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小説掲載プログ
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朝から盛っている二人をみてしまいその後、梅で花見。

「おはよーございます」

「あん、京楽」

朝っぱらから、やっている二人のいる雨乾堂まで入ってきてしまって、海燕は固まった。

幸いなことに、服を着ながらやっていたので、自分の上官のあられもない姿を見ることにはなったが、肌色は少なかった。

「きょ、京楽!海燕がきたから!」

「だから、なんだってんだい。続けるよ」

「んあっ・・・あ、あ、京楽!」

ピキピキピキ。

自分の存在をないこととして扱われて、海燕は怒鳴った。

「朝餉、なしですね!」

「あ、海燕まて・・・・ああっ!ううん」

浮竹の声は、確かに聴いていると腰にくるものがある。

あんな上官であるが、大切なのは確かだ。

手早く行為を終わらせて、浮竹が海燕のいる隊舎までやってくる。

「すまない、海燕!京楽がなかなか終わらせてくれなくって」

「それより、朝から盛るのはやめてくれませんかね。せめて夜になるまで待ってください」

「それは京楽が!」

「朝餉、運びますから。湯あみ、してきてくださいね。京楽隊長の匂いがする」

かっと朱くなって、浮竹は朝から京楽と湯あみをした。

新しい死覇装と隊長羽織をまとって、やり直しで今日の一日のはじまりだ。

「あ、京楽の焼いた鮭の方が大きい」

「はいはい、取り替えてあげるから」

この二人を見ていると、もはや夫婦にしか見えないのだが。

「あーんして」

「あーん」

浮竹の口の中に、デザートの栗のモンブランケーキをいれる京楽。

お前ら、熟年カップルか!

そう言いたくなった。

だって、連れ添うようになって数百年。もう、夫婦でも熟年カップルに入るだろう。

そもそも、京楽も起きたのなら、13番隊で朝餉をとらずに、8番隊に戻ればいいのに。

「京楽隊長は、泊まった時ってなんて朝餉13番隊でとっていくんですが」

「だって、ここのご飯できたてで美味しいんだもん」

「そりゃ、確かに金銭面で京楽隊長が出してくださってるお陰で、他の隊より豪華な食事はとれますが、それは8番隊もでしょう?」

「だめだめ。8番隊の食事は冷めきっていてね。美味しいことは美味しいけど、13番隊の食事には及ばない。それに、食事内容もはっきりいって13番隊のほうが豪華だ」

病弱な浮竹のために精を付けてもらおうと、市場で新鮮なものを買ってきては調理されて出されている。

浮竹のご飯はとくにデザートがこっている。今日は、栗のモンブランケーキだった。

京楽の分まで食べて、満足そうでほっこりした浮竹に、海燕も自然と顔を緩めていた。

「ああ、僕も13番隊の子になりたいなぁ」

副官の七緒が聞いたら、切れるだろう。

「京楽は、8番隊の隊長だから、いいんだ。同じ隊長でないと、距離感がでてしまうだろうが」

浮竹は、席官の京楽になんて興味なさそうだった。

「まぁ、8番隊の隊長長年してるけど、浮竹とのこの距離感がいいよね。気が向いたら自然と雨乾堂に遊びにこれる今の距離感、好きだよ」

「副隊長の時はどうしてたんですか?」

海燕が問うと、浮竹も京楽も苦笑した。

「あの頃は忙しかったからねぇ。逢瀬もたまにだよ」

「もう、副官はしたくないな」

「ああ、まぁなんとなくわかります」

朝から、上官の世話を焼くこの一日が、大変といえば大変なのだ。

隊長なら、仕事をためこんでしまうが、数日は自由がきく。その代わり、ためこんだ仕事に忙殺される日々がくるが。

京楽は、明らかに仕事をためこみ、忙殺される日々を送るタイプだろう。自分の上官である浮竹は、臥せっている時以外は、仕事は常にこなすので、その点では副官を泣かせない。

京楽の副官である伊勢七緒には、少しばかり憐れみを覚えた。

「とにかく、今度から朝から盛るのはやめてください。そして、俺を無視して続きやるのも勘弁してください」

「なるべく、そうならないようには努力するよ」

「ああ、俺もだ」

とはいえ、浮竹も京楽も一度火がついてしまうと、収まらない。

朝からはなしにしようと告げて、それで終わった。

「今日は何をしよう」

「そうだね。この季節は梅が咲いているね。梅をみながら花見でもして、ぱーっと飲もう」

「仕事は?」

海燕が問う。

「今日の分はあるのか?」

「いえ、今日の分は昨日隊長が片したやつです。それより、京楽隊長の仕事です」

「ああ、僕はいいの。あと半月分くらいため込んで、1週間かけて終わらせるから」

「その方法なんとかならないか?1週間もお前に会えないのは辛い」

「そんな時が、浮竹が8番隊にきてくれるじゃない」

「まぁ、それはそうなんだが」

「昼飯の準備してきますから。適当に酒を選んで、出発の準備しててください」

「ほんとによくできた副官だね、海燕君は」

「やらんぞ」

「欲しいけど、七緒ちゃんがいるからね」

七緒の怒った般若のような顔は怖いが、あれでも性根は優しい。

ちゃんと食事を届けてくれるし、仕事を溜めこんでいる時とかは、仮眠をとってくださいと休憩時間をくれる。

「どこの梅を見に行こうか?」

「白哉に頼んで、朽木邸の梅を見させてもらおう」

「ああ、朽木邸の梅はすごいからね。亡くなった緋真ちゃんが梅が好きで、植えさせていたほどだから」

今頃、花盛りだろうと、思案する。

「でも、大丈夫かい?朽木隊長、許してくれるかな?」

「ああ、平気だぞ。去年、新人会を朽木家の桜の花を見ながらさせてもらった」

「へぇ。あの屋敷、桜もすごいのかい」

「ああ。桜の雨のようだ。旬の花をいつも何処かに植えていて、冬は椿が綺麗だったな」

「朽木隊長は優雅だからね」

「白哉は、梅も好きだが桜も好きなんだ。幼い頃は、よく肩車して桜の花をとってやったものだ」

「朽木隊長とは、そんなに古くからの知り合いなの」

「かれこれ200年にはなるかな?」

なんだかんだと話ている間に、海燕が重箱のお弁当をもってきた。

急いで酒を集めて、出発する。

「白哉、梅をみたいんだ。庭を貸してくれるか?」

「兄の頼みなら仕方あるまい・・・・・」

本当に、すんなりと庭をかしてくれるものなのだなと、京楽も海燕も思った。

朽木邸の梅は、今が一番の見どころだった。

紅梅も美しいが、白梅も美しかった。

「京楽は、紅梅と白梅、どっちが好きだ?」

「紅梅かな。君の髪に似合いそうだ」

すまないとは思いつつ、一輪だけつみとって、浮竹の髪に飾った。

「俺は白梅かな。隊長の髪みたいで綺麗だ」

「海燕は白梅か。俺は両方好きだな」

甘い果実酒の中にまざっていた、梅酒を取り出す。

「梅酒、けっこううまいんだよな」

「梅は、咲くだけのものもあるけど、実をとれるものもあるからね」

古来より、梅は存在した。

もともとは中国あたりからもたらされてきたものだ。

山本元柳斎重國あたりなら、梅がもたらされた歴史を詳しく知っているだろう。何せ、遣唐使などが派遣されていた時も、死神をしていたのだ。

「まぁ、一杯」

京楽が、梅酒を浮竹と海燕の杯に注ぐ。浮竹が、京楽の杯に注いだ。

その日は、昼過ぎまで梅を見ながら飲んだのだった。



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