こちらの空気にはお帰りを願います。
「隊長、起きてください」
「んーあと1時間」
「もう9時ですよ!死神の仕事業務始まってます!ちゃんと時間を守ってください」
「ふあーーー」
大きな欠伸をして、浮竹は起きた。
顔を洗い、遅めの朝餉をとると、10時になっていた。
「仕事でもするか・・・・・」
「今日の昼は杏仁豆腐らしいですよ。仕事がんばってくれたら、俺の分もあげます」
「さぁ、きりきり仕事するぞ!」
浮竹はその気になって、ばりばりと仕事を始めた。
ここ最近、臥せっていたので仕事が溜まっていたのだ。それを、すごいスピードで処理していく。
仕事をさぼる京楽の、その気になった仕事処理能力ほどではないが、それに勝るとも劣らぬスピードで、仕事を片していった。
昼の12時なったが、お腹がすいていなかったので、1時まで仕事を続けて、1時になって昼餉を食した。
海燕の分の杏仁豆腐をもらい、至福顔の浮竹に、海燕もなんだが心がぽかぽかした。
午後の3時まで仕事を続け、一休憩を入れる。
おはぎを食べて、お茶をのんで、糖分を吸収してまた仕事を処理し始めた。
「・・・・・・・・・」
視線が、浮竹に突き刺さる。
浮竹は、それをないものとして扱った。
「僕さ、10時からずっとこの雨乾堂にいるんだよね。ここまで無視されると、怒りを通りこして、悲しみも通りこして、何かを悟りそう」
「空気がしゃべった。おい、海燕、あの空気に餌をやれ」
ぐーぐーと、お腹をならす京楽に、海燕は昼餉をあげた。
それを食し終わって、京楽はずーっと浮竹を見ていた。
浮竹はその視線を無視して、仕事を続ける。
「ねぇ、浮竹。君、そんなに涅隊長の媚薬盛ったこと、怒ってるの?」
「空気がしゃべった。おい、海燕、あの空気にお茶とおはぎをやれ」
「はいはい・・・・・空気京楽隊長・・・うぷぷぷぷ」
「副官にまで馬鹿にされる僕って一体・・・・・・」
がっくりとしながらも、浮竹が空気としてでも扱いだしてくれて、ほんのりと嬉しさを感じ出す。本気で怒ると、1週間は口を聞いてくれないのだ。
「空気がね、こう言ってるよ。君も十分楽しんでいたようだから、そこまで怒らなくていいじゃないって」
「うるさい空気だな。海燕、窓をあけて寒気してくれ。空気がうるさい」
「うぷぷぷぷ。京楽隊長、媚薬なんて浮竹隊長に盛るから・・・・」
「でもね、院生時代から何十回と盛ってきたんだよ?今更じゃない」
「ああ、この空気が!」
べしっと、座布団を投げられた。
6時になって、死神の業務が終わると、京楽が土下座した。
「ごめんなさい。しばらくの間、もう媚薬は盛りません」
「本当だな?信じるぞ。約束破ったら、また空気だからな!」
媚薬を盛った後の怒りが空気くらいなら、まだまだ大丈夫。そう京楽は思った。
はじめて媚薬を盛ったのは、院生時代。怒りまくられて、そして浮竹は熱を出した。それからはしばらく媚薬はつかわなかったが、学院を卒業して死神の席官になった頃、あまりに淡泊な性関係にまた媚薬を使った。
隊長になってからは、時々。そして、涅マユリという媚薬の種類まで選べる供給源をもって、年に2回ほど、媚薬を盛った。
浮竹は、年に2回ほど、こうして怒りだす。
ちなみに前回は、ちょうど半年前で、1週間口を聞いてもらえず、半月の禁欲生活を強いられた。
それに比べたら、今回は軽い。
何せ、盛った媚薬が普通のものだったからだ。
半年前に盛った媚薬は、猫の耳と尻尾がはえて、盛りの季節を迎えた状態になるものだった。
思いっきり楽しんだけど、反動はでかかった。
「京楽、俺はな、別にお前との関係をやめるつもりはない。愛しているし、愛されていると思う。なのに、なんで媚薬なんて盛えるんだ」
「いや、君、媚薬盛るとすごいから。思い出すだけで鼻血でそう」
「海燕、この空気にお帰りになってもらうように言ってくれ」
「はい。すみません、空気さん、隊長がこういっているので、帰ってもらえますか」
