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朽木家の日常

「一護、貴様、教師になるだと?」

「ああ、京楽さんから聞いたのか。その通り、真央霊術院の、臨時教師になる予定だ」

朽木家の朝に、朝餉の時間にルキアは一護を見た。

「貴様が教師・・・・・問題が起きねば、いいのだが」

「何かあれば他の教師と交代するから、大丈夫だろ」

朝餉を終えて、ルキアは13番隊の執務室に、一護は真央霊術院に出かけた。

一護は、最近まで現世で生きていたので、その知識を皆に教えるという形になった。

貨幣価値のなりたち、電化製品、コンビニ、虚の出現に至るまで、様々なことを生徒たちに教えた。生徒たちは真剣で、2回生の生徒を請け負った。

4回生になると、死神としてすでに護廷13隊の中で実務訓練を兼ねて、死神の生き様を学ぶ。

一護は真央霊術院に通っていた時、4回生からの編入生徒になったが、残っていたいわゆる死神になるにはまだ早い者たちで、その者たちと混ざって授業を受けていた。できる者はすでに死神としての任務についていたし、一護の霊圧には虚のそれが混じっているせいで、友人はできなかった。

一護にはルキアがいたし、恋次やその他の死神仲間と友人なので、どうってことはなかった。

「現世にいって、現地滞在の任務につく者は、とにかく寝るところと食べるところを抑える必要がある。可能性としてあるのは・・・・・」

霊力のある人間の家に、居候として滞在すること。なんとも言えない形だが、それが一番安全な方法だった。
ただでさえ霊圧のある死神は、虚の食糧として的になる。

「勝てないのに戦うのは、俺は反対だ」

「でも、朽木先生、他の先生の授業では、死しても虚を駆逐せよと学びました」

「それは他の先生のいうことだ。俺は尸魂界を2回に渡って救った英雄って言われているが、元をただせばただの人間だ」

もう、苗字を黒崎から朽木に変更になったので、朽木と呼ばれるのにも慣れた。

「その人間だった俺からすれば、死神だからって、勝てない虚に挑むことはない。それより強い死神がくるのを待て」

たんたんと授業は進んだ。

やがて鐘がなり、授業の終わりを告げる。

「今日はここまで。今度は、卍解についての授業になる」

「朽木先生の卍解!見てみたいです!」

「俺も!」

生徒たちに取り囲まれた。

「ああ、明日見せてやるから、通らせてくれ」

職員室に戻り、昼になったので弁当を取り出す。

今日は、ルキアの手作りらしい。

わくわくしながら弁当箱をあけると、ルキアの顔のキャラ弁だった。

「ったく・・・かわいいことしやがって・・・」

食べるのが勿体なく感じた。

仕方なしに、端から食べていく。

「意外とうまい・・・・」

ごはんは炊き込みご飯で、ルキアの髪は海苔でできていた。アメジストの瞳のところには、白ご飯の上なのに、葡萄が置いてあった。

「なすびとかあるのにな・・・・・」

他に紫のものといったら、なすびくらいしか思いつかない。

葡萄を最後に食べ終わって、ごちそうさまをした。

「ルキアのやつ・・・・・」

顔が、思わずにやけてしまう。

次の授業は、鬼道だった。

手本として、鬼道を見せたが、一護が黒焦げになった。

「朽木先生、先生が失敗しては示しがつかないと思います」

「俺もそう思う。鬼道は得意じゃねーんだよ」

そう言いながらも、鬼道を的にあてる。クレーターができた。

「すごい・・・霊圧もすごいし・・・・ほんとに、尸魂界を救った英雄なんだ」

生徒たちに取り囲まれて、サインしてくれとねだられた。

鬼道の授業をちゃんと受けるならと約束して、教えていく。

全員が使えるようになったのを確認して、主にノートに朽木一護と、サインしてやった。

「黒崎一護のほうがよかったか・・・しかし、今は朽木一護だしな・・・・・」

授業の全てを終えると、もう夕方だった。

「じゃあ、先に失礼します」

職員室を後にして、13番隊の執務室による。

「おお、一護、どうだった?」

「最後はサインくれだとよ」

「貴様のサインなぞ、欲しくないぞ」

「いや、お前の意見じゃねーから」

中に入って、書類整理を手伝った。

「弁当はどうだった・・・・・?」

