尸魂界での婚礼
日曜がきて、浦原に頼んで穿界門を開いてもらう。
拘突(こうとつ)がいないのを確認してから、断界を走り抜ける。
尸魂界につくと、ルキアと白哉が待っていた。
ルキアはもう、13番隊の隊長羽織を着ていた。
「ルキア、隊長就任おめでとう。これ、祝いの品」
渡されたのは、アメジストできた髪飾りと、プラチナでできた指輪。
「この指輪は?」
「結婚指輪だ」
かっと、ルキアの頬が朱くなった。
「現世での結婚式は、6月にしようと思っているんだ」
朽木家に移動して、一護はルキアに6月1日を指定した。
「少し先になるけど、もう井上と石田と茶虎には話をしてある」
「その、井上は大丈夫なのか?随分と荒れていたが」
「ああ、石田がついててくれて、大分改善された。あの時の謝罪を、ルキアにしたいんだってさ」
ルキアに向かって、現世に来るなと叫んで、頬を叩いた件だろう。
「もう、気にしてはいないのだがな」
「井上は後悔してる。俺にもちゃんと謝罪してきたし、ルキアも謝罪の言葉を受け取って、そして許してほしい」
「許すなど、最初から許しておる」
ルキアがいなければ、否、ルキアが一護と付き合いださなければ、今一護の隣にいるのはルキアではなく、井上だったろう。
「現世の結婚式には、兄様もきてくださるそうだ」
「ああ、俺が声をかけていたんだ。隊長副隊長に全員に声かけてみたんだけど、一気に現世に行くわけも行かないって言われて、恋次と冬獅郎、乱菊さんがきてくれるって」
「そうだな、あとは13番隊の席官数人くらいか・・・希望者は」
「全員が現世にくるわけにはいかないからな。それだけくればいいほうじゃないのか」
「そうだな。これぬ方は、明日行う婚礼にきてもらう予定だ」
「え、明日!?」
「え、話していなかったか」
「聞いてねぇ」
明日が結婚式と聞いて、一護はいろいろ焦りだした。
「まだ心の準備が・・・・・」
「そんなものいらぬ。すでに籍はいれておるのだ。もう結婚したも同然だ」
「ええっ、籍ってそんな簡単にいれられるものなのか?貴族関係って、けっこうごたごたしてるって聞いたけど」
「兄様が、いろいろと手続きを行ってくれたのだ。今日はよく寝て、明日の婚礼に遅刻せぬようにな」
その日、いろんなことが想いを駆け巡り、一護はなかなか寝れなかった。
「一護、起きておるか?」
「どうしたんだ、ルキア」
別室で眠っていたはずのルキアが、夜着姿で一護の傍にきた。
「眠れぬのだ」
「ああ、俺もだ。もっとこっちこいよ」
布団の中にひっぱりこむと、ルキアははにかんだ笑みを零した。
「いよいよ明日だな」
「大学のほうは卒業するとして、その後は?」
「尸魂界で死神として生活してもらう予定だ」
「そっかー。まぁ、家族にもスマホや携帯とかで連絡とれるし、友人たちも進路はばらばらだしな」
10分ほどしゃべっていると、睡魔に負けたのかルキアのすーすーという、静か寝息が聞こえてきた。一護も目を閉じる。数分は眠れなかったが、意識はすぐに闇に落ちていった。
次の日、いよいよ婚礼の日がきた。
「こちらへ、ルキア」
「はい、兄様・・・・・・・・」
死神姿のままきた一護を、朽木家の使用人が取り囲む。
「うわ、どうなってるんだ!?」
「こちら側の礼服を着てもらいます」
朽木家に案内されて、ポイポイと着ていた死覇装を脱がされて、朽木家の家紋が入った袴と上着を着せられた。
「どうぞ、奥へ・・・・」
奥にいくと、ルキアがいた。
白無垢姿だった。
「ルキア・・・・・」
「一護・・・・・・」
「ルキア、綺麗だぜ。似合っている」
「そういう一護もかっこいいぞ」
そのまま、朽木家の屋敷の中で、厳かに結婚式が行われた。他の隊の隊長副隊長はもちろんのこと、夜一や浦原といったメンバーまでいた。
現世のメンバーは呼んでいない。現世のメンバーは、現世の時の結婚式に来てもらう予定になっていた。
「ルキア、幸せになれよ!」
「恋次・・・・・ああ、必ず幸せになってみせる!」
最後までルキアのことが好きだった恋次は、一護を見た。
「幸せにしろよ。そうじゃなきゃ、とっちまうからな」
「とられてたまるかよ!」
和風の結婚式は初めてだったので、一護にはちんぷんかんぷんであったが、酒を飲み交わしあったりして、ルキアとの結婚は成立した。
