忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 29 30 12

浮竹に髪を切られ、10円はげをこさえた京楽

「浮竹?」

「んー」

「どうしたの」

「んー」

8番隊の執務室に珍しくやってきた浮竹は、京楽の髪の毛で遊んでいた。

黒いくせっ毛で、かたかったが手入れは行き届いているのでつやはあった。

「お前の髪・・・強制ストレートパーマとかあてたら、面白そうだ」

「ちょ、そんなことしないからね!?さらささらな黒髪の僕なんて、自分でも嫌だよ」

「そうだな。京楽はいまの髪型がいい」

「君の髪の毛も、今のままがいい。さらさらさだし、白い色も綺麗だし、長い白髪が風に揺れる様を見ているだけでも絵になる」

「俺としては、もう少し短くてもいいんだがな。たまに、院生の頃のように短くしたくなる」

「でも、切らないでよ?そこまで綺麗に伸ばすのに、10年以上はかかってるんだから」

浮竹の髪は、京楽が切っていた。腰より長くなると、いつも京楽が腰より少し高い位置で切り揃えてくれた。

「京楽も、髪伸びたな。切ってもいいか?」

「いいけど・・・・ちゃんと、加減してよ?」

仕事をいったん終わらせて、浮竹が京楽の髪をきっていく。

ジョキジョキと遠慮のいらぬ音で、ばさばさときっていく。

「ああ、もうあれだ。不毛だ」

「ちょ、え、まじで?10円はげできてるんだけど!」

「ここに、涅隊長のつくった、「髪のびーる」っていう薬がある。これを濡れば・・・・あら不思議・・・・・ぎゃあああああああ」

10円はげのところにぬると、すごい量の髪の毛が生えてきた。

「ちょっと、浮竹!?」

「く、この髪の毛め!」

ジョキジョキと切っていくと、10円はげが3つできた。

「さっきより酷くなってるんだけど!もう、自分で切り揃えるから、その「髪のびーる」で僕の10円はげになったところ、伸ばしてよ」

「分かった」

ばさぁと伸びた。

「京楽の髪の毛でおぼれ死ぬ!」

「どんな死に方だい、それ!」

浮竹から髪切り用の鋏を手に取り、雑に切っていく。ある程度切った後、京楽は七緒を呼んだ。

「七緒ちゃん、ごめんだけどちょっと髪揃えてくれないかな」

「どうなっても知りませんよ」

「ええっ、ちょ、10円はげだけはやめてね!?」

はさみでちょきちょきと、うまい具合に切っていく。京楽は、前より幾分が髪が短い、というよな髪型になった。

「ありがとう、七緒ちゃん」

「すまない、伊勢」

「どういたしまして。この黒い髪、全部隊長のものですか」

「そうだけど」

「ちゃんと、後でごみとして片づけてください」

「うん、分かった」

七緒は、自分の部屋に戻って行った。

「んー悔しいなぁ。俺でも京楽の髪くらい切れると思ったんだが」

「君が切ると10円はげがいっぱいになることが分かったから、今度から美容院か、七緒ちゃんに切ってもらうことにするよ」

「10円はげのある京楽も、きっと・・・・多分・・・・・それなりにかっこいいかもしれないぞ?」

「今、君疑問形にしながらしゃべってるでしょ」

「お前の髪くらい、切り揃えてやりたいが、それができない自分が情けない」

「そんな深刻にならなくても」

「でも、涅隊長の「髪のびーる」があってよかったな。10円はげ3つもこさえた8番隊ハゲ隊長ににならずにすんで」

「8番隊ハゲ隊長!酷い名前だ」

髪の海をゴミ袋につめこむと、2袋分になった。どれだけ伸びたのかが分かった。

「んーー」

京楽が仕事している間、暇なので隊舎で飼われている、タロという子犬と遊んでいた。

京楽は猫アレルギーなので、猫自体は好きなのが、飼えないのだ。

「わんわん」

「といれかな?」

「ああ、散歩の時間なんだよ。浮竹、暇そうだし散歩に出も連れにいってくるかい?」