もじもじと聞いてくるので、おいしかったとはっきり言うと、ルキアは喜んだ。

「兄様の分も、私が作ったのだ!兄様も喜んでくれるといいが・・・・」

でた、ブラコン。

「なぁルキア、俺と白哉、どっちが好きなんだ?」

「そ、そんな究極の選択、できるわけがなかろう!二人とも同じくらい好きだ」

「同じくらいねぇ・・・・・」

一護と言って欲しかったが、ルキアは極度のブラコンだから仕方ない。

「そうそう、この前のわかめ大使のフィギュアができたぞ。貴様もいるのだ」

精巧な作りのフィギュアを見せられた。

わかめ大使の着ぐるみを被った一護が端にいた。白哉が単独で大きく、ラメ入りで立っていた。

「こんなもん、買うやついるのかよ」

「それは私にもわからん。しかし兄様もいるのだ、私なら買うな」

また兄様か。

ちょっとむっとした一護は、ルキアを抱き寄せた。

「一護?」

「お前さ・・・俺といるのに、白哉白哉って、俺だけを見ろよ」

「ななな、何を言っておるのだ!」

「なぁ、ルキア・・・・・」

「近い!顔が近い!」

「ばーか」

キスをすると、紫紺の瞳が見開かれた。

「ばかとは何事だ!」

顔を真っ赤にしながらも、反論してくる。

「俺の一番はお前だ」

「一護・・・・・・」

抱き締めあいながら、キスをする。

そのまま、長椅子に押し倒す。

「あっ、一護・・・・・」

首筋にキスマークを残して、隊長羽織を脱がせ、死覇装に手をかけたところで、冷たい霊圧を感じて飛びのいた。

「婚礼までは、だめだといっておろう」

「白哉!なんでここにいやがる!」

「ルキアを迎えにきただけだ」

「このシスコンが!」

「ほう。兄は、よほど死にたいと見える。散れ、千本桜」

「のああああああああ」

桜の花びらに圧されていく。

斬月を抜いて、桜の奔流を断ち切ると、そこにはもうルキアも白哉もいなかった。

「くそ、逃げられた・・・・・」

朽木家に帰ると、鍵がかかっていた。

「なんだよ、姑のいじめみたいな展開・・・・・・・」

窓から、そっと侵入する。

「誰の許しをえて、入ってきた」

なんと、そこは白哉の私室だった。

「いや、これは玄関に鍵がかかっていたから・・・・・」

「散れ、千本桜」

「またかよおおおおおおおお」

一護は、桜の海に流されて、窓の外にポイッと捨てられた。

その日、ルキアの名を呼んでも、朽木家の屋敷に入れなかった。結局、野宿した。夕飯も食えず、寒い思いまでして、なんで俺こんな目にあってるんだろうと思った。

「今日はルキアは休みだ。兄は、くれぐれも体の関係は結ばぬように。婚礼までは」

朝の一番冷え込む時間に起きた一護に、白哉がそう言った。

「仕方ない、屋敷に入ることを許可しよう」

「うー、寒い」

火鉢にすり寄る。今日は一護も休みだった。

ルキアとラブラブイチャイチャできる機会だったが、そうは問屋が卸さない。

「今日は、私も非番だ」

仕方なく、与えられた部屋で昼まで眠った。起きると、ルキアの楽しそうな声が聞こえてきた。

「兄様、素晴らしいです」

わかめ大使の焼き物を作るらしい。

そのシュールなフォルムに、一護は何も言えないでいると、ルキアが一護の存在に気付いた。

「貴様、昼まで寝るとは怠惰だぞ!昼飯はぬきだ!」

「まじかよ・・・・・」

昨日の夕飯も食っていない。

「兄様を見ろ!あのようなすばらしい焼き物を、尸魂界に広めようとなさっている」

「はぁ。もういいわ。お前の兄様は素晴らしい・・・・」

「おお、一護も兄様の素晴らしさが分かったのか!」

「なあ、白哉義兄様」

わざと、白哉の嫌いな呼び方をすると、ものを放り投げられた。それは、わかめ大使の焼きものの失敗作だった。

ぽいぽいぽいと投げられるそれを、キャッチして投げ返す。

「心が狭いな、白哉義兄様!」

「兄に白哉義兄様と呼ばれる筋合いはない」

「でも義妹の妹と結婚してるんだ。実際白哉義兄様って呼ぶだろうが!」

白哉は、一度止まって思案する。

「ルキアと離婚を・・・・・・」

「白哉、俺が悪かった!ごめんなさい!」

そんな毎日だった。

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