後は、無礼講の酒宴となった。
「夜一様、私とも式をあげましょう!」
「砕蜂と式をあげなくとも、いつも一緒ではないか」
「ああ、夜一様・・・・・」
酒を飲む前のすでにハイになっている連中もいれば、朽木家の高級酒が飲めると、ただ酒を飲みに来たやつもいた。
「それにしても一護が朽木と結婚式だなんて、びっくりだよ」
「弓親さん・・・・・」
「いいじゃねーか。幸せになれよ、一護」
「一角さん・・・・」
たくさんの人に祝われた。
「おめでとう、朽木」
「日番谷隊長!」
「おめでとうルキア!」
「松本副隊長まで・・・・・・ありがとうございます!」
白無垢姿から普通の衣装に戻って、酒宴に交じったルキアは、幸せそうだった。
「いやあ、ルキアちゃんの結婚式、浮竹に見せてあげたかったねぇ」
「京楽総隊長・・・・・」
「きっと、天国から浮竹も見守っているよ」
「はい!」
ルキアから、笑顔が零れる。
「こちらへ・・・・黒崎一護」
「どうしたんだ、白哉」
「兄には、これから朽木一護となってもらう」
「へ?」
「なんだその間抜けな顔は。言ったであろう、朽木家に名を列ねると。ルキアを黒崎ルキアなどにはせぬ」
凄いシスコンきたー。問答無用の、婿入りきたー。
「俺は、黒崎の名を捨てる気は・・・・」
「ないのなら、ルキアとの婚姻はなしだ」
「朽木一護になります・・・・・・・」
「まだ先になるが、ある程度年をとったら、涅隊長の薬を飲んでもらう。ルキアと同じ時間を生きるように」
「人間やめろってことか」
「それくらいの覚悟はあるだろう」
「ある。でも、家族は・・・・」
「兄の父は死神であった男だ。人間の伴侶と共に生きるために、義骸に入り年を刻んだ。だが、私はルキアに早世してほしくない。これは私の我儘だ。それに、涅隊長の薬は完全に死神化する薬だ。ルキアとの間に子を作っても、問題はなくなる」
魅力的な話でもあった。
でも、家族と友人の顔がちらつく。
それでも、ルキアを選ぶか家族と友人を選ぶか。
答えなど、最初から決まっていた。
「ルキアと同じ時間を生きる」
「兄の言葉に、安心した」
白哉は、ルキアを呼んだ。
「ルキア、朽木一護は、例の条件を飲んだぞ」
「一護、本当に良いのか?」
「ああ。お前と共に生きたい」
「一護・・・・・・・」
一護は、ルキアを抱き上げた。
「一緒に生きよう。どちらかが老化で早世することもない、平和な世界を生きよう」
「ああ、もちろんだ、一護・・・・・・!」
抱き締めあって、キスを交わしていたら、みんな見ていた。
「あつあつだのう」
「夜一さん、こういうのマジでからうのやめてくれ」
「ルキアと一護の間にできる子は、朽木の次期当主となる。心しておけ」
白哉は、緋真以外の妻を娶る気はもうない。次の当主は、直系ではなく傍系になると思われていたが、養子とはいえルキアはすでに朽木家の子である。
その子を、次の当主にしようというのは、他の四大貴族から何か言われることかもしれないが、それは百哉が守ってくれるだろう。
こうして、新しく隊長や副隊長になった者も含めて、みんなに祝われて、尸魂界での婚礼は終了した。
一護は、ルキアと婚姻したことにより、アパート代や生活費、それに学費などを朽木家から援助してもらい、バイトを止めた。
土日になれば、尸魂界にいって、新婚生活を送る。あと3年は、通い妻ならぬ通い婿になりそうだが、大学は1、2年を真面目にいっていれば、3,4年は楽だ。
夏季休暇などの大型休暇は尸魂界で過ごすつもりであった。
家族や友人に事情を話す。怒る者(妹たち)もいたが、結局もう婚姻は成立し、黒崎家の人間ではないと父親は判断した。
ただ、いつでもルキアと一緒に帰ってこいとは言われた。
井上、石田、茶虎も驚いていたが、それが一護の決めたことならと、受け入れてくれた。
一護は、大学を卒業したら、現世を去る。
朽木一護として、真央霊術院の教師になることが決まっていた。一護の力は巨大だ。戦闘あった際は、一番隊に所属するようになっていた。
世界は廻る。
朽木一護となって、あっという間に6月になり、現世での最後のイベント・・・・現世での結婚式を迎えようとしていた。
