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小説掲載プログ
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掴みとった未来

1週間は休暇を与えられたが、次の日から忙しくなった。

子育ての隙間に、13番隊の席官として復活したルキアは、産休もとらずに一勇を背におぶって、仕事をしていた。

13番隊隊長であり、夫である一護が、産休をとれと言ってくるが、一勇の世話が終わるととたんに、遊女の頃の悲しい記憶が復活してくるので、とにかく体を動かしていたかった。

「ルキア、本当に大丈夫か?」

「ああ。一勇もいるしな」

私はもう大丈夫。そう言い聞かせた。

時折、白哉が様子を見にやってくくる。

「ルキア、無理はしておるまいな?」

「はい、兄様」

朽木家の養子になって1年ほどしか経っていないが、義兄は優しかった。

「黒崎一護・・・・くれぐれも、ルキアに無理はさせぬよう」

「分かってるよ、白哉」

「なぁ、ルキア」

「なんだ?」

「もう一人くらい、子供欲しくねーか?」

「えっ」

とたんに、頬を染めるルキア。

「まだ一勇を生んだばかりだし・・・・」

「そうだな。立て続けだとお前の体がもたないか。一勇がそれなりの年になったら、もう一人くらい子供作ろうぜ」

それが何を意味しているのかを知って、朱くなる。

「朱くなったり・・・・今更だろ」

ちゅっと、音のなるキスを頬にされて、びっくりしていると、背中にいる一勇が泣きだした。

「ほぎゃあほぎゃあ」

「ああ、ミルクかな・・・それともおしめ?」

初めての赤子だけに、世話も大変そうだ。その気なら、全て召使いに任せてもよかったのだが、ルキアは自分で面倒を見るといって、譲らなかった。

「これは・・・・おしめかな」

13番隊の執務室で、ルキアがおしめを変えだした。濡れたティッシュで汚れをふきとり、紙おむつをはかせる。

「なぁルキア」

「なんだ、一護」

「その、今度でいいんだが、一度母乳飲んでみてもいいか?」

「き、きさまは何をいっておるのだ!」

「だって一勇だけずるいじゃねーか」

「これは生きるためのもので!」

ルキアは、あまり一勇におっぱいをあげていなかった。粉末の粉ミルクを飲ませていた。母乳の出が悪いのだが、出ないわけではない。

「一度だけだぞ」

「おっし」

一護は、ガッツポーズをとった。

一勇が生まれからというもの、体を重ねるのも月に数回くらいにまで落ちていた。花魁だった頃は、1週間に3回は抱かれていた。

「貴様もやはり、男なのだな」

「なんだよ」

「いや、結婚してもなお私を欲してくれて嬉しいのだ」

「そうだ、忙しくてとれなかったけど、今度2週間ほど休みをとれそうなんだ。現世に、一勇もつれて新婚旅行にいかないか?」

「お、いいな。どこへいくのだ?」

「外国にしようと思ってる。ヨーロッパのスイスあたりなんてどうだ?」

「よーろっぱのすいす?」

「ああ、ルキアは高校には通ってたけど、地理の勉強は全然だったもんな。まぁ、外国でいろいろ文化が違う場所だ」

「そうか。楽しみだな!」

ルキアが目を輝かせている。

一勇を背中に背負いなおして、13番隊の執務室で仕事をした。

席官であれ、副隊長ではないのだがら、本来は隊舎で仕事をするのだが、新婚という理由と、罪人として冤罪を受けたこともあって、執務室での仕事を許可されていた。

戦闘は非許可だが。

びーびーと、伝令神機が鳴った。

「なんだ!?」

ルキアのも一護のもなった。

「虚の大群らしい・・・ルキアはここで待機だ」

「しかし!」

「一勇連れて戦うつもりか!?」

「そんなつもりは・・・・・」

「俺が出る。安心しろ、虚程度にやられたりしねーさ。藍染も倒してきたんだぜ?」

「そうであったな・・・・・」

ルキアが安堵する。

「では行ってこい、一護。くれぐれも気をつけて」

「わかってる」

さっと窓から身を翻して、一護は虚の大群が出た場所へと瞬歩で移動する。

すでに10番隊があらかた片付けていたは大虚(メノスグランデ)の姿もあった。それにむあって、抜き放った斬月で、真っ二つに切り裂くと、他の虚たちは散り散りに逃げ出した。

「冬獅郎、任せていいか!?」

「ああ、分かった。蒼天に座せ、氷輪丸!」

氷の龍が、にげていこうとする虚たちを氷漬けにして、霊子へと還していった。

「ふう。これで終わりか」

雑魚の虚を退治し終わった一護は、周囲を見渡す。もう、虚の気配はどこにもなかった。

「じゃ、俺は戻るから。報告書とか頼むぜ」

「おい、待て黒崎!黒崎・・・ちっ、面倒ごと押し付けて行きやがって」

日番谷が怒っている頃、泣き止まない一勇にルキアがおろおろしていた。

おむつでもないし、ミルクもさっきあげた。

なぜ泣いているのか分からなくて、首を傾げる。

「ただいま、ルキア。どうした、一勇泣いてるじゃねーか」

「それが、おむつでもミルクでもなくて・・・・」

「ああ、貸してみろ」

一勇を抱いて、あやして一護は優しく寝かしつけた。

「すごいな。どうやるのだ」

「簡単さ。抱いて、体を少し動かして、あやして寝かしつけるんだ」

「ううむ。まぁ、今後学んでいけばいいか」

「そうそう。何も、一気にできなくていいんだ。少しずつ、歩いて行こう。俺とお前と、一勇と・・・・流れてしまった苺花と」

「苺花?」

「ああ、流れた子がいただろ。多分女の子だと思うんだ。名前がなきゃかわいそうだからな・・・・・」

「すまぬ・・・・」

「お前のせいじゃないさ。まぁ、一勇に妹が生まれたら、その子も苺花って名前にしようと思ってるんだけどな」

「どれだけ気が早いのだ」

苦笑するルキア。

一勇の体をもらい、背中にしょったルキアは、今までない幸せをかみしめていた。

この幸せは、何処までも続いている。

一護がいる限り。



           ルキアの涙、一護の決意
               fin

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