「浮竹、愛してるよ!」
「んあう」
いきなり、舌が絡むキスをされて、きわどい部分を触ってきた。
「やっ・・・・・」
「浮竹、僕だけのものだ。空気はね、いつでも君を欲しがっているから」
「やあっ」
隊長の声は腰にくるものがあるので、海燕は耐えた。
「んっ、空気・・・・分かったから、やめろ、空気・・・・京楽」
潤んだ瞳で京楽を見つめる浮竹は、京楽の手練手管で落とされてしまった。
「はぁっ・・・・」
何度も抱き締められて、舌が絡みあうキスをされた。浮竹は、京楽とのキスが好きだった。
とろんとした瞳で、京楽を見つめる。
「京楽のバカ・・・・・」
ぽふりと、その体に体重を預けて、浮竹は京楽を許した。
「僕はバカだよ。君のことになると、一途なバカになるんだ」
幸いなことに、行為に及ぶわけではなさそうなので、海燕も安心した。
この二人は、海燕がいても、それこそ海燕を空気のように思って盛りだすから、始末が悪い。
「じゃあ、空気改め京楽隊長、今日はお泊りじゃないので、帰ってくださいね」
「海燕君まで、辛口だなぁ」
「そりゃ、敬愛する上司に媚薬なんて盛るやつを、普通には扱えません」
「浮竹、今日は僕ももう帰るから。また明日ね」
「ああ・・・・」
去り際に、ちゅっと音がなるキスを頬にして、京楽は去って行った。
「はぁ・・・・・」
海燕が、溜息を零す。
「隊長、怒ってもやっぱ、最終的には許すんですね。俺なら、絶対別れてるけど」
「京楽は・・・悪い奴じゃあないんだ。まぁ、悪乗りをする時もあるが、優しいし、包容力はあるし、見た目はいいし、俺に甘いし・・・」
「何気にすごいのろけられてる」
「はぁ。疲れたから、ちょっと早いけど湯浴みしてくる」
「じゃあ、夕餉の用意しときますね」
海燕は、浮竹の副官であることを―——嫌になったりはしないが、やはり京楽のことは上官である浮竹のように素直に、尊敬とか、そういう気持ちを抱けそうにはなかった。
「んーあと1時間」
「もう9時ですよ!死神の仕事業務始まってます!ちゃんと時間を守ってください」
「ふあーーー」
大きな欠伸をして、浮竹は起きた。
顔を洗い、遅めの朝餉をとると、10時になっていた。
「仕事でもするか・・・・・」
「今日の昼は杏仁豆腐らしいですよ。仕事がんばってくれたら、俺の分もあげます」
「さぁ、きりきり仕事するぞ!」
浮竹はその気になって、ばりばりと仕事を始めた。
ここ最近、臥せっていたので仕事が溜まっていたのだ。それを、すごいスピードで処理していく。
仕事をさぼる京楽の、その気になった仕事処理能力ほどではないが、それに勝るとも劣らぬスピードで、仕事を片していった。
昼の12時なったが、お腹がすいていなかったので、1時まで仕事を続けて、1時になって昼餉を食した。
海燕の分の杏仁豆腐をもらい、至福顔の浮竹に、海燕もなんだが心がぽかぽかした。
午後の3時まで仕事を続け、一休憩を入れる。
おはぎを食べて、お茶をのんで、糖分を吸収してまた仕事を処理し始めた。
「・・・・・・・・・」
視線が、浮竹に突き刺さる。
浮竹は、それをないものとして扱った。
「僕さ、10時からずっとこの雨乾堂にいるんだよね。ここまで無視されると、怒りを通りこして、悲しみも通りこして、何かを悟りそう」
「空気がしゃべった。おい、海燕、あの空気に餌をやれ」
ぐーぐーと、お腹をならす京楽に、海燕は昼餉をあげた。
それを食し終わって、京楽はずーっと浮竹を見ていた。
浮竹はその視線を無視して、仕事を続ける。
「ねぇ、浮竹。君、そんなに涅隊長の媚薬盛ったこと、怒ってるの?」
「空気がしゃべった。おい、海燕、あの空気にお茶とおはぎをやれ」
「はいはい・・・・・空気京楽隊長・・・うぷぷぷぷ」
「副官にまで馬鹿にされる僕って一体・・・・・・」
がっくりとしながらも、浮竹が空気としてでも扱いだしてくれて、ほんのりと嬉しさを感じ出す。本気で怒ると、1週間は口を聞いてくれないのだ。
