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10話補完小説

「私は黒崎真咲。滅却師です」

真咲は、申し訳なさそうに顔をふせた。

「そっか・・・・」

一心は、真咲ににかっと笑った。

「互いに命は無事なんだ。これで貸し借りはなしだな」

その言葉に、真咲は目を開いた。

「滅却師の本物を見るのは初めてだが・・・・・」

「あなたは、死神なのに滅却師を疎まないんですか?」

「疎むも何も、命助けられたしな」

真咲の手をとって、傷だらけの一心は起き上がった。

「ま、これも何かに縁だ。おれは志波一心。見ての通り、死神だ」

一心は、真咲に手を伸ばす。

「え、何?」

「握手だよ、握手」

「はあ・・・」

一心は、真咲の手を握って、握手をした。

「はぁ。現世も変わったもんだなぁ」

近代化した街並みを見る。

真咲の応急手当がきいたのか、一心は怪我のわりに平気そうだった。

「じゃあ、私はこれで」

「あ、また会えるか?」

「さぁ・・・・どうでしょう」

「さっきの虚、後ろで死神が糸を引いているようなだ」

「それを私に知らせて、どうしろと?」

「いや、ただ身辺に気を付けてほしい。それだけだ」

そのまま、一心と真咲は別れた。

ザーザーと降っている雨は、やみそうになかった。



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「お前には、いつか話しておこうと思っていた」

「何をだよ」

「母さんの・・・・・黒崎真咲のことだ」

「お袋が、なんだってんだよ」

一護は、一心の言葉をただ聞いていた。

「お前はただの人間でも死神でもない。お前の母さんは滅却師。お前は、滅却師と死神の間にうまれた、特殊な存在だ」

「え・・・・・」

一護が息を飲む。

それはつまり、ユーハバッハのような滅却師の血が、自分にも流れているということ。

あいつが、「我が息子よ」と言ってた言葉を思い出す。

「そんなの、ありかよ・・・・・・」

あんなのと、同じ血が流れているなんて、冗談じゃなかった。

しかし、滅却師には石田のようにいい奴もいるのも事実だ。

「俺は・・・・・・」

まだ濡れた髪から、ぽたぽたと雫が落ちていた。

「その前に、髪の毛かわかせ。風邪ひくぞ」

もう、遊子も夏梨も寝ている深夜だ。

タオルともってこられて、頭にかけられた。

それで乱暴に、髪についていた水分をとった。

黒崎真咲。

一護の母親の正体が、ついに明かされようとしていた。



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