拘突(こうとつ)がいないのを確認してから、断界を走り抜ける。
尸魂界につくと、ルキアと白哉が待っていた。
ルキアはもう、13番隊の隊長羽織を着ていた。
「ルキア、隊長就任おめでとう。これ、祝いの品」
渡されたのは、アメジストできた髪飾りと、プラチナでできた指輪。
「この指輪は?」
「結婚指輪だ」
かっと、ルキアの頬が朱くなった。
「現世での結婚式は、6月にしようと思っているんだ」
朽木家に移動して、一護はルキアに6月1日を指定した。
「少し先になるけど、もう井上と石田と茶虎には話をしてある」
「その、井上は大丈夫なのか?随分と荒れていたが」
「ああ、石田がついててくれて、大分改善された。あの時の謝罪を、ルキアにしたいんだってさ」
ルキアに向かって、現世に来るなと叫んで、頬を叩いた件だろう。
「もう、気にしてはいないのだがな」
「井上は後悔してる。俺にもちゃんと謝罪してきたし、ルキアも謝罪の言葉を受け取って、そして許してほしい」
「許すなど、最初から許しておる」
ルキアがいなければ、否、ルキアが一護と付き合いださなければ、今一護の隣にいるのはルキアではなく、井上だったろう。
「現世の結婚式には、兄様もきてくださるそうだ」
「ああ、俺が声をかけていたんだ。隊長副隊長に全員に声かけてみたんだけど、一気に現世に行くわけも行かないって言われて、恋次と冬獅郎、乱菊さんがきてくれるって」
「そうだな、あとは13番隊の席官数人くらいか・・・希望者は」
「全員が現世にくるわけにはいかないからな。それだけくればいいほうじゃないのか」
「そうだな。これぬ方は、明日行う婚礼にきてもらう予定だ」
「え、明日!?」
「え、話していなかったか」
「聞いてねぇ」
明日が結婚式と聞いて、一護はいろいろ焦りだした。
「まだ心の準備が・・・・・」
「そんなものいらぬ。すでに籍はいれておるのだ。もう結婚したも同然だ」
「ええっ、籍ってそんな簡単にいれられるものなのか?貴族関係って、けっこうごたごたしてるって聞いたけど」
「兄様が、いろいろと手続きを行ってくれたのだ。今日はよく寝て、明日の婚礼に遅刻せぬようにな」
その日、いろんなことが想いを駆け巡り、一護はなかなか寝れなかった。
「一護、起きておるか?」
「どうしたんだ、ルキア」
別室で眠っていたはずのルキアが、夜着姿で一護の傍にきた。
「眠れぬのだ」
「ああ、俺もだ。もっとこっちこいよ」
布団の中にひっぱりこむと、ルキアははにかんだ笑みを零した。
「いよいよ明日だな」
「大学のほうは卒業するとして、その後は?」
「尸魂界で死神として生活してもらう予定だ」
「そっかー。まぁ、家族にもスマホや携帯とかで連絡とれるし、友人たちも進路はばらばらだしな」
10分ほどしゃべっていると、睡魔に負けたのかルキアのすーすーという、静か寝息が聞こえてきた。一護も目を閉じる。数分は眠れなかったが、意識はすぐに闇に落ちていった。
次の日、いよいよ婚礼の日がきた。
「こちらへ、ルキア」
「はい、兄様・・・・・・・・」
死神姿のままきた一護を、朽木家の使用人が取り囲む。
「うわ、どうなってるんだ!?」
「こちら側の礼服を着てもらいます」
朽木家に案内されて、ポイポイと着ていた死覇装を脱がされて、朽木家の家紋が入った袴と上着を着せられた。
「どうぞ、奥へ・・・・」
奥にいくと、ルキアがいた。
白無垢姿だった。
「ルキア・・・・・」
「一護・・・・・・」
「ルキア、綺麗だぜ。似合っている」
「そういう一護もかっこいいぞ」
そのまま、朽木家の屋敷の中で、厳かに結婚式が行われた。他の隊の隊長副隊長はもちろんのこと、夜一や浦原といったメンバーまでいた。
現世のメンバーは呼んでいない。現世のメンバーは、現世の時の結婚式に来てもらう予定になっていた。
「ルキア、幸せになれよ!」
「恋次・・・・・ああ、必ず幸せになってみせる!」
最後までルキアのことが好きだった恋次は、一護を見た。
「幸せにしろよ。そうじゃなきゃ、とっちまうからな」
「とられてたまるかよ!」
和風の結婚式は初めてだったので、一護にはちんぷんかんぷんであったが、酒を飲み交わしあったりして、ルキアとの結婚は成立した。
後は、無礼講の酒宴となった。