「空気がね、こう言ってるよ。君も十分楽しんでいたようだから、そこまで怒らなくていいじゃないって」
「うるさい空気だな。海燕、窓をあけて寒気してくれ。空気がうるさい」
「うぷぷぷぷ。京楽隊長、媚薬なんて浮竹隊長に盛るから・・・・」
「でもね、院生時代から何十回と盛ってきたんだよ?今更じゃない」
「ああ、この空気が!」
べしっと、座布団を投げられた。
6時になって、死神の業務が終わると、京楽が土下座した。
「ごめんなさい。しばらくの間、もう媚薬は盛りません」
「本当だな?信じるぞ。約束破ったら、また空気だからな!」
媚薬を盛った後の怒りが空気くらいなら、まだまだ大丈夫。そう京楽は思った。
はじめて媚薬を盛ったのは、院生時代。怒りまくられて、そして浮竹は熱を出した。それからはしばらく媚薬はつかわなかったが、学院を卒業して死神の席官になった頃、あまりに淡泊な性関係にまた媚薬を使った。
隊長になってからは、時々。そして、涅マユリという媚薬の種類まで選べる供給源をもって、年に2回ほど、媚薬を盛った。
浮竹は、年に2回ほど、こうして怒りだす。
ちなみに前回は、ちょうど半年前で、1週間口を聞いてもらえず、半月の禁欲生活を強いられた。
それに比べたら、今回は軽い。
何せ、盛った媚薬が普通のものだったからだ。
半年前に盛った媚薬は、猫の耳と尻尾がはえて、盛りの季節を迎えた状態になるものだった。
思いっきり楽しんだけど、反動はでかかった。
「京楽、俺はな、別にお前との関係をやめるつもりはない。愛しているし、愛されていると思う。なのに、なんで媚薬なんて盛えるんだ」
「いや、君、媚薬盛るとすごいから。思い出すだけで鼻血でそう」
「海燕、この空気にお帰りになってもらうように言ってくれ」
「はい。すみません、空気さん、隊長がこういっているので、帰ってもらえますか」
「浮竹、愛してるよ!」
「んあう」
いきなり、舌が絡むキスをされて、きわどい部分を触ってきた。
「やっ・・・・・」
「浮竹、僕だけのものだ。空気はね、いつでも君を欲しがっているから」
「やあっ」
隊長の声は腰にくるものがあるので、海燕は耐えた。
「んっ、空気・・・・分かったから、やめろ、空気・・・・京楽」
潤んだ瞳で京楽を見つめる浮竹は、京楽の手練手管で落とされてしまった。
「はぁっ・・・・」
何度も抱き締められて、舌が絡みあうキスをされた。浮竹は、京楽とのキスが好きだった。
とろんとした瞳で、京楽を見つめる。
「京楽のバカ・・・・・」
ぽふりと、その体に体重を預けて、浮竹は京楽を許した。
「僕はバカだよ。君のことになると、一途なバカになるんだ」
幸いなことに、行為に及ぶわけではなさそうなので、海燕も安心した。
この二人は、海燕がいても、それこそ海燕を空気のように思って盛りだすから、始末が悪い。
「じゃあ、空気改め京楽隊長、今日はお泊りじゃないので、帰ってくださいね」
「海燕君まで、辛口だなぁ」
「そりゃ、敬愛する上司に媚薬なんて盛るやつを、普通には扱えません」
「浮竹、今日は僕ももう帰るから。また明日ね」
「ああ・・・・」
去り際に、ちゅっと音がなるキスを頬にして、京楽は去って行った。
「はぁ・・・・・」
海燕が、溜息を零す。
「隊長、怒ってもやっぱ、最終的には許すんですね。俺なら、絶対別れてるけど」
「京楽は・・・悪い奴じゃあないんだ。まぁ、悪乗りをする時もあるが、優しいし、包容力はあるし、見た目はいいし、俺に甘いし・・・」
「何気にすごいのろけられてる」
「はぁ。疲れたから、ちょっと早いけど湯浴みしてくる」
「じゃあ、夕餉の用意しときますね」
海燕は、浮竹の副官であることを―——嫌になったりはしないが、やはり京楽のことは上官である浮竹のように素直に、尊敬とか、そういう気持ちを抱けそうにはなかった。
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