犬用の、フンを始末するしゃべると袋を渡された。

子犬を連れて、隊舎の外を歩く。

リードをちゃんとしていたのだが、浮竹が石につまづいてこけかけた時に、リードを手放してしまった。

「あ、タロ!」

急いで後を追うが、子犬しか入れない狭さの路地をいかれて、行方不明になってしまった。

「どうしよう・・・・・」

きょろきょろと見回す。

仕方なしに空から瞬歩を使って探し始めた。

「この子犬、どこかの隊舎の犬か」

「さぁ」

狛村が、タロを抱き抱えていた。

「狛村隊長!その犬、8番隊のタロというんだ。さっき、リードを離してしまった時に逃げ出して・・・・・」

「そうか、8番隊でも子犬を飼っているのか。犬はいいぞ」

「狛村隊長、タロをこっちに」

タロは、狛村の手の中でぶんぶん尻尾を振っていた。

そして、狛村が手を離して地面に置くと、狛村の足にでおしっこをしだした。

「ああ、タロ!狛村隊長、すまない!」

「ははは、元気があってよい」

何度もあやまって、もっていたタオルでぬぐったが、やはり匂いがついてしまっていた。

「隊長、隊舎についたらすぐ服を洗いましょう」

一緒にいた席官が、そう言う。

「本当にすまない」

「浮竹隊長、どうかその子を叱らないでやってくれ」

「あ、ああ」

タロを抱いて、瞬歩で8番隊までくると、大きなため息をついた。

「どうしたんだい、そんな溜息なんかついて・・・・」

「タロが・・・・」

事情を説明すると、京楽は笑った。

「笑いごとじゃない」

「いやごめん。狛村隊長は、自分の隊の隊舎で飼ってる犬をよく世話しているから、その程度のことで腹を立てるような人物じゃないよ」

「そうか・・・・それより、仕事は終わったのか?」

「うーん、追加でまたきてね。最近さぼってたから」

「仕方ない、手伝おう。このまま仕事をするお前を見ているだけでは暇だから」

「ごめんね、京楽。せっかく遊びにきてくれたのに、構ってあげられなくて」

「そいいうお前も、よく雨乾堂に遊びにきて、俺が臥せっていて無理な時も多いだろう」

「ああ、まぁお互いさまというわけか」

「そうだ」

京楽の仕事を手伝っていると、ミスを発見したりして、浮竹の事務能力の高さが分かった。

2時間ほどして、とりあえずためていた仕事は片付いた。

「もう、夕餉の時刻だね?どうする?」

「たまには、俺が泊まる」

「そうだね、僕の本宅の屋敷にいこうか」

「ああ」

京楽家の屋敷は広かったが、何度か来たことがるので、どこのなんの部屋があるのかくらいは、うろ覚えだが分かった。

家人に頼み、二人分の夕餉を出してもらう。

普段浮竹が雨乾堂で食べる食事よりも数倍豪華な食事が出された。

「なんだか悪いな・・・・こんな豪勢なもの」

「お金はあるだけじゃ意味ないからね。たまには、使わないと」

ぱあっと使っても、京楽の金が尽きることはない。

4大貴族の白哉ほどではないとしても、上流貴族らしく蓄えはたくさんあった。

屋敷をいくつも抱え、それに家人を置いて管理させているだけでも、相当な金が飛ぶだろうに。

「酒は飲むかい?」

「ああ、いただこう」

その日は、深夜まで飲み交わした。

次の日、京楽の髪がうねっていた。

「な、なんだいこれ」

「ああ、涅隊長の薬の副作用だ。1日だけ、うねって生き物にようになるとか」

「そんな薬、塗らないでよ!」

「でも、10円ハゲを作ってしまったんだぞ」

「ああ、こんな髪が外出もできない。今日は休みをとるよ」

「じゃあ、俺も」

京楽の髪がうねるさまを、面白げに見ながら、二人は共に休暇を過ごすのであった。「

拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/28)
(11/28)
(11/27)
(11/26)
(11/25)
"ココはカウンター設置場所"