蒼薔薇姫2
昔も今も変わらないものがある。
「ごほっごほっごほっ・・・・・・・・」
苦し気に咳込んでいると、雨乾堂にやってきた京楽が、背中をさすってくれた。
それは、出会った頃から変わらない、京楽の心遣い。
「すまない・・・・・すぐにおさまるから・・・・ごほっ」
「血は吐きそう?」
首を横に振る。
「薬もってくるね」
戸棚に用意してある、肺の病のための漢方薬と発作の時ようの緊急の薬をもってきて、コップに水をいれたものを手渡された。
苦い薬は、いつの間にか京楽の手がまわされて、甘いものに変わっていた。
味のないはずの錠剤ものには、ほんのりと果物の味がした。
「薬まで味を変えてもらって・・・・・俺は、お前に何を返してやれるのだろう」
「何も返さなくていいよ。僕が好きにやってることだから」
京楽の手の中にには、先日もってきた蒼薔薇の花があった。
「また蒼薔薇か?」
「今日は一輪だけね。君の髪飾りにしようと思って」
一輪の蒼薔薇を手折って、それを白い髪に飾られた。
「蒼薔薇姫って、いい響きだと思わない?」
「俺は姫じゃないぞ」
「そういう細かいことは気にしないの」
浮竹は、しいてあったままの布団の上に横になった。同じように、浮竹も畳の上で横になる。
「おはぎもってきたんだけど、後でなら食べれそう?」
「ああ。少し休憩したら・・・・・・・」
薬の鎮静剤が効いて、少しだけ眠ってしまった。
「ああ・・・・また寝ていたのか」
隣を見ると、京楽も寝ていた。笠を顔に被らせて。
「京楽」
笠をとると、京楽はそれでも起きなかった。
そういえば、この前七緒が仕事が溜まっていると怒っていた。もしかして、ここにくるために不眠不休で仕事を片付けたんじゃないかと、心配になってきた。
10月の半ば。
まだ雨乾堂が締め切っていないが、入ってくる風が冷たくなっているのも事実。
扉を全部閉めて窓もしめた。
それでも寒いと感じて、浮竹は一枚の毛布を京楽にかぶせて、もう半分を自分にかぶせて横になっていたら、いつの間にかまた眠ってしまっていた。
次に起きると、流石に京楽も起きていた。
「ごめん、うたた寝けっこうしちゃった。七緒ちゃんに急かされるままに、朝方まで仕事してたからね」
「そういう時は、自分の館か隊首室にいって休め」
「やだよ。せっかく時間ができたんだから、浮竹の傍にいたい」
甘えてくる恋人に、浮竹も甘くなる。
「仕方のないやつだな・・・・・・」
その少しくせのある黒髪を撫でると、京楽が浮竹の白い長い髪をいじってきた。蒼薔薇は変わらず、髪に飾られたままだった。
「僕だけの蒼薔薇姫・・・・・・・」
浮竹の膝の上に頭を乗せる京楽。
院生時代だと、すぐ手をだしてくるが、流石に今はそこまでがっつかない。
「蒼薔薇姫か・・・・・・」
この前もらった蒼薔薇の花束は、ドライフラワーにして掛軸の前に飾ってある。京楽が言っていた通り、枯れても鮮明な青い色が残っていて、一見ではドライフラワーなのかそうではないのかの区別がつきにくい。
昨日なんか、仙太郎がドライフラワーになった蒼薔薇の水を変えようとしていたくらいだ。
「綺麗だね・・・・・・」
蒼薔薇を飾った浮竹は、いつもより儚く色っぽく見えた。
「キスだけ、してもいい?」
「好きにしろ」
2週間のお預け期間はすでにすぎていて、一昨日久しぶりに抱かれた。
1週間に2回と決めているので、無理に抱いてくる真似はしない。
柑橘系の香がした。京楽の香水の匂いだ。その香がいいと言ったら京楽は
「君の甘い花の香のほうがいい」
と一点張りだった。
ふわりと、触れるだけのキスをされる。キスなのかもわからないような口づけに、浮竹がしびれを切らした。
京楽にの舌を誘い出して、絡み合わせる。
「んう・・・・・」
何度も絡めあっていると、飲み込み切れなかった唾液が滴った。
「ふ・・・・・」
唇だけでなく、額や頬に口づけされる。
でも、それ以上はしてこなかった。
安堵を覚えるのと同時に、このまま滅茶苦茶にされたいという相反する感情がせめぎあう。
いかんいかん。
一昨日交わったばかりだ。
本当に、京楽とのセックスは麻薬のようだ。快感ばかりで、癖になる。禁断症状がでるように、自分から抱かれたいという気持ちになる。
「どうしたの?押し黙って・・・・・」
「いや、なんでもないんだ。ただ、蒼薔薇は高いだろうなと思って」
欲情していることを察知してほしくなくて、他愛もない会話をする。
「浮竹、もしかして、抱かれたいって思ってる?」
ひゅっと、喉が鳴った。
何故ばれるのかと。
「瞳が・・・すごい、潤んでる。体温も上がってるし、動悸も高くなってる。何より、唇を舐めた」
些細な癖で見抜かれて、浮竹は慌てた。
「違う、これは・・・・・・・」
「僕だけの蒼薔薇姫。優しくするから、してもいいかい?」
「・・・・・はぁ。隠すだけ無駄か。1回だけだぞ」
浮竹は、布団の上に京楽の手で押し倒されていた。
その拍子に、髪に飾ったった蒼薔薇が、畳の上に落ちた。
「蒼薔薇姫・・・・・・」
京楽は、浮竹の髪にもう一度青薔薇を飾った。、
その蒼薔薇は、役目を終えてなお、髪飾りに加工されて、浮竹の髪に飾られるのだった。
「ごほっごほっごほっ・・・・・・・・」
