のHPを調べると20000/999999になっていた。
「おのれ、サイレンス!」
一帯に、魔法が使えないように新勇者は沈黙の魔法を使った。
「おい、俺たちまで魔法使えないじゃないか!」
「そうよそうよ!」
新勇者パーティーの魔法使いの少年と、女僧侶が文句を言った。
「うるさい!奴らも沈黙になる!沈黙がかかった状態でのリジェネは無効!」
だけど、京楽も浮竹もキラキラ輝いて、リジェネの恩恵を受けているのが見ているだけで分かった。
「なんで魔法が持続しているんだ!」
「いや、勇者のスキル、沈黙無効を使たっだけなんだけどねぇ」
「俺にはそんなスキルないぞ!」
「そりゃ、本家本元の勇者であるのと、本物の聖剣で得たスキルだからね」
「くそ、卑怯だぞ!俺の人造聖剣にはスキル獲得の効果なんてないのに!」
「だから、本物とレプリカの差だよ」
「きいいいいいいいいい」
新勇者は、モヒカン頭をかきむしった。
ずっと黙っていた浮竹が、小さく唱える。
「ファイア」
それは、新勇者の口から出た魔法だった。
浮竹が、新勇者にファイアの魔法を使わせたのだ。
ぼっと、新勇者の尻に火が付いた。
「ぎゃあああああああ!魔法は尻から出る!冒険者アカデミーの先生が言っていたことは本当だったのか!」
新勇者は、けつの火を消そうとゴロゴロ地面でのたうちまわっている。
「きゃあああ、新勇者のけつが大変だ!」
女僧侶が、げしげしと新勇者のけつを蹴る。
少年魔法使いは、これしかないと、しょんべんをひっかけた。
「やめろおおおおおおお」
新勇者はびしゃびしゃとしょうべんをひっかけられて、なんとか火は消えたようだが、今度は股間の布がなくなっていて、下半身フルチンだったので、悲鳴をあげていた。
「ぬおおおおお、なんでいつも俺は服がなくなるんだあああ!!!」
そんな新勇者パーティーを放置して、京楽と浮竹は、手を繋いで歩き出す。
「認識阻害の魔法、かけ直しておいたから」
「すまない、京楽」
そのまま冒険者ギルドにいって、魔石を買い取ってもらい、依頼達成の報酬も得た。
「たまには外食でもしようよ」
「そうだな。二ニレムの街にある西の居酒屋が美味いんだ」
認識阻害の魔法を解いて、街に繰り出す。
勇者だ魔王だと、注目を集めたが、すぐに人々も慣れて、京楽と浮竹は街に溶け込んでいく。
街の西にある居酒屋に入ると、犬耳の獣人のメイドが注文をとりにきてくれた。
「生ビール2つ。あとチーズときのこのグラタン2つ」
浮竹が、他にもいくつか料理を注文して、一番初めに注文した料理が、この店で一番美味しいんだと、注文を決めてくれた。
やがて、生ビールがやってくる。
キンキンに冷えていて、二人して、一気のみをした。
「おかわりお願いする」
「あ、僕も」
ゴブリン討伐の報酬は、居酒屋での飲食で消えてしまったが、まだ魔石の買取りの金銭がかなり残っているので、また今度飲みにこようと、酔った浮竹を京楽が肩を貸しながら、魔王城に帰還した。
新勇者パーティーが、魔王城に来ていた。
「さっきは・・・みっともない場面を見せたが、いざ勝負!」
新勇者は、ガシャンガシャンと鎧を着ていた。
ミスリル銀でできた、いい鎧だった。
浮竹は酔って、ふにゃふにゃしている。
京楽も酔っているが、意識はしっかりしていた。
「ああ、1日に2回も見たい顔じゃあないね。エアロープ」
透明な空気の縄が、新勇者を柱に固定する。
「え、え、え!?」
「じゃあ、僕らは寝るから。おやすみー」
京楽はすでに眠りに入っていしまった浮竹を抱き上げて、寝所に帰っていく。
「ちょ、放置プレイ!?」
「ちょっとどうすんのよ!はがせないわよ!」
「もういいじゃん。放置して帰ろうぜ」
少年魔法使いは、新勇者を放置して帰った。女僧侶も、他のパーティーの獣人の盗賊も、戦士の青年も、帰ってしまった。
「ちょっとおおおお!トイレいきたいんだけど!!!」
京楽も浮竹も、もういない。パーティーメンバーにも見捨てられた。
結局おしっこをもらしてしまい、飯もぬきにされて、新勇者は浮竹がその存在に気付くまで放置されていたとさ。
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