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7話補完小説

一護は、すでに満身創痍だった。

特殊な檻の中に閉じ込められて、出るのに時間がかかりすぎた。

守りたいと思っていた尸魂界の、たくさんの血が流れている場面を見て、ギリッと唇をかみきった。

「なんだよこれ・・・こんなのありかよ・・・・」

瞬歩で歩んでいく。

死体死体死体。

敵敵敵敵。

白哉の前にくると、血まみれで壁にめりこんでぼろぼろな白夜が、ふと目を開けた。

「黒崎一護・・・」

「しゃべるな!」

「黒崎一護・・・・どうか、尸魂界を・・・・・」



瞬歩で、かき消えた山本元柳斎重國の霊圧の名残があった場所まできた。

斬月によく似た男だった。

「お前か」

「何がだ」

「尸魂界をこんなにしたのはお前かってきいてんだよ!」

血を滲ませながら、叫ぶ一護に、ユーハバッハは残酷な笑みを刻んだ。

「そうだ」

「おまえええええ!」

斬月をぶつける。

けれど、切れぬ。

「うおおおおおお!月牙天衝!」

けれど、手傷さえ負わせられぬ、

「陛下」

去っていくユーハバッハを、見ていることさえできなかった。

完膚なきまでに叩き折られた。心も、剣も。

「俺は・・・・」

振り続ける雨の中、一護は折れた斬月を見ていた。



「山じい!」

消えてしまった圧倒的な霊圧に、京楽は息を飲む。

そんな。

「山じい、嘘でしょ?」

山じいが死ぬなんて、そんなこと。

ああ、浮竹は無事だろうか。

敵の去り際の攻撃をまともにくらって、立っていられない。

血が流れていく。寒気を感じた。意識が遠くなっていく。



「元柳斎先生!」

消えてしまった圧倒的な霊圧に、浮竹は涙を零した。

元柳斎先生が死ぬなんて、そんなことあっていいのか。

京楽の霊圧が弱まってくのを感じた。

「京楽、無事でいてくれ!」

祈るように、去っていった敵が戻ってこないのを確認して、京楽のところにまで瞬歩で移動した。

「京楽、しっかりしろ、京楽!」

揺さぶるが、反応はなかった。

酷い怪我だった。

浮竹は幸いなことに、強い敵にぶつかることなく無事だったが、白哉と一護の霊圧が消えていくのを感じた。

「白哉、一護君・・・・」



蹂躙された尸魂界。

死んでいく死神たち。


「私は長くはもたぬ・・・・・黒崎一護。尸魂界を守ってくれ・・・」

血だらけの白哉のつぶやき。

「ごほっ」

白哉は血を大量に吐いた。

「この尸魂界を守ってくれ、黒崎一護・・・・・・」

けれど、その願いは叶わない。


蹂躙された尸魂界。

死んでいく死神たち。

一護の爆発的な霊圧が消えていく。

「兄ですら・・・太刀打ちできぬ、というのか」

真っ暗になっていく視界。

チャリン。

音をたてて、千本桜が消えていく。


その日、ユーハバッハの手によって、尸魂界はもう二度と戻ることのできない爪痕をたてられた。

山本元柳斎重國の死。

尸魂界が崩れていく。

生き残った隊長、副隊長たちは、消えてしまった山本元柳斎重國の霊圧を感じ、嘆き悲しむのであった。

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