「夜一様、私とも式をあげましょう!」
「砕蜂と式をあげなくとも、いつも一緒ではないか」
「ああ、夜一様・・・・・」
酒を飲む前のすでにハイになっている連中もいれば、朽木家の高級酒が飲めると、ただ酒を飲みに来たやつもいた。
「それにしても一護が朽木と結婚式だなんて、びっくりだよ」
「弓親さん・・・・・」
「いいじゃねーか。幸せになれよ、一護」
「一角さん・・・・」
たくさんの人に祝われた。
「おめでとう、朽木」
「日番谷隊長!」
「おめでとうルキア!」
「松本副隊長まで・・・・・・ありがとうございます!」
白無垢姿から普通の衣装に戻って、酒宴に交じったルキアは、幸せそうだった。
「いやあ、ルキアちゃんの結婚式、浮竹に見せてあげたかったねぇ」
「京楽総隊長・・・・・」
「きっと、天国から浮竹も見守っているよ」
「はい!」
ルキアから、笑顔が零れる。
「こちらへ・・・・黒崎一護」
「どうしたんだ、白哉」
「兄には、これから朽木一護となってもらう」
「へ?」
「なんだその間抜けな顔は。言ったであろう、朽木家に名を列ねると。ルキアを黒崎ルキアなどにはせぬ」
凄いシスコンきたー。問答無用の、婿入りきたー。
「俺は、黒崎の名を捨てる気は・・・・」
「ないのなら、ルキアとの婚姻はなしだ」
「朽木一護になります・・・・・・・」
「まだ先になるが、ある程度年をとったら、涅隊長の薬を飲んでもらう。ルキアと同じ時間を生きるように」
「人間やめろってことか」
「それくらいの覚悟はあるだろう」
「ある。でも、家族は・・・・」
「兄の父は死神であった男だ。人間の伴侶と共に生きるために、義骸に入り年を刻んだ。だが、私はルキアに早世してほしくない。これは私の我儘だ。それに、涅隊長の薬は完全に死神化する薬だ。ルキアとの間に子を作っても、問題はなくなる」
魅力的な話でもあった。
でも、家族と友人の顔がちらつく。
それでも、ルキアを選ぶか家族と友人を選ぶか。
答えなど、最初から決まっていた。
「ルキアと同じ時間を生きる」
「兄の言葉に、安心した」
白哉は、ルキアを呼んだ。
「ルキア、朽木一護は、例の条件を飲んだぞ」
「一護、本当に良いのか?」
「ああ。お前と共に生きたい」
「一護・・・・・・・」
一護は、ルキアを抱き上げた。
「一緒に生きよう。どちらかが老化で早世することもない、平和な世界を生きよう」
「ああ、もちろんだ、一護・・・・・・!」
抱き締めあって、キスを交わしていたら、みんな見ていた。
「あつあつだのう」
「夜一さん、こういうのマジでからうのやめてくれ」
「ルキアと一護の間にできる子は、朽木の次期当主となる。心しておけ」
白哉は、緋真以外の妻を娶る気はもうない。次の当主は、直系ではなく傍系になると思われていたが、養子とはいえルキアはすでに朽木家の子である。
その子を、次の当主にしようというのは、他の四大貴族から何か言われることかもしれないが、それは百哉が守ってくれるだろう。
こうして、新しく隊長や副隊長になった者も含めて、みんなに祝われて、尸魂界での婚礼は終了した。
一護は、ルキアと婚姻したことにより、アパート代や生活費、それに学費などを朽木家から援助してもらい、バイトを止めた。
土日になれば、尸魂界にいって、新婚生活を送る。あと3年は、通い妻ならぬ通い婿になりそうだが、大学は1、2年を真面目にいっていれば、3,4年は楽だ。
夏季休暇などの大型休暇は尸魂界で過ごすつもりであった。
家族や友人に事情を話す。怒る者(妹たち)もいたが、結局もう婚姻は成立し、黒崎家の人間ではないと父親は判断した。
ただ、いつでもルキアと一緒に帰ってこいとは言われた。
井上、石田、茶虎も驚いていたが、それが一護の決めたことならと、受け入れてくれた。
一護は、大学を卒業したら、現世を去る。
朽木一護として、真央霊術院の教師になることが決まっていた。一護の力は巨大だ。戦闘あった際は、一番隊に所属するようになっていた。
世界は廻る。
朽木一護となって、あっという間に6月になり、現世での最後のイベント・・・・現世での結婚式を迎えようとしていた。
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