苦し気に咳込んでいると、雨乾堂にやってきた京楽が、背中をさすってくれた。
それは、出会った頃から変わらない、京楽の心遣い。
「すまない・・・・・すぐにおさまるから・・・・ごほっ」
「血は吐きそう?」
首を横に振る。
「薬もってくるね」
戸棚に用意してある、肺の病のための漢方薬と発作の時ようの緊急の薬をもってきて、コップに水をいれたものを手渡された。
苦い薬は、いつの間にか京楽の手がまわされて、甘いものに変わっていた。
味のないはずの錠剤ものには、ほんのりと果物の味がした。
「薬まで味を変えてもらって・・・・・俺は、お前に何を返してやれるのだろう」
「何も返さなくていいよ。僕が好きにやってることだから」
京楽の手の中にには、先日もってきた蒼薔薇の花があった。
「また蒼薔薇か?」
「今日は一輪だけね。君の髪飾りにしようと思って」
一輪の蒼薔薇を手折って、それを白い髪に飾られた。
「蒼薔薇姫って、いい響きだと思わない?」
「俺は姫じゃないぞ」
「そういう細かいことは気にしないの」
浮竹は、しいてあったままの布団の上に横になった。同じように、浮竹も畳の上で横になる。
「おはぎもってきたんだけど、後でなら食べれそう?」
「ああ。少し休憩したら・・・・・・・」
薬の鎮静剤が効いて、少しだけ眠ってしまった。
「ああ・・・・また寝ていたのか」
隣を見ると、京楽も寝ていた。笠を顔に被らせて。
「京楽」
笠をとると、京楽はそれでも起きなかった。
そういえば、この前七緒が仕事が溜まっていると怒っていた。もしかして、ここにくるために不眠不休で仕事を片付けたんじゃないかと、心配になってきた。
10月の半ば。
まだ雨乾堂が締め切っていないが、入ってくる風が冷たくなっているのも事実。
扉を全部閉めて窓もしめた。
それでも寒いと感じて、浮竹は一枚の毛布を京楽にかぶせて、もう半分を自分にかぶせて横になっていたら、いつの間にかまた眠ってしまっていた。
次に起きると、流石に京楽も起きていた。
「ごめん、うたた寝けっこうしちゃった。七緒ちゃんに急かされるままに、朝方まで仕事してたからね」
「そういう時は、自分の館か隊首室にいって休め」
「やだよ。せっかく時間ができたんだから、浮竹の傍にいたい」
甘えてくる恋人に、浮竹も甘くなる。
「仕方のないやつだな・・・・・・」
その少しくせのある黒髪を撫でると、京楽が浮竹の白い長い髪をいじってきた。蒼薔薇は変わらず、髪に飾られたままだった。
「僕だけの蒼薔薇姫・・・・・・・」
浮竹の膝の上に頭を乗せる京楽。
院生時代だと、すぐ手をだしてくるが、流石に今はそこまでがっつかない。
「蒼薔薇姫か・・・・・・」
この前もらった蒼薔薇の花束は、ドライフラワーにして掛軸の前に飾ってある。京楽が言っていた通り、枯れても鮮明な青い色が残っていて、一見ではドライフラワーなのかそうではないのかの区別がつきにくい。
昨日なんか、仙太郎がドライフラワーになった蒼薔薇の水を変えようとしていたくらいだ。
「綺麗だね・・・・・・」
蒼薔薇を飾った浮竹は、いつもより儚く色っぽく見えた。
「キスだけ、してもいい?」
「好きにしろ」
2週間のお預け期間はすでにすぎていて、一昨日久しぶりに抱かれた。
1週間に2回と決めているので、無理に抱いてくる真似はしない。
柑橘系の香がした。京楽の香水の匂いだ。その香がいいと言ったら京楽は
「君の甘い花の香のほうがいい」
と一点張りだった。
ふわりと、触れるだけのキスをされる。キスなのかもわからないような口づけに、浮竹がしびれを切らした。
京楽にの舌を誘い出して、絡み合わせる。
「んう・・・・・」
何度も絡めあっていると、飲み込み切れなかった唾液が滴った。
「ふ・・・・・」
唇だけでなく、額や頬に口づけされる。
でも、それ以上はしてこなかった。
安堵を覚えるのと同時に、このまま滅茶苦茶にされたいという相反する感情がせめぎあう。
いかんいかん。
一昨日交わったばかりだ。
本当に、京楽とのセックスは麻薬のようだ。快感ばかりで、癖になる。禁断症状がでるように、自分から抱かれたいという気持ちになる。
「どうしたの?押し黙って・・・・・」
「いや、なんでもないんだ。ただ、蒼薔薇は高いだろうなと思って」
欲情していることを察知してほしくなくて、他愛もない会話をする。
「浮竹、もしかして、抱かれたいって思ってる?」
ひゅっと、喉が鳴った。
何故ばれるのかと。
「瞳が・・・すごい、潤んでる。体温も上がってるし、動悸も高くなってる。何より、唇を舐めた」
些細な癖で見抜かれて、浮竹は慌てた。
「違う、これは・・・・・・・」
「僕だけの蒼薔薇姫。優しくするから、してもいいかい?」
「・・・・・はぁ。隠すだけ無駄か。1回だけだぞ」
浮竹は、布団の上に京楽の手で押し倒されていた。
その拍子に、髪に飾ったった蒼薔薇が、畳の上に落ちた。
「蒼薔薇姫・・・・・・」
京楽は、浮竹の髪にもう一度青薔薇を飾った。、
その蒼薔薇は、役目を終えてなお、髪飾りに加工されて、浮竹の髪に飾られるのだった。
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